マザーウォーター MOTHER WATER (2010) | |
2010年11月 | |
京都を舞台にした今話題のほっこり系な映画。 おそらく小林聡美ともたいまさこの所属している事務所がメインでやっている感じのおなじみのスタイルでに今回は小泉今日子も加わって見た目的にメージャー感もアップして、何かほのぼのとした雰囲気を味わえるかなと思ったら内容のなさ度も今まで以上で、この映画は感想を書くのにものすごく苦労します。 とりあえず小林聡美のウイスキーしかお相手以内バー、小泉今日子のコーヒーしか出さない喫茶店に市川実日子の確か木綿豆腐しか出さない豆腐屋と全てが単品勝負なんです。別にそれはそれでいいのですが、これというエピソードも最後まで出てこないのでだんだん意識が薄れていくのを抑えるのが大変でした。 そんな中相変わらず謎なのがもたいまさこ。とにかく色々な場所に出没してはこの人何者なのだろうかと思わずにはいられないのですが、若手俳優の永山絢斗が小林聡美のバーに来たら勝手に注文しては頭をなでる勢いのちょっかいをだして本当に嫌そうにしているところだけが唯一目が冴えたところでした。 小林聡美を筆頭にみんなちゃんと演技できる人たちばかりなので次はこのメンバーでドラマ性のある映画を作ってもらいたいと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! (これといった内容がないので今回はなし) |
また逢う日まで (1950) |
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2005年8月 | |
空襲警報のさなか地下鉄のホームで偶然出会った田島三郎と小野螢子はたちまち恋に落ちるが三郎の父と兄はそれを許さなかった。そんな三郎もやがて戦地に向かう時がやってきて・・・ 父親と兄に戦争中に恋愛とは何事か!と叱られて不満が爆発しそうな金持ちの末っ子岡田英次とやや貧しげな家の娘久我美子のメロドラマなんですが、この岡田英次の役がどうも観ていて好きになれなくて・・・ 戦争中だからほとんどみんな丸刈り。そんな中、岡田英次は髪もオシャレにセットしているものだから父親にも軍隊に行った兄にも「たるんでいる!」と顔を合わせれば軽く嫌味を言われるわけですが岡田英次は毎回「あぁ僕の気持ちを分かってくれる人はどこにもいないんだ!!」と弱音を吐くわけですよ。弱音を吐くけど何か行動を起こせばいいけど、何かっていうと「あぁ○○だったら。」といちいち悲劇ぶって不貞寝する情けない奴なのでどうもこの役が好きになれません。 劇中しっかり者の久我美子もよくこんな奴と付き合うよなぁなんて思っていたら岡田英次に「こいつぅ」とオデコを突っつかれて喜ぶような娘でこのカップルについていけないなぁと思っていたら久我美子の母親役の杉村春子が後半出てきて盛り返しました。 ネタバレ→最後行方不明の娘の手がかりを得ようと出兵した岡田英次の乗る列車まで疾走するのですが←この走りっぷりが改札も無視して階段駆け上がるところなんて本当に鬼気迫るものがあって杉村春子はこうして見るとやっぱりすごい女優だと思いました。これは苦手と思った作品も最後は観てよかったと思わせる魅力の持ち主だと思います。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
岡田英次 (田島三郎) |
弱音を吐きそうな雰囲気のスチュアート・タウンゼントで。 |
久我美子 (小野螢子) |
そのタウンゼントと結婚が決まったらしいシャーリーズ・セロンで。 |
マタンゴ MATANGO (1963) |
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2003年12月 | |
