日本映画

こ


恋の阿蘭蛇坂
(1951)
3
2007年7月
サーカスの花形スターの千草は長崎でわけありでサーカス団に入っていた辻と出会う。一年後に結婚を誓い二人は別れるのだが・・・
京マチ子主演の悲恋もの。
阿蘭蛇ってなんて読むのか分からなかったのですがオランダと読むんですね。普通にオランダで変換すると漢字も阿蘭蛇って出るし勉強になりました。
サーカスの花形スターというところはいかにも京マチ子らしい役どころですが、今回の京マチ子は結婚を夢見る純情な娘という役どころでどうもいつもと勝手が違うから物足りない感じがしました。こういう役はどちらかというと若尾文子の方があっているなと感じました。でも菅原謙二は過去に暗い過去を持っている役がよく似合っていて、こちらはいい感じです。
ピエロの千秋実やサーカスの会計士が京マチ子のことが好きだったりするのですが邪魔するわけでもなく千秋実にいたっては菅原謙二との鯉が成就するようい色々と世話をしてあげて本当にいい人で恋の障害になるのは本当に運命のいたずらだけという内容になっています。
この映画のちょっと変わっているところは台詞がものすごく少なくて出演者の心情をもの悲しげなピアノの旋律で表現している節が感じられてちょっと眠くなってしまうところがたまに傷。でも京マチ子のフラメンコっぽいダンスは必見です。
全体的にトーンが重い中
京マチ子が会計士に話しかけられた時忙しいから後でと突っぱねるところだけはいつもの京マチ子という感じでちょっと笑ってしまいました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
京マチ子
(千草)
ペネロペ・クルスあたりにやってもらいたい。
菅原謙二
(辻)
暗い過去がある役が似合うクリスチャン・ベールで。


恋の罪
GUILTY OF ROMANCE
(2011)
4
2012年1月
実在の事件を持ベースにしたハードな園子温監督の新作。
いやーパワフルでした。三女優が主役という感じでしたが、大学教授役の冨樫真と堕ちていく作家の妻役の神楽坂恵の二人の話が軸となって展開されていき、実際は神楽坂恵が主役って感じでしょうか。
神楽坂恵はなんだか最初は笑っちゃいましたがだんだんと堕ちて行ってくるところからそのキャラクターに慣れてきました。最初と最後が別人すぎて体張っているなという感じなのですが
やっぱりこの映画を支えたのは冨樫真だと思います。
この人初めて見ましたけど、普段はおとなしい感じですけど、演技をすると声が通る舞台系の女優さんと言う感じですね。「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という言葉がポイントですよね。それに、「クソババア早く死ねよ。」「あなたこそ早く死ねばいいのにねぇ。」という母親とのやり取りが最高すぎて笑いました。
冨樫真はちょっとテレビじゃあまり見かけないからあれですけど、カッコいいからどんどん映画に出てもらいたいですね。腹から声を出しているところがすばらしいと思います。
色々なところが現実離れしすぎていかにもミニシアター系という感じがするのですが、これ実在の事件にインスパイアされて作られたってことを想うととても不思議な感じがします。
冨樫真が客と使っていたぼろアパートが渋谷の一角に会ったりするのは何かとてもシュール。
この映画が女性中心の映画なら男メインで展開されていそうな「冷たい熱帯魚」映画館で見逃したのがもったいないです。というか早くDVDで観なくてはと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
水野美紀
(吉田和子)
グウィネス・パルトロウの刑事役も見てみたい感じですね。
冨樫真
(尾沢美津子)
イメージは完全にファムケ・ヤンセンですよね。
神楽坂恵
(菊池いずみ)
ブライス・ダラス・ハワードあたりにお願いしたい。


工業哀歌バレーボーイズ THE MOVIE
(2008)
3
2009年8月
朝沼工業高校に通う赤木、谷口、宮本のうち恋人のいない谷口にある日、中学時代の同級生だった早川という女の子に告白され有頂天になった谷口だったが、エリート高校のトップに目をつけられてしまい赤木と宮本の恋人マユミと虎子がさらわれてしまい・・・
人気のヤンキー漫画の映画化。

「クローズZERO」シリーズの拳さん役でお馴染みのやべきょうすけのみ知っているというVシネ感たっぷりの映画版ですがこれが意外と面白かったです。漫画は中学生とか高校生の頃に床屋さんに置いてあって何だかものすごいパンチの効いた画だなと思った記憶が蘇りました。
エリート高校の生徒に因縁をつけられた3人のうち彼女のいる赤木と宮本の彼女がさらわれて助けに行くという分かりやすい内容に男の友情に谷口の初恋(でもないのですが)エピソードが絡んで盛り上がっていきます。
ものすごく低予算な感じがして、極力、町での撮影は人のいない時間にという雰囲気が伝わってきて撮影時間帯は恐らく早朝で最後の乱闘シーンで
「チャーリーズ・エンジェル」なんかでよく見かける二人で一人を持ち上げて囲まれた敵に対して一気に回しながらケリを入れて一網打尽というスカッとするシーンがこの映画にもあるのですが予算がなくて本格的なワイヤーアクションなんか無理なので本当に二人で一人を抱えてケリを発動させている涙ぐましい努力がとても好印象。頑張っています。
それにしても主役の三人、30代中盤で高校生ってそりゃ無理がありますが無理がありながらも学ラン姿は様になっているし、演技が普通に上手すぎて関心しました。やべきょうすけは「クローズZERO」の時も良かったのですがこっちの方がむしろナチュラルに思えるくらいアホらしさと男気があってこちらもよかったなと思うのでした。
この映画版のほかに三人それぞれをメインにしたVシネがあるようなので機会があったら観てみたいです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
松本実
(赤木駿)
ウィル・フェレル、ジョン・C・ライリー、サシャ・バロン・コーエンあたりの三人組でお願いしたい。
やべきょうすけ
(谷口剛士)
阿川竜一
(宮本)


恍惚の人
SENILE PERSON
(1973)
5
2006年7月
息子家族と同居している立花茂造は妻が死んでから奇行が始まりやがて息子の信利のことも判らなくなってしまう。嫁の昭子のことだけは忘れていないようで昭子は献身的に介護をするのだが・・・
森繁久彌の痴呆っぷりがハンパじゃないと聞いていたのですがこれは本当にすごかった。映画館のお年を召したお客さんは田村高廣扮する息子うぃ泥棒と思い込んだり乙羽信子扮する娘のことがわからず高峰秀子に「この人どなたですか?さっきからうるさいですねぇ。」なんて言うシーンなどで笑っていましたけどこれ全然笑えませんでした。
高峰秀子扮する嫁、昭子は昼間は法律事務所で働いている人でただでさえ当時としては主婦と仕事の両立で大変だと思うのに義父の森繁久彌が夜中に何度昭子さん、昭子さんとうわごとのように呼び続け何度も起こされてしまう。
高峰秀子の役を自分に置き換えてみたらやらなきゃいけないんだろうけど絶対そんなこと出来ないなぁと思います。
旦那も妻を手助けたいしたいという気持ちは十分あるしいつだって介護を代わって上げる気持ちは十分なんですけど旦那のことは忘れているし近づこうものなら賊扱いされてしまうから介護するに出来ないという男の立場もさりげなく描いているところがよかったです。
高峰秀子は痴呆の森繁久彌に正面からぶつかってこれぞ本物の介護という感じが伝わってきてやっぱり高峰秀子ってすごい人です。
森繁久彌の作品は数本しか観たことないのですが何か若い頃から晩年まで女に迷惑をかける役が多い人だったんじゃないかなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
森繁久彌
(立花茂造)
いいお歳になったポール・ニューマンあたりで。
高峰秀子
(立花昭子)
メリル・ストリープでオスカー決まりみたいな感じで。


絞死刑
DEATH BY HANGING
(1968)
4
2009年7月
在日朝鮮人の死刑囚Rの死刑が執行されるが死刑は失敗に終わってしまい、さらにRは記憶喪失になってしまう。この状態では再び死刑を執行することが出来ないと判断した所長たちはRに記憶を取り戻させようとするのだが・・・
大島渚監督のシュールなブラックコメディ。
死刑制度に賛成か反対かみたいなテロップが出てきてそんなあなたは死刑をする場所を見たことありますか?とさらに出てくる。そこから当時の死刑のいろはの説明が入り当時の死刑囚が死刑に至るまでの様子が分かりやすく説明されて雑学が身につきます。
そしてそんな説明が前置きとしてありつつ死刑囚Rの死刑が執行されるわけですがどういうわけかRは死なない。通常12、3分で死亡するとのナレーションが入るのですが、首吊りでそんなにかかるなんて思ってもいなかったので衝撃的でした。
死刑に失敗して記憶もなくしたRにもう一度死刑を受けさせるためには自分を取り戻させなければならないとRがやってきた事を所長たちが再現するのですがものすごくシュールです。
佐藤慶とか渡辺文雄といういかにも悪そうな面子が渡辺文雄を筆頭に必死でなりきり演技をする姿がシュールで笑えます。後半、エスカレートして
佐藤慶も渡辺文雄も死刑を見届けに来た金治の小松方正もいつの間にか学ラン姿になってテンションの上がりすぎた渡辺文雄のなりきり演技を見守る姿は一種のファンタージーですね。妄想の世界なので。
後半、なりきり演技の中に朝鮮人の一家なんだから朝鮮人らしく振舞わなきゃいかんなぁとか在日問題がいきなり出てきてシュールな中にも毛色ががらっと変わってATGらしい展開に向かっていき映画は終わるのですがこういう問題(死刑制度とか在日問題どか)は色々思うところはあるのですが言葉にしにくいものです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
佐藤慶
(所長)
強面感抜群のステラン・スカルスゲールドで。
渡辺文雄
(教育部長)
いつもテンションの高そうなニコラス・ケイジで。
尹隆道
(死刑囚R)
ピーター・サースガードあたりにお願いしたい。


