472kHz JUMA TX500 Modification for Getting License
[472kHz JUMA TX500送信機の免許取得のための改造実験]
7L1RLL(若鳥)
04 July 2015 V.1.0.31
A Front View of JUMA TX500 Tramsmitter which is capable of WSPR mode transmittion.
[JUMA TX500送信機にWSPRモードの標準電文(コールサイン(7L1RLL),メイデンヘッドグリッドロケータ(GL)及び電力(dBm))を投入した表示例。]
2014年8月の日本国総務省のバンドプラン告示案などから,472kHz帯の許可は半径200m以内に住居,事業所がないこととBC放送など
他の業務用無線に妨害を与えないという条件が提示され,急きょ,周波数上下制限,最大出力を50W以下の制限,外付けフィルタの追加などを実施し,アンテナ整合コイルでアンテナ容量に共振させれば,
日本国でも免許される水準に持ち込める実験を行った(冒頭の写真は,CW以外にDFCW,QRSS,OPERA及びWSPRが送信できる版1.06cの画面を示す。V1.04,V1.09)。
2015年3月19日付けでこの装置を含めた臨局検査(単体検査及び電波発射検査)に合格し,免許状を入手した(V1.0.30)。
1. Abstracts(概要)
This page summarises 7L1RLL's activity on modifications of JUMA TX500 Transmitter for amateur radio usage in Japan.
[このページには,筆者(7L1RLL)の472kHz JUMA TX500送信機を日本国内アマチュア無線用に改造した概要を示す。]
1.1 Purpose of the Experiments(実験の目的)
- Study on 472kHz band(472kHz帯の電波伝搬の研究)
472kHz帯の電波伝搬を研究する。
- Preparation of 472kHz Transmitter(472kHz帯送信機の準備)
最大50W出力の送信機を準備する。
2. Sample of Modification(改造例)
2.1 Purpose of Modufication(改良の必要性)
フィンランド国のJUMA社からJUMA TX500が売り出されたので,2012年2月に360ユーロで電子通信販売で購入した(冒頭写真参照)。
しかし,2014年8月の総務省告示案では,490kHz帯通信及びBC放送への障害を防止するため,当初,半径200m以内に人家又は事務所が
ないこと,簡易審査ではなく変更検査(初めて開局なら落成検査)を実施することが公表された。これに,適合するように次の改造が必要になった。
- Power Regulation(移動局用送信機出力への低減)
JUMA TX136kHz及びTX500の出力は最大60Wに設計されている。日本国の移動局送信機としては,公称出力50W以下に低減しなければ
ならない。
- Frequency Regulation(送信周波数の逸脱防止)
JUMA TX500は450~550kHzまで送信可能であったが,下限周波数=472kHz,上限=479kHzに制限を加えなければならない。
- Interfare Regulation(不要輻射の低減)
JUMA TX500の出力を30dBの減衰器を経由してスペクトラムアナライザで観察すると,第二次高調波及び第三次高調波は-70dBm程度で,普通のアマチュア無線機では
十分な低さである(Fig.2.1参照)。しかし,関東地方では第二次高調波の近くTBS(954kHz),第三次高調波の近くにラジオ日本(1422kHz)があり,
これらのBC放送に障害を与えないように,472kHz帯送信機からの高調波を特別に低減させなければならない。
Fig.2.1 Output from JUMA TX500(Photo1 of Para3.1)(JUMA TX500の出力(Fig.3.1 系統図のPhoto1))
JUMA TX500単体出力とアース間とにアンテナ整合コイル,疑似アンテナ(50pF/7.5kV))及び疑似接地(20Ω/60W)を直列に接続し,アンテナ
整合コイルを同調させた段階でスペクトラムアナライザ波形を見ると,キークリックのとき第二次高調波が発生し,送信のとき常時
第三次高調波が明らかに存在するので,BC放送帯への妨害を予防するためには,LPFの必要性を確信した(Fig.2.2参照)。
Fig.2.2 JUMA TX500にコイル,疑似アンテナ及び疑似接地接続し,高圧プローブによってコイル上部の電磁波を観測した(相対値)
参考
JUMA TX500の負荷試験の光景を参考までにFig.2.3に示す。
