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ヘアピン・サーカス
HAIRPIN CIRCUS
(1972)
3
2010年8月
かつてレーサーだったが今は教習所の教官をしている島尾はある日偶然、以前の小森美樹という優秀だった教え子と再会する。しかし美樹は相手の車を挑発して事故を起こさせては喜ぶ破滅的な行為を繰り返していて・・・
「デス・プルーフ」のような映画だよと知人に借りて早速鑑賞。
「デス・プルーフ」は無駄話が以上に多かったですが、これは無駄に車が首都高?を走っている感じがして確かに「デス・プルーフ」っぽかったのですが、圧倒的に違うのは「デス・プルーフ」と比べると圧倒的に辛気臭かったです。
かつてレーサーだったけどライバルを死に追いやってしまうというトラウマのせいでレーサーを引退したので性格が暗いのは分かるのですがそれにしても主人公の教習所の先生が暗すぎます。
元教え子も態度が高飛車過ぎて笑えます。何だかんだ言って先生を挑発して色々なところに連れまわすのですがそこにノコノコ付いていってしまう先生もどうかと思いました。(付いていってはいちいち説教するので)
そんな刺激的な生活に目覚めた先生は夜な夜な走りに行き、奥さんが家の人最近おかしいわという感じの取ってつけたようなシーンのあと、ついに挑発行為をやめない美樹たちに突然キレた先生がスタントマン・マイクも真っ青なドSっぷりで次々と美樹の仲間たちを撃沈。スタントマン・マイクはカラッとした性格とは正反対でとにかく思いつめた感じなので何だか怖かったですが、ラストはこれで終わり?という感じが結構スッキリしてしまったかもしれません。いつ面白くなるのだろうかと心配したのですが性格が豹変するクライマックスはさすがに面白かったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
見崎清志
(島尾俊也)
レーサー役も似合いそうなダニエル・デイ=ルイスで。
江夏夕子
(小森美樹)
挑発的なミーガン・フォックスで。


兵隊やくざ
シリーズ第1作
(1965)
4
2004年3月
ソ連に近い満州の地に元やくざの大宮貴三郎が新兵として入隊してくる。大宮の態度のでかさに上等兵達の反感を買い痛めつけられるが腕っ節の強い大宮はびくともしなかった。そんな大宮の面倒をみるインテリの有田上等兵は不条理な軍隊に嫌気がさしていて次第に大宮と友情を深めていく・・・
昔の軍隊ってこうも理不尽だったのかと思うと敵と戦うより上官とかと一緒の方がつらいかも・・・と思ったけど勝新が理不尽な上官に立ち向かう姿、やっぱりいいですね。似合いすぎです。殴られてもびくともしなくって逆に殴った方の腕が痛くなるという設定が笑えたりしますけど、
殴られる前に「大宮!歯ぁくいしばれ!」って言われるんですけど本当に何かを噛みしめるようにする姿がなんかチャーミングだし、鼻血をペロってなめたりする姿はペコちゃんみたいで信じられないけど勝新がかわいく見えた。
古株の兵隊でなにかと勝新をかばう田村高廣が弱そうなんだけど、理不尽なことはたとえ軍隊の上下関係が厳しくて後で殴られようとも上官に鋭く指摘する姿はりっぱでした。これぞ理想の上司像ですな。
劇中、兵舎を抜け出して芸者の音丸のへそに酒をたらしてそこから溢れた酒をすするへそ酒なる遊び?が和風のエロスという感じで強烈に印象に残ったのでありました。
ラストもネタバレ→
いざ戦地に向かう列車を切り離しての脱走も←痛快で気持ちよく終わるところも娯楽ってものをわかってるな勝新は、と思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
勝新太郎
(大宮貴三郎)
やっぱり反逆児っぽいところでヴィン・ディーゼル
田村高廣
(有田上等兵)
軍隊に不満を持つ役が似合いそうなマシュー・モディンで。


続・兵隊やくざ
シリーズ第2作
(1965)
4
2004年3月
逃走中の大宮と有田は爆弾に吹き飛ばされて気がつくと陸軍病院にそこで美しい看護婦の緒方恭子と出会うも再び戦地に向かうことになった二人。新しい部隊でも大宮は問題を起こし曹長の当番兵にまわされる。そこでは岩波と八木、二人の曹長がいたがやがて芸者の染子めぐり岩波と八木は対立し・・・
前回のラストからの続きが「座頭市」「悪名」シリーズみたいでさすが勝新、エンターテインメントってのをわかってるなぁ。
どんな時でも女の事しか頭にない勝新扮する大宮が
「大宮ぁ!お前の体には何が詰まっているんだ?」って言われ性欲の事しか考えず無邪気にそして即座に「ホルモン。」って答える勝新が笑えた。普通ないよホルモンって答え。恋した看護婦には出兵する前に「毛をください。」と言い髪の毛かと思い渡そうとすると「いやぁ下の方の毛を・・・」とおねだりする勝新にそんなものほしいかな?なんて思いつつもさりげなくコメディセンスも見せる勝新なのでした。
今回は続編ということで女優陣もパワーアップ。前回は淡路恵子が場末感はかなりあったが色気はない状態だったけど、看護婦役の緒方恭子が正統派美人で見ごたえあるし、勝新作品じゃおなじみの水谷良重も登場して二人ともしっかり話に絡んでくるところがいいと思いましたね。
ラストもネタバレ→
恋した看護婦を曹長の魔の手から助けだし再び逃走する←って設定がまたまた痛快だったけど、「大宮、俺はお前と別れたくない。」と言う有田と「俺も有田上等兵と別れたくありません。」って答える大宮。「悪名」シリーズもそうだけど、この日本独特の男の友情ってやつ?を勝新は大切にしているんだなって思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
小山明子
(緒方恭子)
自分の中で正統派美人のニコール・キッドマンで。
水谷良重
(染子)
男を虜にする役ならキム・キャトラルで。


