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No.499 新倉山(あらくらやま)・御殿 令和8年(2026年)1月5日(月) |
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富士山展望とアカマツ林の山 → 地理院地図の該当ページへ 今年の初山行に相応しい山を探して、近所の図書館で借りてきた「絶景低山コースガイド・関東周辺(山と渓谷社)」をパラパラとめくっていると、山梨県の御坂山地に属する「新倉山(あらくらやま)」の項(文:木元康晴氏)が目に留まった。その中腹にある新倉山浅間(せんげん)公園の展望デッキから見ることができるという(例の五重塔と桜と富士山の)絶景については広く知られているけれど、その上部に新倉山の頂上1180mがあって、さらにその少し先には展望の良い御殿(ごてん)と呼ばれるピーク1184mがあるという。しかも半周回コースをとれば下山地には葭之池(よしのいけ)温泉が待っている。…久しく富士山展望の山には登っておらず、もうこれは行くっきゃない、という訳で、未だ正月の松の内に、妻の佐知子を誘って(つまりいつものメンバーで)いそいそと出掛けた。 行きの中央本線は、思い切って特急の「あずさ1号」を利用した。新宿から大月までの特急券(指定席)は…えきねっと利用のチケットレス割引で…一人920円増しの料金だが、時間と体力温存をお金で買うぐらいしか後期高齢者の私達には為す術がない。お陰で、車内で朝食(駅弁の「深川めし」だ)を摂ることができたし、余裕の時間管理となった。 大月で富士急行線に乗り換えて約40分、下吉田駅前から歩き始めたのは9時を少し回ったころだった。改札を出て右へ回り踏切を渡り、道標に従って進む。外国人観光客向けだろうか、それらしき出店が建ち並ぶ箇所を通り、表参道の石段を少し上って、額束(がくづか)に「三國第一山」と記された鳥居をくぐり、まず新倉富士浅間神社に参拝する。二人の巫女さんが竹ぼうきで掃除している姿に風情がある。 それから白銀に輝く富士山を背に、398段あるという「咲くや姫階段」を上ると、五重塔(新倉山浅間公園忠霊塔)の基部に着く。待望の展望デッキは…予想通り…外国人観光客などで混雑していたが、平日ということもあり思ったほどではなくて、なんとかすんなりと写真を撮ることができた。その季節ではないので桜花や紅葉は被写体には入らないけれど、五重塔(忠霊塔)を前景にした富士山は…う~ん、やっぱり外人好みなのかなぁ…京都と富士山を一緒に観光したような、なんともいえぬミステリアスな構図だと思った。(←タイトル部の写真) 新倉山浅間公園上端の東屋を過ぎると登山道に入る。と急に静かになり、人影は途絶える。何気に、サクラの幹に括り付けられた注意書きを読むと「ご注意ください・熊が出没しています(富士吉田市)」と書いてある。ひぇ~、ここにも出るんだ。と少したじろいたけれど、まぁ冬だし寒いし…多分クマさんは寝てるし…という訳で、注意書きを無視することにする。佐知子もここは無言で通り過ぎる。 左(西)側がアカマツ林で右(東)側がヒノキ林の登山道がしばらく続く。ふと、今回は佐知子も私も熊鈴を持参していないのに気が付いた。で、なるべく大きな声で会話したりストックであちこち叩いて音を出したり、して歩いた。 「強い西風からヒノキを守るためでもあるんだよ、西側にアカマツを植えるのは」などと私は話した。佐知子はいつもよりボリュームを上げて「そうね、アカマツはパイオニア樹種で日さえ当たれば強いものね」などと返事する。…そう、クマが怖くてハイキングができるか、とお互いに気合を入れている。(^^;) 今は枯野になっているアヤメ群生地や、リクガメの甲羅のような形をした「亀石」を通り過ぎ、ゴンゴン石の前でひと休み。