日本映画

み


乱れ雲
SCATTERED CLOUDS
(1967)
3
2005年7月
夫の海外派遣も決まり幸せの絶頂の江田由美子。しかし突然夫を交通事故で亡くしてしまう。夫の葬儀の日、夫を轢いた三島史郎が現れ由美子は激しい怒りを覚えるのだったが・・・
交通事故の加害者と被害者の妻が許されない恋に落ちる成瀬巳喜男監督最後の作品。
幸せの絶頂にあった司葉子がじわりじわりと不幸になっていく様が品のある昼ドラといった印象を受ける本作、司葉子はどこか幸薄そうな雰囲気で最終的にエリート官僚の妻という座から旅館で働くところまでになってしまうという役どころがぴったりで観ていてなんか切なくなるところは良かったのです。
この役って結局無罪になるけど持ち前の性格で個人的に慰謝料を払うとても誠実な人で確かに加山雄三は誠実そうなんですけど、やはりどこかおちゃらけているというかにやけた感じが残っているので相手役の加山雄三がちょっと・・・と感じてしまいました。
愛が芽生え始めた頃に加山雄三がパキスタンに転勤になって司葉子が行こうかどうしようかと迷ってネタバレ→
パキスタンに行きかけるけど偶然にも車の事故現場を見てやっぱりこの人とは一緒になれないと悟るラストシーンは哀愁があって好きなんですけどね。
成瀬組と言っていいのでしょうか?加東大介、草笛光子なんかも出ていておまけに森光子まで出ている中に一人中丸忠雄が加山雄三のよき上司役として出ているのがなんだか衝撃的でした。というか
こうして見るとこの成瀬組の面子に加山雄三と中丸忠雄はやっぱり違和感あるんだなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
加山雄三
(三島史郎)
生真面目さからいくとジム・カヴィーゼルが適役です。
司葉子
(江田由美子)
男運がない役といえばナオミ・ワッツです。


乱れる
YEARNING
(1964)
4
2005年7月
酒店に嫁いで半年後、夫は戦場に行き先立たれてしまった。妻の礼子は18年の間酒屋を一人でやりくりしていたが最近近所にスーパーマーケットができ近所の商店街は経営危機となるがそんな中、東京の会社を辞めた義弟の幸司が帰ってきて・・・
やっぱり高峰秀子は旦那に先立たれ旦那の実家に一人他人として暮らしているという役が良く似合いますね。しかもスーパーマーケットの進出で地元の商店街があたふたして町の個人商店が終わりをつげつつある時代の中で高峰秀子が必死に店をきりもりする姿なんて健気で正しい高峰秀子像だなぁと感じました。
加山雄三も実力はあってやればできる子なのに仕事もろくにしないでぶらぶらしているって役もいい感じ。そんな加山雄三が酒屋をスーパーマーケットにして世知辛い世の中を生き抜いていこうじゃないかと密かに考えていたりしてやっぱり加山雄三はやればできる子でした。
そんな計画に乗り気の義理姉妹の草笛光子と白川由美は高峰秀子がちょっと目障りだから「まだ若いんだから・・・」と結婚させて森田家だけでスーパーをやっていきたいと思っていたりするけど、加山雄三は店を18年かけてここまでにしたのは義姉だから彼女を重役にしなきゃいけないと熱血感を発揮。なぜなら高峰秀子の事をずーっと好きだったからでこれを告白してからの二人の義姉、義弟の関係が微妙に変化して
高峰秀子はこの状況が耐えられなくなって「実はずっと好きな人がいるから出て行きます。」って自ら家を出て行くんですよ。高峰秀子度100%で切なくなります。
これで森田家を去って終わりかなぁと思ったら最後見送りに来た加山雄三もちゃっかり電車に乗ってついてきて今度こそこれで終わってハッピーエンドかと思ったらさらに最後ネタバレ→
温泉旅館でもうちょっとでキスするって所までいって高峰秀子がそれを拒絶して翌朝目覚めたら加山雄三が崖から落ちて死んでいるんですよ。←この終わり方すごいですよ。この衝撃のラスト当時も相当話題になったようで、この後絶対草笛光子に散々言われるんだなぁと思うとやるせなくなるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
高峰秀子
(森田礼子)
ここまで不幸な役はやはりナオミ・ワッツにお願いしたい。
加山雄三
(森田幸司)
やればできる子的な役もいけそうなジェームズ・フランコで。


