シーサイドモーテル THE SEASIDE MOTEL (2010) | |
2010年6月 | |
山の中のモーテルを舞台にした豪華な顔ぶれのアンサンブルコメディ。 4つの部屋で起こる一見関係なさそうな出来事がどことなく直接は関係なくてもうっすら繋がっている作りが上手いなと思いました。 @いんちきセールスマンの生田斗真とコールガールの麻生久美子の騙しあい編。 話としてはこれが一番好きですね。二人がこれまでと全く違ったイメージの約をやっているところが新しいのと特に麻生久美子はコールガール役なのですが、下品な感じがなくむしろ爽やか。「お電話サンキューです。ラブミー・コールミーのキャンディです。」という寒い自己紹介も寒いのですが麻生久美子らしくて、この非とは何をやっても自分らしさがあっていいなと実感しました。 A借金から逃げていた山田孝之と取りたて屋の玉山鉄二が追いつめる編。 出ている人数はこのエピソードが一番多くてキャラクターがどれも濃いです。山田孝之なんてますます濃くなって借金返済のためなら恋人の成海璃子を売り飛ばそうとするロクデナシ感満載の約を怪演。好青年よりこういう役の方が絶対いいと思います。成海璃子のうっとうしい意彼女は苦手でしたが上手かったです。 B池田鉄洋がキャバクラ嬢の山崎真実に迫る。 このエピソードは短いのですが池田鉄洋をずっと観ていたいかと言われればちょっと出てきた方がありがたみのあるタイプなのでこの使い方は正解だと思いました。 CEDの社長、古田新太とその嫁の小島聖との顛末。 もっとも短いエピソードですが古田新太は色んなエピソードに顔を出して一番美味しい使われ方をしていたと思います。エマニエル夫人のコスプレをした小島聖は思い切りがよくて好感度アップ。 と一言づつコメントしてみましたが、全体的な雰囲気としてはサブカル度満点な内容で、テーマ曲の「ランナウェイ」とか音楽の使い方がものすごくセンスがいいなと思ったし、小道具とかがさりげなく効いていて、ちょっと今までになかったタイプの映画ですけどじわじわと面白みがアップする不思議な映画でした。爆笑というわけではなく全編通してクスっとした笑いがよかったのだと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! (登場人物が多いので今回はなし) |
ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派 (1974) |
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2004年7月 | |
バーのママ聖子は毎日の生活に退屈していて、深夜思い立ったように車を走らせた。一方片桐は殺しの手伝いをするも仲間に裏切られて殺されそうになるが報酬の500万円を持ち逃げ出した。そんな二人の車が衝突するのだが二人は意気投合し二人の逃亡生活が始まるのだが・・・ 梶芽衣子が唄う「ジーンズぶるうす」から始まり、ここのところポイント上がりっぱなしの渡瀬恒彦との共演でしょ?いやがうえにも高まるってもんですよ。今回の渡瀬恒彦ちょっと三枚目入っていたので本当、梶芽衣子のクールさが際立っていましたけど、ただのクールビューティじゃない、不健康な美しさがなんだってことを新たに発見しますます好きになりましたよ。車が衝突して渡瀬恒彦に「今、人バラしてきたんや!」おんどりゃあ的な因縁をつけてくるんですけど、梶芽衣子は渡瀬恒彦が内心びびっているのをちゃんと見透かしていて「無理しなくていいよ。」って言うんですよね。さすが芽衣子姐さん。修羅場をくぐってきただけあってちょっとやそっとじゃ動じないところが(それどころか最後まで冷静だった)相変わらずいいですね。しかもこの車爆発炎上しちゃうんですけど梶芽衣子がうっすら笑っていたのを見逃さなかった!そう彼女はこの瞬間退屈な日常から抜け出したんですよね。 中島貞夫監督は梶芽衣子がけだるい演技をしているのを見てそれを狙ったけど上手くいかなかったと言っていましたけど、なるほどそうなんですよねけだるいというよりしっかりした姐さんって感じの方が強かったですね。