日本映画

ね


猫と庄造と二人のをんな
A CAT, TWO WOMEN, AND ONE MAN
(1956)
4
2006年7月
雑貨屋の一人息子庄造は妻の品子と母親のおりんの不仲をそっちのけで猫のリリーを溺愛するあまりついに品子は家を出て行ってしまう。おりんは男癖が悪いが持参金が魅力の福子を嫁にと呼び寄せるのだが庄造は相変わらず猫のリリーに夢中で・・・
先妻の山田五十鈴、後妻の香川京子、姑の浪花千栄子の三女優が森繁久彌の庄造という男のどこがよくてこうも争うのかというくらい闘争心むき出しなところがよかったです。
姑に子供が産めない体だからと色々難癖つけられて半分家を追い出された感じでその後すぐ若い娘が家に上がりこむという
本当は同情を誘うキャラクターなはずなのに山田五十鈴は意地の悪い顔をして、何か妖怪みたいで一番怖いです。いろいろ根回ししてようやく手に入れた猫もなつかず辛抱たまらん五十鈴は猫のリリーを二階からぶん投げる恐ろしさときたら・・・
香川京子ははつらつとしたお嬢さんというイメージだったのですが今回は言ってみればあばずれっぽい役で山田五十鈴と取っ組み合いのケンカするなんてすごいなーと感心しました。
浪花千栄子もわがままし放題の香川京子にも持参金のためと辛抱して優しくしたりして何かと金にがめつい大阪のおばちゃんという浪花千栄子節炸裂という感じがして楽しかったです。
結局三人とも庄造が好きとかじゃなくて他の二人に負けることが嫌で女のプライドを賭けた戦いみたいなところも面白かったし誰が勝つという結果が出ないところも個人的にはよかったです。
それにしても森繁久彌の役はきっと誰が観てもイライラすると思いますよ。せっかく家庭的になろうと香川京子が魚なんか焼いて食事の用意しているのに猫にやっちゃうんですから。気の強い福子じゃなくても怒るって・・・
ハリウッドバージョンはこの人で!!
森繁久彌
(庄造)
ウィル・フェレルならこの役でも許せそう。
山田五十鈴
(品子)
執念深そうなレニー・ゼルウィガーで。
香川京子
(福子)
気が強そうなキーラ・ナイトレイで。
浪花千栄子
(おりん)
見た目はヴァネッサ・レッドグレイヴっぽい気がします。


眠狂四郎殺法帖
シリーズ第1作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 1 THE CHINESE JADE

(1963)
4
2004年3月
ある日、眠狂四郎は前田藩の奥女中、千佐から唐人の陳孫から守ってほしいと頼まれる。陳孫の元に出向いた狂四郎は陳孫から前田藩に以前手を貸して密貿易をしたが裏切られたので復讐の手助けをしてほしいと頼まれる。千佐を問い詰め全ての事情を知った狂四郎は・・・
眠狂四郎シリーズにも興味があり早速レンタルをしてみたけど座頭市とはまた違ったタイプの時代劇で面白いなぁ。一言で表現するなら、座頭市の強さと子連れ狼の奇想天外さを少々加えた感じに女ったらしというかホストのようなもてっぷりかな。
市川雷蔵のスカした女ったらしも魅力のひとつ(女が二人鉢合わせしてもなだめるのが上手い)だと思うんだけど、なにげに人を物のように扱う役人達が許せない正義感溢れる一匹狼的な奴なのでした。
若山富三郎が少林寺拳法の使い手、しかも侍や忍者を素手で倒しまくるという強引さがすごかったし観ていてそんな馬鹿なぁと何度も思えてある意味楽しかった。少林寺だから若富は坊主頭なんだけど、子連れ狼の無口な浪人のイメージしかなかったけどこうして坊主頭にしてみると弟の勝新太郎にそっくりで驚きです。
ラストはもちろん雷蔵の円月殺法VS若富の少林寺拳法の一騎打ちなんですけどこれがネタバレ→
引き分けで、また戦いましょうみたいな←前代未聞の終わり方で斬新すぎて最初はこんなのありかぁ?と思ったけど冷静になったらこの手の終わり方もありだななんて思うのでありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(眠狂四郎)
スチュアート・タウンゼントで。「リーグ・オブ・レジェンド」で披露した華麗なる?剣さばきを思い出し。
中村玉緒
(千佐)
マギー・ギレンホールで。奥女中という言ってみればお偉いさんのお手伝いさん的なところが「セクレタリー」を彷彿とさせ。
城健三朗【若山富三郎】
(陳孫)
ぽっちゃり目の少林寺と言ったらこの人、チョウ・ユンファ


