日本映画

け


警察官
POLICE OFFICER
(1933)
3
2004年11月
解説によると、当時話題だったという大森ギャング事件を背景にしたらしいサイレント映画です。
小津作品で何作かサイレント映画は観たことはあるのですが活弁や伴奏つきであの時は分かりやすかったけれど今回は活弁もなければ伴奏もなしの100%純粋なサイレント映画。当然ながら音が一切ないから静まり返った劇場で白黒の動画を2時間近く観続けるのは正直辛かったぁ。というか
まだまだほんまもんのサイレント映画を観るレベルに達していないということがよーく解りました。途中意識を失いかけたことが何度あったことか。
内容はたしか主人公の先輩巡査が襲われて後輩の宮部巡査が捜査を進めていくうちに犯人は久しぶりに会った旧友の富岡だったみたいな内容だったと思うのですが最後の大捕り物は今観ても迫力でした。
何かで読んだか聞いたして最近知ったのですが、スピルバーグのお気に入り映画の中に「七人の侍」があるそうですがその理由が、何でも音声を消して観ても内容や迫力が伝わるみたいなことだったと思うのですがこの映画のクライマックスはまさにそれだなと思いました。
一番観たかったのは解説にあった実際に東京でロケをしたというモダンな町並みを観たかったんですけど解説通りモダンでした。警官の制服とかも相当モダンで「スカイキャプテン」もそうですけどこの時代って国内外問わずしゃれていたんだなぁといつもながらに思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
松本泰輔
(宮部巡査)
真面目な職業の役が多いガイ・ピアースで。
中野英治
(富岡哲夫)
やっぱり悪役が似合っている気がするキーファー・サザーランドで。


劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル
(2010)
2
2010年6月
万練村の青年が上田のもとにやってきて昔からの慣わしである霊能力者同士の戦いを止めさせるためにインチキを暴いてほしいと依頼される。一方その頃、山田は興行主からそそのかされて霊能者のふりをして万練村に向かうのだが・・・
テレビシリーズから早10年。劇場版TRICK第三弾。
仲間由紀恵も阿部寛も定番のキャラクターを活き活きと演じていてボケとかも面白いんですよ。出演者も映画ならではの感じで豪華ですし。でも結局はテレビドラマのスペシャルを観ているという感じがして映画館で観なくてもなぁというのが正直な感想です。
このシリーズは大物ベテラン俳優が犯人で登場して今回は松平健なのですが、イマイチはじけきっていない感じで物足りないです。戸田恵子と片瀬那奈と藤木直人は見た目からはじけているんだから松平健も見た目ははじけなくても演技ではじけて欲しかったです。「マツケンサンバ」のように。
バトルロイヤルする面子が豪華なのはいいのですが豪華すぎて各キャラクターを紹介するのに時間を割きすぎて謎解き部分がドラマ版よりもあっさりしているところも物足りないです。
あと、生瀬勝久と池田鉄洋というお馴染みのコンビも出演しているのですが全く話しには絡んでこずとりあえず出ましたというところが中途半端で、これだったら思い切ってこの二人を出さずに内容の方を深く掘り下げてもらった方がテレビシリーズからのファンは物足りないとは思いますが映画としてはしっかりとした出来になったと思います。
映画を観ていたら初期の頃のドラマを観たくなりました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
仲間由紀恵
(山田奈緒子)
イメージ的にはアン・ハサウェイあたりでしょうか。
阿部寛
(上田次郎)
コメディもいけるジェラルド・バトラーで。
松平健
(鈴木玲一郎)
マイケル・ケインあたりにお願いしたい。