渡瀬恒彦がポンコツの中古車をつかまされた時もさりげなく店主の財布をすって仕返ししたりと中盤以降はぐっと行動的になりますからね。 この映画物語が進むにつれ渡瀬恒彦がかわいそうになってくるんですよね。せっかく持ち逃げした500万円も路上にばら撒いちゃうし、逃げてる時に指なくしちゃうわで散々なんですけど、再び手に入れた金を妹のために持って行こうとするけど、当の妹は男に貢いじゃってるんだもんなぁ。その隙に警察やかつての仲間に追われまくってほんとに報われないですよ。 ラストもネタバレ→二人とも死んじゃって←すっきりしないけど不思議と嫌ではないんですよね。それがきっと誰にも真似できない梶芽衣子の持ち味であり魅力なんだろうなと思いました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
梶芽衣子 (聖子) |
どんなことがあっても動じなさそうなファムケ・ヤンセンで。 |
渡瀬恒彦 (片桐次郎) |
やること全てが裏目にでるこの役ジェイソン・パトリックあたりがぴったりかと。 |
地獄 THE SINNERS OF HELL (1960) |
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2004年8月 | |
大学生の清水は教授の娘とも結婚が決まっていたがその一方で常に付きまとう級友の田村にウンザリしていた。そんなある日、二人は一人の男をひき殺してしまう。自首をしようとする清水だがそれを許さない田村は以前にもまして清水に付きまとうようになる。やがて清水の周りの人々も次々と死に清水も死に地獄に落ちるのだが・・・ 人が地獄に落ちたらどうなるかを描いた作品ですが地獄に行くまでが長い長い。地獄まだですかぁ。って正直思いましたけど地獄に落ちるまでの話も相当きていましたよ。 ひき逃げを境に清水の周りでなぜか知人が死んでいくんですよね。婚約者は事故死、その両親はショックで自殺。養老院にいる母親も病死と知人だけでもこれでもかって死んでいくのに養老院の経営者とかそこで暮らしている年寄り達も全員死んじゃうからすごい事になっちゃっています。まぁ年寄り達は清水にひき逃げされた息子の母娘が清水に復讐しようと毒を川に流してその魚を食べたから死んじゃったんですけどね。てな展開で周りの人にとっちゃ清水は完全に死神になってます。 清水に付きまとう田村がこれまた半端じゃないほどむかつくんですよね。なぜか他人の知られたくない過去を知っていて脅しにかかるんですよね。それがまた、僕は君の事なんでも知ってるよ的な嫌味な脅し方なんですよね。それだけならまだしも田村という男、顔までむかつくんです。あぁ、あの顔思い出しただけでも腹立ちますわ。 でようやく登場人物がなぜか全員が地獄に落ちてようやく血の池地獄やら針山地獄とかが始まるわけですけど地獄のセットがおどろおどろしくてすごかったし鬼の拷問も痛かった。手首を斬られるのなんて序の口、鬼の金棒で歯を砕かれちゃうところと全身の皮を剥がれる拷問は究極でしたね。やっぱり地獄は恐ろしいところです。 他にも原田美枝子が主演の「地獄」と最近の石井輝男監督の「地獄」と同タイトルのものがあるので時間があったら観てみようと思います。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
天知茂 (清水四郎) |
見るからに暗い影が漂うジム・カヴィーゼルで。 |
沼田曜一 (田村) |
ストーカーちっくな役が最近多いケヴィン・ベーコンで。 |
地獄の饗宴 (1961) |
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2005年6月 | |
