日本映画

め


明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史
(1969)
3
2010年8月
監察医務院の執刀医村瀬は自殺した自分の妻の死体を解剖しているうちに何故このようなことが起こるの過去に起きた猟奇的な事件を調べ始め・・・
石井輝男のぶっ飛び実録もの。
何がすごいって自殺した妻を解剖したら妻の体内から他人の精液が検出されて、なんでこんなことが起こるのだろうかと過去の事件をおもむろに調べ始める吉田輝雄というオープニング。
「ホテル日本閣殺人事件」「阿部定事件」「象徴切り事件」「小平事件」「高橋お伝」が次々と展開されていくのですが犯罪者の女たちはみんな愛欲にまみれています。
石井輝男の作風で各エピソードが濃すぎて内容がさっぱり頭に入ってこないのですが「阿部定事件」のエピソードは強烈。賀川雪絵が阿部定を演じる前に
本物の阿部定登場。何だかよく分からないですが吉田輝雄が阿部定に当時の事をインタビューしているところがシュールすぎて頭から離れません。
それと「小平事件」というのだけが女性が次々と犯されては殺されるという女犯罪史とは趣旨が違うかなと思えるエピソードが混ざっているのですが、この犯人を演じたの小池朝雄がギラギラしすぎてはまりすぎて怖かったです。
とまぁ「阿部定事件」と「小平事件」だけ観れば大体パンチの効いているところは押さえてあるので十分だと思います。
ネタバレ→
それで結局、吉田輝雄はこれだけ調べて妻が自殺した原因が分からなかった。で済ますところがすごすぎるというか石井輝男だかた許されえることだなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
吉田輝雄
(村瀬)
見当違いなことをしているのが似合いそうなニコラス・ケイジで。


夫婦善哉
(1955)
3
2006年6月
化粧問屋の柳吉と芸者の蝶子は駆け落ちするのだが柳吉は勘当されてしまいすぐに金は底をついてしまう。蝶子はしかたなく芸者として働き始めるのだが・・・
この映画多分名作なんだと思うのですが個人的には内容は違うけどまるで高峰秀子と森雅之の「浮雲」のようでイマイチ好きになれませんでした。「浮雲」の森雅之もそうだったんですけど人間的にだらしないなぁってところが観ていて嫌な気分になるんですよね。
病気の妻がいて娘だっているのに芸者と駆け落ちするのはいいとして、勘当されたんだからどうにか働いて生きていかなきゃならないのにいつまでも実家に執着しているところがまず観ていて情けないなぁと思うしおまけに化粧問屋の従業員に当り散らすところなんてダメ人間じゃんと思ってしまうわけです。
そんな森繁久彌のどこがいいのか淡島千景が代わりに働いて生活費を稼ぐところなんかはちょっと理解に苦しむなぁなんて感じてしまうのです。
でも淡島千景は尽くす女だけどねちっこくなくいつもどおりさっぱりした感じなところがよかったです。
続編があるだけに「浮雲」みたいな終わり方じゃなくて森繁久彌の一家にはとうとう許してもらうことはなかったけれどお互いしっかり愛し合ってよかったという感じなのでそこはよかったかなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
森繁久彌
(維康柳吉)
情けない役もいけるジョン・C・ライリーで。
淡島千景
(蝶子)
男運がないナオミ・ワッツで。


めがね
(2007)
4
2007年9月
南の島の小さな宿ハマダにやってきたタエコ。あまりにアットホームな宿の主人や常連客にうんざりしたタエコは宿を出て行くが・・・
「かもめ食堂」のスタッフキャストが再集結したヒーリングムービー。
観終わった後はうーんという感じなのですがじわじわと来るタイプの映画だと思います。
青い海や砂浜などゆったりした感じは「かもめ食堂」に通じるところがあるのですが台詞がほとんどないから本当にまったりしてしまうのでこれが平気がどうかがこの映画を受け入れられるか受け入れられないかのポイントだと思います。
内容はなんとなくあってないようなもので最初はハマダに馴染めなかった小林聡美が次第にハマダの魅力にはまっていくというような感じなのですが、もたいまさこはすっかり宿の主人かと思っていたら毎年春先にやってくる常連客という設定でした。そんなもたいまさこが朝になったら勝手に枕元に座って笑顔で「朝ですよ。」だって。さすがもたいさん怖いです。謎のメルシー体操なども島民に指導してもたいさんは独特の雰囲気があっていいですね。
市川実日子も面白いタイプの人だなと前々から注目していて今回は唯一はっきりものを言うタイプキャラでたまに小林聡美と口論めいたことをするシーンなどはのんびりした雰囲気にアクセントとなっていてよかったかなぁと思います。
女優陣3人が出演した「すいか」という錬ドラがあったのですがなんだか久しぶりに観たくなりました。
宿の主人の光石研は本当に人のいい感じがして食事も見た目より食べておいしいリアルさを追求して作られただけあってどれも美味しそうでこんな宿なら一度は行ってみたいと思わせ、ハマダに集まってくる人たちもいい人ばかりで毎日忙しい思いをしているのでこんな何もない宿でまったりと過ごすという一種のファンタジックな体験してみたいと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
小林聡美
(タエコ)
コメディセンスのあるマリサ・トメイで。
市川実日子
(ハルナ)
独特な雰囲気のあるマギー・ギレンホールで。
加瀬亮
(ヨモギ)
見た目はまったりしているエイドリアン・ブロディで。
光石研
(ユージ )
ウィリアム・H・メイシーが宿の主人だったら嬉しい。
もたいまさこ
(サクラ)
意外ともたいさんに似ている気がするフェリシティ・ハフマンで。