眠狂四郎勝負
シリーズ第2作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 2 SWORD OF ADVENTURE

(1964)
4
2004年4月
狂四郎はある日一人の老人を浪人の手から助け出す。その老人は朝比奈という勘定奉行だった。朝比奈は高姫と役人のの傲慢振る舞いに頭を悩ませていた。そんなか朝比奈を助けた狂四郎も5人の刺客に命を狙われるようになるが、異国の夫を捕らえられた采女がしかたなく手を貸したものだった・・・
座頭市シリーズに出演した藤村志保、高田美和、久保菜穂子の三女優がそれぞれ騙される女、普通の町娘、高慢ちきな姫とそれぞれタイプの違う役を観られるお得なシリーズ第二段。
今回は
眠狂四郎の茶髪の秘密が明らかに、なんと狂四郎はハーフらしい!と驚きの展開。このとんでも感が眠狂四郎シリーズの醍醐味ですけど、これに役人の腐敗や姫の傲慢さそれを正そうとする勘定奉行など現代の政治家にも通じる内容も含まれてエンターテイメント溢れる内容なのです。
勇気ある勘定奉行、朝比奈がいい奴で狂四郎がいろいろ助けるとすぐ感動するいいおじいちゃんなわけで、これだけありがたがってくれると狂四郎も助けがいがあるってもんですわ。最後も一人去っていく狂四郎に向かって「狂四郎ぉー」と叫び続ける朝比奈のけなげさが何とも味わい深かったのでした。
劇中、狂四郎が高姫に迫られるもその傲慢さにキレた狂四郎が
「お前は醜いブタだ。ブタ姫だ。」と言い放つところは長井秀和を思い起こさせ、心の中で「間違いない!」とつぶやくのでありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
藤村志保
(采女)
なんとなく「イン・ザ・ベッドルーム」のマリサ・トメイを思い起こさせ。
久保菜穂子
(高姫)
高慢ちきなイメージといえばジェニファー・ロペスでしょ。
朝比奈伊織
(加藤嘉)
いい老人のイメージのリチャード・ハリスで。


眠狂四郎円月斬り
シリーズ第3作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 3 FULL CIRCLE KILLING

(1964)
4
2004年4月
片桐高之は時期将軍を狙う男だが彼は貧民区で刀を試し斬りをすることが日課だったがある日、狂四郎に見られてしまう。狂四郎は高之から追われる身になる一方で貧民区の人々からも誤解されてしまうのだが・・・
シリーズ第3作目は、腹黒い将軍の血筋を引いた母子とそのいい名づけ小波の騒動に巻き込まれた狂四郎が逆に成敗するというお話ですが、
勝新の座頭市のリアルな汗臭さみたいなものとは正反対でスタイリッシュでクールだな狂四郎は、なんか真夏のシーンとかでも涼やかそうだもん。ここのところがやっぱり眠狂四郎シリーズの魅力だよなと改めて思います。
狂四郎は相変わらず女のところ(今回はおたきという亭主が監獄に入っている女)に転がりこんでいる生活をしているんですけど、この亭主が刺客となって狂四郎をおそってきますがその武器が花札をモチーフにした手裏剣というナイスアイディアな武器で次々と攻撃してきますけど花札手裏剣を真っ二つに切り落とす余裕の刀さばきが素敵です。
それに裏で暗躍する婚約者の小波をむりやり犯すというすごいお仕置きをする、しかも「せいぜい裕福になって
白ブタのように肥えるがいい!」と女にとっちゃあ屈辱的な台詞を言われながらもなぜか小波は狂四郎を憎みつつも恋してしまい助けるというジゴロ的な展開にちょっぴりあこがれるのでありました。
どうも狂四郎は金持ちの高慢ちきな女をブタと呼ぶ癖があるらしいと判明。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
浜田ゆう子
(おきた)
愛人という役が似合いそうなエマニュエル・ベアールで。
東京子
(小波)
企み顔のエリカ・クリステンセンで。
成田純一郎
(片桐高之)
ジャレット・レトで平民を下手に見る若侍が合いそうで・・・