好色一代男
(1961)
4
2004年12月
但馬屋の世之介は三度の飯より女が好きという変わり者。父親は江戸に出せば少しは変わるだろうと修行に出すのだがそこでも女のために金を使ってしまい世之介はとうとう勘当されてしまうのだが・・・
これ前々から観てみたかったんですけどやっぱり面白かったです。こんなあっけらかんとした市川雷蔵をかつて見たことがあっただろうか?最初のお相手人妻の藤原礼子を見かけたとたん「天女や」とか言って無邪気にまとわりついちゃってしょーもないから藤原礼子は後で裏口からと雷蔵を呼びつけといて頭を鈍器で殴っちゃうんですよね。それでも懲りずに「日本中のおなごを喜ばせてやりたい。」なんぞ言うあたりは馬鹿らしくて楽しいです。江戸で太夫の近藤美恵子に出会ったら出会ったで彼女に相思相愛の船越英二がいると知るとその二人のために身請けしちゃうんですよ。
自分の女ばかりではなく他人の女までも幸せにする有言実行ぶりに本当に馬鹿なのかいい奴なのかここまでされると観ていて気持ちがいいです。
で中村玉緒や若尾文子と次々と豪華な女優陣がとっかえひっかえ雷蔵の元を通り過ぎて、妾となっている玉緒とは一緒に逃亡して途中泥まみれの足に頬ずりして「神々しい。」と言ってみれば、町一番の太夫若尾文子とのエピソードは彼女を量りに乗っけて体重と同じ重さの小判でを身請けをしたりしてそれぞれ楽しいんですが冷静に考えてみれば最終的にネタバレ→
藤原礼子、中村玉緒、若尾文子て全員死んでるじゃん。一人生き残った←太夫の水谷良重でさえ第一線を若手に奪われお局太夫に落ちぶれている始末。皮肉にも「日本中のおなごを喜ばせてやりたい。」と言っていることと真逆の結果になっているけど雷蔵は気にしないのです
全然関係ないけど若尾文子って長谷川京子に似ていると思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(世之助)
女を見たら「天女や、弁天様や。」と犬のようについて行っても愛嬌ありそうなニコラス・ケイジで。


皇帝のいない八月
(1978)
4
2004年6月
かつて石森が婚約した恋人の杏子は今は元自衛隊員の藤崎の妻。ある日出張先から帰る途中杏子の姿を見かけた石森は同じブルートレインに乗り合わせるが、杏子のの夫はクーデターを起こそうと列車に爆弾を仕掛けていた・・・
「白い巨塔」「華麗なる一族」でおなじみのザ・社会派監督の山本薩夫監督作品だけあって骨太だったし相変わらずというかいつもより余計に出演者豪華で気分は社会派気取りです。こういうジャンルの作品が楽しめるなんて一年前じゃ思いもしなかったけど我ながら成長したなぁ。なんてしみじみ思うのです。
「華麗なる一族」の出演者がまさに華麗なる豪華さだとすると、こちらの出演者は政治と自衛隊が話の中心になっているので男臭さではどこにも負けないぞって感じの重厚な豪華さだと言えます。
クーデター(テロ?)を扱ってるのってそこそこあると思うんですけどこの映画のすごいところは天皇陛下を敬っていた時代に戻すためにクーデターを起こすところ。しかも渡瀬恒彦がその事を熱く語るんですよね。
こんな右翼的、左翼的な事を大々的に扱ってしまうなんてありなのー?70年代の日本映画ってすごいパワーがあったんですね。
主人公の渡瀬恒彦が1時間全く出てこなかったりして結構斬新だったりして、その嫁が吉永小百合でっせ。しかも吉永小百合のお父さんが三國連太郎。やっぱり豪華だわー。最初、渡瀬恒彦の嫁が吉永小百合ってのはどうかと思ったんですけど(テロリスト的な恒彦の嫁はやっぱり強気の梶芽衣子が合うんじゃないかと思っていた)吉永小百合の清楚さが逆によかった、最初はむりやり結婚した吉永小百合だけど5年も一緒に暮らして「やっぱりこの人に生きてほしい。」という台詞は吉永小百合ならではだと思いましたもんね。
あと、風間杜夫とか永島敏行が使い走りの役だったり、京マチ子が出ていない今回は太地喜和子が妖艶な役回りをやっていたりして脇役も見所十分です。それにしても山本薩夫の作品に出てくるパトロンは悲しい最期なんですよねいつも・・・
ハリウッドバージョンはこの人で!!
渡瀬恒彦
(藤崎顕正)
ベニチオ・デル・トロで。「ハンテッド」のような感じのキャラでお願いしたい。
山本圭
(石森宏明)
婚約者を横から奪われそうなジム・カヴィーゼルで。
吉永小百合
(藤崎杏子)
悲劇の美女といえば最近はナオミ・ワッツなのです。


幸福さん
(1953)
3
2009年6月
娘に孫を置いて出て行かれた丹丸さんは釣堀で知り合った花子さんに熱烈なラブコールを受けて少々迷惑気味。一方その頃、丹丸さんの家に間借りしている明朗君とみさきさんの兄妹はみさきさんの結婚話で盛り上がっていて・・・
色々な世代の恋愛模様を描いた群像劇風な作品。
おばあさんがパワフル。時代性もあって花子さんは50代なのですが
とにかく丹丸さんにあからさまにがっつくので丹丸さんも引いています。そしてご近所さんも白い目で花子さんを見ているのですが本人は一向に構うことなく、むしろ茶のみ友達作って何がいけないのかしら?なんて思っているくらいで息子の伊豆肇も呆れ顔。(嫁の杉葉子は物分りのいいお嫁さんのお手本みたいな感じです。)これは今話題の肉食系の走りなのではないかと思ってしまいました。
一方、明朗君とみさきさんの兄妹はというと妹が結婚しないから結婚に踏み切れない兄の小林桂樹でしたがついに妹の有馬稲子にセレブな恋人が。しかし彼のお母さんが金のない奴は嫁に来るなというセレブらしい捨て台詞で破局。そんな事情を知った花子さんは頼んでもいないのに彼と彼のお母さんの所に怒鳴り込み。厚かましいのですが何だか憎めなくなってきます。
それにしても有馬稲子作品を何本か観ていますが有馬稲子はちょっと貧しくても前向きに生きている女の子がよく似合います。
結局本命は杉葉子の弟で小泉博というところで落ち着くのですが、小泉博は九州で林業をやっているのでこ遠距離というところも悩みの種。と色々問題が出てきたりもするのですが、みんな幸せみたいな感じで終わるので昔のご近所づきあい感覚を堪能できるホームドラマだなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
三津田健
(丹丸さん)
無口で人が良さそうなジェームズ・クロムウェルで。
田村秋子
(花子さん)
暑苦しい感じのキャシー・ベイツで。
小林桂樹
(明朗君)
トビー・マグワイヤあたりにお願いしたい。
有馬稲子
(みさきさん)
セレブより貧乏な役の方がが似合っていそうなブライス・ダラス・ハワードで。


幸福を配達する娘
(1955)
3
2010年7月
両親と同居している蕗子のもちに嫁いだ姉から三上良平という男の下宿を頼まれる。一方そのころ定年を控えた父のために蕗子は兄弟から少しぞつお金を出し合うように提案をして・・・
若尾文子が家族のためにいろいろと尽くす家族ドラマ。
それほど売れていない頃の作品なので、群像劇かなと思っていたら、ちゃんと若尾文子主演作品になっていました。若尾文子が親孝行でなおかつ、はつらつとしていてよかったです。定年して収入がなくなる父親のために兄姉たちからいくらかずつ毎月出し合いましょうと提案してそれを快諾する兄姉たち、古きよき時代を何となく感じました。
そんな家族のエピソードとは別に若尾文子の恋愛エピソードも平行して進んでいくのですが、会社のイケメン高松英郎とわりといい感じでデートをするのですが、長男の千秋実の浮気現場に遭遇したり、何だかんだハプニングが起きて高松英郎がお預け状態になってしまうのがものすごく気の毒。最終的には御察しのとおり、菅原謙二と一緒になることは分かりきっていますし・・・
そんな菅原謙二は相変わらず無骨ながらしっかりものという印象でそして女心に鈍感といういつものキャラクターがはまっていて安心して見ていられます。
高校生だか、大学生の弟がせっかく兄姉から集めたお金を盗んで前々から欲しかったカメラを購入。若尾文子なんて目じゃない生意気な弟は、ついに菅原謙二に正直に言えと迫られそれでも憎まれ口を叩くので張り倒されて号泣。観ていてスッキリしました。今の時代他人を叱る大人いませんよね。何か古きよき時代を感じました。
時代を感じると言えば、若尾文子がお父さんの誕生日なので早退します。と言ってそれを快諾する上司。女の人が雑用しかさせてもらえなかった時代はこういうこと全然ありだったんだなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
若尾文子
(桑野蕗子)
ほわっとした感じのエイミー・アダムスあたりで。
菅原謙二
(三上良平)
無骨な感じのジェラルド・バトラーで。