水戸黄門
(1957)
4
2009年3月
江戸に戻った水戸黄門は偶然高田藩のお家乗っ取り騒動を知り、やがて黒幕を突き止めて・・・
月形龍之介版「水戸黄門」全14シリーズ中の11作目。何でも月形龍之介デビュー38周年記念という中途半端な記念作品ながら、さすが記念作品だけあって出演者が異様に豪華です。
案外影が薄かった助さん格さんに千代の介&橋蔵。生類憐みの令を出した綱吉を千恵蔵御大。乗っ取られそうな高田藩を何とかしようとする大河内傳次郎に市川右太衛門。許婚をとられてしまう侍に大友柳太朗、その婚約者に長谷川裕見子。巾着切りのカップ利に中村錦之助&千原しのぶにこのほかにも入江たか子やら何やらとにかくオールスターキャストで顔ぶれを観ているだけでも楽しめます。
話のほうも助さん格さんなんてほとんどパシリ状態でおいしいところは黄門様ひとりじめというところが月形龍之介デビュー38周年記念という感じがします。この映画ではお守り袋が印籠代わりなのですが、泊まっている宿屋に黒幕の手下たちが押し寄せてきた時に黄門様が一人こっそり、お守り袋を見せてその場を凌ぐところもテレビ版の「ひかえー!」と違って自分の力でなんとかするところも逞しいなぁと思いました。最後のチャンバラも杖で大立ち回りしていましたし。
黄門様は普段割りと悪役が多い人がやるといい感じになる印象があるので月形龍之介はまさにはまり役でした。
脇役ではやっぱり巾着切り(スリ)の中村錦之助が一番いい仕事をしています。なにしろ江戸っ子の設定が本当にはまっているし、先に黄門様のことに気がついたライバルで彼女?の長谷川裕見子に「あのひと黄門様だよ。嘘だと思うんならお守り袋スッてみなよ。」と言われてスッみたら本当に黄門様で。土下座して謝った後に色々と諜報活動するという話のつなげ方が王道なのですが役者が上手いのですっきりと観ることが出来ます。
資料によるとシリーズの最初の頃は「せむし男」とか「化け猫」なんかが出てくるB級の怪奇路線だったらしいのですが、この辺りの水戸黄門も是非観てみたいものです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
月形龍之介
(水戸黄門)
クリストファー・リーがやるとはまりそうです。