売春業をする戸部はある日新橋駅でネガを拾い早速現像してみるとそこにはかつて戦争中リンチを受けた上官の伊丹が若い女と写っていた。伊丹をゆするために彼の会社を訪れるのだったが伊丹は列車事故で死亡していた。しかし生きている事を確証した戸部は殺し屋に狙われながらも伊丹の居所を突き止めるが・・・ 今回の映画で三橋達也はこういったどこか都会的なチンピラ風情が似合うキャラなんだなぁと思ったし、ゆする時は強面で密かに憧れているシングルマザーの池内淳子の子供の相手をする時は優しげにそれでいて普段はコミカルな兄貴分といった三橋達也なかなかよかったです。 元上官の田崎潤も愛人の団令子がちょっとしくじっただけで往復ビンタするという極悪っぷりも徹底されていてすごかったし団令子の三橋につくか田崎につくか最後まで分からないファム・ファタールっぷりはさすがでした。ただ「殺人狂時代」時より丸くなっちゃったところがちょっと残念でした。もうちょっとすらっとしていたら完璧だったのになぁ。団令子。 笑っちゃうのが田崎潤の本妻。旦那が生きていて会社の金を横領して隠れていただけでも怒っているのに愛人がいたってことで怒り倍増。何かというと教祖様と言って神頼みしちゃうほど怪しげな宗教にはまっていてちょっとおかしくなちゃているからやることが突飛で田崎潤を精神病院に送り込んじゃってこの女、案外やること大胆だと思いました。 だからクライマックスは三橋と団令子VS宗教にはまった本妻という展開が意外でしたね。ラストもネタバレ→二人とも撃たれて死んじゃうというところがクールだったしこの二人だからラストはこうしたんだなと感じました。岡本喜八監督は別の人なら多分生かしているんじゃないかなと思うのでした。(例えば佐藤允なら瀕死の状態でギリギリ生き残りそうだし、加山雄三なら余裕で傷ひとつ負わなそうですしね。)← |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三橋達也 (戸部修) |
どことなく三橋達也に似ているラッセル・クロウで。 |
団令子 (日下冴子) |
ファム・ファタールと言えばレベッカ・ローミン=ステイモス。 |
池内淳子 (加村和子) |
トニ・コレットはシングルマザーがよく似合う。 |
田崎潤 (伊丹貫三郎) |
鬼上官にぴったりなトム・サイズモアで。 |
地獄花 (1957) | |
2008年10月 | |
盗賊として育ったステはある日、首領の麿が留守の間に別の党の首領、馬介に襲われるが馬介の舌を噛み切った。しかしステは馬介の子を身ごもってしまい自殺を考えたステだったが野伏の勝に説得され子供を生む覚悟するのだが・・・ 鶴田浩二と京マチ子のプラトニックな盗賊ラブストーリー? 両親がいないから盗賊のボスに育てられてそしてボスの女となっている時点で波乱万丈。そしてライバルの盗賊の山村聡に襲われて身ごもりそれがボスに知れたら命を狙われるという展開が、鶴田浩二の名前が先頭にあったので京マチ子と出演シーンは同じくらいあるのかと思っていたら完全に京マチ子主演の波乱万丈記みたいな内容になっていました。 子供を堕ろそうとしてダメだったのでそれでは自ら死を選ぶしかないと思いつめた京マチ子をとにかく子供を生めと妙に説得力ある物言いで鶴田浩二がようやく本格的に話しに絡んできますがやはりメインは京マチ子という感じ。 盗賊の世界から抜け出し子供を生んでプラトニックな関係を続けたまま鶴田浩二と生活しているところにボスの柳永二郎が母となって美しくなった京マチ子を自分のものにしようとやって来てそれを拒否。もうここまで来ると命を狙われるしかありませんという展開が繰り広げられていくのですが、男も女も嫉妬というものは恐ろしいものだなぁと改めて思いました。 京マチ子は盗賊なので前半はガングロでワイルドな感じで、後半子供を生んでからはまた全然違う雰囲気をかもし出していてやっぱり京マチ子は大物だなぁと感じたのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
鶴田浩二 (野伏の勝) | 荒々しいキャラクターが似合うジェラルド・バトラーで。 |
京マチ子 (ステ) | 波乱万丈な役も余裕でこなすケイト・ブランシェットで。 |