ヨットで旅に出た7人の若者達、しかし激しい嵐によってヨットは無人島に漂着してしまう。やがて食料をめぐり仲間割れが始まるが、そこに恐るべき姿の生物が現れる。一方で無人島に群生するキノコを口にした仲間も体に異変をきたしていた・・・ 「吸血鬼ゴケミドロ」に続きこちらも極限状態におかれた人間のエゴを描いたなかなかの傑作です。 物語の冒頭、精神病院とも隔離病棟とも見分けのつかない場所で村井が後悔と事件の顛末を語るシーンから始まるという当時としては斬新な展開(だと思った)でやるなと思いましたね。 残り少なくなった食料をめぐり当然のように仲間割れが起きるんですけど「仲のいい友達面して、本当は見下していたんだろう。」とか言ったり言われたりしたらへこみそうな台詞が次から次へと出てきたり、食べ物を無人島では全く意味のない金で買おうとする金持ち、そしてその金を持って生き延びようとする仲間。人間なんてこんなもの、と言わんばかりにさらりと見せるところはじんわりとした恐怖感すら覚えます。 そしていよいよ登場するキノコの怪物マタンゴ。とことんチープで着ぐるみ感100%だ。しかもこのマタンゴ役がなんと天本英世っていうんだからびっくりしますよ。あの有名な天本英世だから面影くらいはあるだろうと思っていたらマタンゴに徹して面影なし。天本英世にもこんな時代があったんだなぁと思ったりもしました。 で肝心のラストはネタバレ→シーンは病院に戻り、村井が振り返ると実はマタンゴになりかけて研究材料にされている。(しかも本人は研究対象になっていると気がついていない)という←「吸血鬼ゴケミドロ」同様ダークな終わり方にしみじみしてしまいました。 あと劇中、水野久美が着ているレトロな水着がハイレグとは程遠いローレグ?に時代を感じたのでありました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
久保明 (村井研二) |
「ハルク」で好青年的イメージを残したエリック・バナで。 |
小泉博 (笠井雅文) |
何か企んでいそうなウェス・ベントリーあたりで。 |
水野久美 (関口麻美) |
ちょっとしたたかな所もありそうなキーラ・ナイトレイで。 |
八代美紀 (相馬明子) |
ちょっと前まで、真面目な役ばかりやっていた感じのケイティ・ホームズで。 |
待って居た男 (1942) | |
2006年2月 | |
宿場町の柊屋という宿屋で若女将の命が執拗に狙われる事件が起きる。たまたま柊屋に泊まっていた江戸の目明し文吉の妻お光が事件の解決しようとするのだが・・・ マキノ監督作品ですがあらすじも良く分からないままただ少女時代の高峰秀子が出ているということだけで観てみたのですが、これが意外にも宿場町サスペンスといった趣なのが戦前の作品ということを考えるとものすごく斬新に思えました。 メインとなる4人の顔ぶれが豪華ですけど高峰秀子、山田五十鈴、榎本健一、長谷川一夫といった順番にそれぞれメインとした話があって若女将殺人未遂を暴いていくところがこれまた斬新なんです。 それに例えば高峰秀子のちょっとした言動が最初まったく気にしていなかったのですが最後の謎解きにちゃんと活きていたり途中でこいつが怪しいと思った男が殺されたりしてサスペンスとしてもちゃんとしているところも感心します。 と全体的には面白いのですが終盤から登場してくるマヌケな目明しの榎本健一がやっぱり個人的には好きになれませんでした。「虎の尾を踏む男達」もそうでしたけどちょこまかしすぎるところが苦手なところなのかなぁと感じました。でも繰り返しギャクかってくらい出てくる「いろいろ親切に教えてくれてありがとう。」という台詞最終的におもしろかったです。 あと少女時代の高峰秀子はこの頃からすばらしかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
長谷川一夫 (文吉) | やるときはやりそうなジョニー・デップで。 |
山田五十鈴 (お光) | 負けず嫌いの印象のコートニー・コックス・アークエットで。 |
高峰秀子 (お雪) | 数年後のダコタ・ファニングにやってもらいたい。 |
榎本健一 (金太) | あのちょこまか感がジム・キャリーといった感じ。 |
瞼の母 (1962) | |
2010年12月 | |
