長屋紳士録 THE RECORD OF A TENEMENT GENTLEMAN (1947) |
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2004年5月 | |
ある日長屋に住む田代は親とはぐれた幸平という少年を連れ帰ってくる。為吉に面倒見ることを断られた田代は半ば強引におたねに幸平をあずけてどこかへ行ってしまう・・・ この「長屋紳士録」は小津監督が戦後初めて発表した作品ですごく面白いという噂を以前から聞いていたので池袋の新文芸座で小津監督特集があるってんでチェックしたらやるじゃないですか「長屋紳士録」。で仕事も早々に切り上げ新文芸座に直行、いやぁ噂以上に面白くて大満足。 笠智衆演ずる田代がどこからか子供を拾ってきて結局おたねが押し付けられるんですけど、その会話のテンポがまずおもしろい。たしか・・・ おたね:「どうしたんだいその子?」 田代:「どうやら親とはぐれちまったらしくて、拾ってきたんだよ。」 おたね:「そうかい。かわいそうだねぇ。」 田代:「おたねさん、この子一晩預かってくれないかねぇ。」 おたね:「やだよ。あたしゃ子供が嫌いなんだよ。」 田代:「そう言わずに頼むよ。頼んだよおたねさん。」 おたね:「ちょっと待っておくれよ、田代さん。困るんだよ。」 とこんな調子でポンポンと笠智衆と飯田蝶子のやりとりに笑い、その後隣の為吉におたねが子供を押し付けようとするんだけど、このときの会話も「あたしの大事な布団に馬のようなネションベンたれやがったよ。今日は為吉さん預かっておくれよ。」とおたねが言えば「馬のようなネションベンかぁ。おたねさんも災難だねぇ。いったい親はどこへ行っちまったんだろうね。」とさりげなくかわす為吉。「だけどこの子もあれだね。可哀相だよ。為吉さん預かっておくれよ。」とこの会話の延々繰り返しがまたなんとも楽しいんですよね。なんか劇中、毎日この会話繰り返していたような気がする。 翌日くじ引きで負けたおたねが幸平を子供の住んでいたと思われる芽ヶ先に出かけるも結局父親と会えずに戻るはめになり海辺でおにぎりを食べて一休み。おたねは幸平に「おばちゃんに貝を拾ってきておくれよお土産にするから。」といって貝を拾わせている間になんと逃走!それに気づいた幸平は当然必死で追いかけるけどおたねは幸平に「喰いつくよ!」と一喝。「喰いつくよ!」って脅しがまた何ともすごい台詞だでしかも片手に石ころを握り締め今にも幸平に投げつけそうな勢いで容赦ないところがとても好きだ。 結局家に連れ帰ったおたねも幸平に愛着がわき始めたころとうとう父親がやってきておたねの元から去っていくのだが田代や為吉の前でおたねは号泣する。「親御さんも礼儀正しくていい人であの子も幸せだよ。本当によかったよ。」と自分が密かにこの子と生きていこうと心に決めたことは胸にしまっておいて・・・と切ないラストに思わせといて田代がおたねに一筋の希望を残す終わり方がまたいいんですよ。さすが世界の小津監督、オールタイムベスト10に入る出来だと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! (コーエン兄弟ファミリーで) |
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飯田蝶子 (おたね) |
辛らつなコメディ路線もいけそうなフランシス・マクドーマンドで。 |
河村黎吉 (為吉) |
面倒に巻き込まれそうでさりげなくかわしていそうなスティーブ・ブシェミで。 |
笠智衆 (田代) |
どんな役でも見事にこなすジョン・タトゥーロで。 |
仲よし音頭 日本一だよ (1962) | |
2008年5月 | |
