盲獣 (1969) |
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2004年9月 | |
モデルの島アキはある日自宅に招いた盲目のマッサージ師、蘇父道夫に誘拐されてしまう。彼の目的は美しい肉体を持ったアキの彫刻を作ることだった。最初は抵抗していたアキだったが次第に道夫と愛し合うようになっていて・・・ 盲目の彫刻家がマッサージ師としてアキの家に行く序盤からすでにただならぬ雰囲気を漂わせています。マッサージじゃなくって胸揉んでるじゃん、そりゃ「もう結構です。」っていわれるよなぁ。 盲目の道夫は彼のアトリエにアキを監禁し彼女の彫刻を作るのですが、触覚(触って)で楽しめるアートを作るという目的が道夫にはあるのです。そんな説明をされたアキは納得するわけもなく幾度となく逃走をするけど失敗。だけどこのアキという女そうとう性悪だから道夫を愛して理解したふりをして今度は母親を嫉妬させて母親のしのから出て行ってくれと仕向ける作戦。アキとじのとのプチ嫁姑戦争みたいなのが楽しかったし、このしたたかさが好きだなぁ。しかもこの役の緑魔子しかいないだろうってくらいのはまりっぷりにちょっと惚れました。 そんな母親ともめているうちにネタバレ→道夫は母親をふとしたはずみで殺してしまい←二人は地下のアトリエで愛し合うようになるのですがやがて普通の愛し方では満足できずお互いを傷つけあうことに悦びを見つけ出す道夫とアキ。最後なんてネタバレ→腕を切り落とされながらも←「痛いけど気持ちいいー。」だって。もう究極です。 マザコン、SM、監禁と当時問題なかったのかなぁと思わせるこんな倒錯したラヴストーリーが35年前にあったなんてすごいです。「死と処女」のよう登場人物も3人しか出てこなくいところもすごいってこれ、いまのハリウッドでも十分すぎるほど通用する内容だなぁと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
船越英二 (蘇父道夫) |
エイドリアン・ブロディあたりがいういう役もこなしそうで。 |
緑魔子 (島アキ) |
モデル出身のエヴァ・メンデス、この役にはまりそうです。 |
千石規子 (蘇父しの) |
息子を溺愛する役が似合いそうなキャシー・ベイツで。 |
盲獣VS一寸法師 BLIND BEAST VS. DWARF (2001) |
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2005年1月 | |
三文小説化の小林紋三はある日浅草のスター水木蘭子の舞台を観に行くが隣に座る不気味な男が気になっていた。その帰り小林は子供の体に大人の顔を持つ男が人間の片腕を落とすところを目撃して後を追うのだったが途中で見失ってしまう。やがて水木蘭子が失踪する事件が起きて・・・ 石井輝男監督だから多少はとんでもない作品だって予想(期待)していたけどここまでとんでもないとは思ってもみませんでしたよ。あの「盲獣」と未見ですが「一寸法師」が対決する話だと思ったら全く別のこれらの話が平行して進んでいくんですね。でも90分ちょっとの作品に二つのエピソードはさすがに無理があってめちゃくちゃでした。 「盲獣」は確かに盲獣のアジトが巨大な人間のパーツで飾り立てられているところなんかは同じなんですけどなにせ増村監督の本物と比べるとキャラクターの性格描写が薄すぎるのでただの変態にしかなっていないんですよね。「一寸法師」は「盲獣」と比べると全然こっちの方がましでしたね。これで大体のあらすじが分かったのでちゃんとした「一寸法師」を観てみたいなと思いました。 リリー・フランキーはいつものようなやる気のない雰囲気をかもし出しているのは大体想像ついたけどこうも台詞が棒読みすぎるとある意味すごいと思います。こういう俳優じゃない人が演技するのは全然かまわないと思うのですが主要人物にちゃんとした俳優が一人もいない(と思われる)とさすがに観ていて辛いものがありましたよ。ラストにちょこっと出てきてネタバレ→一喝して事件をまとめちゃう←丹波哲郎がすばらしく上手く見えましたもの。 盲獣と一寸法師はどこでVSしているのかと思ったらネタバレ→お互いの事件を新聞で見ていてそれがお互いを刺激しあった←というすごーく強引なオチにはびっくりしたけど、一番びっくりしたのはリリー・フランキーを背中から撮るショットでカメラマンの影がもろ写っちゃっているんです。あまりにびっくりして4、5回同じところ確かめちゃいましたよ。確か映画学校の人をスタッフに使っていてそれはいいと思うんですけどこういうところはちゃんとして欲しいです。 20年後くらいにカルト映画になっていそうな(もう十分なっている)そんな作品でした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
