濡れ髪剣法 シリーズ第1作 (1958) | |
2010年1月 | |
若殿の松平源之助は許婚の鶴姫に世間知らずを指摘されある日世間を知るために城を飛び出すのだがやがて何者かが松平家を乗っ取ろうとしていることに気がつき・・・ 濡れ髪シリーズ記念すべき第一作目。一作目は白黒だったんですね。 過保護に裸の王様的に育ってきた若殿がお家騒動に巻き込まれる痛快な娯楽映画なのですが、二作目から観始めて二作目が面白かったのであまり期待していなかったのですが一作目もそうとう面白かったです。伏線の張り方も上手かったと思います。 雷蔵の世間知らずの若殿っぷりは観ていても十分面白かったのですが、許婚の八千草薫も割とズケズケと者をいう今風で気が強くちょっといけずな姫様役もよかったです。 世間知らずなので団子を食べたら金を払うということも知らないという天然っぷりをいきなり発揮して前途多難なのですが、ひょんなことから○○一家的な半分任侠の世界入っていますという感じの家にお世話になるのですが、親分や兄貴分も呼び捨てという浮世離れしている言動が笑いを誘います。 そこの娘は中村玉緒で色々とピンチな問いには手助けしてくれるのですが、気が強めなのが玉に瑕。がしかしこういうジャンルの女の子たちは少々気が強い方が面白いと思うので雷蔵のボケと女優陣の突っ込みのバランスがとてもよい作品でした。 全体的にコミカルなのですが最終的に雷蔵が剣術も人間的にもひとまわりもふたまわりも成長するところが痛快でよかったです。 早く他の濡れ髪作品を観たいと思わずにはいられないのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (松平源之助) | 若殿という感じのするザック・エフロンで。 |
八千草薫 (鶴姫) | しっかりしていそうなヴァネッサ・ハジェンズで。 |
中村玉緒 (おみね) | セレブな役より庶民的な役が似合いそうなエミリー・ブラントで。 |
濡れ髪三度笠 シリーズ第2作 (1959) | |
2009年12月 | |
十一代将軍家斉の何十番目かの若の長之助は暇な毎日に耐え切れず、街に出ては遊んでいたがある日一騒動起こしてしまうがそこに偶然やってきた渡世人の半次郎に助けられ事なきを得た。 やがて長之助は突然数万石の城主に抜擢されてしまい、江戸に向かうことになるが何者かに狙われて・・・ 痛快人情時代劇。濡れ髪シリーズは5作ありますがそれぞれ別ものでこれは第2作。 市川雷蔵は一匹狼の気のいい渡世人という設定もいいのですが、何といっても本郷功次郎の世間知らずの若様がとてもよかったです。一般人とは普段関わらないから浮世離れして、言葉遣いも相手のことを「そち」とか言ってしまうものだからバカじゃないの?的な感じでみんなに思われても全く気がつかずマイペースなところとか命が狙われているというのに夜中に抜け出して襲われては雷蔵に助けられるといういい意味でのダメな感じが本当にはまっていました。 仕方なく若を連れていくことになった雷蔵はとりあえず普通の宿だと狙われるからどこかの組にわらじを脱ぐことにしたら本郷功次郎は本格的に雷蔵の事を兄ぃと言って慕うようになりながらもこのままではやくざ者の悪いとことが身についてしまうからと別れを決心するという男の友情シーンもちょっぴり感動します。 何だかんだいって道中偶然年貢を払えず身売りする中村玉緒と出会って本郷功次郎は両思い。雷蔵も姐御肌の淡路恵子に追っかけ回されつつもまんざらでもない様子とれない要素もラブコメ風に織り込んでいてエンターテインメントです。 終わり方もスカッとして、この話のその後があったらいいのになと思える後味の良さと余韻が絶妙なバランスでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (濡れ髪の半次郎) | 見るからに一匹狼の兄貴という感じのジェイソン・ステイサムで。 |
本郷功次郎 (長之助) | 世間知らずな役が似合いそうなジェームズ・マカボイで。 |
淡路恵子 (お蔦) | 姐御肌のファムケ・ヤンセンで。 |
中村玉緒 (おさき) | ブライス・ダラス・ハワードあたりにお願いしたい。 |
浮かれ三度笠 シリーズ第3作 (1959) | |
2010年1月 | |
徳川吉宗は甥の松平与一郎と宗春の娘菊姫を結婚させようとしていたが、菊姫は与一郎の悪評を聞き城を飛び出してしまう。そこで宗春は一番の剣の使い手、楠見兵馬に菊姫を連れ戻すように命じる。兵馬は偶然出会った旅がらすの与三郎と菊姫を探すことになるのだが・・・ 「濡れ髪」とタイトルにはついていませんが「濡れ髪」シリーズ三作目。 お家騒動的な内幕をベースにしつつも基本的に市川雷蔵と中村玉緒の恋のさや当てという印象のコメディに仕上がっています。 中村玉緒は一作目から今のところ全ての作品に出ているのですが、○○一家の親分の娘で雷蔵に片思いだったり、借金の形に身売りされる娘と見事なまでに不憫な役が似合いすぎていたのですが、ここに来てついに雷蔵の相手役です。そして姫役です。大出世してよかったなぁ思いました。 旅がらすの雷蔵に最初は露骨に嫌がっていた中村玉緒も旅を続けていく間に惚れてしまうという王道の展開ながら、中村玉緒の素直になれずに嫌味を言ってしまうところと雷蔵はそれを感づいていてわざとそっけなくしてやっぱり優しい顔をするという心憎い遊び人というところが絶妙なバランスで観ていて楽しいです。 それと中村玉緒も追われていて、関所通らなくてはならない時に頭がおかしくなったふりをしてピンチを切り抜ける演技は本当にいっちゃっている人という感じで上手いと思いました。 左幸子は敵方の女スパイ的な役どころなのですが偶然出会った雷蔵にメロメロで猛アタックも雷蔵に相手にされないと言ういつもの暑苦しい感じの左幸子節全開という感じで配役は適材適所というバランスの取れたところもよかったです。本郷功次郎は今回ちょっと相手役が弱かったところが残念ですが、ラスト雷蔵は予想通り○○という展開も痛快でやっぱりこのシリーズは面白いなと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (与三郎) | ちょっと軽い感じのマシュー・マコノヒーで。 |
本郷功次郎 (楠見兵馬) | 凄腕の剣士という役が似合いそうなベニチオ・デル・トロで。 |
中村玉緒 (菊姫) | ラブコメ向きなキャサリン・ハイグルで。 |
左幸子 (お吉) | クレア・デュヴァルあたりにお願いしたい。 |