暗号名 黒猫を追え!
(1987)
4
2010年6月
当時いろいろあったようで豪華な顔ぶれにもかかわらず未公開だったカルト的スパイ映画。
ちなみに「コードネーム ブラックキャットを追え」と読みます。
面白いと聞いていて観始めたのですが政治的な言葉が結構が多く出てきて要領を得るまでは
一体これはいつから面白くなるのだろうか。と不安になったのですが話が進むにつれてありえないくらいドラマチックになりつつも若干国名を変えているけれど北朝鮮とソ連のことを指していることは明らかな両国の工作活動がリアルだったりして中盤以降ぐんぐん盛り上がっていって面白かったです。
柴俊夫が追うブラックキャットは誰なのか。というオチは勘がよければあっという間に分かるのですが、とにかく気がつけば柴俊夫の知り合い関係はほとんどがスパイに関係あるというとんでもない展開が怖いんだか面白いんだかで次の展開が気になってしかたがありません。
柴俊夫の後輩たちもすごい展開になっていて商社マンのの榎木孝明が実は○○だったり、ジャーナリストの国広富之も○○でありつつ妹の音無真喜子の結婚していた相手が大変な人だったり、一番可哀想なのが世界中から貧困をなくそうと日々努力している高岡健二。ジャーナリストの国広富之の助けを得て資金も手にするけれど結局は色々な国に利用されて用がなくなったら捨てられるという根がよすぎて分けが分からないうちに社会から抹殺されていく姿がものすごく気の毒でした。
クライマックス近くの北朝鮮に逃げる船を追いかける船とヘリコプターという思いもよらぬ大金の掛かっているシーンもありなかなか観る機会がないとは思うのですが、観るチャンスがある人は是非観て欲しいなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
柴俊夫
(野々村志郎)
ジョージ・クルーニーあたりにお願いしたい。
榎木孝明
(吉野年男)
冷たい感じの印象のあるエドワード・ノートンで。
国広富之
(高松晃)
スパイが出てくる映画にぴったりな感じのジョナサン・リース・マイヤーズで。
高岡健二
(大田黒洋)
人の良さそうなドン・チードルで。


告訴せず
(1975)
4
2009年6月
岡山のとある市の選挙風景。最後の議席をめぐり候補者の木谷は選挙資金三千万円を受けることになった。その資金を受け取ることになったのは義理の弟、省吾だったが省吾は三千万円を受け取りそのまま行方をくらますのだが・・・
青島幸雄と江波杏子の松本清張原作のサスペンス。
立候補者つまり義理の兄が渡辺文雄、選挙参謀人みたいな人が西村晃、そして鬼嫁が樹木希林という胡散臭くとんでもないところに婿に行ってしまった弁当屋でしょんぼり働いている
青島幸雄のうだつの上がらなさ加減がはまりすぎています。はまりすぎて、言いなりになる彼を観ていると切なくなります。そんな青島幸雄がいきなり三千万円持ち逃げ。そして逃亡先の旅館の仲居の江波杏子を口説き落として再起を狙うなんてなかなかやるではないかと思ったのもつかの間、そこは松本清張らしく次から次へと偶然と必然の連続で色々なことに巻き込まれていくところが面白いです。特にこの映画は何となく欲望丸出しの人間の下世話な感じも強いので。
そんな江波杏子とラブラブな青島幸雄は穀物相場に手をのばし運良くあっという間に三千万の倍の六千万円にする手腕を発揮。度その後もどんどん儲けていくうちに相場の仲介業をしている村井国男は江波杏子といい仲になって青島幸雄の幸せの雲行きも怪しくなっていくのですが、江波杏子が魔性の女に変わるのもちょうどこのくらいから。仲居時代は普段着も着物姿という落ち着いた格好だったのですが洋服になってから主導権を握っていくところも面白かったです。
そんな江波杏子はモーテル(今で言うラブホテル?)は儲かるということで強引にモーテルを経営することになるのですが、青島幸雄はある意味逃亡者なので偽名を使っているため名義は仕方なく江波杏子になるのですがそこから疑心暗鬼的展開となって行きクライマックスとは初めから何となく分かっていたけれど怖いです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
青島幸男
(木谷省吾)
今ではすっかりイカした役ばかりやっていますが、うだつの上がらない役のほうが似合いそうなクライヴ・オーウェンで。
江波杏子
(お篠)
こういう役はファムケ・ヤンセンにお願いしたい。


告白
CONFESSIONS
(2010)
4
2010年6月
学級崩壊の進む1年B組の終業式の日、担任の森口は娘がこのクラスの生徒2人に殺されたと告げ学校を去っていく。そして新学期が始まり・・・
娘を殺された女教師の復讐劇。
何故か大ヒットしていて気にはなっていたのですが後味悪そうだしなぁと思いつつ思い切って観に行ってよかったです。
やや大げさな感じの演技だった木村佳乃もよかったのですが、何といっても松たか子がよかったです。冒頭の告白シーンからほとんど無表情で冷たい印象で冷酷に「バカですか?」と言い放つスッキリしないけどどこか爽快なキャラクターが今までのイメージにないキャラクターですがぴったりはまっていてすごいなと感心しました。来年の日本アカデミー賞来るんじゃないかなと密かに思っています。
それに最後まで観ると松たか子の復讐計画がネタバレ→
牛乳に血を混ぜたり、一見空気の読めない後任教師の岡田将生を本人が気がつかないまま操って犯人Bの家族ごと追いつめたり爆弾にしてもそうなんですが←用意周到だったことで言っちゃいますと松たか子の役は「ダークナイト」におけるジョーカーっぽい役に近い役だったなと思いました。
犯人AとBと学級委員の女の子も含め1年B組の生徒が概ね本当にその辺にいる中学生みたいで、特別顔の整っている美少年、美少女がいなかったところも妙に学級崩壊している感じがリアルに見えてよかったのかもしれません。
結構ブラック過ぎるので好き嫌いが分かれるとは思うのですがとてもよかったです。最近結構邦画を観ていますが、これは邦画の中では個人的に結構上位に食い込むと思います。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
松たか子
(森口悠子)
ケイト・ウィンスレットあたりがはまりそうな感じがします。
木村佳乃
(下村優子)
シリアスな演技もこなすマリサ・トメイで。
岡田将生
(寺田良輝)
ノーテンキな感じのクリス・エヴァンスで。


コクリコ坂から
FROM KOKURIKO HILL
(2011)
4
2011年9月
1963年の横浜を舞台にしたジブリの青春もの。
監督が宮崎吾朗ということで観る前からいい評判を聞かなかったのですがこれ結構好きな内容でした。時代設定を知らずに観に行っていたのでいつくらいの話なのかな?と思っていたら1963年ということで日本映画黄金期あたりなんですよね。だからこの世界観がとても気に入りました。
話の展開が大映映画のメロドラマみたいなんです。好きなあの人ともしかして血がつながっているかもしれないみたいな展開が。そんな設定なものだから
これは川口浩と野添ひとみで実写化されていても全く違和感がないところが個人的にはよかったのかもしれません。
分け合って東京の企業に乗り込む主人公たち。このビルの雰囲気というか造形というかそういったところは60年代の映画を観てる気分になって何というか心地が良かったです。文化部の部室が集まった通称カルチェラタンという建物は現実的には無理があるかなという感じなので風景としては東京の街並みが抜群によかったです。これといった大きな事件が起きるわけではないのですがこの時代の世界観に浸れるのがよかったんですね。
意外と上映時間が短かったのでもう少し話が長くてもよかったかなと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(アニメなので今回はなし)


こゝから始まる
(1965)
4
2008年9月
花井すみは3人の娘を嫁に出し残るは末娘で小学校の教師の都のみとなった。しかし都は極端に結婚をさけていたのだが、すみは見かねて職場の四郎と引き合わせるのだが・・・・
長女夫婦が司葉子×小泉博、次女夫婦に団令子×宝田明、三女夫婦に松村英子×佐藤允。星由里子の相手役夏木陽介に母親三益愛子と東宝スター豪華共演の女性映画。
4人姉妹それぞれのエピソードだけでも一本の映画が出来そうなくらいの出演者に東宝らしさが出ています。
それぞれの娘は問題を抱えていてやがて娘たちは夫のもとを飛び出して母親の三益愛子の所へ帰ってくるという展開が「渡る世間は鬼ばかり」を先取りしているかのような展開で出来れば連続ドラマで観たい感じです。
話の中心は星由里子で母親がくっつけようとするエリートサラリーマン夏木陽介がコメディ調なのですが星由里子が相手にしないものだから自惚れの強い夏木陽介はこんな女性は始めてだ。なんかいったりしてぞっこんです。小学校の校門で待ち伏せは序の口でエスカレートして職員室で待っていたり、アパートの前で何時間も待ち伏せとか今だったら確実にストーカー行為で捕まります。というようなことを夏木陽介がバンバンするので引きますが星由里子がついにキレてひっぱたくところはスカッとします。
結婚している三人のうち一番酷いのはやっぱり司葉子の旦那、小泉博で伝統的な陶器工場の跡取りなのですが儲けを優先するために何十年も勤めた従業員をあっさり解雇するだけでも酷いのにそれを司葉子に言わさせようとするところがまたより一層ダメンズな感じがして司葉子の綺麗だけど幸薄げな雰囲気と普通にいい人の役をやるよりもこういう男としては情けない役をやった方が印象に残る小泉博がはまっていて一番好きです。
ラストも全員元のさやに納まるわけではないひねりを利かせた終わり方もよかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
星由里子
(花井都)
気の強そうなキーラ・ナイトレイで。
三益愛子
(花井すみ)
頼られるお母さんという感じのスーザン・サランドンで。
夏木陽介
(熊本四郎)
ちょっと勘違いした役が似合う印象のアシュトン・カッチャーで。