眠狂四郎女妖剣
シリーズ第4作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 4 SWORD OF SEDUCTION

(1964)
4
2004年8月
ひょんなことから幕府に追われている隠れ切支丹の男、鳥蔵を助ける事になった狂四郎だったが鳥蔵を救うことは出来なかった。しかし鳥蔵が死に際に狂四郎と血のつながる者がいると知らされ隠れ切支丹のカリスマ的存在のびるぜん志摩を探して浜松へと旅立つのだったが・・・
眠狂四郎はネタバレ→
転びバテレンとそいつにあてがわれた女の間に生まれた子だった。←という衝撃の新事実が発覚。そうかだから狂四郎は茶髪だったのね。と今まで気になっていた茶髪の謎が解けてちょっとすっきり。
醜い顔の為に美しい女中はアヘン漬けにして殺す狂った菊姫(これが顔の半分がすごい事になっているんです。)と隠れ切支丹にまつわるエピソードこの一見全く関係ない二つの出来事が最後には綺麗にまとまっちゃうから驚きです。
この女妖剣は後半になってからがめっぽう面白くなります。なんてったって敵が次々と仕掛けてくる色仕掛けにご丁寧にもちゃんと相手しますからね狂四郎は。道中出会った女に毒を盛られた狂四郎はその女の男にやられそうになるも見事な剣さばきでそいつをやっつけるってところまでは普通の時代劇ですけど狂四郎はその
毒を盛った女を抱くからね、毒が体に回っているってのに。狂四郎もそうとう好きですわ。
今回第一作目で登場した少林寺拳法の使い手陳孫こと若山富三郎が再び登場。しかも今回は坊主頭じゃなく軽くパーマかかっています。この陳孫は狂四郎の好敵手でもちろん最後に対決するんですけど(船の上で)やられそうになった陳孫が海に飛び込んで逃げるという情けない展開がちと微笑ましくもあり若富のそんな珍しい姿が見られる作品でもあるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
久保菜穂子
(びるぜん志摩)
修道着も似合うに違いないモニカ・ベルッチで。
毛利郁子
(菊姫)
自分より美しい女は消していきそうな感じのするダリル・ハンナで。


眠狂四郎炎情剣
シリーズ第5作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 5 SWORD OF FIRE

(1965)
4
2004年12月
狂四郎はある日檜垣ぬいという女の仇討ちの手助けをしたのだったがそれをきっかけに海賊の宝をめぐる陰謀に巻き込まれていってしまい・・・
シリーズ第4作の「眠狂四郎女妖剣」が一番よく出来ていると何かで読んだかとがあります。海賊の宝をめぐる陰謀はそっちのけになったりミシェル・ドロリゲス似の海賊の末裔を助けるエピソードなんかはもっと広がりそうで確かに内容は的には今回のものより濃かった気がしますけど、前回観た無頼剣が狂四郎シリーズにしては特殊だったこともあって個人的には今回の炎情剣の方が好きです。今回は女が全ての雷蔵VS金が全ての玉緒のいろんな意味での駆け引きがメインなのですから。
しょっぱなから助けた玉緒に対する報酬が体ですよ。しかも助け他事を理由に無理やり抱くし・・・ほとんどやくざの世界ですけど、観たかったのは狂四郎のこういうところですよ。ほかにもその腕を見込まれて商人の鳴海屋から一人の女を紹介され女の悦びを教えてやってくれと言われてみたり、その女が生娘ではないと見抜いたり
女にまつわる狂四郎的なエピソードが盛りだくさんでこれこそ眠狂四郎の醍醐味だと思いました。
今回中村玉緒が悪役なのですが悪巧みするときの鋭い視線をするのを見て、雷蔵も玉緒が一緒にやっていて食われてしまう一番恐いタイプの女優と言っていたとおり、玉緒ってすごい女優だったんだと感心しました。
西村晃も相変わらずこすからい商人の役で狂四郎と手を組むんですけどどうせ最後裏切るんじゃないかと思ったら最後まで狂四郎に最後までついてきて(もちろん狂四郎は願い下げですが)意外でしたけどやっぱり最後は手痛い仕打ちにあって西村晃も期待通りの役どころで満足だったのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中村玉緒
(檜垣ぬい)
見た目からして悪女のジーナ・ガーションで。
西村晃
(鳴海屋太兵衛)
ウィリアム・H・メイシーはこすからい商人とかもいけそうです。


