タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!

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第31回 
 異国で仕事を得るということ ■

ニュ−ヨークもやっと良い季節がやってきた。
今年は寒い日がつづき、そのうえ長雨で憂鬱な天候であったから
なおさらこれはありがたく感じる。
そのせいかヤンキース松井も調子が良くなってきた。

ところで以前にもルームメイトの件を書いたが
実はまだ1部屋が埋まらない。
ここが埋まれば東京にも拠点がもてる手はずなのだが・・・。
思惑は思惑どおりには進まないものだ。

なぜ、東京に拠点が必要かと言えば、今の現状では
たとえワ−キングビザをサポートしてくれるアメリカの会社や個人が
今日にでも見つかったとしても、取得するには2年以上待たされる。
その間に景気が悪化すれば当然この話は流れる。
そこまで呑気に構えているわけにもいかない。

それだけ外国人が異国で職を得るのは難しい。

ワーキングビザを取得したとしても
ロシアでは教師をしていたが今は清掃業務をしているとか、
ブラジルではエンジニアをしていたが
今はガソリンスタンドで働いているとかはよくある話だ。

アメリカの大学に留学している日本人がこちらに残ったとしても
アメリカの日系企業に就職している場合がほとんどだ。
ヤンキースの松井のようなプロ野球の超エリートでもなければ
アメリカ社会で生きていくのは日本とのコネクションなしでは不可能に限りなく近い。
アメリカ人と結婚すれば別だが、それでも2年以上はワ−キングビザは取得できない。

これはアメリカに限らず日本でもそうだ。
以前ニューヨークで知り合った日系ブラジル人の彼は、
ブラジルではかなりインテリクラスであったはずだが、
今現在、日本で岐阜県の車の製造工場で働きながら
同じブラジル人や日本人に英語を教えている。
それでもブラジルよりはましだというメールが最近送られて来た。

いくら日本の景気が悪いとはいえ、他の国から比べればどうってことないらしい。
それだけ我々日本人は甘い生活に慣らされてしまっているのだろう。
帰国してフォトグラファーとして仕事にありつけるとは限らないが
少なくともなんらかの仕事をするのは今の年令ならまだ可能だ。

そういう現実を知るのに2年を費やしたとハッキリ言えるが、
ニューヨークでの活動は、ビザが切れる5年後まで並行して続けるつもりだ。
写真活動を通しいろんなコネクションができるにはこのぐらい必要だろう。

こちらに来て多く見たのは、フォトグラファーやミュージシャンなど
クリエーター、アーティストが制作活動の資金のために
異業種で働いているのはごく普通ということだ。
日本でも多くのミュージシャンがバイトしながらやるように。
どこまでやって、どこで折り合いをつけるかが問題だが・・・。

ニューヨークはアメリカ人でさえ住むのにはタフな場所、
友人のアンディーも家賃などが高いここからシカゴに場所を移すという。

アメリカと日本との二重生活計画は、
今年の秋ごろから越冬を兼ね始めるつもりであるが
はたしてどうなることやら・・・。


(つづく)





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