オーディオを買うときはカタログを見て選ぶと思うんですが、カタログには製品の仕様というのが載っていて、いろいろなスペックが書いてあります。でもカタログに書かれたスペックをきちんと理解して製品を選んでいる人は、果たしてどれくらいいるんでしょうか。(^^; 大抵の人はスペックの表す意味をほとんど理解していないんじゃないかなと思います。だいたいは価格の違う製品を比較して、高い製品の方がスペックの値が大きければ、そのスペックは値が大きい方が良いとか、小さければその方が良いとかいって判断してるんじゃないでしょうか?僕も昔はそうでしたから。・・・いや今もあまり細かいことまでは理解できてませんが(爆) 意味もわからないまま性能の良い製品を買っても良さはわからないと思うので、カタログでよく使われているスペック用語の解説をしたいと思います。解説はホームオーディオとしての使用を前提にしています。 買うときの参考になればいいかなと思いますが、特定のスペックだけを追い求めても、オーディオの場合は良い音が出るとは限らないので、その辺はご注意を。 各機器汎用周波数特性周波数[Hz]に対する音圧レベル[dB]の特性で、略してf特ともいいます。機器の再生周波数帯域を示すときに用いられています。本来は縦軸を音圧レベル、横軸を周波数とした対数グラフで表すものなんですが、カタログには載ってるのを見かけないですね。表示に(±〜dB)とある場合は、許容出力変動幅を表していて、表示されている周波数範囲内では出力の変動は±〜dB以内に収まることを示しています。変動幅が小さいほど音にクセがないことなります。表示がない場合は±10dBが一般的です。フラットな特性になるのが理想なので、変動幅は小さい方が良いのですが、そうすると表示周波数範囲は狭くなります。よって、変動幅が違うスペックを比較することはできません。 再生周波数帯域 [Hz]機器が再生することができる周波数(音の高低)の範囲です。fレンジともいいます。表示に(-〜dB)とある場合は、1kHzの出力音圧を基準に、〜dBの音圧低下までの周波数範囲を示しています。ただしこの値はメーカーによってまちまちみたいなので、あまり当てになるスペックとは言えないようです。しかし、人間の耳はだいたい20[Hz]〜20[kHz]まで聞こえるといわれているので、最低でもこの範囲はカバーしておきたいですね。 全高調波歪率 [THD (Total Harmonic Distortion)]機器に正弦波信号を入力したときの出力信号中に含まれる高調波成分(歪み)をトータルしたものが基本波成分に対して何%であるかを表した値です。 主にアンプやCDプレーヤーの歪みを表すスペックとして用いられています。 ダイナミックレンジ[dB]機器が扱える最大の電圧と雑音の電圧との比を表します。CDの場合は扱える最大音と最小音の比、つまり量子化の精度を表しているもの(ただし、非直線量子化はこれに当てはまらない)なので、分けて考える必要があります。 アンプ定格出力(実効出力) [W]パワーアンプで、ある決められた歪み率を超えることなく連続的に取り出すことができる出力のことです。 例えば、定格出力:85W+85W(20Hz〜20kHz両ch動作 8Ω THD0.05%)の場合は、「8Ω負荷時に20Hz〜20kHzにおいて、0.05%の歪率以内で85W+85Wの出力が得られる」という意味です。ここでいう「負荷」とは、アンプに接続するスピーカーのインピーダンスのことです。「両ch動作」とは、LとRの両チャンネルを同時に駆動させて測定したということを示していて、「85W+85W」という表記をします。この他に「85W×2」という表記の方法がありますが、これは片チャンネルずつ測定をしたときの出力で、両チャンネルで動作させるとこの値より低い出力になります。かっこ内の表記が省略されている場合は、一般的に(1kHz THD0.01%)の条件下における測定値です。なお、「EIAJ」という表記がある場合は、実用最大出力のことなので注意が必要です。 実用最大出力(EIAJ) [W]主に、ゼネラルオーディオやAVアンプで用いられているスペックです。定格出力との違いは測定条件の違いで、(1kHz THD10%)のときの値を示しています。でも、全高調波歪率が10%っていうのはホンマに実用に耐えうる値なんでしょうか。(^^; S/N比 [dB]信号(Signal)と雑音(Noise)の比です。アンプでは一般的に定格出力と無信号時の雑音との比になります。数値が大きい方が良いといえるのですが、雑音レベルが同じでも、定格出力の大きいアンプの方がこの値は大きくなるので、一概にS/N比の値が大きいアンプの方がノイズは小さいということにはならないので注意が必要です。 