実は熟したり
(1959)
4
2009年12月
結婚適齢期になった高庭しのぶは見合いを重ねては見合い相手を友人などに回していた。そんなしのぶはかつて家に居候していた何でも相談できる日向五郎を密かに思っていたが、日向五郎も次々と結婚の話が持ち上がり・・・
若尾文子と川崎敬三のちょっと辛口な恋愛もの。(軽くコメディは入っていると思います。)
いつもこの時代の現代劇を観ると思うのですが、世間の結婚感に時代性を感じます。21、22歳くらいでもう結婚話ですよ。家のものもよってたかってお見合い話を持ってくるありがた迷惑なことが日常茶飯事だったんですね。この映画だと沢村貞子が世話焼きおばさんとう役どころで鬱陶しかったです。
1959年という若尾文子も大映の大スターとまではいえないポジションの時の作品なので出ている人もこれ。という要素がないのが珍しいところだと思いました。なんといっても
田宮二郎が若尾文子のお兄さん役なのですが川崎敬三より完全に格下で年上の彼女の存在を両親に伝えることが出来なくて酔っ払ってくだを巻いていたら川崎敬三にぶん殴られていましたよ。60年以降だったら殴る立場だよなぁと思いながらしみじみとしてしまいました。
若尾文子と川崎敬三は置いておいて、今回は川崎敬三を強引にゲットしようとする金田一敦子と若尾文子の恋人に立候補する体育会系のとってもいい奴、友田輝について書きたいと思います。
金田一敦子はモデルという役どころでさすが金田一さんという感じなのですが性格がものすごく悪くてビビリます。金田一敦子のイメージとしては美人で物静かという印象だったのですが、川崎敬三をゲットするためには自殺未遂もする強引な女。そして紹介しに行く先であからさまにあいつはやめとけと言われる性悪な役は斬新でした。
若尾文子のことが好きで好きでたまらない友田輝という人はどうやら新人さんみたいなのですが、その後は伸びなかったのは残念。恋敵にもなる川崎敬三のことも若尾文子のことを思って色々アドバイスするところとかたまに勘違いして先走ったりするけれど憎めない奴なので応援したくなります。
ラストはネタバレ→
川崎敬三は金田一敦子の間の手から逃れたのに若尾文子を振るところが辛口。若尾文子もクヨクヨしないで友田輝に吹っ切れるところがほろ苦いのですがらしくてよかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
若尾文子
(高庭しのぶ)
さばさばしていそうなケイト・ハドソンで。
川崎敬三
(日向五郎)
パッとしないハンサムという感じのポール・ウォーカーで。
友田輝
(堀田雪夫)
私生活でもいい人というよりいい奴という言葉が似合うクリス・エヴァンスで。
金田一敦子
(水上みどり)
イメージはシエナ・ミラーと言ったところでしょうか。


宮本武蔵
シリーズ第1作
MIYAMOTO MUSASHI 1

(1961)
5
2004年10月
新免武蔵と本位田又八は関が原の戦いに加わるも敗れて傷ついたが宿屋を営むお甲とその娘朱美に助けられた。しかし又八は許婚のお通の事を忘れ、武蔵をひとり残しお甲と駆け落ちしてしまう。武蔵は故郷の宮本村に帰るのだったが・・・
宮本武蔵といえば佐々木小次郎くらいしか知らなくてこの機会にぜひ観てみようと思っていざ鑑賞してみたらすっごく面白かったです。
ドラマ部分で作品を持たせているところがよかったし、なにより武蔵はもちろん脇役達のしっかりそれぞれ個性溢れるキャラクターとなっているところがすばらしかったです。第1作目は武蔵が沢庵の厳しさとお通のやさしさにふれ人間らしさを取り戻すまでを描いていますが、なんといっても沢庵役の三國連太郎は武蔵に対してちょっと意地悪なところもありながら武蔵に敵対する村人達には煙に巻くような言動でさりげなく武蔵を助けるちょっと人を食ったようなキャラクターが何とも言えずシリアスからコミカルまで演技の幅が広い三國連太郎に感心しました。
そしてなんと言っても又八が帰ってこないのは武蔵のせいにして逆恨みするお杉役の浪花千栄子につきます。「悪名」の時の因島の女親分で愛のあるしごきを勝新太郎にやっていましたけど今回は武蔵が一体何した?ってくらいとことん意地悪なところ、千年杉に吊るされた武蔵を見て「もうくたばったかのう?」的なことを言ったりするシーンは逆に気持ちがいいくらいです。
ここまで嫌われる理由は武蔵が「おばば」と呼んでいるからに違いないと思うのでした。
中村錦之助の武蔵もやんちゃでパワフルな感じはどことなく松方弘樹を彷彿とさせますが、極道のそれとは違うんですよね。それでいて落ち着いた演技も出来て人を惹きつける魅力もある。この人はスターだったんだなぁと「沓掛時次郎」と併せて鑑賞しましたがそう感じました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中村錦之助
(新免武蔵/宮本武蔵)
ハリウッドの暴れん坊ラッセル・クロウで。
入江若葉
(お通)
見るたびに演技の幅を広げている幹事のするジェニファー・コネリーで。
三國連太郎
(宗彰沢庵)
人を導く役はやはりイアン・マッケランで。
浪花千栄子
(お杉)
ローレン・バコールのいじわるっぷりを堪能したい。
木村功
(本位田又八)
ダメ男っぷりがどことなくロブ・ロウを連想させて・・・


