1. Additional Battery for Vehicle(車載無線機のための電源供給方法例)
2. Consumption Power of Radio
Equipment(無線機の電力消費)
自家用乗用車にアマチュア無線機を搭載し,送信比率の高い様相の電信(CW),静止画TV(SSTV)及び周波数変調(FM)を50W出力で使用すると,無線機にもよりますが,電圧13.8V,電流20A近くを消費します。
3. Power Supply Methods(電源補強)
一般的に,車に無線機を搭載する場合,次の3水準の接続方法があります。
- 送信時消費電流が3A以下の水準:シガーライタープラグから分流。
シガーライタは,5A以上の電流をとると,安全機構が働きますので,そこからそれ以上の電流を継続的に使うわけにいきません。消費電流が少ない無線機の場合,簡便な方法です。
- 送信時消費電流が10A程度の水準:車本体の蓄電地から直接分流。
FM/SSB 10W機程度まで使える方式です。SSB
50W機まで使うなら,蓄電池が大容量でないと,送信比率が高いモードで使用するとバッテリ上りの危険が増加します。
例えば,50Ahの蓄電池から10Ahを消費すると,5時間率の使用率といっても,その前の充電量によっては,
エンジンを停止して30分間程度の短時間で,エンジンの再始動が困難になることがありえます。
デイーゼルエンジン車で直電池容量が100Ahあるといっても油断できません。それは,その始動に大電流が必要だから,放電気味では始動できなくなるからです。
- 送信時消費電流が20A程度の水準:専用蓄電池を搭載
この水準になると,50Ah程度の蓄電池では2時間率程度の使用率になり,バッテリ上りの危険があります。
そこで,無線機用の蓄電池を別に搭載して,平均電流だけを車から供給すると危険性を低められます。
そこで,ここでは,第2水準と第3水準とを併用した例として,車の電源を次のとおり改造しました。
- 寒冷地仕様の蓄電池を搭載
蓄電池は,50Ah程度の普通乗用車(当時,トヨタカリブ)品を外して,寒冷地仕様の大きい容量(60Ah)
を搭載しました。これは,冬季のスキー場での車の始動を意識した仕様です(V.4.0.0で廃止)。
- ゲル蓄電池を追加搭載
無線機用蓄電池として,13.8V/17Ahのゲル式蓄電池を,更に搭載しました。
この容量は,30分間程度の50W送信電力をまかなうためです。
なお,ゲル蓄電池は,鉛蓄電池の変形で,充電液がゲル状になっていて,瞬発力はありませんが,設置場所が自由になる利点があります。
私の設置位置は,車の後部トランクの片側のポケットです。
この蓄電池が本蓄電池の過放電でエンジン始動ができないときに,バッテリケーブルで直結して,エンジン始動に活躍したこともあります。
- 逆流防止と切り忘れ防止付きの充電回路
無線機用蓄電池は,車のアクセサリヒューズの一次側から分岐して,
リレーを動作させ,逆流防止用の”ショトキーバリア型”ダイオード及び昇圧用のDC-DC変換器を経由して充電しています。
リレー回路と無線機用の(後部トランク中の)補助蓄電池との間は,ヒューズ付きの1対の8mm角の太い線によって接続し,電圧降下を防いでいます。
つまり,車のアクセサリ電源投入に同期して補助蓄電池が働きます。
これによって,車の始動時に補助蓄電池から大電流が流れ(発火し)たり,無線機の切り忘れを予防しています。
- 昇圧充電
更に,車のアイドル時の充電を促進するために,第3.7版からDC-DC変換器(15V,2.7A)
をショットキーバリア型ダイオードと並列に挿入しました。全体的には,サイクル充電といわれる方式です(V.4.0.0で廃止)。
- 車の充電電圧に比べて,補助蓄電池の電圧が高い場合[サイクル充電]
車の電圧(9.5V~16V)をDC-DC変換器によって15Vに昇圧し,補助蓄電池より高くして最大電流:2.7Aによって,充電する。ただし,DC-DC変換器の最大電圧は,15Vに設定変更します
(6時間率の充電)。
- 車の充電電圧に比べて,補助蓄電池の電圧が低い場合[急速充電]
ショットキーバリア型ダイオードの電流を充電電流に追加し,急速充電を行う(2.5時間率の充電)。
- 車がトヨタWish,充電不足
無線機もID-880(D-STAR機),TX2200A(136kHz送信機)など50Wフルパワーでの運用が増えたため,ゲル式蓄電池17Ahを車のAC発電機で直接充電させ,
昇圧回路及び逆流防止回路を省略した。結局,充電器ではなく,アクセサリスイッチと連動して無線機電源をオンオフする機能だけとした(V.4.0.0)。
