タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎

マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!

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<第24回 2004.3.25> 
狼男の大予言!今年の大晦日、小川直也vs吉田秀彦戦が実現!!

『アサヒ芸能』見ました?どこから入手したのか、ハッスル2のシナリオを掲載して「八百長プロ
レス台本公開」と大々的にスクープしてるんですよ。いまさら八百長云々はともかくとしても、日
本のプロレス界で勝敗が記された文書が公開されたのは前代未聞。たたでさえマスコミからもファ
ンからも総スカンを食らっているハッスルですが、これでますます風当たりは強くなるでしょう。
興行的にも決定的なダメージを被るでしょう。けれどスマートなメディア戦略でPRIDEを大成功さ
せたDSEが、むざむざこんな大失態を犯すというのはどうにも奇妙な話。アングルの匂いがします。

そもそもハッスルとは何のために作られたイベントなのでしょう?従来のプロレス界のうさん臭い
部分を排除することで成功したのがPRIDEです。なぜ今さら従来型のプロレスに手を染める必要が
あったのか。しかも自伝『泣き虫』で、高田延彦が「プロレス時代の勝敗はすべて決まっていた」
とカミングアウトしたばかりのこの時期に……。ヘタすると肝心要のPRIDEの足をひっぱりかねま
せん。実際、高田自身も主要キャストとして出演する純度100%のうさん臭いプロレスには、ファ
ンもマスコミも拒絶反応。2度の興行はいずれも大惨敗して、PRIDEにも暗い影を落としています。

DSEの新規事業“ハッスル”の目的は、ピークをすぎたPRIDEファイターの天下り先部門、既存の
プロレス界潰し、税金対策などと言われていますが、あまりにもハイリスク・ローリターンすぎま
す。そこで名探偵ばりに灰色の脳細胞を駆使して考えました。そしてこの不可解な謎を解きました。
そこには実に驚くべき真相が隠されていたのです。今回はその推理を披露するといたしましょう。


DSEの真の目的、それは小川直也をPRIDEのリングにひっぱりだすこと!その遠大な計画のステッ
プ1が、ハッスルというイベントだったのです。ファンが最もPRIDEのリングに立つことを望んで
いる選手は小川直也です。しかし小川のPRIDE嫌いは周知の事実。プロレスに専念すると宣言して
いますし、現状では100%PRIDE出場はあり得ないでしょう。そこでDSEは考えたわけです。まず
小川がやりたいプロレスの舞台を提供することで小川に接近しようと。つまり小川に接近するため
だけにハッスルという舞台は作られた。すべては小川獲得のため、それがDSEの真の狙いでした。

その目論みは成功しました。そんな野望があるとはつゆ知らず、ハッスルのエースとなった小川は、
涙ぐましく見えるほど「スリー!ツー!ワン!ハッスル、ハッスル!」と日夜ハッスルしています。
あれほど嫌っていたDSEの社員とも一丸となって、ハッスル成功に賭けています。小川直也獲得大
作戦ステップ1は大成功。そのステップ2が、今回の『アサ芸』の暴露記事でした。あれは意図的
にDSEがリークしたものに違いありません。何のために?もちろんハッスルを消滅させるためです。

巨額を投じて作ったイベントを自分たちで消滅させる。馬鹿げた発想です。しかしDSEにとって小
川直也はそれだけの価値がある男だったのです。社運を賭けても絶対に獲得する必要がありました。

何のために?今年の大晦日に行われる格闘技大戦争のためです。まだ記憶に新しい昨年12月31日、
日テレ、TBS、フジの3局が大晦日に格闘技を放送するという異常な事件が勃発しました。そして、
大勝利をおさめたのが、曙vsボブ・サップを放送したTBSです。紅白を上回る記録的な視聴率をは
じきだして圧勝。今年は、猪木祭りで惨敗した日テレは撤退する可能性が濃厚ですが、TBSは当然
格闘技でくるでしょう。となると、もともとK-1とPRIDEを盛り上げ、現在の格闘技ブームを作っ
てきたフジテレビは今度こそ絶対に負けられません。そのための最終兵器が、小川直也なのです。

小川直也vs吉田秀彦。これが今年のフジテレビの切り札です。話題性だけで、日本国民を失望させ
てしまった曙vsボブ・サップと違い、小川vs吉田は真の実力者対決。柔道銀メダリストと金メダリ
ストの決着戦は、格闘技発祥の地アテネでオリンピックが行われる2004年の締めくくりとして、
これほど相応しい試合はありません。世間的な話題も申し分なく空前の視聴率を叩きだすでしょう。

しかし、これまでの小川の言動を考えると実現はまず不可能。だからDSEはハッスルというプロレス
のイベントを作ることで小川に接近した。しかもそれを本気でやってみせて、まずは小川の信頼を得
る必要があった。次の段階が、ハッスル消滅です。これは慎重にやらねばなりません。そこで暴露記
事を意図的に流した。それによってファンのヒンシュクを買い、興業不振による自然消滅という形に
持っていく。いわば兵糧攻めです。ハッスルが消滅すれば、小川は行き場を失う。そこで初めてDSE
はオファーできるわけです。「小川さん!大晦日、吉田秀彦さんと戦ってください!お願いします」。

ハッスルが消滅してしまえば、小川はエースとして責任を感じているでしょう。一丸となって必死に
ハッスルを盛り上げてきたDSEのスタッフに対して負い目もあるでしょう。なにより小川は、実は義
理人情に厚い男。今度ばかりは首を縦にふらざるを得ない。かくして今年の大晦日、DSE主催、フジ
テレビ放送による“男祭り2004”で、小川直也vs吉田秀彦という超ド級の夢対決が実現するのです。
ここに予言しておきましょう。DSEの計画は着々と進行しています。『アサ芸』の記事でこの予感は
確実なものになりました。俺には小川vs吉田の解説席に座っている井上康生の姿まで見えています。

どーですか、お客さん!これですべての謎はとけたはずです。小川直也vs吉田秀彦が実現するのなら、
ハッスルはハイリスクながら、超ハイリターン。お釣がきます。しかも来年には小川vsミルコ、小川
vsノゲイラ、小川vsヒョードルという、格闘技ファン垂涎の夢カードも実現するかもしれないのです。

我々ファンの悲願でもある小川のPRIDE登場。その実現のためには、ヒールとなってアコギな手段も
辞さないDSEを支持してあげていいのではないでしょうか。ハッスルの存在意義も認めてあげていい
のではないでしょうか。俺は断然支持します!…だって見たいもの、小川vs吉田も小川vsミルコも。

ハッスル万歳!スリー!ツー!ワン!ハッスルハッスル!スリー!ツー!ワン!ハッスルハッスル!




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