眠狂四郎魔性剣
シリーズ第6作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 6 SWORD OF SATAN
(1965)
4
2006年3月
武家育ちの女のプライドを傷つけ自殺に追いやってしまった狂四郎はひょんなことからその女と城主の隠し子を匿うことになるのだがそんな狂四郎にかつて斬った伴蔵の妹おりんが執拗に命を狙っていて・・・
今回の相手役というか敵役は瑳峨三智子です。瑳峨三智子といったら山田五十鈴の娘で有名ですけど母親とイメージ全然違うなぁといつも見る度に思います。なんというか根っからの悪女というか仇っぽい役が似合いすぎるちょっと変わった感じの人ですね。
画面に登場した時点ですでにこの女、絶対横道にそれた人生を送ってきたに違いないという悪女の雰囲気ぷんぷんと伝わってきて瑳峨三智子ってすごい人だとつくづく感じました。狂四郎もひねくれ者というか仇っぽい一匹狼っぽいところがあるのでとの相性もよかったし。
城主の隠し子に自分の母親が自殺したのは狂四郎だと分かっても言い訳しないし、憎ければどうぞご自由に憎んでくださいといった感じで子供に対しても徹底的にクールに対応しかといって見捨てたりはせずしっかり隠し子を最後まで守り抜く。久しぶりに眠狂四郎を観たのですが冷血ギリギリのクールさは変わっていませんでした。当たり前だけど。
そんな狂四郎の行動は最近日テレでやった「女王の教室」スペシャルで阿久津真矢の言っていた本気でやればつべこべ言わなくても相手は自然とついてくるとった感じの内容に通じるなぁと感じるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
瑳峨三智子
(おりん)
仇っぽいイメージのスカーレット・ヨハンソンで。


眠狂四郎多情剣
シリーズ第7作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 7 THE MASK OF THE PRINCESS
(1966)
3
2006年5月
ある日、狂四郎のもとに届いた手紙書いてある場所に訪れた狂四郎は突然襲われてしまう。次々と現れる刺客を倒していくうちに狂四郎はかつて恨みを与えた菊姫が黒幕だと突き止めるのだが・・・
シリーズ第4作目の「眠狂四郎女妖剣」で狂四郎に辱められたと思っている菊姫が再び登場し恨みをはらすべきあの手この手で刺客を仕向けるシリーズ第7作目。
菊姫といえば火傷で顔が半分ただれてしまいそのせいで美しい女は辱めを与えて殺し、美しい男は散々遊んだ挙句飽きたら殺すという恐ろしいキャラクターでしかもものすごく執念深いのでどんな手で狂四郎を追いつめていくのか楽しみにしていたのですが、今回登場する水谷良重は金が全てと割り切って狂四郎を助けたり菊姫側に情報を流したりして普通だったら話が広がるわけなんですが今回は全然ひろがらず扱いが水谷良重じゃなくても別にいいんじゃないかと思える普通の脇役の扱い。
中谷一郎の役も最後に一応オチはあるのですがこの人の正体もなんだか唐突過ぎてなんだか説得力にかけるなぁと思い
眠狂四郎シリーズとしては面白みに欠けるなぁと感じたのでした。
ただ菊姫が狂四郎が女郎屋から救った少女に「剣を捨てないとこの娘も私と同じ顔にしてやる。」と薬品片手に狂四郎を脅す姿は相変わらず恐ろしい狂気の姫でここだけは見ごたえありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
水谷良重
(おひさ)
仇っぽい感じのするアーシア・アルジェントで。
中谷一郎
(下曽我典馬)
渋めのダニエル・クレイグで。