激動の昭和史 沖縄決戦
(1971)
3
2005年6月
米軍に攻撃を受けた沖縄の人々と三十二軍の壮絶な戦いを描いた作品。
もう現場の三十二軍と本土のお偉いさんの意思疎通が取れていないというかお互い好き勝手やっているからこういう惨劇になっちゃったんだと思いました。
三十二軍で一番偉い小林桂樹も最初アメリカが沖縄に上陸してきた時に何もしなくってアメリカからこいつは間抜けかあるいは天才のどちらかだ。といわれたようですが結局この中将、最後まで中将らしいこと何一つせずに終わってしまい何のために中将はいたのだろうかと思ってしまいましたよ。結局ちゃんと働いたのって何もしない上層部のためにいろいろ尽力を尽くした仲代達矢だけじゃないんだろうか?
この映画は女子供も容赦なくアメリカ軍に吹き飛ばされたり、時には日本軍の盾になって次々と死んでいったり、女学生も看護婦として働くけど最後はみんな毒をあおって死を選ぶという特攻ものとはまた違った戦争の悲惨さが全面的に出てきてやるせなかったです。
いよいよ沖縄も終わりでお偉いさん方は自決の道というところで
丹波哲郎が珍しく枕を涙で濡らしていてしんみりするなぁと思ったら「お母さん・・・」って寝言かよっ!というオチというか展開がさすが大俳優、丹波哲郎だなと思いました。いやそれを見て見ぬふりする皆さんもどうかとも思いましたけどそんな事を思っている場合じゃないんですよね。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
小林桂樹
(牛島中将)
マーティン・ランドーはいい人そうなんだけど行動も起こさなそうで。
丹波哲郎
(長参謀長)
大俳優という感じのロバート・デ・ニーロで。
仲代達矢
(八原高級参謀)
ヴィゴ・モーテンセンはどんな時でもちゃんと働いてくれそうで。


激動の昭和史 軍閥
(1970)
4
2005年8月
軍隊が政治に進出し東条英機が陸軍大臣に就任する。やがて日米関係が悪化する中、東条英機は総理大臣になり内務大臣、陸軍大臣を兼任する事になるのだが・・・
日本がどういった過程で敗戦したのかよく知らなかったのでこの映画はなるほどという感じで興味深く鑑賞しました。
二・二六事件がきっかけで軍隊が政治に口を出し始めたまではまぁ仕方ないとしてもその後があまりにも稚拙なものだからこりゃ誰が見ても負けるに決まっているなぁと思いました。
戦況が悪化していているってのに陸軍と海軍は戦闘機をこっちに回してもらわないと困る。とお互いいまさら的な事を言い合っていてこれが本当だと思うと団結しなきゃいけないだろうという時に陸軍と海軍は何やってんだ?と腹が立ってきます。
しかも次々と敗退していく日本軍に政府は「いい感じです。」と報道させるわけですよ。そんな政府のやり口に反発した加山雄三は真実を報道して案の定政府に睨まれ戦地に飛ばされちゃうのでですが、真実を報道したから戦地に行かせたと悟られないために関係ない人たちも戦地に飛ばされちゃって酷いのが加山雄三の恩師の天本英世まで行かされちゃうんですよ。よぼよぼなのに・・・
それからは民間人を巻き込みお馴染みの敗戦へのラストへとひたすら突き進むのですが、特攻隊員の一人の
黒沢年男の「勝つ戦争ならいいのか?負ける戦争ならやめたほうがいいのか?」と戦争批判が単純だけど分かりやすいところがよかったし、黒沢年男も暑苦しいだけじゃなくてたまにはいい事いうなぁと思うのでした。
前半、陸軍側の軍務本部総長が天皇陛下に突っ込まれて恐縮するところや東條英機も天皇陛下に忠誠心だけはあったので天皇がもうちょっと口を出せば日本の運命はまた違ったものになっていたのじゃないかといろいろ考えてしまいました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
小林桂樹
(東條英機)
ちょっと狂気っぽい雰囲気がするニック・ノルティで。


