タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr
現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!
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第21回
■■■ ヒマラヤの苦い思い出 ■■■
近況は、寒い。とにかく寒い。
毎日零下の日が続いている。今日もF18度(華氏)、
摂氏になおすとC=(Fー32)×5/9で約ー7.8℃!しかしながら、この時期は写真を撮るには最高の光線状態。
特に3時から日没にかけての斜光線は
明暗の差も多くドラマチックなライティングだ。れんが造りの多いニューヨークの建物を
立体的に見せるにはもってこい。
カッコイイ写真の大量生産だ。
普段見なれたものも太陽がカッコよくみせてくれる。でもって、ほぼ毎日は少し重いが
中型のハッセルというカメラを手に歩き回っている。
これは細かいところまで実に良く写し込んでくれ、
レンガのひとつひとつが手にとるようにわかる。撮っている時は良いのだが、
撮影を終わると、急に寒さが滲みて来る。
耳も鼻もちぎれて
どこかに落ちてるような感覚で完全に麻痺している。ニューヨークでこれなのに
上村直己のように厳寒の地、
地球の最果てで写真を撮るなど俺には出来ない!!
なぜなら、過去に苦い思い出があるからだ。
かれこれ10年ぐらい経つかもしれないが、
冬のヒマラヤに
パーソナルワークの写真を撮りに行ったときのことだ。軽い高山病から風邪をこじらせ、
扁桃腺が食道を塞ぐほど腫れ、飲み物も咽を通らず、
点滴を受けられる場所まで下山しないと
衰弱して危ないということで
吹雪の中、連絡のとれる村まで気力をふりしぼって下山し
救難ヘリを呼んだ事がある。徒歩1週間かけて登った山を
たった30分でヘリで下山とは・・・・・。首都カトマンズに着き、即入院。
生まれて初めての入院だった。ヘリポートには外務省のネパール大使館の書記の人と
大使館付きのドクターが出迎えに来てくれていた。
外務省の問題が取り沙汰されているが、
お二人とも実に良い方で、入院中何度も見舞いに来てくれた。ドクターは、食べれるようになったら食べなさい
とお菓子を持ってきてくれたし、
書記の方は、私が帰国後もネパールとのヘリのチャーター代の折衝やら、
こまめに尽力してくださった。きっと今回の北朝鮮からの拉致事件の際も
影で尽力した外務省の方々が沢山おられたのだと思う。ものごとをマスで捉えるのは間違いの素という事だが・・・・・。
ふと、この寒さでその時の事を思い出した。
で、皆様、この時期にニューヨークに来るのは止めましょう。
そういえば、去年1人、お正月に来たっけ。
(つづく)
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