眠狂四郎無頼剣
シリーズ第8作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 8 SWORD OF VILLAINY

(1966)
4
2004年12月
貧民区を救済するために製油について研究していた大塩親子が商人の裏切りによって殺されてしまう。大塩に賛同し残党の浪人愛染は油問屋を襲い江戸の町を焼きつくそうと計画するのだが・・・
眠狂四郎シリーズ本当は順番に観ていきたかったんですが、市川雷蔵祭でせっかく上映されるし、なんと言っても天知茂が敵役でヒロインが藤村志保だったことが決定的となって観に行ってしまいました。
今回は狂四郎が女を抱かないし犯さないのでどうも眠狂四郎っぽくなかったのですが、内容が現代風に言えば浪人が逆恨みをして罪のない人々の住む大都市をも破壊しようと企むテロリスト物という印象を受けたのですが、この浪人のリーダーが天知茂だから大いに楽しめました。
しかも今回、狂四郎の円月殺法使うから互角なんですよ。そりゃそうだお互い剣で円月を描くわけですからねぇ。そんなこんなで狂四郎が苦戦するし、確か傷を負うわでこれは天知茂だからこそ許されたことだと思ったし初めて苦戦する狂四郎の姿は新鮮でした。この愛染という男がまた襲った油問屋の末娘のために竹細工の昔のおもちゃを作ってあげるんですよね。最後も力尽きるときにこれを油問屋の末娘に渡してやってくれとか言って死んでいくところも天知茂ならではの哀愁があって最高です。
藤村志保もばく転とかしちゃう大道芸人の役なんですけど、生まれがすごく貧しくて気がついたら芸人やっていたという設定がいかにも姫様タイプではなく芯のしっかりした藤村志保らしいところだなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
天知茂
(愛染)
こういう逆恨みして街を破壊しようとする役はショーン・ビーンしかいません。
藤村志保
(勝美)
アクロバティックな動きはお茶の子さいさいのチャン・ツイィーで。


眠狂四郎無頼控 魔性の肌
シリーズ第9作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 9 A TRAIL OF TRAPS

(1967)
4
2006年6月
役人、朝比奈の娘ちさの貞操を代償に狂四郎は黄金のマリア像を京都までの道のりを護送することになるのだが・・・
今回は4作目の「眠狂四郎女妖剣」以来久しぶりに狂四郎の直接ではないけれど黄金のマリア像を守るミッションを受けた時点で何かしら出生と関わる内容だろうなぁと思ったらやっぱり切支丹がバンバン関わってくるような内容でした。
今回の敵は出ましたいい役もたまにやるけどやっぱり悪役が光る成田三樹夫です。しかもワンレンです。
マリア像を奪おうと狂四郎にあの手この手で襲い掛かってくるのですが成田三樹夫もまた狂四郎と同じ混血でダークサイドに走ってしまったという設定がなかなか面白いです。
成田三樹夫の手下達は小指の爪がみんな黒くて黒指党と名乗っているところも分かりやすくて楽しいし手下達が
命令に失敗して戻ってくると容赦ない仕打ちをするところもいかにも成田三樹夫という感じがして楽しかったです。成田三樹夫は非情な男が良く似合う。
そもそも黄金のマリア像の護送する依頼した男が金子信雄なのですがネタバレ→
何やら深刻そうに依頼するから珍しく今回はいい役か?と思っていたら結局最後は悪巧みしていて娘までも斬るという卑劣っぷり。やっぱりねと思いました。←しかも尼僧がピストルを持って狂四郎を襲ったりしてちょっと「ピストルオペラ」風でモダンで今回の異国情緒漂う雰囲気にマッチしていて全体的に洒落ていてビジュアルはシリーズ中一番好きです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
鰐淵晴子
(ちさ)
純粋な娘さんという感じのエミー・ロッサムで。
成田三樹夫
(三枝右近)
失敗したら許してくれそうにないアラン・リックマンで。