結婚行進曲
WEDDING MARCH
(1951)
3
2008年6月
仕事をサボっていたところを見つかり会社をクビになってしまった小説家志望の伊野。恋人のカナ子はクビの撤回を求め上司の中原に直談判をしに行くが中原に気に入られて雇われてしまう。やがて夫人の島子は中原とカナ子の関係を勘違いしてしまい・・・
市川崑監督のドタバタ風なコメディ。
クビになった彼氏のために会社に文句を言いに行くというところが未見ですが何となく「猟奇的な彼女」風です。
杉葉子は正義感が強い印象派はからあったのですが「青い山脈」の印象がどうしてもあるのでこんな気の強い役は最初意外でした。タイミングが合わずに次々と登場人物のすれ違いが勘違いに変わって行って上原謙と山根寿子の仲が険悪になっていくのはもちろん杉葉子と伊豆肇の関係も怪しくなっていくところは定番の展開ですが作りがしっかりしていると面白いなぁと思います。
杉葉子がものすごく早口でまくし立てるので何を言っているのか分かりにくいところがあるなぁと思ったら登場人物ほとんどの台詞が速いので全体的に話している内容が分からなかったのが辛かったです。台詞が聞き取りにくくても何となく雰囲気で展開が分かるところはすごいと思うのですが。
山根寿子のお母さん役は沢村貞子で娘に辛らつなことを平気で言うところは相変わらずで、伊藤雄之助のオネエ系の踊りの先生というのがちょっと衝撃的でそれでいてさりげなく山根寿子を狙っている感じがおかしかったです。
中原家の婆やの浦辺粂子は普段こき使われているか、杉葉子にさりげなく山根寿子の扱い方を伝授しているところなど脇役たちもいい味を出していました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
上原謙
(中原)
ポール・ベタニーあたりにお願いしたい。
山根寿子
(島子)
嫉妬する役が似合いそうなミニー・ドライヴァーで。
杉葉子
(カナ子)
ちゃきちゃきしていそうなキーラ・ナイトレイで。
伊豆肇
(伊野)
意外と文系な感じのするヘイデン・クリステンセンで。


結婚式・結婚式
(1963)
4
2009年7月
浩蔵の喜寿の祝いの席に反対されて結婚した長女の夏子が帰ってきた。夏子を許した浩蔵に今度は三男の三郎の結婚が決まり結婚式の準備が始まり・・・
松竹系のスター共演のコミカルなホームドラマ。
この一家四男二女の子沢山家族で男の方は既に二人結婚していて次男の佐田啓二は北海道に住んでいます。女の方は岡田茉莉子が親の反対を押し切って貧乏医者の田村高廣と結婚している状態。
三男の川津祐介は幼なじみの岩下志麻と結婚が決まり、四男の山本圭は大学受験を控えているといった感じ。二女の榊ひろみはこの結婚を利用してちゃっかり結婚しようと企んでいるのですがそのお相手は外人ということで堅物のお父さんはもちろんお母さんの田中絹代も結婚相手は日本人。と大反対と当時はまだまだ国際結婚に高いハードルがあった事をうかがい知ることができます。
ネタバレ→
岡田茉莉子もこの際だからまとめてやってしまえとばかりに3組合同の結婚式という←映画ならではのエンディングにハッピーな気分になりつつも内容が濃かったのは前半の京都旅行のシーン。
喜寿のお祝いで京都旅行を子供たちからプレゼントされた両親でしたがご馳走食べることが楽しみのお父さんが入れ歯を忘れて超不機嫌。自分が悪いのに田中絹代が悪いとばかりに口撃しまくり田中絹代もとうとうぶちきれるというシーンがベテランだけあって二人とも上手い。このケンカの最中に川津祐介と言わしたの結婚話が知らされるのですが、
ケンカのことなど忘れて夫婦団結して旅行どころじゃないとばかりに家に帰るこの変貌ときたら。結婚していないからこういう感覚は分からないですが結婚したらこういう夫婦であれたらなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
伊志井寛
(奥山浩蔵)
ちょっとしたことで不機嫌になりそうなジャック・ニコルソンで。
田中絹代
(奥山まさ)
ミア・ファーローあたりにお願いしたい。


