日本映画

ら


落第はしたけれど
I FLUNKED BUT...
(1930)
4
2004年5月
卒業試験もほとんど終わりかけていたが高橋達応援団のメンバーはカンニングで試験を乗り切ろうとしたが失敗。最終日のカンニングの準備は高橋が行うことになった。
下宿に戻り他の学生達が勉強に精を出す出す中、高橋はYシャツにカンニングの準備をしていたのだが下宿のおばさんがシャツをクリーニングに出してしまい・・・
この作品「突貫小僧」と同様サイレント映画なんですけど、活弁士付きの上映で本格的なサイレント映画+活弁士の2つの初体験をした記念すべき作品なのです。
今風に言うとお気楽な大学サークルの仲間たちが卒業試験なのに勉強は全くしていないでカンニングで乗り切ろうってな内容なんですけどカンニングの方法が先生の背中にカンニングペーパーを貼ったり背中に指で文字を書いたりして時代を感じるなぁー。斎藤が考え出したシャツに試験範囲を全てを丸写しするという荒技に(結局下宿のおばさんのせいでダメになるけど)いったい本番ではどうやってそのシャツを活用するんだ?と軽く突っ込みをいれたくなる。
結局、斎藤達はタイトル通り落第してこんなことなら普通に勉強しとけばよかったと後悔するけど、無事卒業した下宿仲間達はというと就職難で就職先が見つからず結局下宿でゴロゴロする毎日。斎藤が大学の就職課で持ってくる就職情報を頼りにするしかなく斎藤は憧れの的になるという今の時代にぴったりなテーマに感心したし、
人生一度くらい失敗したっていいじゃないかという(勝手な解釈)ところがいいですね。
このサイレント映画もちろん台詞があるところは字幕が出るのですが実はその字幕自体そんなにあるわけじゃないんですよね。それを補うのが活弁士の先生のお仕事なんですけど、スクリーン上に次々と映し出される映像に違和感なく字幕以外の台詞や舞台の背景を解説したりして気分は一人芝居を観に行った気分であります。しかも
今回の活弁士の先生は佐々木亜希子さんというまだ30代前半のとってもお綺麗な方。映画の知識も才能もあるというすばらしい方でナオミ・ワッツ以来の一目惚れなのでした。
 2回目のコメント
2011年5月 
前に観たことがあるのをすっかり忘れていました。そして内容も。
6年前に観た感想とはだいぶ違う感じですね。
小津安二郎のサイレント映画は何本か活弁付きで観たことがあってとてもよかった記憶があるのですが今思うとそれはかつ弁士の技術がすごかったからなんですね。この映画は完全サイレントで観たのでBGMもないから本当何度か眠くなって1時間位のものを結局、倍くらいの時間をかけてようやく観終わりました。
内容としては風刺映画という感じでしょうか。
カンニングをして何とか乗り切るも一人だけ落第してしまうという切ない展開。みんな励ましながらも卒業式とかで浮かれ気分というところが観ていて可哀そうです。
ネタバレ→
といいつつも世の中不景気でみんな就職口がなく落第した学生に就職情報を教えてもらうという現代にも通じる終わり方。小津安二郎って意外とシニカルな内容も行けるんだなと思いました。
確か、ミルクバーで働いている感じの落第生の彼女役に田中絹代登場。この頃は若いのではかない感じが強かったです。だけど芯は強そうみたいなところはこの頃から健在でした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
斎藤達雄
(学生高橋)
ユアン・マクレガーで。落第したって落ち込むことなく人生を謳歌しそうなところが。


羅生門
IN THE WOODS
(1950)
3
2005年4月
盗賊の多襄丸が侍夫婦を襲い、やがて夫の金沢武弘は死体で見つかる。多襄丸は逮捕されその時の事を証言するが、金沢の妻の真砂証言とは異なっていた・・・
「藪の中」という芥川龍之介の短編を映画化したことや、観る前にちょっと調べてみてヴェネツィア国際映画祭金獅子賞とかアカデミー賞外国語映画賞を受賞していたので期待していたのですがこういった批評家受けする作品はやっぱりなんだか肌に合わない感じががしました。
「ラン・ローラ・ラン」の時も同じように感じたのですが微妙に違うエピソードを2回まで観るのはいいけれどそれ以上観るのは疲れるというかくどいなぁと思えてきてしまうんですよね。
殺された森雅之の証言はどうするんだろうと思ったら「いたこ」で霊を呼び寄せるとか突飛なところは好きですけど。
とは言っても京マチ子を黒澤作品で観ることができたのは意外でした。三船敏郎が証言するエピソードではおしとやかでいつもの京マチ子らしさが全然ないなぁと物足りなさがあったのですが、証言が変わるたびに徐々に強烈になってくるので一安心。
最後は
盗賊の三船と夫の森雅之に逆ギレしちゃってこのキレっぷりが今までに観たことない狂女と言ってもいいほど変なテンションで恐かったです。でも今までにない京マチ子を観ることが出来てなんだか得した気分でした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
三船敏郎
(多襄丸)
ラッセル・クロウのような暴れん坊にやってもらいたい。
京マチ子
(真砂)
京マチ子のテンションを観て「アレキサンダー」のアンジェリーナ・ジョリーを思い出します。
森雅之
(金沢武弘)
線が細いところがスチュアート・タウンゼントっぽくて。