渡世人の番場の忠太郎は幼い頃に生き別れた母親を探していた。やがてついに母親らしきおはまという料亭の女将の存在を突き止めるのだったが・・・ 中村錦之助の「母をたずねて三千里」的名感動もの。 ちょっと期待しすぎたせいか確かに出ている面子もすごくて演技もさすがなのですが、少々優等生過ぎて個人的にはもうちょっとパンチが欲しかったかなと思いました。四部構成っぽく話が割と分割気味なところも個人的には好みではなかったのかもしれません。 最初は渡世人で弟分の松方弘樹がトラブルを起こしてそれをかばって後半逆恨みされる感じの伏線があるエピソード。 二番目は盲目の三味線引きの浪花千栄子との心温まるエピソード。個人的にはこのエピソードがよかったです。 三番目は夜鷹の沢村貞子から木暮実千代へと繋がる情報を入手するエピソード。いい年して売春婦をやっているものだから誰も近づこうとしないし、むしろかつての仕事仲間の木暮実千代のところに金の無心に行って追い出されてボコボコにされそうなところを錦之助に助けられるのですが、錦之助は誰も差別することなく平等に接する親切に接するところがよく似合っていて感動さえします。 最後は苦しい生活から料亭の女将に成り上がった木暮実千代。散々苦労して来たし娘の結婚を控えていて突然現われた中村錦之助を当然のことながら信用していないのですがそこのところの冷酷さが木暮実千代らしくてよかったです。 総合すると、これはベテランの演技派女優三人がものすごくよかったんだなと思いました。 終わり方も想像していた終わり方と違って切なすぎてかなり余韻が残りました。これは映画というよりこの後のエピソードも盛り込んだ連続ドラマにすると良かったのかもと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村錦之助 (番場の忠太郎) | 雰囲気はトム・ハーディといったところです。 |
木暮実千代 (おはま) | アネット・ベニングあたりにお願いしたい。 |
幻の湖 (1982) |
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2004年8月 | |
愛犬シロとジョギングをすることが日課のトルコ嬢のお市こと尾坂道子だったがある日シロが何者かに殺されてしまう。復讐を誓ったお市は犯人の手がかりをつかみ東京に向かうのだが・・・ 噂に聞いていたまさに幻の迷作をようやく観ることができました。とんでもない作品と聞いて鑑賞し始めたものの最初っから素性の分からない女子が犬とただひたすら走り続けて(異常に長い)これはいったい何なんだろう?と思ったのもつかの間いきなりトルコ嬢と判明。そこでナンバーワンのトルコ嬢の淀君ことかたせ梨乃とひともんちゃくあったり、外人のトルコ嬢その名もキリシタン!ことローザがアメリカに帰るとかのエピソードがあったり、経営者に貯めた金をどこそこの銀行に入れてくれと言われたりして金融界の話まで絡んでくるのか?とか謎の笛吹き男が出てきたりとますますこの映画なんの映画なんだろうと思った矢先に愛犬のシロが何者かに殺されたという事件が発生。ここでようやく復讐の話かと感じ取れたけれどそこは迷作、ただの復讐物とは訳が違いました。 わずかな情報を得てシロを殺した犯人がどうやら顔は一切出さない人気作曲家の日夏という男らしいということを入手したお市は早速彼の事務所に行くのですが当然門前払い。「東京中の人々が日夏をかばっている。」なんてぶっ飛びの心の叫びも混ぜつつ途方に暮れるお市の前になんとアメリカに帰ったはずのローザが!実はローザありえないことに諜報部員?だったらしくあっさり日夏の顔と住所と電話番号をお市に教えてあげるというすごい展開。そして日夏の自宅の前で張り込んだお市はジョギングに出てきた日夏を得意のマラソンで追跡。しかし得意のマラソン対決でまさかの敗北。 で再び琵琶湖にもどってきたお市の前に謎の笛吹き男が登場。そこでこの男の持っている笛伝説を語るんですがいきなり展開が大河ドラマ。もうこんな展開についていくのがやっと・・・な訳はなく完全に取り残されています。 でシロのことは忘れて恋人(これが長谷川初範なんです)と結婚しようかと思った矢先に。客としてなんと日夏がお市の前に登場。いよいよ出刃包丁を持ったお市が日夏を追いかけるんですけど、トルコ嬢の格好をしたお市が出刃包丁をもって外を疾走する姿はあまりにも強烈です。しかも「ここの直線で一気につめる。」とか「自分のペースでいくのよ。」的な心の声が一瞬スポ根ものと錯覚します。いよいよ力尽きた日夏に追いついたお市がとどめを・・・と思ったら日夏を抜き去り「勝ったぁ。シロやったわ。」だって。思わず笑っちゃいましたよ。っていうかここ笑うところですよね?それでもって復讐をはたした瞬間スペースシャトルが飛ぶわで本当に分からなかったです。普通の人が観たらこれどう思うんでしょう?てちょっと考えちゃいましたけどこれ結構くせになるかも。一年に一回くらい観たいかも・・・ |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