「弘電社」の加納周治は日の丸電機のスポンサーとなるために営業活動を展開するがライバル会社宣伝課長を殴ってしまう。そんな中、周治は日の丸電機の社長令嬢の礼子に好かれ映画スターを招いた一大イベントを企画するのだが・・・ 本郷功次郎が熱血社員を演じたサクセスストーリー。 タイトルからして時代劇と思っていたらトレンディドラマみたいな内容だったので意外でした。それに本郷功次郎が現代劇というのも珍しかったです。 スーツ姿が意外と似合っていて若手社員という雰囲気をかもし出す本郷功次郎がライバル会社のものすごく性格と口の悪い中条静夫に邪魔されながらも周りのサポートをしてもらってハッピーエンド。みたいなとても分かりやすい内容なのですが出てくる人が豪華でそれだけでも観た甲斐がありました。 学生時代に本郷功次郎に一目ぼれした社長令嬢の叶順子の鶴の一声でいきなり大仕事のチャンスが回ってきて企画を用意していなかった本郷功次郎に口からでまかせで中村鴈治郎が大映スターを一気に集めますなんて後先考えず口走ったからさあ大変というのが後半の展開なのですが中村鴈治郎の助言でかつて大映で髪結いをしていてスターたちの影響がかなりある浪花千栄子のおかげで最終的にはスターが集まるのですが実は浪花千栄子が本郷功次郎の母親だったというオチも楽しいです。 偶然出会って付き合い始めるウェイトレスの三条江梨子が叶順子に嫉妬したりする三角関係あり、中村鴈治郎が東京でお世話になっているミヤコ蝶々の家が三条江梨子の実家だったりというありえないけれど分かりやすい展開もふんだんに盛り込まれていているところもいいです。 最後も京マチ子、山本富士子、若尾文子、長谷川一夫、勝新太郎、市川雷蔵が本人役で出てきて、なんだか紅白を観ているような豪華でいまの時代ハリウッドでもこういう大スターがこれだけ本人役で出てくるのってほとんどありえないと思うと昔はよかったなぁと思うのでした。(最近だと「オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」くらいでしょうか。) 長谷川一夫は時代劇の印象が強いので普通の格好していると誰だろうこのおじさんと思ってしまいました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
本郷功次郎 (加納周治) | コスチュームものから現代劇までこなすパトリック・ウィルソンで。 |
中村鴈治郎 (加納源次郎) | ウディ・アレンあたりにお願いしたい。 |
叶順子 (佐久間礼子) | いまや権力も兼ね備えてきたリース・ウィザースプーンで。 |
三条江梨子 (中根由美子) | ウェイトレス姿も似合いそうなケイト・ハドソンで。 |
流れる FLOWING (1956) |
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2005年7月 | |
終わりつつある芸者置屋の世界をある日置屋にやってきた中年女中の梨花の視点から描いた作品。 映画自体ももちろん面白いのですが久しぶりに感想に困る作品ですねぇ。 特にこれといった事件は起こらないけど不思議と見入っちゃうんですよね。これも田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、杉村春子に岡田茉莉子なんかも出ていて豪華な出演者の実力なんでしょうね。 おかしかったのはやはり序盤、職業安定所から山田五十鈴のもとに女中としてやってきた田中絹代の名前が梨花ってところがあの田中絹代の純和風の顔立ちと何ともミスマッチなんですけど、呼びづらいから今日から「お春」ね。と勝手に妙にしっくりくる名前を付けられちゃって笑えます。 高峰秀子は山田五十鈴の娘だけど芸者嫌いという役どころだけど確か経理係?みたいなのをやっているのですが若手の芸者が金のことでいちゃもんつけてきたら杉村春子とタッグを組んで嫌味を言って相手にしないところなんかを見ると昔のスターって正反対の役が出来て当然だったんだなぁと感心しました。 結局この芸者桶屋は借金が元で傾きかけていてはいたけど芸者の大親分みたいなのにこの桶屋は若手がなっていないと影で言われて見捨てられかけて終わるという何ともいえないニュアンスを残して終わるのですがこの終わり方こそ芸者時代の終わりを告げるという感じがしてちょっと切なかったですね。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
田中絹代 (梨花) |
健気な女中役にはダイアン・キートンあたりで。 |
山田五十鈴 (つた奴) |
シェールが三味線弾いているところを観てみたい。 |
高峰秀子 (勝代) |
意地悪なところがミニー・ドライヴァーぽかった。 |
なつかしの顔 A FACE FROM THE PAST (1941) | |
2008年12月 | |
