タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎

マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!

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<第23回 2003.7.10> 
史上最大の男祭りだ!PRIDE GP対戦カード決定!!

リボーン! PRIDEグランプリの対戦カードが遂に発表された。
これがものすごいことになっている、正真正銘の驚愕カードだ!

★桜庭和志 vs ヴァンダレイ・シウバ
★田村潔司 vs 吉田秀彦

★クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン vs ヒカルド・アローナ
★アリスター・オーフレイム vs チャック・リデル(UFC)

(詳細はこちらで)

なにいいいいい〜〜〜!? 桜庭vsシウバ!? 田村vs吉田!?
記者会見でも、あまりの衝撃で記者達がシーンとしてしまったそうだが、
そりゃそうだろう。俺も口あんぐりだ。声も出なくて当然だ。
仰天も仰天、大仰天。すげえ、すごすぎる!信じられない!
いきなり一回戦から超弩級のドリームマッチが連発だ!

Xとされていた選手が、田村潔司だったのは噂どおりだったけれど、
こんな組み合わせは、これまでの常識ではあり得ない。

悲しくも情けない話だけど、長年プロレスファンをやっていると、
「本当に見たい試合は実現しない」という常識が体に染みついてくる。
たとえば馬場vs猪木がそうだったし、ハンセンvsブロディもそうだった。
前田vsヒクソンも実現しなかった。本当に見たい試合はいつも幻に終わった。

団体を代表する超大物になればなるほど、もし負けたらその後の興行が成り立たなくなる。
だからスター選手がイメージダウンになる可能性の高い対戦は回避されてしまう。

あるいは超大物同士の夢の対戦が実現したとしても、たいてい引き分けになる。
またどちらかが勝っても、リマッチが行われ勝敗はイーブンになる。
そういう仕組みを知ってしまうと、あまり勝敗に興味がなくなってくる。

そして、そんな期待と失望を繰り返していると、
あまり度がすぎた夢を見ないようになる。
最初からあきらめておけば、失望しなくてすむ。
そこそこの夢が実現すれば、それで満足しようと思うようになる。

またファンにしても、自分が好きな選手の決定的な敗北は見たくないのが本音。
だから夢のカードは、見たいけれど見たくない、だから実現しなくてもいい。
だんだん、こういう発想になってくる。まあ変な話だけれど。

そんな考えが骨の髄まで染みついている俺なので、
PRIDEグランプリのカードはこう予想していた。

1)桜庭和志vsアリスター・オーフレイム
2)吉田秀彦vsヴァンダレイ・シウバ
3)X(田村?)vsチャック・リデル
4)クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン vs ヒカルド・アローナ

PRIDEの看板スターである桜庭は絶対に一回戦を突破して、
決勝ラウンドが行われる東京ドームに進まければならない。
それがなにより優先される。じゃなきゃチケットが売れない。
だから消極的な発想ではあるけれど、出場選手の中で
実績的に一枚劣るアリスターとの対戦が無難なはず。

吉田とシウバ、これはどちらも優勝候補であり、桜庭との対戦が期待されている。
しかし1回戦でも1試合くらいは、黄金カードが必要だ。ならばこれ。
桜庭の強敵が一人消せるし、2回戦以降でどちらか一人との対戦は実現する。
そもそも吉田もシウバも、それほどファンの思い入れが強い選手じゃないので、
どっちが勝っても負けても、ファンの心はあまり傷つかずにすむ。

Xが田村だった場合は、まず日本人との対戦は発想から外す。
田村はそもそも顔面を殴りつけるバーリトゥードには否定的なわけだし、
ましてや日本人との対戦なんてオファーをしたら絶対に出ないはず。
でも、世界トップクラスのランペイジとアローナとの対戦は危険すぎる。
だから消去法でリデルに。といってもリデルもそうとう強いのだが…。

これまでのプロレス的な発想で、俺はこういう過保護的な組み合わせを予想してた。
カード的にはいまひとつだけど、桜庭と田村を守るためにはこうせざるを得ない。
吉田秀彦参戦というサプライズがあるわけだから、もうそれで十分満足。

……と思っていたのだけれど、今回はそんな古い発想をガッツーンと覆された!
いや〜、俺は甘かった。選手をなめてた。PRIDEをなめてた。
失礼だった。男じゃなかった。弱虫の発想だったよ。
最初からそんな負け犬根性じゃダメなんですな〜。
やる前から負けること考えるバカいるかよ!である。
リボーンせよ!夢を見ろ!男たる者、そうでなくちゃいけないんだ!
今回の決定カードを見て、そう教えられたような気がする。

桜庭は、自らシウバとのリベンジマッチを望んだそうだ。
すでに2連敗してるから、もう後はない。勝てる可能性も正直低いと思う。
これで負けたら桜庭神話は完全に崩壊する。4度目はない。
にもかかわらず、シウバと対戦したいと直訴したという。
ハッキリ言ってシビれた!これぞ男だ!ありがとう!!

シウバはチャンピオンである。本来トーナメントに出る必要はない。
桜庭にも2連勝している。また挑戦を受ける必然性なんてない。
もし負ければ、せっかく桜庭を破って日本で築いた地位を失うかもしれない。
しかし「桜庭もかつて挑戦を受けてくれたから、俺も挑戦を受ける」と、
この対戦を飲んだそうだ。お前も男だ!ありがとう!

吉田はトーナメントに出場するだけで、株は上がりまくりだった。
できれば日本人との対戦は避けたかったはず。田村は練習仲間の高阪の盟友でもある。
また強さが売り物な選手なだけに、負けたときのダメージは莫大だ。
なのにあえてこの対戦を受諾した。お前も男だ!ありがとう!

そして田村。大嫌いなバーリトゥード。しかも相手は日本人。
しかも、しかも、あの吉田秀彦。本来対戦する必要のない相手。
オリンピック金メダリストであり、いまだに底の見えない強すぎる男。
負ければUWFの申し子として築きあげてきたすべての物語を損なうかもしれない。
なぜこのオファーを受けたのか不思議でならない。しかし受けた!
お前もやっぱり男だった!ありがとう!

負けたらすべてを失うかもしれない道に踏み出した4人。
正直言って、見るのが怖い。特に桜庭と田村が…。
でも、この対戦を受諾した時点で、もうシビれまくりだ!
桜庭!シウバ!吉田!そして田村! みんな男の中の男だっ!!
PRIDEグランプリは“男の中の男”決定戦だ!

桜庭はリベンジを果たして完全復活するのか?
シウバはチャンピオンの力を改めて証明するのか?
吉田は恐るべきポテンシャルの高さを証明するのか?
田村は新しいUWFの伝説を生み出すのか?
もちろん、ランペイジ、アローナ、リデル、アリスター
どいつもこいつも優勝してもおかしくない連中ばかり。

こんな刺激的なトーナメントは初めてだ!

俺たちの本当の夢がいきなり実現する。
そのすべての対戦がハイリスク・ハイリターン!
これは、とんでもない大会だ。
しかも、ミルコ対ノゲイラまでやるかもしれないという。
すごいぞ、PRIDE!すごすぎる!!

そして、この驚愕のカードを実現させたのは、男・高田統括本部長!
よくもまあこんな対戦を組んでくれた。
ハッキリ言って、ここまで望んでなかった。
本当に見たい試合だからこそ、期待してなかった。
だからこそ、度胆を抜かれた。ありがとう!
あなたはやっぱり男の中の男だった!!

8.10 さいたまアリーナ、PRIDEグランプリ!
これは史上最大の男祭りだ!!





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