結婚相談
(1965)
4
2009年9月
30歳で未婚の島子は結婚相談所を訪れ、そこの女所長に進められるがままにお見合いを重ねるが何故か断られてしまう。やがて一人の男を紹介されてつい、一夜をともにしてしまう島子だったがその男は結婚していて・・・
上品な感じの芦川いづみが結婚相談所を訪れたことから転落するドラマ。
突然転落してくというところがどことなく「酒井和歌子主演のとんでも映画「悪魔が呼んでいる」に近いものがあるのではないかと察して観てみましたが思ったとおりすごい展開で笑えました。個人的には「悪魔が呼んでいる」の方が好きですが。こっちもかなりいい線行っています。
女、30シロガネーゼ風の上品な芦川いづみは何故か結婚できないところが不思議なのですが、結婚相談所のおばさん、沢村貞子に同情されるも女が30で初婚は何か欠陥があるに違いないと現代だったらぶっ飛ばしものの台詞がこれでもかと出てきて逆に気持ちがいいです。
結局、沢村貞子のところの結婚相談所は詐欺で騙された女が肉体関係を持とうものならさりげなく脅迫してコールガールに仕立て上げてしまうという人の良さそうな顔をしている沢村貞子だけに怖いです。
そして芦川いづみも結局この世界に入って一気にやさぐれてしまうのですが、そんな芦川いづみも女癖の悪いプレイボーイとまさかの真剣交際。仕事もすっぽかして旅行に行ったりするも当然沢村貞子にばれて説教ですが、泣き落としで許してもらおうとする芦川いづみ、がしかし、泣き落としなんてお見通しの沢村貞子という構図がすばらしく面白かったです。
ラストも予想もつかない終わり方で楽しかったし、芦川いづみの家族が母親が浦辺粂子、妹が山本陽子に弟が中尾彬というどれをとっても家族には到底思えない豪華な家族もインパクトがあって目にも楽しかったのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
芦川いづみ
(鶴川島子)
見た目も綺麗なケイト・ベッキンセールあたりで。
沢村貞子
(戸野辺力)
敵に回したら怖そうなグレン・クローズで。


結婚のすべて
(1958)
3
2005年5月
土井康子は姉の垣内啓子が見合い結婚して愛の感じられない結婚生活を送っていることが不満に思っていて恋愛結婚をすると心に決めていた。一方姉の啓子は雑誌編集長の古賀にその貞淑さを見込まれ記事にしようと追い回されるようになる・・・
雪村いづみと新珠三千代が姉妹って設定がありえないという感じがするのですが、活動的な妹と貞淑な姉とそれぞれの二人にぴったりな設定でした。
事実上姉の新珠三千代の方が主役だったかな?夫が仕事のことばかりでかまってくれないからかまってもらえるように色々サインを出すんですが「心の呼び鈴はいつでもなります。」みたいなくさい台詞を言うけど鈍い夫は何のことかさっぱり分からないというところがある意味衝撃的。
「心の呼び鈴」というフレーズがいまにも昭和だなぁってちょっと笑ってしまいました。
最初は姉夫婦の見合い結婚を馬鹿にしていた妹が気になる学生の恋愛感や姉夫婦が実はラブラブだったと気がつきお見合い結婚も悪くないと思う話ですが途中途中に出てくるゲストスター達が雪村いづみの在籍する劇団のセンセーに三船敏郎だし、同じ劇団員に中丸忠雄がいたりするしバーで野性的に喧嘩しているカップルの男の方が佐藤允と妙に豪華でいいスパイスになっています。
雪村いづみの憧れる学生は「若い娘たち」で相手役をつとめた山田真二で今回も最初好青年だと思ったら、一夫多妻制を夢見て複数の女と実は付き合っているようなとんでもない男でイメージが崩れてしまいました。
新珠三千代に惚れちゃう編集長に三橋達也なんですけどこの妻が塩沢ときで二人は数年ごとに結婚を契約するようなすごく進歩的な夫婦で何だかんだいって現代でも最先端いっているんじゃないかと一番感心したのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
雪村いづみ
(土井康子)
最近途中で一回挫折するというパターンが多いキルスティン・ダンストで。
新珠三千代
(垣内啓子)
ナオミ・ワッツにはいい結婚をしてほしい。