Fig.2.3 JUMA TX500送信試験の例
実験機材は,Fig.2.3写真下から,スペクトラムアナライザAnritsu MS2601B,受信機IC R8500,アンテナ整合コイル(左),
LPF(右下),JUMA TX500(右上),CWパドル,コイル背後に疑似アンテナ及び疑似接地箱(左上),並びに整合コイルの上に高圧プローブ三和HV-10である(V1.0.10)。
2.2 Modification(改造)
ここでは,JUMA TX500送信機を日本国で免許を取得するために改造した項目を説明する。
- Modification of Frequency Limitations(周波数の上下制限の追加)
JUMA TX500は,ITU WARC12での勧告以前に製作されていたので,周波数が450~550kHzが送信できる仕様であった。
しかし,WARC12でアマチュア無線に割り当てされた周波数は,472~479kHzの7kHz幅に狭まった。
周波数逸脱を予防するには,下限周波数=472kHz,上限周波数=479kHzにしたい。
- Addition of QRSS,DFCW and Opera(QRSS,DFCW,Opera及びWSPRの追加)
この改造は,法的な制約ではないが,長波及び/又は中波をアマチュア無線に使う場合のモード(電波形式)として要望が多い。
CW(電波形式:A1A)に加えて,QRSS(電波形式:A1A),DFCW(電波形式:F1B)及びOPERA(電波形式:A1A)を加えたい
(WSPRモードは,冒頭の写真参照)。
そこで,次のJUMA TX500の掲示板(JUMA Forum)を参照すると2014年9月にフランスのJUMA TX136の利用者F4GCB(Patrick)から,
QRSS及びDFCWの追加を試みたという書き込みが2014年9月3日にあり,原始プログラムも掲示されていた。
JUMA TX136/TX500の掲示板Board.jumaradio.comで,Japanを検索する。
なお,このTX136とTX500とに共通な制御プログラムV1.05a版は,正式版V1.05の派生版である。
更に,WSPRを加えたプログラムが原始プログラム及び目的プログラムV1.06aが発表になり,ダウンロードしたが,国際仕様であり,
日本国の50W以下にするために,統合開発環境IDEとしてMPLAB X(V1.90)とXCコンパイラ(V1.23)とを使ってコンパイルし,V1.06jを作成した(V1.08)。
F4GCBが日本国の移動機50W制限版のv1.06c.hexを提示してくれたので,導入し,MPLABでinclude file操作を行ってJUMA TX500に書き込んだ(V1.09)。
JUMA TX500 Firmware V1.06c.hexを稼働させて,外付けGPSを速度:4800bps,電文:GGA文だけが出るように設定書き込みし,
JUMA TX500のRS232(TIA/EIA232-E)端子の中間端子(Ring)にGPSデータが来るように結線した後,WSPR-2とWSPR15との送信開始がそれぞれGPS時間
に同期するか否か試験した。JUMA TX500の電文,時刻の画面では,GPS時刻と同期すると分の前に雪印(*)が表示される。例:T*54:08,(V1.011)。
Fig.2.4にWSPR-2がGPS時刻の偶数分01秒で開始するかの試験結果を示す(送信周波数:475,710Hz,受信周波数:474,200Hz_USB)。
DT=2.7~2.8という結果は,受信計算機時間が電波時計より,約3秒進んでいることに起因する。
Fig.2.4 WSPR-2 decoded(解読されたWSPR-2)
Fig.2.5にWSPR-15がGPS時刻の0分,15分,30分又は45分の1秒に同期して送信開始するか否かを試験した一部を示す(送信周波数:475,810Hz,受信周波数:474,200Hz_USB)。
DTが2.2なのは,受信側計算機時計の進みによる。
Fig.2.5 WSPR-15 decoded(解読されたWSPR-15)
参考:利用したGPS装置GT-723F,それへの設定変更の道具,方法などは,
D-STAR DPRS用GPSアダプタ装置の自作
を参照されたい。
- Addition of 50W Power Limitation(送信電力の50W制限の追加)
フィンランド国JUMA社から世界に販売されているJUMA TX500の最大電力は60Wであるが,これでは日本国内の移動する局の出力制限の
50Wを越えてしまう。
そこで,2014年11月15日に筆者(7L1RLL)は,JUMA TX500の掲示板でMAX(60W),HI(35W),LOW(15W)及びMIN(4W)の指定のうち,
MAX(60W)を指定できないプログラムを相談したら,