4. Schematic Circuit(回路)
- Circuit Diagram(回路図)
- 実体配線図(jpg形式,49Kb)参照
- 車載見取図(jpg形式,22Kb)参照
5. Results(効果)
無線機用の補助蓄電池の充電電流は,最大7A程度,送信時の最大消費電流は
20Aもあり,車自体の蓄電池(60Ah)の保護に役立っています。
実際に,SSTVモードという電流消費率の高い交信において,途中で,電源不足の理由によって,QRT(停止)する事態がなくなりました。
- ショトキーバリア型ダイオード(V.4.0.0廃止)
型番= ERG81-004, 定格48V/60A,
富士電機,順方向電圧降下=0.55V
これは,逆流防止用ですが,順方向電圧降下が極めて低い大電力整流用を使用します(V.4.0.0廃止)。
Attensions(注意)
- 普通のダイオードを使用してはいけません。普通品のダイオードでは,充電電流によって,発熱(電圧低下)しますので,充電電流が不足します。
- この逆流防止のショットキーダイオードをつけないで補助蓄電池を並列接続すると,
エンジンの始動時に補助蓄電池からも大電流が流れ,細い線が発熱し,車を焼損するかも知れないので,安全のために,必ず,取付けてください。
- アクセサリースイッチとの連動保証
補助蓄電池を設置する場合,車のアクセサリスイッチのオフ時に補助蓄電池からの逆流を防ぐために,このダイオードは必須です(V.4.0.0.ダイオード廃止)。
- DC-DC変換器(12V->15V,2.7A)を併設したことによって,月間500Km程度の走行距離でも,補助蓄電池が満充電していることが多くなりました。
この充電状況は,車の電装品の動作状態,使用状態などによって,左右されますので,
補助蓄電池が放電気味[無線機周波数の変動現象発生など]になる状態の場合には,効果があります(V.4.0.0廃止)。
入手先例:東京都千代田区外神田1-10-11(東京ラジオデパート内)
(株)光南電気,単価:JPY900(1997年9月26日現在)
- リレー
エーモン工業(株)
No.1244,DC12V/30Aの密封リレーは,自動車部品店(例:Autobacks)などで販売されています。
- 延長電線
VFF 8.0SQ,7m, 50A
fuse付き,JPY5400
車の前部と後部との3m程度の距離を電圧降下を少なくするには,この程度の寸法の電線の使用を薦めます。
電力線にこれくらいの寸法があると,送信時の電線発熱によって,電圧降下によって送信出力の低下,
電線の加熱による車全焼といった不測の事故などを回避できます。
- DC-DC変換器(V4.0.0.0廃止)
DC-DC変換機は,イーター電機工業株式会社の代理店から購入できます。購入後,出力電圧15Vを確認します(V4.0.0廃止)。
- DC30A電流計
30A電流計は,シャント抵抗付きのMR-38型が,東洋計測器(株)でJPY2350で購入できます。ただし,シャント抵抗は,電圧計と電流計との間に,セラミックの柱15mm長で絶縁して取付けました。この電流計の最大電流は,接続するトランシーバが20WのFM機なら
15A,50Wのオールモード機なら30Aを目安にして,選択します。
7. Notes(備考)
1.Mobile Ham 1998年 掲載記事[第1版]から,
更に充電電流供給配線を改良[第2版]しています。
2.1998年に設置した予備蓄電池は,2000年10月に放電特性が劣化していることを発見しました。約2年の蓄電池の短寿命は,充電不足が発生していると推定しました。
3.そこで,第3版では,DC-DC変換器によって,14Vに昇圧して,充電時間を短くしました(第3.7版で,15Vに昇圧)。
4.DC-DC変換器の内部半導体の放熱部とハウジングとの間には,シリコングリスを充填しました。また,ネジ類は,ロックタイトによって,緩み防止処置を行いました。更に,配線類は,束線して,車の振動による断線を予防しました。
5.2009-07-08,第3.7版では,15Vに昇圧し,
月間200Km程度の短い走行距離でも充電不足にならないように,
より早く充電するように変更しました。
3.2012年12月3日,50W,DFCWを送信すると電圧低下が発生し,送信停止になることが生じたので,DC-DCコンバータ及びショットキィダイオードを削除し,
車のアクセサリ電源が入れば,リレーによって無線機にも電源が入るように単純化した(V.4.00)。
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