リリー・フランキー (小林紋三) |
見た目やる気がなさそうなティム・バートンで。 |
塚本晋也 (明智小五郎) |
塚本晋也とアン・リーってほんのすこーしだけ似ているような気がする。 |
猛吹雪の死闘 (1959) | |
2006年10月 | |
雪崩で婚約者の大塚千代子を亡くした粕谷五郎は山小屋でガイドの仕事をしていた。そんなある日、粕谷は千代子にそっくりな双見昭子とその連れの3人の男が危険な山越えを頼まれ五郎は断るのだが男3人組は昭子を人質に取った宝石強盗団だった・・・ 石井輝男が監督と脚本を手がけた山岳アクション。 冒頭で宇津井健の恋人、三原葉子が雪崩に巻き込まれて死んでそっくりさんが宝石強盗3人と宇津井健の前に現れたときこれは三原葉子が記憶喪失か何かで生きていて強盗の仲間になっちゃってやがて本当の記憶を取り戻すっていう内容なのかな?と思っていたら普通に婚約者のそっくりさんでしかも誘拐されているというところが突拍子もないし、ものすごく大雑把な筋は「クリフハンガー」風で時代を先取りしている石井輝男監督はさすがだなぁと感心しました。 仕方なく危険な雪山を越えることになった宇津井健なんですけど道中ホワイトアウト的な視界が悪くなる状況になって強盗犯とはぐれて逃げ出す絶好のチャンスなのに「そこを動くなー!待ってろ。」なんて言って助けに行っちゃうし、カマクラみたいなものをで一夜を過ごすときもみんなが眠らないように大声で歌ったりして宇津井健はいい人過ぎて笑っちゃいました。 あと、強盗一味に若き日の菅原文太がいたのですが演技がものすごく変でした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
宇津井健 (粕谷五郎) | いい奴なんだけど女運のないジェームズ・マーズデンで。 |
三原葉子 (大塚千代子/双見昭子) | ムッチリ具合が三原葉子風なドリュー・バリモアで。 |
魍魎の匣 (2007) | |
2008年1月 | |
探偵の榎木津礼二郎は元女優の柚木陽子から失踪した娘の捜索を依頼される。一方関口は世間で話題の少女バラバラ殺人事件について書いて欲しいと依頼され、同じ頃、謹慎が解けた木場刑事じゃ電車に轢かれ重症の少女の事件を担当すがその少女こそ柚木陽子の娘で・・・ 京極堂シリーズ第二弾。 シリーズで面白いと聞いていたので前作よりは面白いかと思いきや全然ダメでした。多分小説だとかなりの長編だと思うのでメインキャストで章立てしてそれぞれ一見関係ない話が最後にひとつに繋がるという手法(小説もそうかもしれませんが)はやかったのですがそれぞれのキャラクターが役にあっていないようではっきり言ってちぐはぐです。 プログラムでキャラクターの性格をちょっと変えてみたようなことを書いてあったのですがこれがそもそも失敗じゃないの?と思います。堤真一の京極堂はこんなすっとぼけたことするボケキャラだったか?と思ったし田中麗奈もはしゃぎすぎ。レギュラー陣で一番ひどかったのは宮迫博之。一人で騒いでわがまま放題のうっとうしいキャラになっていて何がしたいのか分からなかったです。 黒木瞳もレトロで裕福な年増の美人という役どころは十八番なんでしょうけどこんな役ばっかりなので新鮮味もなかったし・・・ あとここはいつの時代?と思える風景も何とかして欲しいところです。戦後の雰囲気が全く伝わってこなくて悪い意味で上海ロケしたアジアンテイストが全面に出ていたような気がします。 唯一の及第点は阿部寛だけかなぁ?京極堂も別にいなくてよかった感じでいっそのこと阿部寛だけで事件解決したほうがよかったんじゃないか?と思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
阿部寛 (榎木津礼二郎) | 探偵が似合いそうなジョニー・デップで。 |
宮迫博之 (木場修太郎) | 熱血という感じのラッセル・クロウで。 |
田中麗奈 (中禅寺敦子) | イメージ的にはナタリー・ポートマンといったところか? |