眠狂四郎女地獄
シリーズ第10作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 10 HELL IS A WOMAN

(1967)
4
2006年8月
旅の途中に一人の男の死を看取った狂四郎は死に際に受け取った密書がもとでやがて佐伯藩の権力争いに巻き込まれてしまい・・・
お家騒動に巻き込まれた狂四郎が権力の座を狙う二つの派閥から狙われる破目に陥るのですがそれぞれの派閥の雇われ浪人が田村高廣に伊藤雄之助というところが通好みという感じで渋かったです。
最初のうちは狂四郎の一人旅みたいなシーンが続いてちょっと退屈だなぁと思ったのですが刺客に狙われ始めてからが序々にいつのも面白さに戻ってきます。
旅の途中、女の一人旅は何かと物騒だからと勝手についてくる
女に寝込みを襲われるお馴染みの展開がこれでもかと繰り広げられてまさに「女地獄」といったところが眠狂四郎シリーズらしくて楽しいです。女どもは信用していないのであえて隙を見せて正体を暴くところなんかもしたたかで狂四郎らしくていいですね。
ネタバレ→
飲み屋の水谷良重もいろいろと狂四郎と世間話をしていい関係になるけど最後、仕方なく殺さなきゃならなくなってしまうけど本気で愛しちゃっているから仕掛けた毒蛇から狂四郎をかばうんですよね。いかにも水谷良重らしくてここも好きです。
浪人なんですけど伊藤雄之助は生臭坊主みたいな風貌があって妙に人懐っこくて欲深くてこのシリーズにしては人間臭いキャラクターで画面に出てくるとやっぱりその場をさらうというか存在感抜群で伊藤雄之助はやっぱり濃い人なんだなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
田村高廣
(成瀬辰馬)
ストイックなイメージもあるショーン・ビーンで。
伊藤雄之助
(野々宮甚内)
ギラギラしているレイ・リオッタで。


眠狂四郎人肌蜘蛛
シリーズ第11作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 11 IN THE SPIDER'S LAIR

(1968)
4
2006年10月
母親の墓参りにある村を訪れた狂四郎は森の館に住み極悪非道のかぎりを尽くす将軍兄妹の存在を知る。そんな中、狂四郎と同じ出生の秘密を持つ薬師寺兵吾が連れ去られそうになり狂四郎は身代わりになるのだが・・・
眠狂四郎シリーズの凶悪キャラクターは過去2回登場した菊姫かと思っていましたが菊姫を超える凶悪な兄妹コンビが登場しました。
内容的にもおそらくエログロ度では一番で新東宝っぽいのですが市川雷蔵の気品のようなもので普通に娯楽作品となっているのがさすがだと思いました。
土門家兄役の川津祐介はいろいろな毒薬を研究することが趣味で毒薬を調合してはさらってきた村人に飲ませて毒の効き具合を楽しんでいて妹の緑魔子は菊姫のようにいい男と寝て用がなくなればあっさり殺すような狂女でこの二人が毒々しくてやっぱりこのシリーズは狂四郎に負けない強烈で個性的なキャラクターが出てくると俄然盛り上がります。
そんな緑魔子の手下で狂四郎を誘惑する女に三条魔子と奇跡のダブル魔子の共演。二人とも悪女っぽい役が多いので個人的にこの顔ぶれは嬉しかったです。
狂四郎も今回は転びバテレンのの儀式で生まれた通称黒ミサの子と自分と同じ境遇の若者を救おうと珍しく自分から助けに行くという人間臭いところを見せて新鮮です。この同じ境遇の若者は最初気がつかなかったのですが寺田農という所や土門兄妹を密かに狂四郎を使って始末しようとする公儀の役人に渡辺文雄というぴったりな配役も個人的にはツボでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
緑魔子
(紫)
ダイアン・クルーガーにこういう悪女役をやってもらいたい。
川津祐介
(土門家武)
ご乱心な役もいけるクリスチャン・ベールで。