出征した夫のニュース映画が待ちの映画館で上映されることになり、ケガをした夫の幼い弟は観に行けず、妻のお澄は映画館に行くのだが・・・ 成瀬巳喜男監督の戦時中の短篇映画。 35分くらいなので話的に盛り上がるところはほとんどないのですが、母親はニュース映画を観に行って末っ子の弟が歓喜するほど映っていたわけではないので弟のためにやさしい嘘をつき、嫁もニュース映画を観に行ったものの結局観ることが出来なくて姑の話にあわせるという成瀬巳喜男独特の雰囲気があったように感じます。(ニュース映画を観て涙する母親の姿などはいかにも成瀬巳喜男らしいと思いました。) 嫁の花井蘭子という人は当時人気のあった女優さんらしいです。彼女と姑のいい関係。子供らしい子供の弟とその友達たちと田舎の風景。戦時中の作品ですが古きよき日本が感じられる作品なのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
花井蘭子 (お澄) | 姑と上手くやって行けそうなケリー・ラッセルで。 |
浪花の恋の物語 CHIKAMATSU'S "LOVE IN OSAKA" (1959) |
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2004年11月 | |
飛脚問屋に婿入りが決まっている忠兵衛はある日同業の八右衛門に無理やり遊郭に連れて行かれてしまう。その時に出会った遊女の梅川と忠兵衛はやがて本当に愛し合うようになるのだが・・・ 真面目な忠兵衛が親の借金返済のために働く気立てのいい娘、梅川に、梅川も真面目で今までに会ったこともないないくらい人のいい忠兵衛にお互い惹かれ合うのもわからなくもなかったけれど逃避行するのはどうなんだろうか?忠兵衛が仕事で届けなければならない金を梅川につぎ込むのは分かるとしても梅川が忠兵衛について行くということは親を見殺しにするようなものでしょ?全てを捨てられるような一目惚れの本気の恋ってこういう感じなんでしょうか。 忠兵衛が徐々に仕事で届ける金を梅川につぎ込む姿はどん底まで落ちるのが目に見えていて「レクイエム・フォー・ドリーム」のようによせばいいのにドラッグに溺れる登場人物たち同様なんだか見ていられなかったです。 二人の悲劇的な結末を歌舞伎でみせたかと思うと、そんな劇中の一部始終を観客と同じ目線で見ているが作家の近松門左衛門が劇の中だけでもせめて父親に会わせてやりたいと人形浄瑠璃で見せる事件とは異なる顛末。 風俗にはまった男とそこで働く女が本気で恋をしたと言ってしまえば元も子もないのですがそんな内容のテーマを歌舞伎と人形浄瑠璃を混ぜ風情たっぷりに描いた内田吐夢監督はやっぱり只者ではないと思いました。 一時期本当に中村錦之助の奥さんだった有馬稲子がきれいで凛としたという言葉がまさにぴったりな感じがして、錦之助じゃなくてもこれは惚れると思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村錦之助 (亀屋忠兵衛) |
ポール・ベタニーと悲劇が似合うジェニファー・コネリー夫妻で。 |
有馬稲子 (梅川) |
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片岡千恵蔵 (近松門左衛門) |
ケヴィン・クラインあたりこういった作家の役とか似合いそう。 |
生首情痴事件 (1957) | |
2008年9月 | |
莫大な財産を狙い玲子と結婚した五郎は愛人の順子と共謀して玲子を殺害を企む。玲子に無理やり睡眠薬を飲ませ線路に放置し列車で首をはねられ即死した玲子だったが何故か首が見つからずやがて玲子が化けて五郎の前に現われて・・・ 新東宝の倒産後、社長だった大蔵貢が設立したその名も大蔵映画作品。 大蔵映画というものを恐らく初めて観たと思うのですがさすが新東宝から飛び出たというだけあってエログロが大幅にパワーアップ。後半はとんでもない展開になっています。 主人公?の鶴岡八郎はいかにも腹黒い悪人面ということで平気で浮気して妻を殺すこともいとわない感があってナイス。何となく納得いかないのが山本富士子風の美人妻と性悪そうだけど顔は妻に比べて和風な顔立ちで地味なのでこの二人は逆のほうがいいのではないかと想いました。 そんな殺されてしまう美人妻は中々聡明で夫の浮気も分かっているし財産目当てで結婚したのだって何となく分かっています。