宮本武蔵 般若坂の決斗
シリーズ第2作
MIYAMOTO MUSASHI 2

(1962)
5
2004年10月
暗黒蔵に三年間こもった武蔵は名前を宮本武蔵とし武芸の旅に出る。約束の地でお通との再開と別れを告げた武蔵は道中、名門吉岡道場に試合を申し込むのだったが・・・
三年ぶりに日の光を浴びる武蔵は・・・えっ!?礼儀正しすぎて、あの荒くれ者の武蔵はどこへ行ったんだ?こんなの武蔵じゃないと最初は戸惑いましたがそんな礼儀正しい武蔵にもすぐに馴染みました。なぜって武蔵は三年間心の修行をしていたんですからね。そんな武蔵がお通と逃げるように別れてからがいよいよドラマチックになってきたなぁと感じました。
武蔵にくっついてくる青木丹左衛門の息子城太郎という少年が今回から物語に参加。本当に小汚くてハナタレ小僧という感じがするんですけど愛嬌があっていいですね。武蔵に置いてけぼりになって必死に追いついて泣きながら「おじさんの馬鹿、馬鹿。」と武蔵に抱きつくとすかさず武蔵が「おぉ、すまぬ、すまぬ。だが泣くことはなかろう。」みたいな一連のやり取りが観ていてすっごく微笑ましかったです。
城太郎役の子に限らずこの時代の子役はちゃんと「子供」でいるところがいいなぁと思います。オズメント君やダコタちゃんにはこの子供らしさはだせないでしょう。
この城太郎が武蔵のつかいからの帰り道に又八に出会う代わりに朱美に出会ったり、お通と途中まで旅をしたりして、城太郎も武蔵の名前を口に出しそうで出さないもどかしさ。会いたい人はすぐ側にいるのに会うことが出来ないニアミスの連続がなんとももどかしくもありハラハラして個人的にはこのニアミス感が「宮本武蔵」シリーズの醍醐味だと感じました。
性悪のお甲の娘、朱美も後々色々武蔵に遺恨を残す吉岡道場の長、清十郎に惚れられて大変だったりするわけですがこの微妙に繋がっている人間関係の描き方が絶妙ですね。
タイトルとなっているクライマックスの般若坂の決斗では悪牢人たちを一掃する武蔵がもちろんよかったけれどこの戦いが宝蔵院の日観による悪牢人を掃除する策と気がつき悔しがりながらもまたひとつ人生経験をして人間的に成長する武蔵・・・みたいな終わり方が次はどんな風に成長するんだろうか?と楽しみで仕方なくなるのでした。
三年間花田橋の側の竹細工屋でお通が世話になった店の女房はよく見たら赤木春恵。あまりに自然な役作りで前作じゃ全く気がつかずちょっと悔しかったなぁ。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
木暮実千代
(お甲)
ここのところ性悪No.1といえばダリル・ハンナで。
丘さとみ
(朱美)
意外と幸薄い役が多いクレア・デーンズで。
江原真二郎
(吉岡清十郎)
清十郎を見ていたら「トロイ」のオーランド・ブルームが思い浮かびました。
月形龍之介
(日観)
一筋縄ではいかなそうなベン・キングスレーで。