こころ
(1955)
3
2010年10月
日置は先生と慕う人物がいて何かと家で世話になるが先生は美しい妻がいながらも何か悩みを抱えていて・・・
夏目漱石の原作を市川崑が映画化。
15年位前に映画も観たし、本も読んだはずなのに二様はすっかり忘れていました。新珠三千代も三橋達也がでていたことすら・・・
というわけで初めて観るのと同じ感覚で鑑賞しましたが、かなり悩みを抱え込んだ森雅之が暗くて重い話でした。
今で言うと森雅之が鬱病にかかってしまったという話ですよね。たまに機嫌がよかったりするのですが、ふとした瞬間に内向きになったりして奥さんの新珠三千代も苦労が耐えません。
新珠三千代ってよくよくハッピーな役柄が少ないです。
その原因は学生時代の同級生、三橋達也の死にあるのですがネタバレ→
下宿先の新珠三千代に密かに恋をしていた森雅之が悟りを開きかけている三橋達也も呼んで下宿していたら三橋達也も新珠三千代のことが好きになり恋の相談を持ちかけられ、焦った森雅之は新珠三千代のお母さんに結婚の相談を。それを知った三橋達也は自殺してしまし、さらにそれを遺書付きで見つけた森雅之は一晩放置して、自殺の原因をひとり抱え込み新珠三千代と結婚に至るという運命のいたずらを思わずにはいられない悲劇。
偶然であった日置という学生との出会いで多少は心情に変化が現われきて三橋達也の死の真相をこの学生だけには伝えておこうという気持ちになるところは身内でないけれどどことなく信用できる他人というポジションの人。何となく分かる気がするなとここのところはちょっと共感できました。
夏目漱石というより太宰治っぱい印象を受けたのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
森雅之
(先生)
苦悩が似合う印象のダニエル・デイ=ルイスで。
新珠三千代
(奥さん)
ロビン・ライト・ペンあたりにお願いしたい。


こころの山脈
(1966)
4
2005年5月
産休を迎えた教師の代わりに3ヶ月間臨時教師として久しぶりに教壇に立ったお母さん先生と生徒のふれあいを描いた作品。
山岡久乃が好きなもので観たのですがいい映画でした。
最初は定番で新しい先生になれない子供達の図があるのですが、上は高校生から下は小学校低学年までの子供を自ら三人抱えているのでお母さん先生と呼ばれている山岡久乃は主婦業もあるから化粧もしている時間がないんですけど子供達は知ったこっちゃないから
化粧気のない先生に向かっていきなり「口紅付けろ!」コールですよ。子供って本当残酷です。
給食費がなくなり容疑者はテレビを唯一持っていない貧しい家庭で問題児の清君というこれまた定番のエピソードもあるのですが物語の中心はお母さん先生と清君とのこころの交流を描いて、先生は決して怒ることはなく清君を信用するし清君も貧しくて母親は男作って家を出て行っちゃうし父親は体が弱いくせに酒のもというそりゃひねくれもするし強がったりもするわっていう生活環境のなか、自宅に止めてくれたり病気の時はノートや鉛筆をお見舞いに持ってくる先生には野花を摘んで先生に上げたりする実はいい子だったという展開、これがいい話なんです。
学校物としては定番の要素が盛りだくさんなのにさすがお母さんをやらせたら天下一の山岡久乃のおかげでこの映画ずっと説得力が増したと思います。それにこれ吉行和子とか結構劇団出身の俳優で固められているので演技も安心して観られるところがよかったです。吉行和子は産休の先生なんですがお母さん先生の評判を聞いてちょっと嫉妬するところもリアリティがあってよかったです。
この映画これだけの俳優揃えておいて自主映画ってところも驚いきましたけど、山岡久乃の三人の子役が全員とそれに学校の子供達が地元の子達っていうのが後から知ってびっくりしました。
戦後って産休が3ヶ月しかなかったんですね。子供産む2週間前くらいにやっと産休に入って2ヶ月ちょっとで職場復帰。これちょっとしたカルチャーショックでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
山岡久乃
(本間秀代)
普通の主婦から政治家まで幅広いジョアン・アレンで。


午後の遺言状
A LAST NOTE
(1995)
4
2007年9月
女優の森本蓉子は蓼科の別荘に避暑にやってきた。別荘を管理している柳川豊子に迎えられいつものように休暇を過ごすつもりだったが・・・
杉村春子と乙羽信子の遺作となった新藤兼人監督の人間ドラマ。
杉村春子と乙羽信子はタイプは違うけど昔っから上手い人たちで晩年の二人の姿もあんまり変わっていなくて60年代のイメージそのままでこの遺作も違和感なく観ることが出来るのですが二人の息もぴったりで内容も老いををテーマにしているのですがコミカルで面白かったです。杉村春子は割りと老け顔系なのであれなのですが、乙羽信子は昔からかわいい感じの人でしたが歳をとってもかわいらしくて上手い歳のとり方したんだなぁと思いました。
別荘にかつての杉村春子の舞台仲間の少しぼけ気味な女優とその付き添いの夫が訪ねてきて老人四人が別荘でしばらく過ごすことになるのですが、精神病院から逃げ出して暴行事件を起こして警察から逃げている男が乱入してくるのですが杉村春子たちにいちいち指図されては地団駄踏んでキレたり油断しているうちに取り押さえられたりして不思議な可笑しさをかもし出していました。
後半、ネタバレ→
乙羽信子の娘が実は杉村春子の旦那と浮気して出来た子だと知らされ杉村春子は大激怒。だけど乙羽信子はちっとも悪びれることなく杉村春子をやり込める使用人が主人をやりこめるような展開なのですがお互い長い付き合いだからやっぱり仲直りするというところがさわやかでよかったです。
ちょっとした役で永島敏行や倍賞美津子も出ているのですが倍賞美津子はやっぱりカッコよかったし、
監督の新藤兼人も老いてなおここまでの映画が作れるというところに感心するのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
杉村春子
(森本蓉子)
マギー・スミスにお願いしたい。
乙羽信子
(柳川豊子)
ジュディ・デンチあたりがイメージに合いそうで。


ゴジラ
GODZILLA:THE KING OF MONSTERS
(1954)
4
2008年11月
太平洋のある海域で次々と船が沈没する事件が発生する。古生物学者の山根は現地に出向き調査を行うが巨大な生物と遭遇する。ゴジラと名づけられた巨大生物はやがて東京に上陸し・・・
ハリウッドでもリメイクされた「ゴジラ」の元祖。
ゴジラVS○○みたいな作品しか知らず(と言っても劇場でやる予告編だけですが)どれもウルトラマンっぽい感じの怪獣ものとしか思っていなかったのですがさすがに元祖「ゴジラ」は格が違う印象を受けました。
ゴジラのテーマ曲や雄叫びも元祖を聞くとやっぱりテンションが上がります。
メインのキャラクターだけで志村喬、河内桃子、宝田明に平田昭彦と豪華な顔ぶれ。元祖以降の作品を観たことがないので何とも言えませんがたんなる怪獣退治になっていなくて環境破壊が原因でゴジラが現われたというところや、とある島の伝わる伝説も織り混ぜながらも分かりやすいところもよかったです。
ゴジラが銀座の町などを破壊して練り歩く姿をテレビ塔(東京タワー)から生中継で伝えているのですがゴジラがテレビ塔間でも破壊する時、キャスターが「放送できるのもここまでです。みなさんさようなら。」みたいな事を言って死んで行くシーンはゾッとしました。
宝田明はこれという活躍していないような気がするのですが、アイパッチ姿で登場の平田昭彦がミステリアスな雰囲気をかもし出しつつも後半大活躍。見た目は怪しげですが極秘に開発した秘密兵器をゴジラに使うことで、これが戦争に使われることを恐れて苦悩する科学者というものすごく重要な役どころを普段は悪役が多い平田昭彦がやっているというだけで得した気分になりました。
続編の「ゴジラの逆襲」も機会があれば観てみたいです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
志村喬
(山根恭平)
学者が似合いそうなリチャード・ドレイファスで。
河内桃子
(山根恵美子)
色気はないヒロインはフランカ・ポテンテに。
宝田明
(尾形秀人)
正義感溢れる感じのマーク・ウォルバーグで。
平田昭彦
(芹沢大助)
アイパッチが似合いそうなエイドリアン・ブロディで。