決戦の大空へ
(1956)
3
2007年6月
海軍の予科練習生の姿を描いた作成。
第二次世界大戦真っ只中に作られた海軍省プレゼンツの作品。
話の大筋は訓練生がお世話になるクラブ(一般人が自分の家で食事などをお世話する?)で原節子の弟が訓練生になるまでの話なのですが予科練の生徒の訓練シーンが跳び箱やったり水泳やったり体操したりとほとんど戦争と関係ないんじゃないか?と思わせる楽しげなシーンや訓練生は面会に来た家族にうどんとお汁粉でおなかがいっぱいになっって食べ物には不自由していないから差し入れは一切はいりませんというシーンもあり、
予科練の生徒になればこんなに素晴らしい体験が出来るから是非入隊してくださいという感じで内容の7割以上は海軍省のイメージビデオという感じでした。
予科練生を指導する大尉も絶対怒ったり大声を張り上げたりすることなく懇切丁寧に指導するし先輩も後輩に対していじめなんかもなくものすごく面倒見がよくて理想の場所という感じがしてこれを観た投じの若者はすっかりその気になったんだろうなと思いました。
クラブのマドンナは原節子というのがまさに永遠の処女というイメージにぴったりだったし予科練生の中にどこかで見たことある顔が・・・と思ったら木村功だったりと色々な意味で貴重な作品を観たなという感じるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
高田稔
(南大尉)
やさしく指導してくれそうなヒュー・ジャックマンで。
原節子
(村松杉枝)
隣のお姉さん的なマドンナ役もいけそうなブライス・ダラス・ハワードで。


月曜日のユカ
(1964)
2
2008年3月
横浜のナイトクラブで働くユカは修という恋人がいながらパパと呼んでいるパトロンの社長がいる。ある日、街でパパが娘と楽しそうに過ごす姿を見かけたユカは同じように喜ばそうと思いつくのだが・・・
加賀まりこ主演のヌーベルバーグ風な恋愛映画。
男を喜ばせるためが生きがいの18歳の少女奔放な生活を描いていて男たちは美しいユカのためなら金は惜しまないし加賀まりこの演じたユカというキャラクターが体は許してもキスはダメという変なポリシーを持っていてるところは別にいいのですがそれを金の為打算でやっているのならいいのですが、
ユカはどうして男と寝ちゃダメなの?なんて言ってしまうタイプの天然なキャラクターが生理的にダメでした。なんというか「アメリ」っぽいからでしょうか?パパの加藤武が日曜日に家族サービスで実の娘に人形をねだられて嬉しそうな表情をするのを見てユカも私も人形をねだってパパを喜ばせたい。と愛人が娘のように愛されるはずはないということを分かっていなくて彼氏の中尾彬に諭されても分からず結局、中尾彬にひっぱたかれたりしてやっぱりなぁと思ったりします。
パパ役の加藤武は客先の外人にユカと寝ることが出来たら仕事を回すと言われ迷いに迷った挙句にユカを渡して一人で悔やんだりしてこの時代から優柔不断な感じのキャラクターが完成されていたんだなぁと思いました。
内容というかユカは好きじゃありませんがこの時代の加賀まりこは小悪魔という言葉がぴったりだし雰囲気はよかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
加賀まりこ
(ユカ)
ここはオドレイ・トトゥにお願いしたい。
中尾彬
(修)
女運がなさそうなフレディ・ロドリゲスで。
加藤武
(パパ)
優柔不断な感じな役が似合うビル・パクストンで。