このゴンゴン石はぽっかりと穴の空いた大きな岩で、その穴の中に頭を入れるとゴーゴーと風のうなり声が聞こえるという。試しにやってみたら、確かにそんな感じだった。チョコレートを齧りながら飲むサーモスのホットコーヒーが熱くて旨い。 ★コース上の三角点について: 地形図を読むと、新倉山浅間公園の忠霊塔付近から凡そ(直線距離にして)300mほども登った処に四等三角点(点名:宮林 標高944.20m)がありますが、気にはしていたのですがその標石を見つけることはできませんでした。帰宅してから調べたら、その三角点はどうやら「アヤメ群生地」の草地の中にあったようです。柵がしてあったので私達は敢えてその中(アヤメ群生地)を通らないで脇道を進んだのですが、それで三角点の標石を見つけることができなかったんだなぁ、とガッテンしました。 ゴンゴン石からもアカマツ林を登り、傾斜が緩んできて間もなく、下山路に予定している二本杉方面(テレビ塔コース)との分岐を通過する。と、そのすぐ先がこじんまりとした新倉山の山頂だったが、ここは展望が無いのでスルーして、少し先の御殿と呼ばれる展望箇所で大休止。南面の富士山と東面の(杓子山や御正体山などの)道志山塊の山々が、桂川の流れる富士吉田の街並みを挟んで、其々美しく聳えている。お弁当の…佐知子の手作りの…おにぎりと煮卵がとても美味しい。 私達の今回の目的地はここ(御殿)までだが、この先をさらに北へ(コースタイムで)45分ほど進むと霜山1302mがある。その霜山は三ツ峠山1785mから南南西へ延びる府戸尾根上にあり、私達がかつて三ツ峠山から河口湖の東岸へ下ったときのコースでもある。(→No.133「三ツ峠山」) 御殿のピークで、そんな郷愁にも似た感情が心に去来したけれど、今の私達にはここから三ッ峠へ進む気力も体力も無い。…でも、山の思い出にも浸ることができて、私達はそれで十分に満足だった。 展望の良い御殿でまったりと過ごし、下山開始は12時5分頃だった。 来た道を新倉山まで戻り、その先の分岐を左折して二本杉へ下るのだが、この区間に道の不明瞭な箇所があり、道標の赤テープも見失いそうになる。ミズナラやコナラやシデ類やアカマツなどの落ち葉が道型を消しているのだ。なので、2度ほど立ち止まって地形図(地理院地図のコピー)とコンパスで進むべき方向を確認して、事なきを得た。 二本杉には文字通りの(大きいのと中くらいの)2株の…ヒノキの多い今回のコース上では案外と珍しい…スギが立ち並ぶ。近くには山神様の小さな石碑もあって、位置関係のよい目安になる。 その二本杉から富士見孝徳公園へ下る区間も、樹種の殆どがすっくと伸びたアカマツの林で…、つまりこの新倉山はアカマツ林の山だった。秋に、マツタケを探しながら歩くのもいいかも、と少し思ったりした。 ここも富士山展望のよい富士見孝徳公園内で休憩して、国福大神社に参拝してから里へ下った。…結局、上りの登山道で数名の外人ハイカーと出会っただけで、下山路では誰にも会わなかった。これは嬉しい誤算で、静かな新倉山の展望ハイキングを満喫できたのがなによりだ。…クマさんにも出合わなかったし…。 葭之池(よしのいけ)温泉に“下山”したのは13時50分頃だった。これからまったりと湯に浸かり、湯上りにビールでも飲んで、それから、逆光の富士山を眺めながら3~4分ほど歩いて、葭池温泉前駅から富士急行線に乗って帰宅の途に就くとしよう。 [この日の自宅から自宅までの歩数計:19772歩] 佐知子の歌日記より 富士山と五重塔は「ニッポン」か 外国人をかき分け進む 山道へ入れば登山者のみとなり静かに落ち葉ふみつつ歩く リュック背負う白髪のわれに席譲る富士急線の外国の男 新倉山は展望とアカマツ林の山でした
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