ツノッチ編 「04年合宿記」

今年も敬老の日がやってきた。ウェンブリーにとって9月の3連休は
特別な意味を持つ。ある者は怯え、ある者は武者震いに身を任せ、
ある者は神に祈る。ウェンブリー合宿の参加者は、誰であろうと
その魔力から逃れることはできない。まあただの一泊二日の
合宿なのだが。

 
移動

  合宿地は長野、諏訪。出発は例年の通りハードだ。
  今年は金曜の夜にドライバーTOKさんの家に集合し、
    仮眠の後に深夜出発。働き者の俺は夜10時まで会社に
  いたので、TOK邸にはAM1時着。同乗する110氏、
  28氏も似たり寄ったりであった。

  最近飼い始めたというハムスターのメル(かわいい)をひとしきり
    愛でた後、寝る。文字通り合宿前夜なわけで、寝床で感じるこの
    高揚感は子供の頃から変わらない、と思う間も無くAM3時半に
  起床。眠いってば。

  草木も眠る丑三つ時(ぐらい)に出発。発車と同時に、
  24時間営業の舌を持つ28氏が切れの良いトークを
  開始する。昼とか夜とか深夜とか無いのか彼は。
  俺は眠いので聞き役に徹する。というか、トーク面の
  スタミナでは28氏と双璧を成すTOKさんが相手を
  しているので、俺ごときが入る隙がない。おかげで
  だんだんと眠気も覚めてきた。

  
  しかし、そんな平和なドライブもそこまで。諏訪へ向かう
  高速の道中で、トークとか眠気とか言っている場合ではない
  事態が発生した。

   ウ○コがしたくなったのだ。

  いや、それは大きな問題ではない。俺の便意は事件の
  発端でしかない。そうそれは俺のために停まった初狩インター。
  用を足してトイレを出た俺は、他のメンバーの青ざめた顔に
  遭遇した。TOKさんが財布を落としたのだ。

  1時間近く周囲を捜索するも、財布は影も形も無かった。
  財布を落としたと思われる場所の空白期間は、ものの2、3分。
  その間に誰かに持っていかれたらしい。あまりに予想外の事態に
  呆然とする4人。まだ合宿は始まってもいないのに。

  初狩インターに停まるきっかけを作った俺に、微妙な視線が
  刺さるのは不可避であった。こんなに高くついたウ○コは、
  さすがに人生で初めてだ。というか二度と発生しないだろう。
  TOKさんは持ち前のキャラで、初狩インターを後にした
  30分後には財布紛失をネタにするほど元気になっていた。
  流石だ。


集合
 
  長野県、諏訪。宿舎の近くで他のメンバーと合流。とりあえず
  朝飯をとることになったが、食欲が無いのでトーストで済ませる。
  一帯はリフト等があり、どうやらスキー場のようだ。夏来るところ
  ではないのだろう。しかしゲレンデのところが綺麗な緑の芝になって
  おり、しばし心が和む。またなぜか山羊が10頭ほど紐につながれて
  飼われており、交流をはかる。メスは大人しかったが、オスは
  おもむろに人の足に向かって角を押しつけて来て、危うく選手生命を
  断たれるところだった。攻撃だったのか、俺の足で角を研ごうとした
  のかは、いまだもって不明。どっちにしろ痛かった。

  メンバーは例によって強行軍の疲れの色を隠せない。あと数時間後、
  午後1時から他チームと練習試合をやるというのに、使い物になる
  のだろうか。しかし中には店内の卓球台で卓球大会を始める強者
  もおり、先々のことばかり考えて今を楽しまない俺が小者なのか、
  としばし自問自答。結局卓球に参加した。


試合

  宿は非常に綺麗で、快適なところであった。去年コテージで
  手のひらほどもある蜘蛛2匹を撃退していたことを思い出し、
  感慨にふける。

  短時間の仮眠をとった後、練習試合に出発。起き抜けのみんなの
  表情を見ていると、すでに合宿三日目の様相を呈していた。
  もう我々も若くはない。
  
  試合の相手は、どっかの県リーグに所属しているという2チームで、
  負け犬気質の俺はかなりビビっていたのだが、やってみるとどちら
  のチームともレベルの噛み合った試合ができ、良かった。試合の話は、
  まあ普通の試合だったので、これで終わり。ただ、終盤でものすごい
  霧が発生して、試合が一時中断したのが印象的であった。

  試合も終わりに近づいたころ、ようやく合宿の最重要キーマンが
  現れた。そう、MTさんだ。やはりサッカーが終わりかけの
  頃にやってくる。試合には参加されなかったが、ウェンブリー内の
  PK大会には参加された。風雨をものともせず、必ずバイクで
  移動するその姿勢には感服である。

  今回は初めてチーム内でPK大会が開催された。俺は1回戦で
  チーム随一のトリックスター・日曜氏と対戦し、いきなり敗退。
  最近はマメに練習に参加していたのに、所詮地味キャラの
  末路などこんなものだ。初代王者はOZA氏に決定。
  非常に順当な結果であった。