小太刀を使う女
(1961)
3
2008年4月
江戸から10年ぶりに戻ってきた士族池田家の長女の律。弟の健一郎は商人の娘おたかと結婚して幸せに暮らしていたが士族が商人の娘と結婚しているのを面白く思っていなかった。そんな中西南戦争が始まり律とおたかは寺に立てこもり・・・
京マチ子主演の女剣士もの。
船越英二と結婚の約束をしていた京マチ子ですがオープニングでいきなり脱藩して船乗りになりたいと一方的にふられて早十年。そんなことがあったからなのか序盤は弟の嫁の中村玉緒を小姑根性丸出していびりまくります。中村玉緒は何も言い返すことができません。
しかも西南戦争が起きてせっかく中村玉緒の実家から船が来て逃げる準備万端なのに、士族の嫁になったからには帰る事は許しませんなんて言って戦いを強要します。
お嬢様育ちの中村玉緒は半狂乱ぎみで取り乱しまくりなのですあ京マチ子の激で見事更生。さすが京マチ子。といったエピソードがこれでもかと続きます。
終盤、襲われて反撃したら運悪く薩軍の兵士を斬ってしまい京マチ子は囚われの身に・・・だけどその時、中村玉緒になぜ厳しくしたかの本心が分かるのですが、女は優しいだけではなく強くなくてはならないのです。的なことを言って二人の心はひとつどころか女剣士たちみんなの心がひとつになるのですが、
全体的に京マチ子がものすごく頼りになるのでまるで宝塚を観ている気分になりました。
ネタバレ→
最後も処刑されそうになったところをギリギリで助かってしかも10年ぶりに船越英二と再会。誰も死ぬことなくめでたしめでたしというところが安心して観る事ができていいです。そして最初と最後しか出てこない船越英二は一番おいしい役どころだなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
京マチ子
(池田律)
頼りになりそうなキャサリン・ゼタ=ジョーンズで。
中村玉緒
(おたか)
お嬢様という感じのエイミー・アダムスで。
小林勝彦
(池田健一郎)
ライアン・フィリップあたりにお願いしたい。


子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる
シリーズ第1作
LONE WOLF AND CUB - SWORD OF VENGEANCE

(1972)
4
2004年1月
凄腕の刺客、拝一刀はかつて公儀介錯人として徳川家に仕えていたが、その座を狙う柳生一族の陰謀によりその座を奪われ妻も殺された一刀は柳生一族に恨みをはらすために生きると決心したのだった・・・
ようやく観ることが出来たシリーズ第1作。
オープニングの子供ながらにして殿の公儀介錯シーンといういきなりパンチのきいた出だし。今じゃありえないオープニング、なんてったって子供の首を切るシーンから始まる映画って観たことないもんなぁ。
柳生一族にはめられて公儀介錯人の職を追われる回想シーンといつもの刺客引き受けエピソードの二本立てでお得でした。拝一族が柳生一族に皆殺しにされ、残った一刀は大五郎に母親の手毬か一刀の胴太貫を選択させ手毬を選んだら大五郎を斬り復讐のため一人、冥府魔道に生きる決意をしていたというなるほどエピソードもはさみつつ子連れ狼の世界にさらにはまりそうな予感がしたのでした。
刺客のエピソードも第1作目から容赦なくハード。ターゲットが湯治場にいるとの情報を得た一刀は早速湯治場に向かうけど一味がなんて傍若無人なこと。悪党一味の挑発に乗らない一刀に一味は、今で言う娼婦のお仙と見ている目の前で寝ないとお仙を殺すという脅しに仕方なく寝る一刀。大五郎がちゃんと眠りについていることを確認してからお仙とともに最初で最後の濃厚というか生々しいラブシーンを見せる一刀であったのでした。
柳生一族のボス柳生烈堂もちょこっと登場しますけど烈堂の見た目もインパクト大。片手に杖なんか持ってどこかもの悪い魔法使いみたいだもんなぁ。シリーズ第6作目でちゃんと烈堂との決着をつけて終わってほしい。ただそれだけを願ってシリーズ第5作の「子連れ狼 冥府魔道」、シリーズ第6作の「子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎」の返却を待つ日々なのであります。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
若山富三郎
(拝一刀)
殺し屋ときたらマイケル・マドセンでしょう。しかも寡黙なところが・・・
伊藤雄之助
(柳生烈堂)
悪の親分と言ったらこの人クリストファー・リーでしょう。


子連れ狼 三途の川の乳母車
シリーズ第2作
LONE WOLF AND CUB - BABY CART AT THE RIVER STYX

(1972)
5
2003年12月
今日も大五郎を連れて刺客の依頼をうける拝一刀。しかし拝一刀も命を狙われる身、次々と迫りくる追っ手を倒しつつ幕屋忠左衛門の命を奪おうとするがそこには護衛の左三兄弟の左弁馬、左天馬、左来馬が待ち構えていた・・・
オープニングから二人の追っ手をばっさりと斬りつける拝一刀の姿にまず心奪われ、
時代劇も昔はこんなにバイオレントだったんだぁと感心しましたよ。しかも笑いとエロスがあってちゃんとエンターテインメントしているところがまたすごいんですよね。左三兄弟の武器も鉤爪に棍棒、メリケンサックとバラエティに富んでいてナイスです。
松尾嘉代が演じる柳生鞘香率いる柳生流の別式女達が小林昭二演じる黒鍬小角率いる黒鍬流のナンバー1と腕比べをしたときの壮絶さときたら、別式女達が黒鍬流の刺客の鼻を切り、耳を切り、指を切りさらには腕を切り落としてから命を奪うなんてスプラスティックすぎて逆に笑いが起きてました。別式女のボス柳生鞘香も拝一刀にはかなわず一旦身を引くシーンがありましたけど、この逃げ方が後ろ走りってのも笑えましたよ。
笑っちゃうと言えば大五郎もすごいんです。大五郎に迫りくる別式女にあどけない顔で乳母車に仕掛けてある隠し武器のあるスイッチを一押しして見事成敗しちゃうんですよね。あと、乗っている船が炎上して大ピンチって時に拝一刀は「大五郎。しばしの辛抱だ。」と言って乳母車を海に放り出しちゃうんでうよね。大五郎これじゃあ普通の大人に成長しないよ。といらん心配をしてしまうのでした。
拝一刀の殺しのコードネームが子連れ狼ってのもインパクトありましたけど、なんといっても若山富三郎脂の乗った体から繰り出される殺陣は一見の価値はありますよ。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
松尾嘉代
(柳生鞘香)
冷酷そうだけど実はやさしい面もありそうなルーシー・リューで。


子連れ狼 死に風に向う乳母車
シリーズ第3作
LONE WOLF AND CUB - BABY CART TO HADES

(1972)
4
2004年1月
ある日礼儀正しい武士の孫村官兵衛と出会い拝一刀は勝負を申し出られる。しかし本物の武士と見抜いた一刀は申し出を断る。別の日宿屋に一人の娘お松が一刀の部屋に飛び込んで来た。女郎として売られてきたお松を自ら拷問を受け救った一刀は変わりに元締めの酉蔵に刺客の依頼を受けるがそこには孫村官兵衛の姿があった・・・
今回は拝一刀が娘を救ったり、最後に対決する孫村官兵衛がいい武士だったりミニエピソードがちょくちょく入っていたりと若干趣向が変わっているような気がしますがやっぱり迫力があるのです。
今回新しく気がついたんですけど、
大五郎を川で溺れたふりをさせて敵の刺客が得意の短銃を置いて大五郎を助けにいった隙に斬るという案外卑怯な手を使うんだな拝一刀も、と以外な一面も見ることが出来たりするのです。
乳母車だって進化してます。短銃の弾を受けてもビクともしない鉄板を備え付け、機関銃まで装備しているスーパーカーなのです。
ちょっと違うなと思ったのが売られた娘を一刀が自ら拷問を受けてまでかばうところ。一刀は街で女が襲われていたって助けなかったはず。助ける時は柳生一族が絡んでいる時だけだったけど今回柳生一族はほとんど出てこなかったはずだったような・・・
女元締役の浜木綿子も宝塚の男役風でかっこいいし、いい侍の加藤剛がなんといってもかっこいい。本物の粋ってやつはこういうことを言うなだなとしみじみ思いましたね。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
浜木綿子
(酉蔵)
着流しをかっこよく着こなしそうなキャリー=アン・モスで。
加藤剛
(孫村官兵衛)
礼儀正しそうなヴィゴ・モーテンセンで。


子連れ狼 親の心子の心
シリーズ第4作
LONE WOLF AND CUB - BABY CART IN PERIL

(1972)
5
2004年1月
別式女お雪の殺害を依頼された拝一刀。お雪の情報収集をしている間一刀とはぐれた大五郎の前にかつての一刀と一戦を交えた柳生軍兵衛が現れ大五郎が一刀の息子と見抜き・・・
台詞はいつものように「ちゃーん」と鼻歌ですけど、
ついにシリーズ4作目にして大五郎が大活躍。父、拝一刀を探す姿は初めてのお使い的で大五郎は一刀が古寺にいつも行くことを記憶していて方々の古寺で一刀を待ち続ける姿がけなげです。しかもこの時流れるBGMが誰もが聞いたことのある「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん」がついに登場。歌詞も切なく「帰らぬちゃーんを待っている・・・」と哀愁漂っています。
枯れ草などを焼く野焼きの火に巻き込まれてしまった大五郎は土の中にとっさに身を隠し難を逃れたり、軍兵衛に斬られそうになっても棒切れ一本握り締め軍兵衛に立ち向かうたくましさ。さすが一刀の息子なのであります。
一刀もお雪が恨みを持っている孤塚円記を倒すまでちゃんと待っている男気あふれたところも見せますが、お雪VS孤塚円記の対決も、孤塚円記の刀から炎が出てお雪を催眠状態にするも、お雪が着物を脱ぎ捨て、胸に乳をまさぐる金太郎童子、背中に山姥というインパクト大の刺青を見せ孤塚円記がひるんだ隙に恨みを果たすというすごいもの。
最後には定番の一刀VS100人の対決がありますけど、
お決まりの「大五郎、これより冥府魔道にはいる。父が帰らなかった時は大五郎、おまえも死ぬのだぞ。」的な台詞がしびれます。瀕死の状態でなんとか勝ち残った一刀を遠くから見守る柳生軍兵衛。ネタバレ→一刀に片腕を切り落とされたにもかかわらず←「よくぞ生き残った。お前は必ず私が倒す。」とアルフィーの高見沢のようないでたちで着流しをばっちり着こなしている林与一が印象的なのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
林与一
(柳生軍兵衛)
着流しもばっちりそうなジョニー・デップで。
東三千
(お雪)
胸に乳をまさぐる金太郎童子、背中に山姥の刺青が案外いけそうなサルマ・ハエックで。