宮本武蔵 二刀流開眼
シリーズ第3作
MIYAMOTO MUSASHI 3

(1963)
5
2004年10月
更なる剣の技を磨くため柳生の里へとやってきた武蔵。石舟斎に出会うきっかけを得た武蔵は城太郎を使いに出し柳生四天王と顔をあわせるようになるのだったが、城太郎が柳生家の愛犬を殺してしまい・・・
柳生の里での二刀流開眼から宿敵、佐々木小次郎の登場そして吉岡清十郎との対決までを描いたシリーズ第3作。
一回目の使いで柳生の愛犬にやられて帰ってきた城太郎に武蔵が「どうかしたのか?」と聞くと「何でもありません。」なんて半泣きで答える城太郎がだんだんいい味出してきて楽しかったです。だからって二回目の使いで勝負を挑んで殺しちゃったよ犬を・・・言い訳も「ちゃんと勝負を挑んだんだからいい」みたいなさすが武蔵の弟子のある事を証明するかの発言が感心しました。お通もなぜか柳生の里で世話になっていて相変わらずきわどいニアミスにハラハラさせられます。
で、いよいよ宿敵佐々木小次郎の登場なわけですが、小次郎役が高倉健。佐々木小次郎といったらイメージとしてはビジュアル系な気がするんですが高倉健ってどう転んでも違うよなぁ。
高倉健は純和風のイメージだから笑っちゃいけないけど佐々木小次郎のど派手な衣装が全然似合っていませんでしたよ。
宿敵ってことで今回は小次郎のエピソードにも結構時間を割いてそこから吉岡道場の弟子がお甲にそそのかされて金を持ち逃げしたり小次郎が吉岡道場の客人になったり上手い具合にエピソードが繋がっていてよく出来た話しだなぁとつくづく感心してしまいました。それにしても朱美は母親のお甲に駆け落ちされたり、清十郎に操を奪われたりと一番可哀想なキャラクターだなぁ。
そして清十郎との対決の前に橋の周りで武蔵、小次郎、お通、朱美、お杉たち需要人物がそろう終盤はいよいよというかさらに話が盛り上がってきたなぁと感じずにはいられないのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
高倉健
(佐々木小次郎)
常に勝気で自信家のイメージがあるヴァンサン・カッセルで。


宮本武蔵 一乗寺の決斗
シリーズ第4作
MIYAMOTO MUSASHI 4

(1964)
5
2004年10月
清十郎を倒した武蔵は弟の伝七郎に果たし状を受けそれに応じ伝七郎を倒すのだったが吉岡道場は総力を挙げ最後の面目を賭け武蔵に勝負を挑むのだった・・・
伝七郎はどこかで見たことある顔だなぁと思っていたら前作で柳生の里で石舟斎に会えなかった奴かぁ。しかも風呂で武蔵とさりげなく顔を合わせていた事に気がつきしょっぱなから感心してしまいましたよ。
そうそう伝七郎役は平幹二郎なんですけど、どうしても平幹二郎だけは顔が覚えられません。
そんな伝七郎との対決のあと再び戻った遊郭では吉野太夫にかくまわれてその晩いろいろとさとされてまた一回り武士として成長する武蔵だったりもするんですが次の朝、置いてきた城太郎がまたひょっこりと現れて「師匠様のばかやろう。」と抱きつけば「おぉ、城太郎来たのか。」といつもの楽しげなやり取りが微笑ましいのですが、
武蔵も城太郎を置いてけぼりにしといてあっさり「来たか。」ってさりげなくひどいです。城太郎も結構慣れっこになっているところもすごいけどあんまりやりすぎると城太郎は人間不振になりそうでちょっと心配になりました。武蔵の使いに出る時は「お師匠様どこにも行かないよな。、きっとだぞ。」みたいな念押しが最近入ってきてますから。
そんなこんなしているうちにいよいよ武蔵と吉岡道場の最終決戦が始まろうとするわけですがその前夜、突然のお通との再開が実現。武蔵がお通を振り切って決戦に向かおうとしつつもたまらず抱きしめるシーンはぐっと来ました。花田橋での別れから一体何年経っているのだろうか?その年月を思うと二人が再開したのはニアミスは幾多もあったけどやっぱり奇跡的だしだからこそ感動するんですよね。
クライマックスの一乗寺の決戦は夜明け前という設定を白黒で表現する斬新な手法に感心し、一対七三のその圧倒的な殺陣のシーンはそんなに数はないけど今まで観てきた映画の中で一番ですね。ネタバレ→吉岡道場の大将に祭り上げられた少年までも殺して←しまう武蔵ではあるけどこれは彼なりのポリシーがあるから。だから最後に悪人扱いされても「悔いはない。」と言い切れるのだ。時に人に嫌われようとも自分の信念を曲げない武蔵はやはり魅力的なキャラクターなのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
岩崎加根子
(吉野太夫)
モニカ・ベルッチは遊郭でNo.1のキャラクターにぴったりで。


