日本映画

り


陸軍中野学校
NAKANO SPY SCHOOL
シリーズ第1作

(1966)
3
2004年12月
その優秀な成績から三好次郎は草薙中佐にスカウトされ極秘のスパイ養成学校の陸軍中野学校で教育を受ける事になった。一方婚約者でタイピストの布引雪子は次郎が行方不明だと思い軍の仕事にありつきなんとかして次郎の消息を掴もうとするのだが・・・
昭和の始め、第二次世界大戦が始まるかギリギリの時代の話なんですけど、草薙中佐いわく日本はスパイに関して遅れをとっているからこの養成所を作ったらしく、なるほど日本のスパイレベルが低いのがよくわかりました。授業の内容がスパイ養成所というよりスパイごっこしている感じで微笑ましすぎます。金庫破りのテクニックは刑務所にいる年期の入った金庫破りを呼んでの講習したり、敵に毒を盛るには気づかれないように仕込まなくちゃいけないからと手品師呼んだりして極めつけはスパイは女を利用して情報を得るという哲学?にのっとって女の悦ばせ方まで教えてくれるのですが、その
授業の時に教室にはミロのビーナスの彫刻をバックに黒板に性感帯の文字が無造作に書かれてあって何ともシュール。この授業風景だけ観ていると胡散臭い中佐になぜこれほどまでにみんなついて行こうとするのか謎でかなり変な映画になっちゃうけど他のところはなかなかハードボイルドでした。
中盤以降、軍から馬鹿にされている中野学校がイギリスの領事館から暗号解読表を盗み出すミッションがあるのですがあんなヘンテコな授業だったのに領事館の周りの事情を調査したり、仕立屋に変装したりして領事館の人間に近づき情報収集したり役割分担されたチームを組んでスパイして見違えっています。市川雷蔵は時代劇じゃないと本当そこら辺の人みたいになっちゃうから変装担当ははまっていたし。
後半恋人の雪子が次郎を探すために会社を辞めて軍のタイピストになるのですが会社のイギリス人社長にそそのかされてスパイ活動をして次郎達が盗んだとは知らず暗号解読表のことを漏らしてしまいその事に気がついた次郎はネタバレ→
憲兵に拷問され殺されるよりは自分で殺したほうがいいとして雪子を毒殺するのですがこの時に授業で出てきた手品師の技が活きるととはなんと無駄がないと思ってしまいました。雪子と逃げることだってできたと思うのに殺して←結局スパイに生きる道をを決意した気持ちは分かるような気がします。なんとなく仕事を優先してしまうそんな感じがしててちょっとやるせなくなりました。
こうして立派なスパイになった次郎はアジアに旅立ち続編「陸軍中野学校 雲一号指令」へと続くのでありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
市川雷蔵
(三好次郎)
ジョニー・デップはスクリーンで観る雷蔵のように冷ややかな一面があるような気がして。
小川真由美
(布引雪子)
やっぱり男運に恵まれた役を観たことがないナオミ・ワッツで。
加東大介
(草薙中佐)
ちょっと胡散臭そうなダニー・デヴィートで。


陸軍中野学校 雲一号指令
ARMY NAKANO SCHOOL: CLOUD #1 DIRECTIVE
シリーズ第2作
(1966)
4
2010年1月
極秘の新型爆弾を積んだ貨物船が次々と爆破させられる事件が相次ぎ、陸軍中野学校の草薙中佐は一期生の椎名と杉本を捜査に送り込むのだが・・・
「陸軍中野学校」シリーズ第二弾。
一作目を観たのが5年も前なのですが、印象としては前作がスパイ養成学校での成長を描いていた感じなのでどちらかと言うとスパイごっこしている感もあったのですが、今回からは
陸軍中野学校を卒業してからの本格的な諜報活動なのでスリリングで硬派な内容に仕上がっていて、敵も味方もお互いを欺くためにあの手この手で諜報活動をしていて小道具もタバコを使った時限爆弾とか出てきて格段に面白くなっています。
市川雷蔵は時代劇スタイルじゃない時だとものすごく地味になるのでこういう変装が必要になるスパイ約はなかなか似合っています。
市川雷蔵だけが諜報活動するかと思いきや、雷蔵と同じ、一期生の仲村隆も怪しいと睨んだターゲットの身辺に近づくために同じ職場に潜入して密かに日常の行動パターンを洗い出すという「スパイ大作戦」も真っ青な本格的な諜報活動に感動すら覚えました。
敵方の女スパイ松村英子も売れっ子芸者として軍隊の上層部に食い込み色々と情報を横流ししていてかなりのやり手なのですが、村松英子のルックスがものすごくなで肩で日本人形の生き写しみたいなところも印象的です。
それに憲兵隊の佐藤慶が中野学校の二人をものすごく敵視しすぎてから回ってしまうところとか戦争ならではのエピソードが組み込まれているところも面白くしている要因のひとつとだなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
村松英子
(梅香)
「カジノ・ロワイヤル」でスパイ役をやったエヴァ・グリーンで。
佐藤慶
(西田大尉)
イーサン・ホークあたりにお願いしたい。
仲村隆
(杉本明)
パッと見はスティーヴ・カレル風でした。