ラビット・ホラー3D
RABBIT HORROR 3D
(2011)
2
2011年11月
母親の死で口をきけなくなったキリコそれから10年。弟が学校のウサギを殺してしまってから、物置に弟が夜な夜な消えていくとに気が付き・・・
満島ひかりがホラーに挑戦。しかも3D。
監督が「呪怨」の清水崇で撮影がクリストファー・ドイルで主演が満島ひかりで3Dときたら期待しない方がおかしい感じなのですが、期待しすぎた分拍子抜け。
映像はクリストファー・ドイルっていう感じはするのですが何か地味なんですよ。話の展開もちょっともっさり気味なのまではいいのですが
満島ひかりが口をきけないという設定が失敗だなと思いました。やっぱり満島ひかりのキレる演技をこっちは期待しているわけなんで全然物足りないんですよ。何か冷静なんです。いつものように突然豹変してもらいたかったです。
それにこれ3Dなんですけど特段3Dにしてもしなくてもいいような感じでしたね。3Dなんだからもっとド派手に色々なものが飛び出してくれればよかったのに・・・
劇中映画館で映画を観ていたらうさぎが飛び出してきてそのままスクリーンの中に吸い込まれるというシーンは3D感があってよかったとは思いましたが・・・
父親役の香川照之のキャラクターも子供に冷たい変なキャラクターで変な感じがしました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
満島ひかり
(キリコ)
ブレイク必至のエマ・ストーンあたりで。
香川照之
(公平)
クライヴ・オーウェンにお願いしたい。


乱暴と待機
(2010)
4
2010年10月
平屋の住宅地に引っ越してきた番上夫妻。妻のあずさはそこで因縁のある同級生の奈々瀬と再会するが彼女はいるはずのない兄と同居していて・・・
ドロ沼恋愛コメディ。
登場人物が浅野忠信、美波、小池栄子、山田孝之の4人だけというところが舞台的でよかったなとおもったらどうやら戯曲っぽいらしく納得。
内容は変態映画だと思うのですが、特に小池栄子と山田孝之が想像どおりよかったです。
小池栄子がドSで誰もがみていてイライラする美波をここぞとばかりにいじるところと、いつもどおりふわっとした感じの浅野忠信にまで突っ込みを容赦なくいれるところが観ていて気持ちが良かったです。
山田孝之もほとんど本能だけみたいな今まで見たことがないキャラクターなのですがわりと素に近いんじゃないのと思わせる部分も多くてこれからこういう役もバンバンやっていってもらいたいと思いました。
内容はあってないようなものという感じもしなくもないのですが小池栄子のドSっぷりに3人がタジタジという構成を楽しむ感じなのでこれはこれで十分ありだなと思いました。一応主役っぽい美波は割と「さくらん」なんか観てもキツイイメージだったのですがこの映画では本当に面倒くさい女を好演していて、今後もクセのありそうな映画だといい味出しそうだなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
浅野忠信
(山根英則)
ユアン・マクレガーとか似合いそうです。
美波
(緒川奈々瀬)
イメージではブライス・ダラス・ハワードでしょうか。
小池栄子
(番上あずさ)
気の強そうなスカーレット・ヨハンソンにお願いしたい。
山田孝之
(番上貴男)
レオナルド・ディカプリオもたまにはこういう役をやってもらいたい。


襤褸の旗
(1974)
3
2005年5月
足尾銅山鉱毒事件で明治政府を相手に闘った田中正造の姿を描いた作品。
田中正造といったら社会の授業で習った
あの有名な足尾銅山鉱毒事件をより濃くドラマチックに復習したような社会科的な内容でした。
これ実話が元だから足尾銅山の経営者も当然出てくるのですがその経営者の妻は被害にあっている村の人たちを密かに申し訳ないと思っていて旦那に内緒で見舞いに訪れたりするいい人なんですが最後やりきれなくなって自殺しちゃうんですがこういうところも史実に忠実に描いているところがよかったです。
最初は渡良瀬川の近隣の農村が一致団結して抗議運動をしていたけど政府は一番被害がある村をダムの建設地にすべく村を住民の目の前で破戒してやりすごそうとする政府と足尾銅山の対応も非情でやるせなかったです。
しかも田中正造はそれでも活動を続けながら志半ばで突然死んでしまうんですよね。てっきり田中正造が執念でこの事件を解決して英雄になったのかと思っていたのですが違うんですね。ちょっと調べてみたら結局鉱山が閉山されたのは田中正造が亡くなってから60年後というのを知って、タイトルにある「襤褸」(らんる)とはぼろぼろのという意味らしいのですがこのぼろの旗で抗議運動をしていた農民の気持ちを分からなかった政府に悲しくなりました。
ちなみに1974年の作品なのですがあえて白黒ってところが説得力がありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
三國連太郎
(田中正造)
ダスティン・ホフマンだったらいい政治家になれそう。


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