ヴィヴァルディの日本語文献について
(2003/5/11更新)
Antonio Vivaldi(1678-1741)に関する日本語で書かれた伝記や作品解説等の類はあまり多くなく、
しかも刊行が古くて古書でしか手に入らない物が多いのが現状です。
以下に私が知る限りの本を列挙しますが、私も全部持っているわけではありません。
現在書店で購入可能と思われる本
- ヴィヴァルディの伝記
- 「ビバルディ(伝記・世界の作曲家1)」パム・ブラウン著/橘高弓枝訳(偕成社、1998)
・・・ティーン向けの偉人伝記全集の一つ。漢字にふりがなが打ってある。
- 「大作曲家の世界1・バロックの巨匠」カルロ・ヴィターリ著/小畑恒夫訳(音楽之友社、1990)
・・・ファブリ・カラー版シリーズの1冊で、バッハとヴィヴァルディとヘンデルの3人を取り上げている。
図版豊富。著者と訳者はヴィヴァルディ部分のみ表示。
- ヴィヴァルディの作品解説
- 「ヴィヴァルディ・作曲家別名曲解説ライブラリー21」音楽之友社編(音楽之友社、1995)
・・・リオム番号リストや他の番号との対照表など、大変便利な1冊。執筆者(敬称略)は、
岩井宏之、久保田慶一、佐々木節夫、佐々木勉、竹内ふみ子、東川清一、濱田滋郎、村井範子。
- ヴィヴァルディ参考文献
- 「当世流行劇場(転換期を読む6)」ベネデット・マルチェッロ著/小田切慎平・小野里香織訳
(未來社、2002)・・・ヴィヴァルディとサンタンジェロ劇場を風刺した本で、
ヴィヴァルディが痛烈に批判されているが、同時代のオペラ興業についての貴重な資料となっている。
古書としてしか手に入らない本
- ヴィヴァルディの伝記と作品解説
- 「ヴィヴァルディ−生涯と作品」マルク・パンシェルル著/早川正昭・桂誠訳(音楽之友社、1970)
・・・ヴィヴァルディの権威による古典。ヴィヴァルディへの愛に満ちた本。原著は1955年刊行。
- 「ヴィヴァルディ(永遠の音楽家10)」ロラン・ド・カンデ著/戸口幸策訳(白水社、1970)
・・・日本語版はパンシェルルの本と同年刊行だが、原著は1967年刊行でその分内容は新しい。
- 「ヴィヴァルディ(BBCミュージックガイドシリーズ1)」(上下二分冊)M・トールバット著/為本章子訳
(東芝EMI音楽出版・日音楽譜出版社(発売)、1981)・・・トールバットによる伝記で、
英語版はいまだに版を重ねている。
- ヴィヴァルディ参考文献
- 「バロック協奏曲」アレッホ・カルペンティエール著/鼓直訳(サンリオ、1979)・・・
今は無きサンリオSF文庫の一冊。SFと言うよりはラテンアメリカ現代小説独特の幻想文学だと思います。
もちろんフィクション。「キューバのプルースト」と聞いてなるほどと思いました。
内容は18世紀の南米の富豪がグランドツアーで訪れたカーニヴァル中のヴェネツィアで、
ヴィヴァルディとヘンデルとD.スカルラッティの3人と出会う。
圧巻は3人の巨匠とピエタ音楽院の生徒達が繰り広げる一大「ジャム」セッションシーン。
あとはサンタンジェロ劇場での「モンテズマ」上演シーン。妙に描写が正確だと思ったら、
前出のカンデ氏が助言と監修をしたそうです。詳細は触れませんが、
この本を読んだ時、ヴィヴァルディの曲が無性に聴きたくなりました。
なお幻想的に話の時代が交錯したりしますので、そう言う話が苦手な方にはお薦めいたしません。。
ヴィヴァルディがワーグナーやストラヴィンスキーを批評する個所も興味深かったです。
私のヴィヴァルディ好きを決定づけた一冊と言えます。
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