新・兵隊やくざ
シリーズ第3作
(1966)
4
2004年4月
脱走中の大宮と有田は敵からの襲撃をうけていたがそこへくしくも日本軍が現れ二人は助かるが再び軍隊生活が始まるもまたまた脱走した二人はある日賭博で騙され一文無しになってしましただ同然で働く羽目になる。しかし同じように騙された女郎達を足抜きさせ大宮たちは女郎屋を始めるのだが・・・
こういうシリーズものは安定した面白さがあるので安心して楽しめるからいいんですよね。
軍隊ってものが嫌で嫌でたまらない大宮と有田は訓練がも嫌い(ほとんどが訓練の日々なのだ)だから仮病とかを使って訓練をサボるのは当たり前で、大宮は気が狂ったふりをして一つの小隊を全滅させる豪腕ぶりで脱走する楽しさ。
中盤は大宮たちと同様に軍隊に不満を持つ豊後が仲間に加わって物資を横流しって感じの展開になるんですけど、この豊後役がちょっとうだつのあがらないって言うか間が抜けた感じで藤岡琢也だってこと全く気がつかなかった。そう考えると藤岡琢也を感じさせない藤岡琢也はうまいんだろうなと思うのでした。
女郎の桃子に恋した大宮は今回ネタバレ→
なんと結婚←してしまうんですけど、ラストは当然のごとく軍隊につかまってリンチを受けた後、血まみれの反撃で大乱闘、っていうかバイクに乗りながらの手榴弾投げまくりって展開が強引でいいのだろうか?→脱走といういつもの展開になるけど、桃子はいいのか?とめずらしく突っ込みを入れたくなるラストに仕上がっているのでありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
瑳峨三智子
(桃子)
特徴的な唇と挑戦的な性格がアンジェリーナ・ジョリーを思い出させます。
藤岡琢也
(豊後一等兵)
うだつの上がらない役が似合うジョン・C・ライリーで。


ベロニカは死ぬことにした
VERONIKA DECIDES TO DIE
(2005)
3
2007年6月
単調な繰り返しの毎日に耐えられなくなったトワは自殺を図る。サナトリウムで目覚めたトワは残りの寿命があと7日と告げられてしまい・・・
「パッチギ!」のスケバン役で気になってハリウッド版「呪怨」で全く違うイメージで出てきた時この人やるなと思ってその時から本格的に注目し始めて早数年。ちょうどケーブルテレビで主演映画をやっていたので観てみました。
理由は何であれ自殺に失敗した主人公は自分の命の期限があとわずかと知って自分自身を取り戻して生きてもっと色々なことをやってみたいという教訓めいた内容が含まれているのですがこういうものはいつの時代でも不変のテーマですね。
サナトリウムが舞台なだけに真木よう子と風吹ジュン以外出てくる登場人物がおかしな人ばかりでナースの片桐はいりもナースなんだか患者なんだか分からない見た目もキャラも強烈だったし、婦長の荻野目慶子にいたっては大丈夫ですか?というくらい飛んでるキャラなのですがそれでも真木よう子は独特のオーラがあって強烈なキャラたちに負けていないところがやっぱりこの人すごいと思いました。
真木よう子は角度によってたまにおばさん臭く見えてしまうのが難点なのですがそれ以外は本格的にクールという滅多にいないタイプの人なので今後も注目していきたいです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
真木よう子
(トワ)
どちらかというとクールな部類になると思うエヴァ・グリーンで。


弁天小僧
(1958)
3
2004年12月
ゆすり・たかりで世間を騒がす弁天小僧の活躍を描いた時代劇。
弁天小僧に仲間もいるし、ちゃんとした仲間じゃないけど何かと手助けしてくれる峰不二子的存在の女もいたりして弁天小僧ってなんだかルパンのようにも見えなくもないと感じました。
一番最初のエピソードじゃ屋敷に囚われの身になっている娘を僧侶に変装して助け出すついでに金もいただく段取りのよさをみせつけてくれますが助けた娘を無理やり抱こうとする案外あくどい奴なんですけど結局この娘に惚れられていい奴になっちゃう弁天小僧。でも惚れられた娘の縁でこのあたりから弁天小僧の出生の秘密やら親子の再会そしてクライマックスの大捕物になっていくのですがこの大捕物、弁天小僧は身軽だからひょいと屋根の上に上って街中を逃げ回るのですけどこの時のセットがスケールがでかくてすばらしい。現代の最新のCG技術を駆使してもこの街並みは表現できないんじゃないかな?やっぱり本物の迫力は違うと思いましたね。
出番少ないですけど勝新太郎も遠山の金さん役で出てくるのですがこの勝新の遠山の金さんもなかなか気の利いたやつで悪代官的な奴にも物申し、それをタレこんだ弁天小僧にも物申す平等さがいかにも金さんでよかったです。
「花くらべ狸道中」の時もそうだったんですけど
勝新は雷蔵と組むと勝新っていつもの荒くれ者のイメージは影を潜め目がくりっとした感じでなんだかかわいくすら思えてくるのが不思議です。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(弁天小僧菊之助)
雷蔵っぽくないけどちょっとした小悪党といえばマーク・ウォルバーグ


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