柳永二郎 (袴野の麿) | 嫉妬部下そうなデヴィッド・モースで。 |
士魂魔道 大龍巻 SHIKONMADO: BIG TORNADO (1964) | |
2009年5月 | |
徳川勢に大阪城を攻め落とされる寸前の豊臣勢。やがて落城した大阪城を目の前にして豊臣側の三人の侍はそれぞれの道を進むのだが・・・ 三船敏郎も出ている戦国絵巻。 「大盗賊」的な妖術師とか変なアクション映画かなと思いきや意外と普通の戦国時代劇といった感じの内容でちょっと拍子抜けしてしまいました。 市川染五郎は戦で負けたので切腹しようと切腹場所を探していたら偶然ニンジャに襲われている国松を助けて安全な場所に届ける羽目に。恋人の久我美子が死んだと思い込んだ佐藤允は辻斬り魔になってしまい夏木陽介は商人になりその才覚を表し瞬く間に金持ちになるという展開ですが、基本は染五郎と侍女の星由里子の恋の行方はいかに?がメインでしょうか。 染五郎を襲うクノイチが水野久美という配役なのですが、水野久美は男勝りで主人公に敵対心を抱いているのですがいつのまにか恋をしてしまうという役が多いですね。何だかんだ言って染五郎と星由里子の間を取り持つところが切ないです。 三船敏郎は染五郎がピンチの時に偶然通りかかって助けてくれる不思議な虚無僧なのでいてもいなくてもいいキャラクターなのですが、尺八で敵を蹴散らすところが新鮮。それに三船敏郎はやっぱり華があて出てくると場をさらうところはさすがだなと思いました。 後半、いきなり埋蔵金奪い合いみたいな展開になるのですが、最後はタイトルにある「大龍巻」の意味が分かる衝撃の展開が。全体的には普通かなと思っていたのですが最後だけはトンでもないところは観た甲斐があったと思いました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川染五郎 (深見重兵衛) | 侍姿も似合いそうなマシュー・フォックスで。 |
星由里子 (小里) | 侍女とかも似合いそうなケイト・ベッキンセールで。 |
獅子丸一平 シリーズ第1作 (1955) |
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2004年11月 | |
帝と幼なじみの庄屋の娘の茂とは密かに愛し合っていたのだそのことが上皇にばれて二人は別れさせられてしまう。しかし茂はすでに帝の子を身ごもっていてため用心棒の新宮寺光春ともに京都を離れるのだったが途中船が難破し島にたどり着く。光春は茂と夫婦となり15年の月日が流れる・・・ 獅子丸一平シリーズ第1作目。上映時間半分くらい経たないと中村錦之助扮する獅子丸が出てこないもので錦之助まだぁー。という気持ちにもなりましたが振り返ってみると5部作のうち1作目でちゃんと獅子丸の出生にまつわるバックグラウンドが描かれているとはいいことです。 獅子丸が登場したらまた作品の雰囲気が不思議なことになっていたのでびっくり。獅子丸が山神に出会い神通力を授かり山賊にさらわれた娘、千代野を助けてお互い一目惚れみたいな展開。でも千代野は将軍家に嫁ぐことが決まっているので当然獅子丸は牢に入れられちゃうんですが、ここで光春が獅子丸の出生の秘密を明かして救おうとするあたりからようやく面白くなり始めました。獅子丸は自力で牢から脱走、一方光春は彼を消そうとする浪人達に取り囲まれて・・・これからじゃんってところで終わるところがちょっと悔しい。 しかしこの「獅子丸一平」シリーズは雰囲気から感じ取るにきっと獅子丸はこの先追われる身になるだろうし千代野と遭いたいのに遭えないみたいなお通さん状態でちょっとした「宮本武蔵」のようだなぁと思いました。「宮本武蔵」のようなパワフルさがもうちょっと欲しいかな?と思いましたけどこれからに期待します。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村錦之助 (獅子丸一平) |
獅子丸は弓を使っていたけど弓といったらオーランド・ブルームで。 |
月形龍之介 (新宮寺光春) |