子連れ狼 冥府魔道
シリーズ第5作
LONE WOLF AND CUB - BABY CART IN THE LAND OF DEMONS

(1973)
4
2004年1月
筑前黒田藩の秘密が書かれた密書を江戸に運んでいる慈恵を殺し密書を奪い返す依頼を受けた拝一刀。途中の宿場町では大五郎が早変りのお葉と呼ばれる女スリ師をかばったとして捕らえられてしまうが・・・
大五郎シリーズクライマックスに向け見せ場が圧倒的に増えてきて楽しいです。今回の大五郎女スリ師お葉に「誰にも言うんじゃないよ。」と言われたのを
役人に捕まっても百叩きの刑も受けても口を割らずに忠実に守るけなげさ。しかも泣き声ひとつ上げない脅威の精神力。これにはさすがの女スリもいたたまれなくなって自ら名乗り出て自供しちゃいました。しかも改心までさせる始末。さすがは一刀の息子なのでした。お葉役の佐藤友美って「吸血鬼ゴケミドロ」の時のヒロインじゃん。あの時は悲鳴上げて気絶ばっかりして上手いんだか下手なんだかイマイチ分らなかったけど今回の強気な女スリ師が結構はまっていましたよ。
一刀の方はというと刺客依頼の詳細を聞くために黒田藩の刺客と腕試しするはめになるんだけど、この中の一人に山城新伍がいましたよ。しかも一刀に毒を盛るという卑怯な方法で、もちろんそんな手は通用するはずもなくやられますが
山城新伍も30年前はひよっこだったんだなぁ。
子連れ狼もあと1シリーズを残し、宿敵の柳生烈堂も出てきたりもするけど、
全6シリーズ中残念ながら一番盛り上がりに欠けちゃっていますね。荒野での百人斬りがなかったり、町娘とかくのいちなんかの裸がない子連れ狼なんて子連れ狼じゃないぞぉ。と思うも大五郎の百叩きの刑に免じて許してしまうのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
安田道代
(不知火)
すっかり殺し屋のイメージがついたダリル・ハンナで。
佐藤友美
(早変りのお葉)
レイチェル・ワイズでいかにも普通の町娘に見えそうなところが。


子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎
シリーズ第6作
LONE WOLF AND CUB - WHITE HEAVEN IN HELL

(1972)
5
2004年1月
柳生烈堂はいよいよ最後の切り札、娘の香織を拝一刀のもとに送り出した。辛くも勝利した一刀のもとに烈堂の腹違いの息子、土蜘珠兵衛が手下の土蜘珠族を引き連れて一刀に迫りくる・・・
シリーズ最後にして最高傑作。前の5作品は良くも悪くも次があるから一刀と大五郎は生き残るんでしょ。と安心して観ていられましたけど、今回はいよいよ最終回ということで、二人とも死んでしまうのか、どちらか死んでしまうのか、それとも二人とも生き残るのか展開が読めずに久しぶりにハラハラしましたよ。
最初の戦いで列堂の愛娘、香織との対決でネタバレ→
香織の投げた短剣が大五郎の脳天直撃!マジでぇと思ったけど頭の中でシュミレーションしているシーンだと分り一安心の←ドッキドキの展開。
続く土蜘珠族の戦いも、一刀と関わった者全てを殺していく回りくどい戦術の土蜘珠族にさすがの一刀もシリーズ最大のピンチ。なんてったて関係ない人がロケット弾?みたいな兵器で木端微塵にされちゃうんですからね。そんな土蜘珠族の撃退法が雪山で野宿するという戦法。なぜか土の中を移動する土蜘珠族は台詞も笑っちゃいけない「このままでは凍えてしまう・・・」と言って効果抜群なのでした。
そして夜が空けいよいよ烈堂の登場でラストバトルに入るわけですが、その前にちょっとだけ、
ゆきんこ姿の大五郎が超かわいいんです。普段は絶対子役にかわいいという感情は芽生えないけどこれは本当に例外。きっと最初で最後だろうなぁ。こんな気持ち。
ラストバトルは乳母車にソリをつけた一刀とスキーを履いた烈堂の手下達というすざましさ。(ちょっとしたJRスキースキーのCMのようでもあったりもする)それに大五郎が発射するマシンガンとこれこれ!この奇想天外さが観たかった。最後にこんなに見せてくれてありがとう。とちょっとした感動すら覚えましたよ。
本当の雪の中で殺陣はさぞかし大変だったろうなと思いましたよ。最後なんて霜焼けになりそうなくらい顔が赤くなってたもんなぁ。
そんな若山富三郎にお疲れさまと言いたいと思ったのでした。
ラストネタバレ→
大五郎が乗ったままの乳母車が大木に激突。戦いが終わり一刀が大五郎を探すも見つからずあきらめかけた時に雪の中から「ちゃん。」と言って一刀の元に走りよる大五郎。一方逃げ出した烈堂は「必ず倒してみせる。」と言って去っていく。決着はついていないけどこれでいいんです。下手に決着をつけるより冥府魔道に生きると決めた子連れ狼なのだから・・・
ハリウッドバージョンはこの人で!!
木村功
(土蜘珠兵衛)
孤独な役が多いエドワード・ノートン
瞳順子
(柳生香織)
小娘の印象が抜けないチャン・ツィイーで。武道もたしなむし。


古都
(1963)
4
2005年11月
呉服問屋の娘、佐田千重子は捨子だったが両親の愛情を受け暮らしていた。そんなある日、千重子は自分のと瓜二つの苗子と出会うが彼女こそ生き別れた双子の妹だった・・・
生き別れになった双子の姉妹が偶然再会し絆を深めていくといった感じの作品で初めて岩下志麻の映画を観たのですが
岩下志麻と言えば極妻の「覚悟しいや!」とドスを効かせたイメージしかなかったのですが噂に聞いていた通り、昔は本当あっさり系の美人でこういう情緒的な映画に出る人だったんだなぁと思いました。そりゃそうですよねぇ小津作品にもでるくらいの人なんですから。
呉服問屋の千重子に身分違いの恋心を抱く折屋の息子の長門裕之とかいかにも日本の伝統的な文化な匂いのする京都が舞台で二人の双子が出会う以外はこれといって大きな事件がおきるわけでもないのですが京都の四季を観ているとやっぱり行ってみたいと思うから京都の魅力って不思議だと思います。
妹の苗子の方は杉林で肉体労働している娘で千重子に頼まれて長門裕之が着物を作るのですがこの着物というか帯がまた杉林をイメージとしたもので現代でも通用する斬新かつカッコいいデザインでこの映画で他にも反物がいろいろ出てきて全然詳しくないのですがデザイン性にいちいち感心しました。
幼なじみの兄貴の吉田輝雄もずーっと千重子のことが好きで番頭を買って出るなんてところは相手が吉田輝雄だからなにかしでかすんじゃないかとハラハラしたり(石井輝男作品を大量に観た後なもんで)、後半、長門裕之が千重子から苗子にあっさり乗り換えるところはお前それで本当にいいんかい?とかあったのですが、最後の千重子と苗子の関係を想像させる余韻を残す終わり方とか含め全体が「京都」の雰囲気100%出してる印象深い作品なのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
岩下志麻
(佐田千重子/苗子)
一人二役の経験のあるケイト・ブランシェットで。


小早川家の秋
AUTUMN FOR THE KOHAYAGAWA FAMILY
(1961)
3
2008年10月
小早川万兵衛の隠居生活をはある日偶然再会したかつての恋人と親しく付き合い始めるのだったが・・・
東宝での小津安二郎監督作品。
東宝ということでいつもと顔ぶれが違うのとカラーだったので小津作品としては新鮮でした。
嫁が定番の原節子、長女が新珠三千代、次女が司葉子という贅沢なところでどんな話が展開されるのかと思いきや中村鴈治郎扮する父親の自由奔放で周りに迷惑かけるけれど幸せ者だよねぇといった感じの内容で、ちょっと想像していたものと違い小津作品っぽくなく感じちょっと拍子抜けしました。
個人的には再婚をしたくない嫁の原節子と結婚したくない司葉子、しっかり者の長女新珠三千代のそれぞれのエピソードが充実していればよかったのですがみんな出番が少なくて原節子なんて中盤ほとんど出てこなくてゲスト扱いな感じがして、
やっぱり小津作品には原節子がバンバン定番の役どころで出ている方がいいなぁと感じます。
自由な中村鴈治郎のお相手役はやっぱり浪花千栄子。他の映画でも夫婦役を観ているせいかここまで来ると他に相性のいい相手が他にいるのだろうかと思ってしまうくらい相性抜群です。
個人的にはあまり好みではなかったのですが中村鴈治郎がでも家族からはいい加減に見えてもやっぱりお父さんがいたからここまでやってこれたんだなぁとしみじみ思われていて、こういう隠居生活を送れるような晩年になりたいと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中村鴈治郎
(小早川万兵衛)
ウォルター・マッソーあたりがぴったりだと思います。