黒木瞳 (柚木陽子) | 年齢不詳ぎみのソフィー・マルソーで。 |
桃太郎侍 FREELANCE SAMURAI (1957) | |
2010年2月 | |
桃太郎は若木新之介と双子だったが迷信から桃太郎は幼い頃に兄と生き別れてしまった。そんな桃太郎はある日、女スリの小鈴を助けるが小鈴は新之助の命を狙う伊賀半九郎の愛人で・・・ 桃太郎侍と言えば高橋英樹の時代劇というイメージが強くて実際桃太郎侍ってどういう人なの?というところを全く知らなかったのでいい機会でした。 不遇な生い立ちにある桃太郎が偶然につぐ偶然で双子の兄のお家騒動に巻き込まれ最終的に悪を成敗するスカッとするタイプの時代劇ですが市川雷蔵の性格の違う双子の役の一人二役が芸の幅広さを際立たせていました。 これだけ出ずっぱりだとヒロインが地味すぎてちょっと物足りないのですが、河津清三郎の悪役側の面子が木暮実千代がいたりして見応えがありました。 男気のある市川雷蔵にさっそく一目惚れして色々と世話を焼きたかったり、頭の回転が速い悪党の河津清三郎に雷蔵が双子っぽいと感づかれて木暮実千代に面通しさせるもそこに雷蔵は現われず内心ホッとするところとかものすごくよかったし、クライマックスも雷蔵のために体を張ったりと何となくのイメージで木暮実千代はちょっと悪女系の役ながら、実は根は優しかったりという役がよく似合います。要するに粋なんだと思います。木暮実千代は。 面白いなと思ったのが双子の兄が得を盛られてあっさりと寝込んでしまうところや、それを逆手にとって兄のふりをして河津清三郎たちの悪事を暴いていくみたいな双子の特性を生かして展開がものめずらしくてよかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (桃太郎/若木新之介) | ヒュー・ジャックマンあたりにお願いしたい。 |
河津清三郎 (伊賀半九郎) | こういう役はショーン・ビーンにやってもらいたい。 |
木暮実千代 (花房小鈴) | イメージはファムケ・ヤンセンです。 |
森の石松鬼より恐い (1960) |
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2004年11月 | |
演出家の石井は期間も予算も少ない舞台「森の石松」の演出が上手くいかずあせっていた。そんな石井が酒を飲み目を覚ますと石井自身が森の石松になっていて・・・ てっきり時代劇なのかと思ったらいきなり出演者が舞台稽古しているもんでびっくりしたけど、演出に行き詰った演出家が夢の中で理想の森の石松を見つける内容だったんですね。夢の中で目が覚めても自分が演出家のつもりだから舞台関係者達が時代劇の格好しているのを不思議がって「君なんでそんな格好しているんだい?」とか「今何時?、あれぇ時計がない。盗まれちゃったよぅ。」とか「タクシー呼んで。」とか言って街の人たちは石松が完全におかしくなっちゃっていると思うし、石松の親分(清水の次郎長)が実際は照明係だから「電気屋」と呼んでみたり、その奥さんの赤木春恵を「あ、掃除のおばちゃん。」と気安く呼ぶあたりはおかしかったなぁ。 このままじゃ変人扱いされると思った石井は石松になりきる事を覚悟するのですがここからの展開もまたすばらしい。石松は死ぬ運命と分かっているから筋書きと違う行動をとろうとするけど最終的に石松は道中一緒になった子供が熱を出したため医者を呼びに自分が死ぬ閻魔堂を通る事になるのですが、石松は自分から閻魔堂に行くのだから運命も変わるはずと運命に立ち向かうところが男らしいし、かなりの深手を負いながらも敵を一掃したところで目が覚めてこれだ!と言わんばかりの晴れやかな表情をした石井が舞台で助手のふみ子に熱心にその様を語るところで終わるところがこの時代の作品特有のエンディングでこれまたよかったです。 それにしてもやっぱり錦之助は一人二役しかも全く違う性格のキャラクターをやらせると本当に上手いです。あと鶴田浩二が寿司屋のおやっさんで珍しくコミカルで面白いは面白いんだけどなんか鶴田浩二の見てはいけないところを見てしまったような気がしたのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村錦之助 (森の石松/石井) |
「X-MEN」「ニューヨークの恋人」といい奴をタイプ別に演じるヒュー・ジャックマンで。 |
丘さとみ (おふみ/岡田ふみ子) |
サルマ・ハエックは町娘のかつらが似合いそうで。 |