翌11月16日,juma tx136/500 V1.05b.h(Hexafile)としてF4GCB(Patrick)から提供してもらえた。
なお,このV105b.h(Hexa file)には,QRSS,DFCWモード,周波数制限などを施したV1.05aが反映されており,
JUMA TX500の立ち上げ直後に右肩にV1.05bと版数が表示される。
日本国の移動する局の50W制限の事情を簡単に説明しておいたので,将来,出力制限版も出荷する方向で検討してくれるらしい。
V1.05b.hをダウンロードした後,筆者の場合,Microchip社のMPLAB+PICKIT-3経由で,次のFig.2.6写真のように,JUMA TX500にプログラムを
書き込んだ。この方法は,高速であるし,MPUのプログラムの暴走時,EIA232E界面経由のローダがないMPUにでも,強制的にマスタクリアして
書き込むことができる利点がある。
Fig.2.6 PICKIT-3をTX500の制御基板のICD2端子にピン1番を合わせて接続
参考1 JUMA TX136/TX500のプログラム変更の経緯は,
JUMA ForumでのF4FCBと7L1RLLとの対話(英文の部分写,pdf)を参照されたい。なお,このプログラムV1.05bは,TX136/TX500に共通である(V1.04)。
更に,JUMA Forumには,同じ著者がWSPR-2及びWSPR-15を組み込み,非公式V106bとして公開された(TX136/TX500共通,V1.07)。
2014年12月10日現在,V1.06aの原始プログラムを筆者が自分で最大電力定数値を変更してコンパイルし,V1.06jとした(V.1.08)。
参考2 最大電力60Wを50Wに低減する方法は幾つか存在し,例えば,本体内で三端子定電圧素子によって14Vを12Vに低減する方法もある。
しかし,最大電力出力時の電流を5Aと仮定すると,2V*5A=10Wの電力を放熱しなければ機内が熱くなる。発熱するからと電源を外付けすると,
容易に14Vが印加できるので検査を通らないと推定される(100W機を50Wで申請するとエポキシ樹脂接着剤で50Wに固定したスイッチの写真を
求められる例を知っている。)。このような理由から,一般アマチュア無線家では,60Wに変更し難い方法を見本として選んだ(V.1.08)。
参考3 EIA232Eは,勧告案(Recommended Standard,略語RS)232がEIA(米国電子工業会)規格として制定されたので,
俗称でなく規格番号で示す。最終文字Eは版数を示す。EIAは更にTIAになったので,TIA/EIA-232-Eという表記もある。
- Addition of Low Pass Filter(580kHz低域通過フィルタの追加)
遮断周波数580kHzのπ型(L=15μH,C=6800pF)を4段直列にしたLPFをアンテナ端子とアンテナ整合コイルとの間に追加した。
このフィルタは,JUMA TX500のmain-boardのLow-Pass Filterを見本にそれを2個直列に連結して構成した(Fig.2.7 回路図参照)。
Fig.2.7 472kHz LPF Attached(472kHz JUMA TX500送信機外付けLPF回路)
単体のフィルタとしては,過剰性能に見えるが,アンテナ整合コイル側のインピーダンスは変わることがあり,最悪1段程度の余裕
をもたせた方がよいと判断した。それに,この外付けLPFは受信信号も通過する位置なので,479kHzが減衰しないように,遮断周波数(3dB低下周波数)を
約580kHzとした。
LPFは,W=180,D=160,H=60のアルミニューム箱を次のFig.2.6のとおり,四つに仕切り,π形LPFを4段直列に実装した。
Fig.2.8 外付けLPF箱の内部(V1.01)
コイル15uH4個は,トロイダルコアT-94-2に0.8mmPEW線(いわゆる,マグネットワイヤ,UEW0.8mmでもよい)を42回巻いている。
キャパシタ6800pF(630V)8個は,ポリプロピレン製のJ級品を使った。
なお,各コイルは,6800pFとの並列共振周波数496kHzになるように,2~4t巻き戻して,インダクタンスを15uHに統一した。
LPF内部の写真撮影後,仕切り板の高さ調整,隙間にアルミニューム箔の貼り付け,各単位LPF間の電線を同軸ケーブル1.5D-2Vに交換した。
このLPFの反射損失(Return-Loss)は,出力端子に50Ωとし,アンテナアナライザAA-54を計算機に接続し応用系AntScopeによって測定すると
Fig.2.9のとおりになった。配線を同軸ケーブルに交換すると反射損失の最大値は約15dB向上した。
0dBの周波数では入力信号と反射信号との差がゼロ(SWR=無限大)で,値が高いほど反射が少ないことを表している。