眠狂四郎悪女狩り
シリーズ第12作
SLEEPY EYES OF DEATH, VOL. 12 CASTLE MENAGERIE

(1968)
4
2006年11月
江戸の町に狂四郎の偽者が現れ悪行を重ねていたがある日、狂四郎は小夜という大奥の女に間違えられたことをきっかけに大奥の派閥争いに巻き込まれていき・・・
まだまだ続きそうな勢いの「眠狂四郎」シリーズも市川雷蔵がなくなってしまったのでこれで最後。
偶然にも雷蔵作品でお馴染みの藤村志保と久保菜穂子に松尾嘉代やら朝丘雪路が加わって女優陣は豪華です。
内容的には偽の狂四郎が現れて大奥の派閥争いに巻き込まれたりしてエログロで面白いんですけど狂四郎らしくないなぁと思ったのですが大奥が舞台なだけに女の嫉妬とかドロドロした展開はやっぱり好きなんですよね。
内容は狂四郎らしくはないとは言っても偽狂四郎が現れても我関せずといった感じで浅丘雪路と情事を楽しむところはいつも通りのクールな狂四郎というスタイルを崩さないところはよかったです。
大奥総取締の久保菜穂子が敵対する派閥の松尾嘉代が妊娠したことを疎ましく思い偽狂四郎に松尾嘉代の肩を持つ役人やら侍を斬らせ挙句の果てに唯一の理解者だと思っていた世話係も久保菜穂子の手先で睡眠薬入りのお茶を飲まされ危うく子供を堕ろされそうになるという
まさに妬みや嫉妬渦巻く大奥といった感じの展開が怖いです。
藤村志保も久保菜穂子の一派なんですけど偽狂四郎の妹にして隠れキリシタン。しかし久保菜穂子に利用され殺戮を繰り返す兄と久保菜穂子の悪行に嫌気がさし狂四郎を助けるいいキャラクターでやっぱり藤村志保は道徳心のある役が似合うなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
藤村志保
(小夜)
優等生な感じのナタリー・ポートマンで。
久保菜穂子
(錦小路)
ジェシカ・ラングにこういう怖い役をやってほしい。


眠れる美女
(1968)
3
2005年5月
友人に誘われ秘密の宿に連れて行かれた江口。そこは全裸で眠る美女と添い寝する奇妙な宿だった・・・
あらすじだけ見た感じだとなんとも面白そうな話しだと思ったし山岡久乃も出ているので観てみましたけど正直ちょっとなぁと思ってしまいました。
江口が謎の宿にはまっていき眠れる美女はどこからやってくるのかと興味をもってあれこれ詮索しようとするも謎めいた女将に当然のごとく警告受けたりしているうちに仲間の老人が宿に泊まっている最中に急死してしまったりここからもうちょとサスペンスフルというかミステリー的な展開になりそうなものでしたが娘の香山美子が二人の男と付き合っていてどっちと結婚する?みたいなエピソードにも時間が割かれているので中途半端な印象を受けました。妻の山岡久乃にもこの宿に通っていることがバレるわけでもなかったし・・・
田村高廣は青年時代から老人時代まで演じていたのですがどの年代も無理がないところがこのひとすごいです。青年時代の恋人が
松岡きっこなんですけど相変わらず可愛いこと。「黒蜥蜴」の時も感じたのですが彼女は当時若手の中でもずば抜けて美人だったんじゃないかなと思いました。
宿の女将がすごく人間離れしたダークな雰囲気をかもし出してこれはちょっと恐かったです。余計な詮索をしようとする田村高廣に対してやんわりとしていながら低い声で注意をする姿はまるで魔女のようでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
田村高廣
(江口)
いかにも普通っぽいクライヴ・オーウェンで。
初井言栄
(夜の家の女)
謎めいた恐いおばさんという位置にいるグレン・クローズで。


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