宮本武蔵 巌流島の決斗
シリーズ第5作
MIYAMOTO MUSASHI 5

(1965)
5
2004年10月
親に先立たれた伊織と出会い江戸にやってきた武蔵達はそこで小次郎の刀を目にする。一方、細川家の指南役となった小次郎も武蔵の気配を感じ取り小次郎は武蔵に果たし状を送り・・・
あぁ、壮大な「宮本武蔵」五部作もあっという間に最終章。まるで「ロード・オブ・ザ・リング」を観おわった時の満足感を味わいました。一年一作の武蔵の成長記はもちろんお通役の入江若葉は最初この人大丈夫?と思ったけどちゃんと演技も成長していていろんな意味を込めて五年間で成長したんだなぁと感心しました。最後ということでしばらく出てこなかった三國連太郎の沢庵和尚も出てきてこれで終わりだと思うとなんだか切なくなります。
もちろん「巌流島の決斗」となっているのでメインは佐々木小次郎との対決なんでしょうけど個人的には今までニアミスを繰り返してきた人々がついに再開をはたすところがやっぱり好きです。とくにお杉がついにというか偶然なんですけど又八に再開してお通や武蔵を責めた自分の過ちに気がつくところや最後、舟島に向かう武蔵に向かって「たけぞーう!生きて帰ってくるのじゃぞぉー。」と言って泣き崩れるお通を支えるお杉を見て、
おばばもやはり鬼じゃなかった。武蔵も分かり合えて本当によかったね。(個人的にはここが最大の感動ポイント)原作などを知っている方たちはここの脇役達のエピソードのまとめ方が今一歩の人が多いみたいですね。個人的には原作も何も知らずに観たのでまぁお杉たちのエピソードはもっと見たかったというのは正直ありますけど、これだけあっさりしていると逆に彼らがこれまでどんな生活をしてきたのか想像できて楽しいかったです。(途中で駆け落ちしたお甲はいったいどうしているのかとか・・・)
話は前後しますが今回は城太郎が出てこないから物足りないなぁと思ったら、途中でまたまた口の達者な小童と出会って一緒に旅をして武蔵は本当に子供に好かれるいい奴なんですね。というか中村錦之助の映画って必ず口の達者な小童が出てきて楽しませてくれすんですよね。このシリーズを観て錦之助がTV版の「子連れ狼」をやっているのは大いに納得しました。
最後も小次郎を倒した武蔵がネタバレ→
自分の進んできた道はこれでいいのか?と自問する引きのショット←で終わるのですが武蔵の自分探しの旅は続くんだろうなぁとしみじみとした余韻を残してくれました。
16年後にテレビ東京の正月にやっている12時間時代劇で「それからの武蔵」というのをやったらしいのですがこの作品TSUTAYAで見かけたのでこれは観なければと思うのでした。「子連れ狼」と併せて・・・
ハリウッドバージョンはこの人で!!
片岡千恵蔵
(長岡佐渡)
武蔵を只者ではないとすばやく見抜いた片岡千恵蔵のこの役、人を見る目がありそうなアンソニー・ホプキンスで。


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