ゲド戦記
TALES FROM EARTHSEA

(2004)
3
2006年11月
エンラッドの王子アレンは王を刺し国を捨てて旅を続ける中ハイタカという魔法使いと出会い、共に旅をすることになるのだが・・・
観る人、観る人が口々に最低とかダメだねありゃあ。と相当な言われようなのでまぁとりあえずなんとなく観ていたジブリ作品だけど観ることはないだろうなぁと思っていたのですが映画の日に観るのもなくなってどうしよかと悩んでいたら未だにやっていたので怖いもの観たさで観に行きました。
竜同士が共食いする
オープニングを観た感じだと言われているほど悪くないんじゃない?と思ったのですが終わってみればなるほど評判悪い要素がかなりあったような気がします。今回は個人的にそんな点を大まかにまとめてみました。
・オープニングが一番盛り上がっていて後は全体的にテンションが低い。(盛り上がりに欠ける)
・絵は確かにジブリなんだけど80年代のような古臭さを感じるところがあった。
・まがい物を売りつける元占い師の女主人の倍賞美津子とか冷たい感じのする夏川結衣とか阿片のような麻薬、ハジア売りの内藤剛志と豪華でこのキャラクター達はものすごく話が広がりそうなのにそんなことは一切なく、エキストラ扱いなところはものすごくもったいない。
・決定的なのは最初と最後の話が上手く繋がっていないので最後もだから何?という感じになってしまう。
逆によかったのは悪役の女魔法使いの田中裕子。何かヌメッとした感じが異彩を放っていてしかも計算高いというキャラが好きです。
最悪ということ前提で観に行ったので案外普通に観ることが出来たので期待しないってことも映画を観る上で結構重要だなと感じるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(今回はアニメなのでなし)


獣の戯れ
(1964)
4
2009年4月
優子は浮気を繰り返す夫の逸平に顔色ひとつ変えず耐えていたが、ある日そんな優子をかばった逸平の会社のアルバイト幸二が逸平に重症を負わせてしまう。逸平は半身不随になり刑務所から出所した幸二を向かいいれた優子と三人の奇妙な生活が始まるのだが・・・
三島由紀夫の原作を若尾文子で映画化。
若尾文子、原作のイメージにぴったりという感じでよかったです。前半は一見、夫の浮気に顔色ひとつ変えず耐え、人前では意外としなだれるのでよろめき系かなと思いきや後半一気にしたたかになってふたつの若尾文子が観られてお得です。
伊藤孝雄と一緒に暮らし始めて、
伊藤孝雄が若い娘と和気あいあいと話していたら、若尾文子が突然、しかも無言でヘアピンを若い娘の手に刺すドSっぷりに笑いました。決して嫉妬じゃなく、礼儀知らず娘をしつけたのです。とは本人談。よっぽど若尾文子の方が礼儀知らずですが・・・と思うのですが若尾文子だからこそなしえる技だなと感心しました。
それに河津清三郎の面倒を見ながらも時折見せる何か企んでいるような冷たい視線がなんともいえませんでした。
旦那役はイメージとしては上原謙がぴったり、もしくは森雅之という印象だったので河津清三郎?と思ったのですが、後半の半身不随になってからの演技が今まで観たことのない河津清三郎で、口からよだれをたらしたりして暗黒街ものだけではないというところを見せ付けているような感じがして感心しました。(こういう役だったら上原謙は出来ないですよね。線の細い二枚目タイプには)
あと伊藤孝之は正義感が強いからこそ事件を起こしてしまう役がはまっていたのですが相変わらずこの人の顔と名前が一致しないです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
若尾文子
(草門優子)
モニカ・ベルッチにお願いしたい。
河津清三郎
(草門逸平)
理不尽な感じの夫役にはレイ・リオッタで。
伊藤孝雄
(梅宮幸二)
イメージはオーランド・ブルームがぴったりです。