チャンネルセパレーション [dB] ステレオアンプなどの2系統以上のアンプにおけるチャンネルの分離を表す値です。2チャンネルの場合は、一方のチャンネルに入力した信号の出力電圧を、その影響によりもう一方のチャンネルに漏れた信号の出力電圧で割った比で表します。この値が大きい方が漏れ電圧は小さいということなので、各チャンネルの分離が良いということになります。 ダンピングファクタ(DF)パワーアンプの場合は、その内部抵抗が低いほどスピーカーの有害な振動を制動しやすくなります。ダンピングファクタは、スピーカーのインピーダンスをアンプの出力インピーダンスで割った比で表します。値が大きい方が良いといえます。 混変調歪率(IM)アンプに2つの信号を同時に入力して増幅したときに、2つの信号の和に対してお互いが干渉しあって出てくる濁り成分の割合を示します。 ダイナミックパワーTBD ※「TBD 用語」で飛んでこられる方が多いようなので・・・。 スピーカー出力音圧レベル(感度,能率[%]) [dB SPL/m/W]1W(2.83V)の入力に対して、スピーカー正面1mの距離における音圧レベル[dB]を表しています。この値が大きくなると、同じ入力でも出せる音が大きくなるので能率が良いといえます。例えば、87dB/W/mのスピーカーが90dB/W/mのスピーカーと同じ音量を出すためには、3dBの差があるので2倍の入力が必要ということになります。ちなみに92dB/W/mでの能率は1%だそうです。残りの99%は熱やその他に変換されてどっかにいってしまいます。環境に優しくないですね。(^^; 最大出力音圧レベル [dB SPL/m]スピーカー正面1mで実現可能な音圧の最大値のことです。コンサート会場などで複数のスピーカーを組み合わせて使う場合には有用なスペックですが、ホームユースではあまり気にしなくても良いでしょう。 公称インピーダンス [Ω]スピーカーをその入力端子から見ると、電気信号などの交流電気だけを制限するリアクタンス(ボイスコイルなどによる)と、交流直流ともに制限する純抵抗成分が混在した一つのインピーダンスで表すことができ、この値を公称インピーダンスとしています。この値は周波数によって大きく変化しますが、ボイスコイルの抵抗の最小値、または400Hzにおける抵抗値をスペックとして示しています。4,6,8Ωが主流となっています。スピーカーは定電圧駆動されているので、インピーダンスが小さくなるほど、アンプから取り出せる出力が増えますが、アンプに流れる電流が大きくなるので、負担がかかることになります。 許容入力 [W]スピーカーが正常に動作する入力レベルの最大値です。連続動作における定格入力と瞬時動作における最大入力の面から限定されます。例えば、小型スピーカーに過大な入力を加えないようにするために使えるスペックですね。 定格入力(許容入力) [W]連続動作させてもスピーカーが壊れない入力の限界値のことです。スピーカーに加えられた電気入力は音響エネルギーに変換されますが、残りの大部分はボイスコイルで熱に変換されるので、連続時間過大な電気入力が加えられると、ボイスコイルを焼損してしまいます。 最大入力 [W]スピーカーが機械的に破壊されない瞬時における入力の限界値のことです。特に低域では振動系の振幅が大きくなるため、一瞬でも振幅限界を超える入力が加えられるとユニットを破損してしまいます。 クロスオーバー周波数2ウェイや3ウェイなどのマルチウェイスピーカーで、各ユニットが受け持つ再生帯域の境目の周波数を示します。ここがスムーズにつながらないといけないのは当然なんですが、既製品のスピーカーのネットワークを調整することはできないので、「この周波数で分割されているんだな」といった参考程度のスペックとして捉えて問題ないでしょう。 CDプレーヤー、MDレコーダー、テープレコーダー等チャンネルセパレーションTBD ワウ・フラッター [% WRMS,% W・PEAK]テープレコーダーにおける信号の時間的変化はメカニズム依存となるため、どうしても回転ムラが発生してしまい、周波数方向の特性に影響を及ぼすことになります。本来の周波数と変化した分の周波数の比を%で表したものをワウ・フラッターといいます。数値が小さい方が良いということになります。ところでCDプレーヤーの場合は、読み取った信号を一度メモリに蓄えてから取り出す方法を取っているため、読み取り時の回転ムラは無視することができます。したがってわざわざ表示する必要はないと思います。LPプレーヤーやテープレコーダーとの違いを明示したいからなんでしょうか?(^^; 参考文献このページを作成するにあたって参考にした本を紹介します。こちらの方がより詳しく書いてますし、専門の方が書かれているので信用度は高いと思います。(^^;
最終更新日:2003/09/26 |