南條玲子 (尾坂道子/お市) |
総合的にジュリエット・ルイスが自分の中でこの役にぴったりなんです。 |
満員電車 THE CROWDED TRAIN (1957) | |
2008年9月 | |
一流大学を卒業した茂呂井民雄はラクダビールに就職するも思い描いていた社会生活と違いすぎてやがてストレスが溜まっていき・・・ 市川崑監督のサラリーマン風刺コメディ。 大学の卒業式から始まりますが校舎が燃えてしまったので土砂降りの雨の中で卒業式。最初から川口浩はついていません。(この時ちらっと売れる前の田宮二郎が出ているところがうれしい。) ほとんど意味のなさそうな新人研修が終わって地方に飛ばされた川口浩は張り切ってしごとを始めるも、30分で一日の仕事を終えてしまい会社の先輩の船越英二からいかに少ない仕事で一日もたせるかという事を聞かされがっかりします。地方に飛ばされたので友人もいなければ女関係も就職時に清算してしまったので休みの日もすることなし。 そんなこんあで父親の笠智衆から母親の杉村春子がおかしくなったと手紙が来て心配していたら実はおかしくなったのは笠智衆のほうだったり、急病で注射を打ち目覚めたら髪が全部白髪になったりふんだりけったり。 会社を辞めて次の働き口を見つけるも一流大学卒が逆に裏目に出てクビ。そして新しい仕事を始めるも・・・ という展開に風刺が効きすぎてちょっと笑えないのですが後からじわじわとこの映画よく出来ているなぁと感じました。 調べてみたら各キャラクターの名前が川口浩が茂呂井民雄でもろい?船越英二が更利満でサラリーマン。小野道子の壱岐留奈なんて生きるな?すごいセンスです。ラクダビールも楽だってことなんでしょうか。内容は辛口ですけどネーミングセンスのユーモアは素晴らしいと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
川口浩 (茂呂井民雄) | ついてなさそうな加瀬亮で。 |
卍 (1964) |
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2005年2月 | |
美術学校で出会った徳光光子と夫を持つ柿内園子はやがて愛し合うようになるのだったがやがて園子の夫、孝太郎も光子に惹かれて行き・・・ 増村保造監督のイメージってタイトルが、「足にさわった女」、「「女の小箱」より 夫が見た」、「くちづけ」とかエロスを想像させる監督だと思っていたけれど実はそうでもなかったんですよね。実際この「卍」が最初にイメージしていた増村監督像に一番近かったかなぁ? 最初は岸田今日子が若尾文子に惚れ込んで家に連れてくるのですが「ミッちゃんの裸が見たい。」と言って裸になることを強要するのには笑ったけど肝心なところを見せない若尾文子に「ミッちゃんなんて嫌いや。」なんて駄々をこねて強引に若尾文子を裸にする岸田今日子には相変わらずすごいものを感じます。 後半も若尾文子の彼氏の川津祐介にばれちゃったもんで二人は狂言自殺をするんですけど岸田今日子が眠っている間に旦那の船越英二と出来ちゃって若尾文子も魔性の女っぷりで負けていないところがすごいんですがここから船越英二と岸田今日子が若尾文子を取り合うというおかしな展開が始まるわけですけどこの二人がコミカルで楽しかったですね。特に船越英二なんて今まで陰気な役柄が多かったので「「女の小箱」より 夫が見た」と合わせてとぼけた面白さを出せるんだぁと一気に船越英二株が上がりました。 ラストはネタバレ→三人で睡眠薬を飲んで自殺を図るのですが←もちろんそんなことで死ぬことじゃない岸田今日子は人間離れしていること間違いないのでありました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
若尾文子 (徳光光子) |
可愛い顔して何気にセクシー路線のヘザー・グラハムで。 |
岸田今日子 (柿内園子) |
ボケてよし、駄々こねてよしのリサ・クドローで。 |
船越英二 (柿内孝太郎) |
とぼけた味わいはお得意のオーウェン・ウィルソンで。 |