入出力分離も最低50dBになった(V1.02,V1.03)。
Fig2.9 Return-loss of LPF Attached(追加LPFの反射損失)(V1.02)(V1.03)
同軸ケーブルへ交換後のLPFのSWRは,出力端子に50Ωを接続し,入力にアンテナアナライザAA-54を計算機に接続し応用系AntScopeによって測定すると
Fig.2.10のとおりとなった。周波数目盛(横軸)は,濃い線が50kHz単位を表している(V1.03)。
Fig2.10 SWR of LPF Attached(追加LPFのSWR特性)(V1.03)
このフィルタは,500~550kHzの間がSWR=1近くとなるように設計されていることが分かる。
このLPFは改善の余地(例:入出力分離,周波数の50kHz低減など)を残すが,第二次高調波及び第三次高調波を低減するのが主目的であり,余裕があったら改良する(V1.02)。
参考1:フィルタの実験中,コイルを9回巻き足して22uHとし,遮断周波数を500kHzとしてみたが,目標の472~479kHzが3dB程度減衰し,
更に,目的周波数でのインピーダンスも高くなる(だから減衰する)ので,元の15uHに戻した。
参考2:コイルのインダクタンス(L),キャパシタンス(C)のときの共振周波数(f)は,f=1/(2*π*root(C*L))によった(V1.04)。
3.Documents for License(免許申請書類案)
3.1 Block Diagram for License(免許申請用の送信機系統図)
472kHz送信機の免許を申請する場合の送信機系統図(仮)をFig.3.1に示す。
Fig.3.1 Block Diagram of 472kHz JUMA TX500 Transmitter for application(免許取得用の送信機系統図)
BC放送への妨害除去のためLPF(低域通過フィルタ)を別筐体(Fig.2.6)で接続している。
更に,電波形式としてCW及びQRSS(A1A)に加えて,DFCW(F1B),Opera(A1A)及びWSPR(F1D)を制御するため計算機を接続する
ことを前提とした系統図とした(V1.08,V1.0.18)。
3.2 A Candidate of Operation(運用候補地案)
472kHzの告示案では,半径200mに住居,事業所などがない場所での運用に限定されるので,神奈川県内での運用候補地として,
次の地図の神奈川県相模原市中央区の相模川高田橋下流の河川敷を選んだ。この場所では,136kHz帯の運用経験もあり,車両も乗り入れ
可能である(Fig.3.2参照)。
ただし,この場所は,直径10cm程度の大きな玉砂利の土質のため,接地抵抗値が高く,アース棒が打ち込み困難という欠点がある。
位置座標は北緯35度32.34分,東経139度20.10分であり,メイデンヘッド(Maidenhead)グリッドロケータ(Grid Locator)はPM95QMである。(V1.0.16)
Fig.3.2 472kHz送信実験場所候補の一つ = 相模川高田橋下流の河川敷(黒円の直径400m)
この候補地の一つを高田橋から撮影した写真をFig.3.3に示す。中央の約400m先の黒い点(乗用車)付近を運用地とする。
ご覧のように,半径200mの円内には建物がない(2014年12月24日撮影,v1.0.12)。
Fig.3.3 472kHz送信実験場所候補の一つ = 相模川高田橋下流の河川敷(写真)V.1.0.12
3.3 Antenna Plan for 472kHz(472kHzアンテナ計画)(V1.06)
3.3.1 Outline(アンテナ形状)
472kHz帯のアンテナは,入手の比較的容易な最長10m長さのガラス繊維(Glass Fiber)製伸縮柱(絶縁体)を基本にして,
10m級を用意した。想定アンテナ容量は50pFでアンテナ整合コイル及び疑似負荷を準備した。
総務省からの補正依頼によって,最大地上高10m,(一緒に申請したもう1台の)送信機最大出力50Wの場合の等価等方輻射電力
(EIRP)が1Wを超えない技術根拠の記入を求められたので,計算式及び計算結果を図中に示した(Fig.3.4参照,V1.0.17)。
Fig.3.4 An Antenna Plan for 472kHz Band Vertical Type(472kHz帯アンテナ案,通称,垂直型アンテナ)V1.0.17
参考1:中心柱は,絶縁体でないと電波を減衰させる。よって,その素材は,アルミニューム,鉄,炭素繊維などではならない。
10m長さの伸縮柱が入手し易かったので,ここでは,垂直部分の長さ(この部分が電波放射に有効)を10mに選んだ(V1.06)。
参考2:10mの垂直線は,電気的には裸線が良いが,下部2m程度は人体に触れたり,車に接触したり,運用中に