だから夫に愛人と別れたら財産全部上げますよなんて心憎い切り替えしを行うものの、夫はろくでなしだから順子(愛人)みたいに体で俺を満足させてみろと意味不明な逆ギレをして無理やり妻を抱くというお色気シーンはさすがだなと思いました。この時代にヌードもOKというところも意外でした。 睡眠薬を無理やり飲ませて線路で首切断という何もそんな殺し方しなくても・・・という殺され方をしてしまった美人妻が化けて出てくる辺りから話のテンポが急に上がります。不動産屋に家を売る手続きに行ったら何故か書類が燃えて愛人の顔は大やけど。愛人の入院している病院の医師を看護婦も妻殺しに関与していて最後は4つ巴で金を奪い合いの大乱闘本人たちは真面目なつもりでしょうが突然ヘビも振ってくるし無茶苦茶すぎて大爆笑。よく分からないですが観終わった後はすっきりしました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
鶴岡八郎 (藤山五郎) | 悪そうな顔のスティーヴン・ドーフで。 |
火鳥こずえ (藤山玲子) | 整った顔のケイト・ベッキンセールで。 |
高月絢子 (有島順子) | 何か企んでいそうな雰囲気のララ・フリン・ボイルで。 |
波影 (1965) | |
2006年7月 | |
一人の女が夫に愛想を尽かし自ら娼家「柾木家」にやってきて雛千代として働き始める。彼女は家のものにも信頼され長男の忠志にも世話を焼いたが忠志は家業を快く思っておらず・・・ 若尾文子の男を手玉に取るしたたかな役もいいのですが今回のようなどんな客にも嫌な顔ひとつせず一番の働き者。しかも稼いだ金は田舎の兄さんの仕事のために使うという天女か何かですか?という献身的な役もしっとりとしてまたいいですねぇ。 一人の若尾文子扮する一人の娼婦と娼家の家族の悲喜こもごもな内容も第二次世界大戦の真っ只中から終戦後の時代性もよく表現されていてよかったです。 女将さんの乙羽信子はいつもは機嫌がいいんだけど息子の中村賀津雄の暴挙で機嫌が悪いとついつい若尾文子にあたってしまうところなどはさすがに上手いなぁと思いましたし、中村賀津雄も兄、中村錦之助の影に隠れていつも二番手という印象が強かったのですが今回の家業を快く思っておらず負傷して除隊して帰ってきたそれが爆発して売り上げを盗んでは遊び歩き挙句の果てに家に火を放つという感情爆発の演技は素晴らしかったし、放火をしたことで不満が開放され徐々に素直になっていき若尾文子とこころを通わせるところなんかは今まで観た中村賀津雄作品では最高だと感じました。 娘の大空真弓も家業を快く思っていないけど娼婦達がいなければ家族が生きていけないことは理解していて尊敬しているし、教師になるのが夢だったけど大学で家業がばれてその道を閉ざされ仕方なくガス会社に勤めるというやるせないところなども観ていて伝わってきてこの映画内容もよかったけれど役者のバランスがものすごくよかったなぁと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
若尾文子 (雛千代) | シャーリーズ・セロンあたりにやってもらいたい。 |
大空真弓 (世津子) | 勤勉な感じのリリー・ソビエスキーで。 |
中村賀津雄 (忠志) | 素直じゃない役が多いきがするジョシュ・ハートネットで。 |
乙羽信子 (まさ) | マーシャ・ゲイ・ハーデンは女将さんとか似合いそう。 |
名もなく貧しく美しく HAPPINESS OF US ALONE (1961) | |
2010年4月 | |
ろうあ者の秋子は嫁ぎ先で夫が病死したことをきっかけに実家に帰されてしまう。やがて秋子はろう学校で道夫という同じろうあ者と出会い結婚するのだが・・・ 脚本家の松山善三が妻の高峰秀子を主演に迎えた初監督作品。 高峰秀子自身も本当に手話が大変だったと行っているだけ会ってそのなりきりぶりはいつも以上に力がこもっていてよかったのですが内容が世知辛すぎて観ていて重かったです。 出戻ったらお母さんだけが優しく向かいいれてくれて、意地悪な姉の草笛光子は嫌味ばかりで弟の沼田曜一はチンピラ家業で刑務所に入るもその後高峰秀子の家財道具を売り払ってまでして金を奪い取る極悪非道っぷり。観ていて切なくなります。 