陸軍中野学校 竜三号指令
ARMY NAKANO SCHOOL: DRAGON #3 DIRECTIVE
シリーズ第3作
(1967)
4
2010年1月
和平のために中国に向かった一行が死亡する事件があり椎名は中国へ向かう。そんな中、再び新に日本から和平交渉のために向かった一行の飛行機が墜落する事故が起こり、椎名と杉本は救出に向かうのだが・・・
「陸軍中野学校」シリーズ第三弾。
今回はついに日本を飛び立ち一般市民を巻き込んだ諜報活動に救出劇ありと「ミッション・インポッシブル」状態で娯楽度もアップしています。ヒロインも雷蔵の味方になる安田道代に敵側の松尾嘉代とそれぞれはっきりと敵味方と分かる雰囲気をかもし出し近年のボンドガールに通じるところもあります。
そんな安田道代との出会いは偶然襲われているところを助けたことから始まり、偶然再会した二人が家に帰ると安田道代が妹のように慕っている中国の女の子が見てはいけないものを見てしまい消されて安田道代も狙われ始めるという展開に無駄がないです。
そしてなんといってもスリリングだったのが捕まってしまった和平大使を救出するために雷蔵と杉本役の仲村隆がそれぞれ単身で村に侵入する部分。
杉本役の仲村隆は中国語は完璧なのですが、顔を洗う仕草が中国人ではやらない仕草で日本人とばれてしまい・・・というシーンがこれって「イングロリアス・バスターズ」にも似たようなシーンがあってこれはタランティーノ絶対観ているに違いないと思いました。そこからの救出劇もハラハラものでネタバレ→杉本も救出されるのですが、途中危機一髪のところを自らを犠牲にして死んでしまうところは切なかったです。
身体を使って陸軍の上層部を殺して行く松尾嘉代はビジュアル的にも完璧なのですが、ちょっと出番が少なかったのが残念です。後半はターゲットに「成仏」というお札を忍ばせて死の宣告をするだけの人になってしまっていたからなぁ。
とは言え、戦時中のスパイと陸軍の軋轢や和平を望まない人たちが巻き起こす混乱などドラマチックな展開がふんだんにあってこのシリーズは相変わらずよく出来ているなと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
安田道代
(林秋子)
巻き込まれキャラもに合いそうなクレア・デーンズで。
松尾嘉代
(周美蘭)
これは完全にファムケ・ヤンセンの得意とする役どころです。


竜虎一代
(1964)
3
2009年6月
明治20年代、北九州で発展のために鉄道を引こうとする松坂一家と石炭を運ぶ船頭衆の暮らしを守ろうとするため鉄道の開設を邪魔しようとする石岡組の一触即発を描いた任侠風な映画。
高倉健主演の「日本侠客伝」とか「昭和残客伝」なんかと同じ類で訳ありの男がふたつの組の抗争に巻き込まれる感じの内容なのですが、それと違うところはやくざではないというところでしょうか。(任侠風ではありますが)偶然、鉄道開通事業をする松崎一家の親分が刺客に襲われているところを助けたわけあって警察からの逃亡生活を続けている鶴田浩二。そのまま親分は死んでしまうも娘の藤純子と息子の千葉真一の手伝いをすることになったのですが、石岡組の血の気の多い男衆にたびたび妨害されてしまうという王道の内容です。
鶴田浩二は一瞬、藤純子に惚れかけるのですが実は藤純子には敵対する石岡組の若頭の天知茂と婚約していて身を引いたりなんかします。と天知茂はとにかくいい人なんです。高倉健主演の任侠ものでいうと池部良とか大木実的な役どころです。いい人過ぎてフィアンセの藤純子からは何も教えてもらえず別れたいと言われるし、自分のところの親分からも何も教えてもらえず結構可哀想な役どころではありますが船頭仲間思いのまっすぐないい人というのが珍しかったです。
そうこうしているうちに飲み屋で出会ったホステス的存在の佐久間良子といい感じになったり
東京から追いかけてきた刑事の加藤武に捕まりそうになったりするのですが鉄道が開通するまで見逃してくれと懇願しそれを黙って許す加藤武。むしろ一緒に働いたりして加藤武のこんな男気のある姿を見たことない。見直しました。
こういう展開の映画は何本も観ているはずなのですが、たまに観るとやっぱり新鮮に感じます。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
鶴田浩二
(草刈信次郎)
男臭いベネチオ・デル・トロで。
佐久間良子
(北島くみ)
やさぐれている感じのするエヴァ・メンデスで。
天知茂
(縄手清治)
いい人そうなマシュー・フォックスで。
藤純子
(松橋雪子)
しっかり者なかん地のするダイアン・クルーガーで。