(最大7500V通電していて,(マルコニ型アンテナの電圧給電に無知なのか)火傷・感電の危険があるのに,勇敢にも)
素手で電線の銘柄,型番を確認するアマチュア無線家などの危険防止のため,10kV耐圧のシリコンゴム被覆線を選んだ。
ちなみに,この線材には,E46702 AWM 3239F CSA TYPE TV-10 SILICONE RUBBER 150℃ FTI KURABEと印刷されている(東京秋葉原の小柳出電気で購入。
(株)クラベ製。V1.06)。
3.3.2 A Sample of EIRP Calcuration(等価等方輻射電力の計算例)
Fig3.4中のEIRP計算をMicrosoft Excelによる例を次のFig.3.5に示す。
なお,計算式は,JARL News,Winter 2015,pp62によった。ただし,水平成分Lを地上高Hと明示的な誤植を修正し,
更に,コイルの損失Rcoilを損失として加えた。TNX JH1GVY
また,インピーダンス整合コイルのインピーダンスZoは,
負荷合計約80Ωとした(V1.0.18,V1.0.20)。TNX JA1BVA
なお,この式は,免許申請時のEIRPを想定しているが,実際の運用時のEIRP計算ではインピーダンス整合トランスのタップによって変わる
出力側のインピーダンス値をZoとして式の代わりに入力してください。SWR=2で約10%の違い,SWR=3で約25%程度計算値が低くなります。
Fig.3.5 An Example of EIRP Calcuration using MS_EXCEL(エクセルによる申請用EIRP計算例)V.1.0.17,V1.0.23
参考:MS_ExcelによるEIRP計算の詳細説明は,
475kHz EIRP_Calc_Excel.xml参照(V.1.0.31)。
4.Result(結果)
4.1 Effect of LPF(LPF500kHzの効果)
LPFを追加する前のJUMA TX500のアンテナ端子の周波数成分のスペクトラムアナライザの写真は,Fig2.1に示したとおり,基本波(例:475kHz,記号:1)
の第二次高調波(記号:2)及び第三次高調波(記号:3)が見られた(V1.01)。
Fig.4.1 After LPF(LPF通過後の周波数成分,Fig.3.1系統図中のPhoto2)
LPF(ここでは,L=15uH,C=6800pFによるπ型4段)を通過させても,Fig.4.1のとおり第二次高調波(2)及び第三次高調波(3)は低減したが
基本波から50db程度下に観察できる(V1.01)。
4.2 Output from Dummy Antenna(アンテナ整合コイルからの出力)
LPFを経由した後アンテナ端子と接地端子との間にアンテナ整合コイル,疑似アンテナ50PF及び疑似接地抵抗20Ωを直列に接続し,
アンテナ整合コイルと共振させたときのコイル近辺の高圧高周波電圧を高圧プローブ(480MΩ)を接近させて,
スペクトラムアナライザに入力した周波数成分を次に示す。これが,アンテナが共振したときに発射される周波数成分と
推察される(Fig.4.2参照)。
Fig.4.2 472kHz JUMA TX500 Harmonics at Antenna Coil(アンテナ整合コイル近辺の高調波。Fig.3.1 系統図中のPhoto3)
参考:測定器は,Anritsu製Spectrum Analyzer MS2601B(9kHz~2.2GHz)。高圧プローブ(480MΩ)は,Sanwa製HV probe。
4.3 Interfare test(電波妨害試験)
電波障害試験として,次の4.3.1~4.3.3を実施した。
なお,このときのラジオ放送波の電界強度は,鉄骨コンクリート製建物内でロッドアンテナを伸ばし,
ラジオ筐体の方向を選ぶと,雑音混じりでやっと聞こえる微弱電波環境である(V1.04)。
4.3.1 Suppress Test(抑圧試験)
Fig.4.2の状態で,474kHzを最大35W送信し市販のBCラジオによって,第三次高調波となる1422kHzラジオ日本を受信してみると,
アンテナ整合コイルから約1m水平に離すと放送波の方が優勢となる。
右手でパドル,ロッドアンテナを伸ばしたBCラジオを左手に持っての観測である(V1.04)。
4.3.2 Beat Test(うなり試験)
Fig.4.2の状態で473kHzを最大35W送信し,その第三次高調波(1419kHz)とラジオ日本(1422kHz)との3kHzビート試験を実施してみると,
アンテナ整合コイルから水平約1mでビートを感じなくなる。第三次高調波は,実用域まで低減できていると思われる(V1.05)。
4.3.3 Comparizon with the Other Equipments(他機器の電波雑音との比較)
