Il modo della musica antica
第3回:木管楽器編

 現代のオーケストラに使われている楽器の御先祖様を紹介しているこのシリーズ、 今回は木管楽器の部となります。普通、オーケストラで使われている木管楽器はフル ート&ピッコロ、オーボエ&イングリッシュホルン、クラリネット、ファゴットの4 種類です。この中で、クラリネットは登場が比較的新しく、モーツァルトの交響曲に は入っていない物もあります。いずれも交響曲などで美しいソロを聞かせる場面が多 い楽器群ですね。では順に見て行きましょう。
 バロック以前はフラウト(フルートのイタリア語名)と言えば、いわゆるリコーダー の事を指します。横に吹くものはフラウト・トラヴェルソ(横吹きフルート)とわざ わざことわらなければいけませんでした。リコーダーはその音量等のせいでバロック 時代を境に急速に姿を消すことになりますが、フルートは数々の改造を受けて生き残 ることができました。横吹きフルートは中世に東方から渡ってきて軍楽などに使われ、 17世紀にフランスのオトテールによって改良され、広く使われるようになりました。 バロック時代のフルートはもちろん木製で、キーも一つしかなく残りはリコーダーと 同じような穴が開いていました。19世紀になるとキーが増え始め、ベームによって 現在の金属の姿になるわけです。
 オーボエは同じダブルリードの屋外用で粗野な楽器であったショームやシャルマイ やクルムホルンをもとに、17世紀にオトテールによって発明されたと言われていま す。バロック時代のオーボエはキーは二つで残りの穴はリコーダーと同様でした。オ ーボエはその音域によって、3度下のオーボエダモーレ(愛のオーボエ)や5度下の オーボエダカッチャ(狩のオーボエ、イングリッシュホルンの前身)等色々な種類が 作られました。室内の演奏用に抑えられた音量は19世紀にキーの数とともに増え始 め、現在のような複雑な形のオーケストラ用楽器になりました。
 クラリネットは18世紀に入ってから、シャリュモーなどを元にデンナーによって 発明された比較的新しいシングルリードの楽器です。そのため合奏曲で良く使われる ようになるのはモーツァルトの時代以降の事になります。モーツァルトがクラリネッ トを持つマンハイムの宮廷オーケストラを訪れた時に父親への手紙で、「僕のオーケ ストラにクラリネットがあったらなぁ!」と書かせ、後に数々の名曲を書くようにな ったのは周知の通りです。以降オーケストラには欠かせない楽器となり、19世紀半 ばにフルートで成功したベーム式キーがつけられ、現在のような姿になりました。
 ファゴットは17世紀に、オーボエと同じダブルリードを持ったバス管楽器である カタール(ドゥルチャン)から発展した楽器です。バロック時代初期にはキーが二つ しかなく、演奏の難しい楽器でしたが、管弦楽の低音部や室内楽の通奏低音を受け持 つなど、大変重要な楽器でした。19世紀以降キーが増え始め、ドイツのヘッケルに よって現在の姿になりました。
 なお、ジャズなどでも人気の高いサクソフォンは19世紀以降の発明になります。
 バロック時代の木管楽器は、現在の物と比べて音量が小さく、演奏も難しかったの ですが、より繊細で微妙な表現が可能でした。さて、次はいよいよ弦楽器群を紹介し ます。

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