殺しの烙印
BRANDED TO KILL

(1967)
3
2006年8月
殺し屋ランク3位の花田はある日、殺しの依頼を受けるが失敗してしまう。そんな花田の元に何条美沙子という女が現れ殺しの依頼を頼まれるのだが・・・
これで日活をクビになったという有名な鈴木清順監督の殺し屋同士のアクション映画。
殺し屋同士が殺しあう感じの内容だと思うんですけど噂どおり内容が良く分からなかったです。でも
これは多分話を楽しむより殺し屋ランク3位の宍戸錠の殺しのテクニックと鈴木清順監督の様式美を堪能する作品なんだろうなと感じました。
全体的な雰囲気としては「殺人狂時代」のような感じで殺し方にも水道管の下で待ち構えてターゲットが水を流したら銃で相手をしとめるとか、オフィスで殺しをやったあとの逃走手段が外に浮かんでいるアドバルーンに飛び移り身を隠すとか奇抜で楽しいです。内容はさっぱりと言っていいほど分かりませんでしたが。
実は殺し屋だった真理アンヌも小悪魔的でイカしているしちょっと死に急いでる感じがまたいい感じなんですよね。殺し屋ランク3位の宍戸錠にもなぜか奥さんもいたりするのですが色情狂で常にほとんど全裸というところがこの時代にしては斬新だしこいつも実は殺し屋だった!?みたいなところもナンセンスすぎて再び訳分からん状態です。
謎めいた殺し屋ランク1位の南原宏治は渋カッコよくてさらにユーモアもあって個人的には宍戸錠よりも好きでしたね。やっぱり1位の人間は何事にも余裕があるんですね。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
宍戸錠
(花田五郎)
殺し屋もいけそうなマーク・ラファロで。
南原宏治
(大類進)
殺し屋の貫禄十分のダニエル・クレイグで。
真理アンヌ
(中条美沙子)
小悪魔的なミーナ・スバーリで。


殺し屋1
ICHI THE KILLER
(2001)
3
2009年8月
やくざのマンションで安生組の組長が姿を消し若頭の垣原は手下を送り込むが何者かに皆殺しにされやがてイチの存在が浮かんできて・・・
三池崇監督の血みどろサディスティック・バイオレンス。
無国籍感漂うところが三池テイスト全開という感じで映像はよかったのですが登場人物がみんな何を話しているのか聞き取りにくいところがつらかったです。あと話しのほうも内容というか最終的な目的は分かっているのにそこにたどり着くまでの前半の展開が今ひとつ分かりにくい感じでキャラクターもよかったので期待していた分残念でした。
キャラクターはみんな個性的でした。塚本晋也も何故か出ていて脱いだら「マッスルモンク」的な展開だったり、
天井から「ソウ」とか「ホステル」並みに全裸で吊り下げられてから揚げにされて最終的にはミイラ男みたいになっているのはもしかして寺島進?と思ったらやっぱり寺島進で売れっ子なのにこんなことまでしていい人だと思いました。
浅野忠信は良くも悪くも浅野忠信という感じがしたのですがドMでいながらサディスティックな一面を持ち合わせているキャラクターを飄々と演じていてこの人はやっぱり一味違うなと感じました。
大森南朋は情けない感じがはまっていたなと思いましたがそれよりも調べたらお父さんが麿赤児ということのほうが映画の内容より衝撃的でした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
浅野忠信
(垣原雅雄)
何を考えているのか分からない感じのヴィンセント・ギャロで。
大森南朋
(城石一)
イメージはジョヴァンニ・リビシといったところでしょうか。


コワイ女
UNHOLY WOMEN
(2006)
3
2008年2月
「コワイ女」だ次々と登場するオムニバスホラー。
第一話【カタカタ】
バツイチの彼(豊原功補)と結婚を控えた中越典子が突然包丁を持った赤い服の女に襲われるといった内容。
ビジュアル的には一番怖くてこれは貞子を超えたなぁと思います。赤い服の女が現れる前に必ず「カタカタ」と音がするのですが突然どこからともなく現れる赤い服の女の顔が鬼のような形相でとにかく怖いです。あるときは天井に張り付いてたのが地面に落ちてきて這いずり回って追いかけてきます。と怨霊だか悪霊みたいなのは怖くていいのですが中越典子の恐怖演技がいまひとつ。叫びっぷりがまだまだでここのところとクライマックスに進むにつれてCGの使いすぎが気になってしまってちょっと興醒めです。
第二話【鋼-はがね-】
小さな自動車工場で働く柄本佑が社長の香川照之に妹とデートして欲しいと頼まれ家に行くとそこには麻袋を被った女が待っていたといった内容。
麻袋を被った女とデートするというものすごくシュールな内容。麻袋女はしゃべらないし突然暴れだしたりして一話目とは違った意味で怖いです。何故かいい感じになった二人がいちゃついているうちに麻袋の紐がほどけてきたら内臓らしき物体が・・・麻袋女はものすごく痛がって(多分)暴れまくります。後半、無視をしたら麻袋から吹き矢やら包丁が出てきて手がつけられなくなって話自体何がなんだか分かりません。麻袋女のハッスル言葉がC3POのようでロボットみたいだし・・・でも一番怖いのは香川照之かな。妹のデートを強要したり一瞬でキレたりして性格が豹変して麻袋女より怖いと思うのでした。
第三話【うけつぐもの】
離婚した目黒真希は子供の須賀健太を連れて実家に戻ってくるがやがて息子と同じ位の年代で失踪した兄のことを思い出しだんだんおかしくなっていくといった内容。
話としては怪談風な感じで一番まともで、スプラッター描写はなくてどちらかというとおどろおどろしい印象で、須賀健太がお母さんに蔵に閉じ込められたりして日本独特の怖さみたいなのがあるし、左時枝もでていますが一話目と二話目があまりに内容が強烈過ぎて物足りない感じがしました。
主演の目黒真希という人は始めて見たのですがとても綺麗で好感が持てました。という印象が一番強いです。

まとめ
いろいろな「コワイ女」が出てきてそれなりによかったと思うのですが、どの話も結局なんだったのというところが抜け落ちているのが消化不良。せめて一話だけでもいいからあの「コワイ女」はなんだったのか説明してほしかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中越典子
(吉沢加奈子)
OLとか似合いそうなブライス・ダラス・ハワードで。
柄本佑
(関口幹夫)
見た目は大人しそうなダニエル・ラドクリフで。
目黒真希
(菱川冴子)
最近、母になったナオミ・ワッツで。


婚期
(1961)
5
2005年5月
唐沢卓夫の嫁、静が同居する小姑の波子と鳩子と繰り広げる壮絶な「追い出し合戦」をコミカルに描いたホームドラマ。
「家庭の事情」もツボにはまった相当面白い作品だったんですけど、この「婚期」もそれに勝るとも劣らない面白さ。この2作品はDVDがあったら欲しいなぁ。
嫁の京マチ子に同居している小姑の若尾文子と野添ひとみが追い出そうと旦那の船越英二があたかも浮気をしているような手紙をだしたりして嫌がらせをするんですけど、京マチ子も嫌がらせにうっすら気が付いているけどさほど気にしていない大らかなキャラだけど内心小姑2人を結婚させて早く平和になりたいと思っていたりもするから家庭内でちょっとしたいざこざが絶えないのですが、このいざこざが面白すぎます。
特に後半、本当に船越英二が浮気していたり、若尾文子に独立した歯科医の男を完璧だと思ってお見合いさせるわけですけど、この男が実はハゲていて一家それぞれの怒りは頂点に。
船越英二は若尾文子にオールドミスなんだからハゲくらいしょうがないとなだめるけどハゲハゲと連発するし、京マチ子もここぞとばかりにちくりと若尾文子にオールドミスを強調するもんだからさらに興奮して京マチ子に罵声を浴びせるわ、姉をかばおうとする
野添ひとみは急にキレ出して食いかけのみかんを天下の京マチ子に投げつけるわで本当面白かったです。劇場も台詞が聞き取れないってくらい爆笑の渦でしたもの。
野添ひとみは勝気であってもつねに気品は残っていた印象が強かったんですけど、今回はのあばずれ感がすごくて新鮮だったし、いつもと一味違う眼鏡をかけたオールドミスの若尾文子に今回もうっとりするのでした。
中立的な兄嫁の高峰三枝子とかお手伝いさんの婆や(これが最高)とか他にも魅力的なキャラクターが沢山出てきてこれはもう一度観たい作品です。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
京マチ子
(唐沢静)
ジェニファー・アニストンにコミカルに演じて欲しい。
若尾文子
(唐沢波子)
セルマ・ブレアはオールドミスの役にぴったりのような気がします。
野添ひとみ
(唐沢鳩子)
ここはやはり凶悪なまなざしのキルスティン・ダンストで。
船越英二
(唐沢卓夫)
ロバート・ダウニー・ジュニアあたりに浮気者の旦那をやってもらいたい。