その上ようやく生まれた子供も両親とも耳が聞こえないので運悪く真冬に入った泥棒のせいで凍死してしまって悲しすぎます。も二人に生まれた子も成長するにしたがって耳が聞こえないお母さんが恥ずかしいといって一向になつこうとせず、紙芝居いくから金をくれというとんでもなくひねくれた子供に成長して本当、高峰秀子にいいことはないのかと言うくらい暗い話題ばかりなのですが子供も小学校高学年になってくるとそういった恥ずかしさもなくなって、今日は友達にお母さんを紹介しようと思って連れて来たんだと言うエピソードでようやくホッとしました。 ラストはアメリカ版と全然違うそうなのですが、個人的にはアメリカ版のエンディングにして欲しかったと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
高峰秀子 (片山秋子) | ヒラリー・スワンクがやってアカデミー賞にノミネートされそうな感じです。 |
小林桂樹 (片山道夫) | 雰囲気的にはジョン・C・ライリーあたりでしょうか。 |
楢山節考 BALLAD OF NARAYAMA (1958) | |
2012年4月 | |
姥捨て山を田中絹代主演で映画化。 「デンデラ」を観たらこっちも押さえておかないとということで前から観たかったこの映画をようやく鑑賞。 想像と全く違う作風でびっくりしました。ATGっぽい雰囲気をかもしだしていてちょっとついて行けなかったですね。ほぼ舞台を見ている感じでセットからのスムーズな話の展開はいいのですが全編浪曲的な歌で話が展開しているので疲れている時に観るとものすごい睡魔が襲ってきます。 ということでこれ観ている途中で何度記憶がなくなって巻き戻して観たことか。 これぞ純和風ミュージカルですね。疲れていない時にもう一度ちゃんと観直したいです。(ほとんどまともに観ていないので。) でも田中絹代はさすがの存在感だったし、嫁の望月優子も印象通りの優しい感じの嫁だったし、伊藤雄之助や東野英治郎や西村晃も世界観いぴったりでした。 田中絹代らしいところと言えば、年を取ったのに歯が丈夫すぎて申し訳ないと石臼にぶつけて歯を折るんですよ。貧しい村で歯が丈夫という皮肉とあえて折り自ら山へ行くというという田中絹代らしい選択。これがものすごく印象に残りました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
田中絹代 (おりん) | 老けメイクもばっちりなメリル・ストリープで。 |
成瀬巳喜男 記憶の現場 (2005) |
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2005年7月 | |
成瀬巳喜男督監督の作品に縁の深い俳優やスタッフのインタビューをまとめたドキュメンタリー作品。 俳優陣は淡島千景、草笛光子、小林桂樹、司葉子と4人だけしか登場しないのが寂しいけれど、最後の「乱れ雲」が1967年だから約40年前でしょ?それだけ年月が経っちゃっているって証拠なんですよね。 インタビューの中ではやっぱり草笛光子はいい歳のとり方をしてカッコいいなぁと思います。昔から成瀬作品に関わらず独立した芯の強い女性像を演じて数十年というスタイルが確立しているところも好きですね。 どうでもいいですが、司葉子のインタビューは紗がかかっている感じがして以前、増村保造監督ついて語る若尾文子にも同じように紗がかかっているのを思い出しちゃいました。生の司葉子を見たのですが別に紗をかける必要ないじゃんて思いましたけどね。 スタッフの話の中で興味深かったのが美術部の人のインタビュー。「浮雲」で高峰秀子が引き揚げて日本に戻ってきた時に行った闇市のシーンは全部屋外セットだったという話を聞いて日本映画の黄金期だった当時はこんなにもリアルで大掛かりなセットを作っていたんだなぁと感心しました。 ほかにもいろいろスタッフのインタビューはなかなか貴重だったのですが石井輝男監督も成瀬作品に縁のある人として登場してきたのにはびっくりします。鈴木清順監督系統の人だと思っていたので。石井輝男監督っていつからあんなにカルト臭のする人になったのか不思議に感じるのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! (今回はドキュメンタリーなのでなし) |