めし
REPAST

(1951)
4
2005年7月
倦怠期を迎えた大阪の岡本初之輔・三千代夫婦の下に姪の里子が突然東京から家出をしてやってくるのだが里子の奔放すぎる性格に夫婦の間は前にも増して険悪になり・・・
上原謙の原節子にとる態度が面倒臭そうでやる気のないというか素っ気ない態度がなんだか今時というか自分がちょっと面倒臭い時にする態度に似ているような気がしてちょっと反省したりもしながらも原節子の嫉妬深いキャラを堪能しました。
魔性系のギャル島崎雪子が上原謙にいちゃついているのを見かけるたびイライラする原節子が気に入らないことがあるとしゃべらなくタイプの怒り方をするからリアルで恐いものがありました。そりゃそうだ。この島崎雪子、劇中で上原謙にじゃれついていたらいきなり鼻血出したりしてそのことがばれちゃ原節子だったら怒りそうですもん。
ネタバレ→
最後原節子は実家に家出するのですが上原謙が最終的に迎えに来て上手くまとまるのですが上原謙は正しい選択をしたと心底思うのでした。
小津作品での原節子は観たことがないのですが、そのほかの監督作品を観るたびにその大女優と呼ばれたわけが理解できたようでどんどん好きになっていきます。今回の役どころは違いますが、大抵がこいつなんちゅう女だと腹が立つようなビッチなキャラクターなんですけどそこがまたつっこみどころ満載で魅力的なんですよね。
自由奔放な姪役の島崎雪子は10年後に「暗黒街の弾痕」と「顔役暁に死す」でミステリアスな悪女を演じた人と同じだよと教えてもらって、この人すでに若いときから魔性の女だったんだなぁとびっくりしました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
上原謙
(岡本初之輔)
家庭では何があっても動じなさそうなジョニー・デップで。
原節子
(三千代)
大女優の風格漂うケイト・ブランシェットで。
島崎雪子
(里子)
奔放なイメージのスカーレット・ヨハンソンで。


眼の壁
(1958)
3
2010年10月
会計課の荻崎の上司が手形詐欺に遭い自殺をしてしまう。荻崎に残された遺書を読み、単身、事件の真相を暴こうとするのだが・・・
松本清張原作のサスペンス。
佐田啓二が上司の自殺の真相を追ううちに巨大な闇組織立ち向かい、ミステリアスなファムファタール的な美女、鳳八千代も絡みいかにも松本成長らしい内容なのですがそういう感じがするのは前半だけですかね。
いかにも冴えない感じの佐田啓二の上司が途方に暮れているシーンがものすごく松本清張色が濃くていい感じです。いかにも闇金という雰囲気のする事務所でこんなにもあっさりと騙されてしまうものかと思うと昔の日本はある意味平和だったのかなとも思ってしまいました。
そんなこんなで、社長秘書の鳳八千代を追っていくうちに秘密の香りのプンプンする高級なバーにたどり着きそこで、悪女的な立場の鳳八千代もなんだかんだ言って佐田啓二のことが気になってしょうがなくなるという展開と同時に次第に死体もどんどん増えていってサスペンス度が上がっていきますが、
後半いきなり黒服の手下がたくさん出てきて松本清張作品というよりは東宝のギャング映画という感じがして、今まで観てきた松本清張作品で最も松本清張作品らしくないなと思いました。ラストなんてネタバレ→ボスが硫酸風呂に飛び込んで絶命というところが本当に東宝っぽいなと思いました。
これ佐田啓二がちょっと男前だからいけないのかな、小林桂樹みたいな人のほうが会計課というキャラクターにも合うしもうちょっと現実的な内容になったのかなななて思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
佐田啓二
(萩崎竜雄)
クライヴ・オーウェンがこういう役がぴったりなんです。
鳳八千代
(上崎絵津子)
マリオン・コティヤールあたりにお願いしたい。


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