目的電波(1422kHz)より雑音が優勢になる距離を比較してみると,Sony製計算機W7(64)は0.5m以内,ASUS製計算機W8.1(64)は3m以内,
アマチュア無線機ID-31(無送信状態)0.005m,Daiwa製DC電圧装置は0.3mであった。
これらから,アンテナを接続しない状態での筆者の472kHz_JUMA_TX500_LPF強化版は,計算機の雑音より同等か少ない状態にあるだろう。
参考:BC・FMラジオは,Sony製ICF8(中華製)。
4.4 Test On The Air(初試験電波発射)V.1.0.22
2015年2月4日,試験電波発射届を提出したので,移動予定地の相模川高田橋下流河川敷に行き,JA1VUC星野さんの支援を受け,
10m垂直アンテナを立て,DFCWモードによる試験電波を発射したところ,次の4.4.1~4.4.3の受信報告をもらった。TNX JA1VUC
4.4.1 Report from Totsuka,Yokohama(横浜市戸塚区からの受信報告)V.1.0.22
横浜市戸塚区のJF1LKS多田さんから次のFig.4.3の受信報告を得た。TMO方式でM(電文1部欠け)だった模様。TNX JF1LKS
Fig.4.3 JF1LKS多田さんからの受信報告
4.4.2 Report from Inashiki,Ibaragi(稲敷市からの受信報告)V.1.0.22
初試験電波に茨城県稲敷市JA1NQI松浦さんからFig.4.4の受信報告を得た。ビートもはっきり聴こえたとか。
周波数目盛は472.5kHzに読み替えてください。TNX JA1NQI
Fig.4.4 茨城県稲敷市JA1NQI松浦さんの受信報告
4.4.3 Report from Midori,Yokohama(横浜市緑区からの受信報告)V.1.0.22
初試験電波に横浜市緑区在住JH3XCU/1上林さんからFig.4.5の受信報告を得た。TNX JH3XCU/1
Fig.4.5 横浜市緑区JH3XCU上林さんの受信報告
4.4.4 Report from Takasaki,Gumma(群馬県高崎市からのWSPR受信報告)V.1.0.26
WSPR-2の初試験電波に群馬県高崎市在住JH1GYE新井さんからFig.4.6の受信報告を得た。TNX JH1GYE
Fig.4.6 群馬県高崎市JH1GYE新井さんのWSPR-2受信報告
4.5 Evaluation by Authority(総務省による審査状況)
4.5.1 Application Files on January 5th 2015(2015年1月5日電子変更申請書提出/“到達”)V1.0.13
4.5.2 Application Process Step one on January 6th 2015(2015年1月6日電子変更申請書"受付処理中"に進展)V1.0.14
4.5.3 Application Process Step two on January 7th 2015(2015年1月7日電子変更申請書"審査中"に進展)V1.0.15
4.5.4 Application Process Step three on January 21st 2015(2015年1月21日電子変更申請書"補正依頼中"に進展)V1.0.17
総務省関東総合通信局アマチュア無線担当から電話があり,提出したアンテナ長さが例示より長いが,等価等方輻射電力(EIRP)の考えに
ついて質問があり,接地抵抗は10Ωなどできず50Ω,コイル抵抗も0Ωでなく30Ωあるので,EIRPは1Wにとてもならないと説明し,合意された。
ただし,その技術根拠をアンテナ図面中に記入願いたいとのことで補正依頼,補正後提出の手順によることにした。その内容が適切であれば合格
となる。その後書類を送り,約1ヶ月先の検査候補日を複数記入し,日程調整する段取りであるとの連絡があった。補正後提出のアンテナ図面は,
Fig.3.4に示す。
4.5.5 Application Process Step Four on January 23 2015(2015年1月23日電子変更申請書"再提出済"に進展)V1.0.18
4.5.6 Application Process Step Five on January 28 2015(2015年1月28日電子変更申請書"返信用封筒送れ"の通知)V1.0.19
4.5.7 Application Process Step Six on February 3 2015(2015年2月3日工事落成届を電子提出"到達"となった)V1.0.20
変更許可通知書によると,1)試験電波発射届,2)工事完了届(検査料納入),3)アマチュア局検査申込書を送れとなっているが,認証カード
による申請手続には“工事落成届”だけしか見当らないため,工事落成届を電子的に行い,状態が“到達”となった。電子化が間に合っていないのか,
私の探し方が間違いなのか?
