タイトル■ニューヨーク貧乏 〜金が尽きたら、さようなら〜
書き手 ■マイティー井上Jr

現在ニューヨーク在住のフォトグラファーによる
貧乏生活報告を含めた、ニューヨークの今を伝え
る身辺雑記です。あくまでも1個人のみの視点で
お送りするエゴイズム通信であります。「
セプテ
ンバーイレブンで激減した観光客を1人でも多く
ニューヨークへ呼び戻したい!そんなピュア−な
気持ちもありますよ」という、そんな企画です!

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最終回 
 最後の日はグランドゼロにまた写真を撮りに行く ■■ 

最終回だというのに、実感があまり湧かない。

来週もニューヨークの街をカメラを持ってブラブラしていそうな気がする。
ニューヨークを離れるのが惜しいとか、日本に帰るのが待ち遠しいとか感じない。
ただ必然として帰らざるを得なくなったから・・・。

最近、街でストリートベンダーや街行く人の写真を撮っていると

Are you liveing in NY or just visiting?

「ニューヨークに住んでるの?それとも観光?」

と大概聞かれるのだが、今度からはJust visiting.と応えるのかと思うと
彼らとキョリが開いてしまうような気がしてならない。

ベンダーの中には「俺は毎日ここで商売しているから写真できたら持って来てよ!」
と言う人もいて、「わかった、今度持ってくるから。」と応えられたのが
「イヤ〜随分かかるよ。」と言わざるを得ないのも癪だ。

人の写真を撮っていると、こんなやり取りが絶えなく
「ア〜、帰らなくては行けないのか。」
と感じるが、次の瞬間には新たなる標的を探し始めているので感傷的になる暇がない。

今回で1回分の個展ができる写真をなんとか撮り終えたいから
帰国が決まってからというものとにかく貪欲に写真を撮っている。
実際、明日も撮る。ラストスパートだ!

週末はまた友人達が集まってくれてパーティー、
しかし翌日の撮影のため二日酔いにならないようにしなくては。
実は、既に数日がこれでつぶれた。
それもあり、これを書きながらも現像をしている。
締め切り間近のワサワサ感、悪くはない。

しかし、今回が最終回。きちんと締めなくては。

で、3年間「ニューヨークでなにしてた?」と聞かれれば
もちろん留学ではないし、仕事でもない。「遊学」と応えたい。

これは遊びを学ぶという事ではなく、遊んで学ぶという事で、実に多くの事を学んだ。
英語しかり、異文化、異人種など人間について写真を撮る上でとてもおもしろい事を
発見したり学んだ。留学と違い、別に学位や単位がもらえる訳ではなく、何もレジュメ
に記すものはなく、華々しい成功を収めたとかでもないが、まあ良しとする。
やらずに後悔するより、失敗する覚悟でやるのが俺流だから・・・。

写真家としてお金を上手く稼げなかったのは明らかに失敗。
しかし、いろんな国の人と知り合い何人かとは友人になれ、そして
いろんな経験が出来た事、自分の撮るべき写真が見えて来た事は大成功。
そしてこのウエッブで「ニューヨーク貧乏」を始めた事。
1回個展をした事とこれが3年間の結果。

振り返ると同時多発テロ、セプテンバーイレブンで
アメリカも俺の状況も随分と変わった。

もしあの事件が起きなければどうなっていただろう?
おそらく個展はやっていなかったかもしれないし、ウェッブに参加していたかもわからない。
良くも悪くも随分違った事になっていたと思う。

今もブルックリンからマンハッタンブリッジを渡る時、
ツインタワーがそびえ建っていたあたりに視線がいく。

ニューヨークのアイコンとして存在が大きかった事もあるが
やはり、あの事件のアイコンとしての大きさを感じる。
渡米直後の馴染みの場所としての・・・。

最後の日はグランドゼロにまた写真を撮りに行く。
それで今回のけじめがつくような気がするマイティであった。


(終わり)


■ 御挨拶 

どなたに読んでいただけたかは存じませんが、この場をお借りして御礼を申し上げます。
長い間、御愛読ありがとうございました。






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