けものみち
BEAST ALLEY
(1965)
4
2010年5月
半身不随の夫を養う民子はある日、旅館の客としてやってきた小滝という男から仕事の話を持ちかけられ夫を焼死させる。やがて民子は鬼頭という男の世話係として優雅な生活を送るようになるのだが・・・
松本清張の原作を池内淳子が主演で映画化。
前から観たいとは思いつつ、2時間20分と大作なだけになかなか観る気になれなかったのですがようやく鑑賞。
池内淳子がどのように悪女に変貌していくか期待していたのですが、あっぱれです。
序盤の貧乏時代、今だったら木村多江がやりそうな幸薄そうな感じがはまっているのですが政界の黒幕の愛人になってから徐々に貫禄を増して態度も大きくなっていくところも上手かったです。
いつもは爽やかな池部良もどことなくミステリアスな雰囲気をかもしだして池内淳子が愛人になった黒幕の小沢栄太郎の右腕的な存在として暗躍するという珍しい役どころも目が離せません。
小林桂樹は池内淳子が夫殺しの真犯人だと感づき色々と捜査を進めていくのですが、池内淳子の魅力に負けてつい襲ってしまうという魔が差すことはお手の物の松本清張作品にぴったりな役を演じていました。
それにしても出てくる人物がみんな悪人でそれが次々と死んでいくところもダークでよかったです。
政界のどす黒い世界を描いている割には割りと世界観が小さいというか限られた場所で話が展開するところは松本清張作品らしいなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
池内淳子
(成沢民子)
ナオミ・ワッツにこれくらいイメチェンしてもらいたい。
池部良
(小滝章二郎)
イメージ的にはピーター・サースガードがぴったりです。
小林桂樹
(久恒義三)
庶民派っぽいマーク・ラファロで。



(1964)
4
2004年12月
東和大学剣道部に新しく主将となった国分次郎は剣に打ち込むあまり練習も厳しかった。そんな国分の同級生の賀川は性格も正反対で内心国分のやり方に不満を持っていて・・・
三隅研次監督の剣三部作の第二作目。剣三部作を観てようやく満足した作品。
剣に全てをささげた青年の悲劇的な結末を描いた作品なのですが、さすが三島由紀夫原作ということもあり作品自体に一種独特の破滅的な雰囲気があってこんなことなら「炎上」も観ておくんだったとちょっぴり後悔しました。
性格の正反対の国分と賀川、国分は練習の合間の休憩時間を一秒でも長く取らないし、基礎が出来ていないものは剣すら握らせない面白みもない厳しさの塊みたいな人間で、さすがに閉口してしまうのですが社会に出て自分が汚れた大人になっていくことの不安を今は剣に打ち込んで紛らわせる姿が極端だけどちょっと分かるような気がしました。賀川は剣道も好きだけど遊びも人並みにやるごく普通の大学生なんですけど、神のように尊敬される国分にじりじりとした嫉妬心を燃やし何かにつけて国分も自分と同じ弱いところがある人間だと思いたいがために陥れようとするのです。最後の強化合宿でも禁止された海水浴を部員をそそのかし全員で海に行ってしまいそのことがきっかけでラストネタバレ→
自殺してしまうのですが自分も含め普通の人は死ぬことはないじゃん。と思うのですが、ここで序盤に「自殺をするのは本当に弱い者か強い者かどちらかだ。」と印象的な台詞が効いてきてうなりました。←市川雷蔵もそのことが表面上は何ともないように見せていて内心はすごいショックを受けている演技はさすがで雷蔵をおいてこの役はいないと思いました。
観終わった後感じたのは、
市川雷蔵の本「雷蔵、雷蔵を語る」を読んでいると市川雷蔵という人物はこの映画の国分という人物に相当性格的に近いものがあるのではないかと思いました。この映画の場合剣道ということになるけれど、演技に置き換えると市川雷蔵は本の中でいろいろ提議していて大映いや日本映画をどうすればよくなるのかと常に考えていた人なんだなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(国分次郎)
TVシリーズ「ロズウェル」の生真面目なエイリアン役のジェイソン・ベアを思い出しました。
川津祐介
(賀川)
悪い奴では決してないんだけど主人公に嫉妬するあたりが「スパイダーマン」のジェームズ・フランコを彷彿とさせます。