4.5.8 Application Process Step Seven on February 4 2015(2015年2月4日工事落成届の状態が"受付処理中"となった)V1.0.22
電子的な工事落成届の状態が“受付処理中”となった。手順不良となるか否かは,これから判明するだろう。
4.5.9 Application Process Step Eight on February 5 2015(2015年2月5日工事落成届でなく変更工事等完了届を出せと"通知"がきた)V1.0.23
その通知に応えて,変更工事等完了届を補正後提出で提出し状態が“到達”となった。
4.5.10 Application Process Step Nine on February 6 2015(2015年2月6日変更工事等完了届が"審査中"となった)V1.0.24
変更工事等完了届を“補正後提出”で提出し状態が“審査中”となった。2枚目の工事落成届(誤手順)は,指示があってから取り下げの予定。
4.5.11 Application Process Step Ten on February 6 2015(2015年2月6日変更工事等完了届が"補正依頼"となった)V1.0.25
補正の内容は,次の3点。
1)許可の番号の不一致(どこに“許可の番号”があるか電話で確認予定),
2)試験電波発射届は別便で先に出すこと,
3)機器の調整がすべて終了してから変更工事等完了届を再提出すること(疑似空中線と疑似接地とでのデータでは,調整が完了していないとみなされたもの。
送信機出力の値は同じになるが,1週間程度後で再提出としよう。急ぎ過ぎが失敗のもと。)。
4.5.12 Application Process Step Eleven on February 16 2015(2015年2月16日変更工事等完了届(補正)が"到達"となった)V1.0.26
現地調整を約1週間実施した後,変更工事等完了届を“補正後提出”で提出し状態が“到達”となった。なお,工事落成届は別途取り下げた。
4.5.13 Application Process Step Twelve on February 18 2015(2015年2月18日(補正)変更工事等完了届が"手数料納付待"となった)V1.0.27
手数料納付情報を参照し,収納機関名,納付番号,確認番号を確認した後,指定金額13,400円を送金する知らせが届き,電子納付した。
4.5.14 Application Process Step Thirteen on February 19 2015(2015年2月19日(補正)変更工事等完了届が"審査中"となった)V1.0.28
電子納付の場合,手数料納付済になってから,変更工事等完了届の技術内容が審査される(当たり前)。
4.5.15 Application Process Step Fourteen on February 23 2015(2015年2月23日,臨局検査日程決定)V1.0.29
関東総通陸上3課から電話があり,3/19(火)12:00,予備日3/24(火)を検査日程とする。持ち物:変更許可通知書,無線従事者免許証,40dB減衰器,電鍵を無線機の他に持参すること。
関東総通からは無線監視車(Deuras)で2人来るという打ち合わせを行った。なお,データモードの検査は省略する由。
4.5.16 Passed Inspection by MIC on March 19 2015(2015年3月19日,臨局検査合格)V1.0.30
関東総通陸上3課から検査官2人,隠密な無線監視車(Deuras)に多分1人の態勢で臨局検査を受け,単体の出力(35W申請),スプリアスが主波から-50dB以上,
電波妨害なく,指定事項なしで検査合格した。検査結果通知書,新免許状及び移動機に貼る証紙を受け取った。
5. Acknowledgement(謝辞)
Special Thanks to OH7SV(Matti), F4GCB(Patrick) ,JR1CHU(Yoshimi) ,JA1QUM(Morikazu), JL1VNQ(Kuniharu) and JH1GVY(Mori).
この実験を遂行するに当たって,OH7SV(Matti),F4GCB(Patrick),JR1CHU金重好美さま,
JA1QUM青木守一さま,JL1VNQ小野邦春さま,JA1VUC星野隆敏さま及びJH1GVY森岡進さまにお世話になった。
更に,全日本長中波倶楽部の会員には,多くの助言,激励及び刺激をいただいたので,ここに謝意を表す。
6. History(履歴)
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2014.11.17, First Release(開示)
V.1.0.0を公開開始した。
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2014.11.22, Addition of LPF(低域通過フィルタの実装)
V.1.0.1でLPFの内部写真及び効果を追加した。
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2014.11.23, Addition of Return-loass(LPFの反射損失特性の追加)
V.1.0.2でLPFの反射損失特性を追加した。
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2014.11.25, Addition of SWR(LPFのSWR特性の追加)
V.1.0.3でLPFのSWR特性を追加した。
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2014.11.27, Addition of BC radio interfare test(BCラジオ妨害試験の追加)
V.1.0.4で第三次高調波のラジオ日本への放送妨害の少なさを追加した。
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2014.11.30, Addition of BC radio beat test(BCラジオビート妨害試験の追加)
V.1.0.5で473kHz第三次高調波のラジオ日本へのビート妨害の少なさを追加した。
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2014.12.04, Addition of Antenna Plan(アンテナ計画の追加)
V.1.0.6で473kHz及び136kHz共用のアンテナ計画を追加した。
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2014.12.05, Addition of Antenna Plan(アンテナ計画の追加)
V.1.0.7でWSPRを追加した。
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2014.12.10, Compile the Source code(原始プログラムの翻訳の追加)
V.1.0.8でWSPRをコンパイルした。
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2014.12.11, Install V.1.06c(V1.06c版のhexaファイルを導入した)
V.1.0.9でJUMA ForumのV.1.06c(Japan Portable Regulation)版を導入した。