竜馬暗殺
(1974)
3
2005年10月
幕末、坂本竜馬の最期の3日間を描いた作品。
原田芳雄は坂本竜馬ってより型破りな荒くれ者って感じがするのですがこれがまた「野良猫ロック 暴走集団’71」から抜け出して時代劇にやってきたという感じでカッコよかったし、なんといってもかつては仲間で今は竜馬の命を狙う石橋蓮司が最高に楽しかったですよ。すきあらば殺してやろうと心の中では思っているけど、どうにも煮えきれずに結局一緒に逃避行してしまう人のよさが今までにない石橋蓮司像が新鮮だったしこんなコミカルなこともできるんだぁと新発見できてちょっとうれしかったです。とこの二人は好きなのですが同じく竜馬をの命を狙いながらもいつの間にか一緒に行動を共にする刺客の
松田優作が個人的にどうもものすごくキムタクにかぶって見えてしまってダメでした。初めて松田優作という人をちゃんと観ることができましたがカッコいいだけにわざとアウトロー路線を行くみたいな印象を受けてしまってこの人ちょっと苦手だなと感じました。まぁよくテレビで観る「なんじゃこりゃ!」とか観たことないけれど「探偵物語」の印象しかないので本当に正統派な二枚目をやっている姿を観たらがらっと印象は変わるかもしれませんが・・・
あとは画面にサイレント映画風に字幕が出たりええじゃないか音頭?に沸く群集とか、ATG作品にしてはこんなにも豪華な俳優達をそろえているので個人的にはパワフルとかエネルギッシュさはものすごく大事だしすきなのですがこれが抜き出すぎていて、もうちょっとちゃんとドラマしていて欲しかったなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
原田芳雄
(坂本竜馬)
ワイルドというイメージのベネチオ・デルトロで。
石橋蓮司
(中岡慎太郎)
情けなさ加減がどことなくヴィンス・ヴォーンっぽくて。
松田優作
(右太)
血の気の多い若造といった感じのヴァンサン・カッセルで。


輪廻
REINCARNATION
(2005)
4
2007年8月
35年前にとあるホテルで起こった11人惨殺事件の映画化に新人女優の杉浦渚が抜擢されるが渚は謎の少女をたびたび目撃するようになる。一方その頃、女子大生の木下弥生も一度も行ったことのないホテルの夢を見続けていて真相を調べ始めるが・・・
「呪怨」の清水崇監督によるJホラーシアターの第二弾。
優香の演技はあんまり見たことないしいつもヘラヘラした印象なのであんまり期待していなかったのですが
優香の絶叫や恐怖におののく演技がかなり気合も入っていて、いつもと違う負のオーラが優香にちゃんと馴染んでいて優香も本気を出せばいい線いけるんだなぁと感心しました。内容も優香と香里奈の接点が全くないのですがそれが最後しっかり繋がるところもひねって作ってあります。という感じでよく出来ていました。
優香は35年前の惨殺事件と当然関わりのあるキャラクターなのでフラッシュバックで死人が見えてしまうのですが、死体というよりゾンビっぽいのでJホラーというよりアジアンホラーという雰囲気をかもしだしていて普通のホラーと一線を画している気が少ししました。
フラッシュバックで時折出てくる死体と暗闇の中に現れる怨霊的な顔、顔、顔はもちろんホラーらしくく不気味なのですが、一家とホテルの宿泊客と従業員を殺して自分も自殺した医学教授が撮影した8mmがネタバレ→
スナッフフィルム←になっていて重要なアイテムになっているのですが年代ものの画質のざらつき感と今は事件の影響で廃ホテルになってしまっているその雰囲気が相まってなんとも言えない雰囲気をかもし出しているところは何とも言えない不気味さでこの監督のホラーはビジュアルが特に上手いと感じたのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
優香
(杉浦渚)
今度はアジアンホラーのリメイク版の主役も決定しているジェシカ・アルバで。
香里奈
(木下弥生)
映画の出演作はホラーばかりの気がするエリシャ・カスバートで。
椎名桔平
(松村郁夫)
ロバート・ダウニー・Jrあたりにやってもらいたい。


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