剣鬼
(1965)
3
2004年12月
世間で犬っ子と蔑まされて生きてきた班平だったがその見事な造園の腕前が認められ城に仕える事になる。そんなある日居合いの達人と出会った班平は剣の腕も磨き評判になるのだったが・・・
三隅研次監督の剣三部作が「斬る」、「剣」、「剣鬼」とあってその中の最終作がこれだそうです。
斑平というキャラクターが犬っ子と呼ばれ続けて近所の者に馬鹿にされながら成人に成長してからの話なんですが、最初、死にゆく養父に人に負けない何かを身に付けろと言われて園芸をきわめてそして偶然出会った居合いの達人から学び居合いも極めたりしておまけに
馬より足が速いというとんでもない設定でしかも上映時間80分ちょっと。これはちゃんとまとまるのか?と思ったけれど案外とまとまっていてびっくりしました。
メインの若殿がご乱心になって奇妙な行動を繰り返すのを表沙汰にしない派と若殿を隠居させたい派の攻防に入る中盤以降になって班平が若殿派の人斬りにいつのまにかなったあたりからなんとなく話が面白くなってきました。やっぱりタイトルに剣が入っているからには殺陣のシーンがないと物足りないですね。この時、班平にいろいろ暗殺の指令を出すのが佐藤慶なんですけど、きっと佐藤慶のことだから最後に裏切るに違いないと思ったら意外にも班平の味方を最後までやっていて感心してしまいました。
それにしても班平はせっかく居合いをマスターしたのに昔から嫌がらせをしている近所の奴らの一人や二人脅かしてやればいいのになぁといい奴過ぎるキャラにちょっとイラつくのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(斑平)
本当生真面目そうなジム・カヴィーゼルで。
佐藤慶
(神部菊馬)
裏切りそうで裏切らない(逆の可能性もある)、ジェレミー・アイアンズあたりで。


憲兵とバラバラ死美人
(1957)
3
2007年11月
昭和12年、仙台歩兵隊の井戸で胴体だけの女の腐乱死体が発見される。仙台の憲兵は手がかりがつかめないままでいた。そんな中東京からの憲兵の小坂が派遣されるが・・・
新東宝のちょっぴりグロテスクなサスペンス。
天知茂が出ているので期待していたのですがなんだか普通のサスペンスな仕上がりでした。天知茂といえばこの手の新東宝の作品だと悪役なのですが今回も色男でかなり怪しいくてこれは完全に犯人でしょう。と思っていたら憲兵に誤認逮捕されて拷問されるだけの損な役回りでがっかりしました。新東宝時代の天知茂にはピカレスクロマンがい一番しっくり来ます。
話は地元の理不尽な憲兵が東京から来た憲兵のことを毛嫌いして無茶な捜査をしたり警察に捜査協力しなかったりしているうちに東京から来た話の分かる憲兵の小坂が警察との連携捜査で見事に事件を解決していくというスタイルが小林桂樹の「首」っぽい感じがしなくもないのですが憲兵ものなので死体のあった井戸の水で炊いたご飯を先輩が初年兵に「どうだダシが効いて美味いだろう。」というお決まりのいじめとかあって全体的に目新しさもあまりなかったですかね。
やっぱり天知茂が活躍しない新東宝映画は精彩を欠くなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中山昭二
(小坂徳助)
話の分かりそうなトム・ハンクスで。


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