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2014.12.12, Replace a photpgraph(写真交換)
V.1.0.10でJUMA用外付けLPFを組み合わせた試験機材の写真に変更した。
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2014.12.17, Addition of WSPR2 and WSPR15(WSPRのGPS同期実験を追加)
V.1.0.11でJUMA用外付けGPSを組み合わせたGPS同期の試験結果を追加した。
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2014.12.25, Addition of Photograph on Sagami-river(相模川の写真を追加)
V.1.0.12で運用予定地の写真を追加した。
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2015.01.05, Addition of Application Status(変更申請の“到達”を追加)
V.1.0.13で電子変更申請が関東総合通信局に“到達”した状態の写真を追加した。
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2015.01.06, Addition of Application Status(変更申請の“受付処理中”を追加)
V.1.0.14で電子変更申請が関東総合通信局による“受付処理中”の状態の写真を追加した。
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2015.01.07, Addition of Application Status(変更申請の“審査中”を追加)
V.1.0.15で電子変更申請が関東総合通信局による“審査中”の状態の写真を追加した。
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2015.01.12, Addition of MaidenHead Grid Locator(グリッドロケータを追加)
V.1.0.16で移動予定地のグリッドロケータを追加した。
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2015.01.22, Revised Antenna Plan(使用アンテナ図を改良)
V.1.0.17でアンテナ図中にEIRPが1Wを超えない技術根拠を追加した。
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2015.01.23, Revised Block Diagram(系統図の誤記訂正)
V.1.0.18で系統図中のOpera電波形式(A1A),JUMA TX500の終段素子名及びEIRP計算式を訂正した。TNX JH1GVY
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2015.01.28, Revised Status(返信用封筒送れの通知を追記)
V.1.0.19で免許状を送るための切手付き“返信封筒を送れ”の通知を受けた。発給事務処理段階らしい。
その封筒によって,検査料納入通知も送られてくるだろう。
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2015.02.01, Revised Antenna Plan(EIRP計算方法の内,Zo計算を見直した)
返信用封筒送れの通知を追記)
V.1.0.20でZo=コイル抵抗と接地抵抗との合計に変えた。
その封筒によって,検査料納入通知も送られてくるだろう。
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2015.02.03, Revised Application Step Six(工事落成届を提出)
V.1.0.21で試験電波発射届を含む工事落成届を提出した。
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2015.02.04, Test On The Air(試験電波発射)
V.1.0.22で試験電波発射を発射開始した。工事落成届は,“受付処理中”となった。
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2015.02.05, Reviced Application Step Nine(変更工事等完了届を提出)
V.1.0.23で変更工事完了届を補正後提出した。
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2015.02.06, Reviced Application Step Ten(変更工事等完了届が審査中)
V.1.0.24で変更工事完了届の審査中を追加した。
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2015.02.07, Reviced Application Step 11(試験電波発射届だけ提出との通知)
V.1.0.25で変更工事完了届の補正通知を追加した。
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2015.02.16, Reviced Application Step 12(現地調査の後,変更工事等完了届(補正)を提出)
V.1.0.26で変更工事完了届の補正通知を追加した。
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2015.02.18, Reviced Application Step 13(検査料納付通知書到来,電子納付)
V.1.0.27で検査料の納付通知書が到来したので,電子納付したことを追加した。
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2015.02.19, Reviced Application Step 19((補正)変更工事等完了届が“審査中”)
V.1.0.28で検査料が納付済になったので,審査に進展した。
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2015.02.23, Reviced Application Step 20(臨局検査日,測定項目,準備品などを電話打ち合わせ)
V.1.0.29で臨局検査日が内定したので追加した。
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2015.03.19, Inspection Passed by MIC(臨局検査合格)
V.1.0.30で臨局検査に合格したので追加した。
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2015.07.04, Addition of EIRP Calc(EIRP計算実験参照)
V.1.0.31でMS_EXCELによるEIRP計算実験への参照を追加した。
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Amateur Radio Activities by RLL[RLLのアマチュア無線活動]
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