混血児リカ ハマぐれ子守唄
(1973)
3
2005年5月
少年院に戻ったリカは宿敵お万と対立しながらも脱走に成功する。リカはハーフのジュンという少女と出会うがジュンは少女達を外国に売り飛ばす組織にさらわれてしまう・・・
なんでもこれ3作続いた「混血児リカ」シリーズの完結編らしいです。70年代は「女囚さそり」といいこの手のジャンルはやっていたんですね。ハーフのジュンの母親は黒人なんですけどこれが日本人の顔に黒塗りしてるというオセロの中島かよ!みたいなキャラクターや少女を売り飛ばす組織のボスが白人という設定ですがこれがまた日本人の俳優で名前がニクイソンってここまできたらギャグですか?みたいな展開でくだらなすぎて逆にたまに面白くなってくるから不思議です。こんな調子でずーっと「混血児リカ」シリーズが続いてきたなんて信じられません。しかもさらわれるハーフの娘が市毛良枝ってところがすごい。市毛良枝もこんな下積み時代があったんだなぁと思ってしまいました。
宿敵お万との対決を一旦休戦して市毛良枝を助け出すってのが大まかな内容ですが
リカとお万はもちろんのことその仲間達も含め一人を除いて微妙にブサイク。一人だけいる綺麗どころも水商売系の香りがしてもうちょっとどうにかなんなかったのか?としょんぼりしました。
そんなリカたちは力をあわせて組織を壊滅させるわけですがこれがまたすごいです。ボートで逃げる奴らをサメとか狩る時に使うモリのついた銃で射抜くとこまではいいんですけど命中したら仲間達は大喜びするは、最後は「じゃあ決着つけようか。」とか何とか言ってリカVSお万の対決が始まるんですが中間達は二人の決闘を見て楽しんじゃっていて彼女たち完全に頭がおかしいんです。これは完全にカルト映画の領域に入ると思われある意味観といてよかったと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
青木リカ
(リカ)
打たれ強そうなクリスティーナ・リッチあたりで。
宗田政美
(竜巻お万)
宿敵にはビッチなイメージのスカーレット・ヨハンソンを。


昆虫大戦争
(1968)
3
2004年12月
米軍の戦闘機がある日日本の孤島に墜落し脱出した兵隊達は惨殺されていた。秋山は昆虫採集しにこの島に訪れていたのだがそれを目撃していた秋山は殺人容疑を受けてしまうのだったが・・・
同じ松竹映画の「吸血鬼ゴケミドロ」と同じように終末的な雰囲気は漂っていましたけど内容的にはおよばずちょっと残念。米軍というか
外人全員が日本語喋っています。しかも吹き替えだからトンデモ度はこちらの方が完全に上なんですけどね。
オープニングもいろんな昆虫が出てきたからこれは様々な昆虫たちが人間を襲うんじゃないだろうか?と期待したんですけど結局出てきた昆虫は蜂だけかよぉ。昆虫大戦争とは大きく出たなという感じですわ。
川津祐介の金髪の愛人がナチスの虐待にあて世間に恨みを抱いていて密かに殺人蜂を繁殖させていただけですから。それを米軍やら川津祐介の上司が引っ掻き回して殺人蜂を結果的に外に出しちゃってネタバレ→
核爆弾が爆発してしまう←という終末的なエンディングになっちゃうのは自業自得。やはり人間は色んな意味で罪深いんだなぁとカルト系作品ななのに考えさせられてしまいましたよ。
まぁ川津祐介は新藤恵美という許婚がいるのに外人と浮気しちゃうような相変わらずな役は観ていて説得力があってよかったんですけど、その上司役で昆虫の権威の博士役の園井啓介は印象薄かったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
園井啓介
(南雲義人)
デニス・クエイドはいい博士の役にぴったりな気がします。
川津祐介
(秋山譲治)
仕事中に浮気をする余裕がきっとありそうなベニチオ・デル・トロで。


今度は愛妻家
A GOOD HASBAND
(2009)
5
2010年1月
売れっ子カメラマンの北見俊介は今では写真を撮らず家でグウタラな生活を送り、浮気を繰り返しついに妻のさくらは家を出て行ってしまい・・・
豊川悦司と薬師丸ひろ子が夫婦役の夫婦の愛情もの。
良さそうな雰囲気をかもし出していたので観に行ったところものすごく良くてびっくりしました。
豊川悦司は何でも器用にこなす人みたいなので予想通りの上手いなぁと思える演技なのですが予想外だったのが薬師丸ひろ子。ちゃんと演技をしているところは初めてのような気がするのですが、
薬師丸ひろ子の普段のおとなしい印象とは正反対でサバサバとしたポジティブな明るい奥さんという振り切れた演技が見事です。
豊川悦司が前半は本当ロクデナシかというくら何もしないでごろごろして薬師丸ひろ子に軽口を叩くのですが、それを軽くあしらう薬師丸ひろ子の懐の広さ、そしてたまに一瞬シリアスで悲しげな表情なるところとかを見ていると、自分もふとした時に出る悪気はないけれどついつい相手を傷つけてしまう何気ない一言には気をつけようと思いました。
女優志望の水川あさみや豊川悦司のアシスタントの濱田岳も良いのですが何故か豊川悦司の家に上がりこんで色々と世話をするオカマの石橋蓮司が突然現われた厚かましい水川あさみと罵りあいをしながらも仲良くなったり色々やってくれて最高です。
これは内容に触れるととにかくネタバレしてしまうので何にも書けないのが辛いのですが些細な出来事が全て後半でなるほどねと思わせてくれるよく出来ているつくりと前半と後半のギャップに思わず涙してしまいました。久しぶりに泣いたような気がします。
2時間越えの大作なのですがちっとも長く感じないところがこの映画の良さを物語っていると思います。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
豊川悦司
(北見俊介)
豊川悦司と同じで年齢を感じさせないジョニー・デップがぴったりです。
薬師丸ひろ子
(北見さくら)
個人的にはナオミ・ワッツに明るい奥さんを演じて欲しいです。


こんにちは赤ちゃん
GOOD MORNING, MY BABY
(1964)
3
2008年3月
子供の出産と同時に妻に先立たれた大学教授の四方山はある日、隣の主婦に子供をあずけ学校に出勤するが教室に向かうと学生の会田道代が四方山の子供を連れてきていて・・・
梓みちよが新米ママになって四苦八苦する内容かと思いきやひょんなことからあずかった子供に最初は小遣い稼ぎのつもりで接しているうちに次第に母性が目覚めていくみたいな内容でした。
オープニングで小林桂樹が隣の家の主婦の中北千枝子に子供をあずけたら用事があることを思い出して仕方がないから妹にあずかってもらいにいったら無理だからと断られるのですが信用のいける学生さんを紹介してあげると言われ、梓みちよのもとに回ってくるのですが何と無責任なと感じてしまいました。しかしこういうことが平然と出来た40年前は平和でしたね。
恋人風の田辺靖雄も巻き込まれて偶然やってきた父親のハナ肇に出来ちゃった結婚したのかと早とちりされ、赤ちゃんコンテストに出場させられ見事優勝とか微笑ましいエピソードなんかもありますがさりげなく小林桂樹の大学の校長か誰かが一人身はいかんということで無理やりお見合いをさせられるのですがその相手が同僚の岸田今日子。
離婚したばかりのお局様的なキャラクターでツンツンしているせいか子供は一向になつかないというところが岸田今日子らしくて面白いです。大学の事務のお姉さん八千草薫も相変わらずやさしそうなキャラクターで休みの日は洗濯しに家まで来てくれるという八千草薫らしいところなどみんなそれぞれキャラクターにあった役がはまってよかったです。赤ちゃんもそりゃ赤ちゃんコンテストで優勝するわってくら抜群にかわいかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
小林桂樹
(四方山敬介)
ジョン・キューザックあたりがイメージにぴったり。
梓みちよ
(会田道代)
マギー・ギレンホールあたりにお願いしたい。
田辺靖雄
(田部康彦)
ちょっと軽い感じのクリス・エヴァンスで。


婚約三羽烏
(1956)
3
2009年6月
恋人の順子と同棲しているが無職の加村はついに順子から別れを切り出されるが、運良く織物会社に入社できるが順子は家を出てしまっていた。加村と同じく入社した三木、谷山の三人は社長令嬢の伶子が自分に気があると勘違いして・・・
宝田明、小林桂樹、小泉博それぞれ婚約者がいるのに入社した社長令嬢の司葉子に親切にされて勘違いしてみんな婚約者より司葉子と結婚する気満々という展開になるコメディで当然最後は丸く納まるのえうがとにかく特別出演がものすごく豪華。
三人が面接しに行った時の面接官が佐野周二、原節子に高峰三枝子、社長が上原謙(ちなみに奥さんは三宅邦子)と一番の見所は序盤の面接シーンと言ってしまってもいいくらいテンションが上がります。その他にも軽くセレブな小泉博の両親が佐分利信と沢村貞子というコンビ。そしてラストに出てくるのは池部良というこれだけの顔ぶれを見るだけでも十分楽しいです。
この映画はオリジナル版があるようでオリジナルでは、宝田明の役が佐野周二、小林桂樹は上原謙の役で、リメイク版では父親役だった佐分利信が小泉博の役どころ。オマケに高峰三枝子は司葉子の役をやっていたということでこういう粋な計らいをしてくれるリメイクなら大歓迎。(ちなみに宝田明が間借りしている駄菓子屋のおばさんが飯田蝶子なのですが、オリジナル版ではたばこ屋という設定で同じく飯田蝶子というところもいいなと思いました。)
内容はそんなことくらいで司葉子と結婚しようと思いますか?的な展開ではありますが東宝スター総出演というところで全てが許されると思ってしまいました。
観る機会があったらオリジナル版も是非観てみたいです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(「ハイスクール・ミュージカル」の面々で)
宝田明
(加村)
一応主役の設定なのでザック・エフロンで。
小林桂樹
(三木)
どちらかというと肉体派っぽい役なのでチャド役のコービン・ブルーで。
小泉博
(谷山)
ライアン役のルーカス・グラビールで。
司葉子
(伶子)
シャーペイ役のアシュリー・ティスデールで。


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