ショーン・ビーンは浪人にもってこいですね。 |
喜多川千鶴 (茂) |
40過ぎて母親役からスチュワーデスと幅広いケリー・プレストンで。 |
静かなる決闘 A SILENT DUEL (1949) |
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2005年4月 | |
軍医の藤崎は野戦病院で患者を手術中に指を切ってしまい梅毒に感染してしまう。やがて実家の病院に戻った藤崎は密かに治療を続けていたのだが・・・ タイトルに決闘とついているから最後は三船が誰かと一対一で対決する内容かと思ったら、自分の性欲と戦う内容の映画だったとは・・・タイトルと内容のギャップに驚きました。いや自分自身との戦いを描いていた訳なので「静かなる決闘」というタイトルは上手いことつけたなぁと感心します。 三船は婚約者がいるけど梅毒をうつさんとばかりに一定の距離を置く切ない役どころなのですが、白衣の三船がタバコの似合うニヒリストでかっこよすぎるからどうも自分の内なる欲望と戦う姿は似合わないんですよね。しかも最後このやるせなさが最高潮まで達して涙しちゃうし・・・ こんな三船の涙は観たくなかったけれど病院で働く看護婦峯岸役の千石規子のおかげで味わい深くなりました。黒澤作品でちょくちょく見かける気が利くタイプの下町の姉さんっというか左幸子をいき過ぎていない感じにしたタイプで最近ちょっと注目度している人なんですが、今回出番が多くてうれしかったです。三船はもちろん主役なんですけど、千石規子のやった峯岸という一人の女にも女で一つで子供を産み看護婦の資格を取り独立し人の心配まで出来る心のゆとりがでるようになる・・・と彼女の成長もさりげなく描かれたんですよね。 あと、これって大映作品なんですが三船や志村喬や千石規子など主要メンバーが東宝スターっていうのが珍しいなぁと思いました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三船敏郎 (藤崎恭二) |
真面目なイメージのジム・カヴィーゼルがやればはまりそうです。 |
千石規子 (峯岸るい) |
ドリュー・バリモアは一人で生きていけそうなたくましさがあると思う。 |
下町 DOWNTOWN (1957) | |
2007年4月 | |
戦後4年が経ちシベリアから帰らぬ夫を待ち続けるりよは静岡の茶を行商して何とか生活をしていた。そんなある日偶然立ち寄った鉄材置き場で鶴石という親切な男と出会いやがて二人は惹かれあうのだが・・・ 戦後復興中の下町の様子を描いた人情ドラマ。 「銀座カンカン娘」と同じような時代設定なのですがこちらはカンカン娘と正反対で現実の厳しさというか残酷さを描いている作品だなぁと思ったらやっぱり女性が主役で辛口な内容といったら原作はこの人でお馴染みの林芙美子でした。 山田五十鈴は女友達の家の二階を借りて生活しているのですがそこは寝たきりの夫のために売春をして生計を立てている淡路恵子が住んでいて何となくその家は売春宿のようになっていて山田五十鈴も危うく売春させられそうになったりと世知辛い世の中を描いています。 そんなつらい現実から逃避するように帰らぬ夫がいることが気にかかりながらも息子を連れて三船敏郎のもとに安らぎを求めて行くのですが三船敏郎が男女問わず好かれるものすごく好感持てる性格の役なので三船敏郎が出ているシーンだけは観ているこっちも温かい気持ちになります。 ネタバレ→最後、仕事に出た三船敏郎はあっけなく事故で死んでしまい山田五十鈴も最初は途方に暮れているのですが息子を見て力強く生きていこうと気持ちを切り替える。この時の目つきの鋭さは女として母としての強さを表しているようで←この終わり方はいかにも林芙美子らしい女性の描き方だなと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
山田五十鈴 (矢沢りよ) | 苦労人のイメージが強いトニ・コレットで。 |
三船敏郎 (鶴石芳雄) | 何かと頼りになりそうなヴィゴ・モーテンセンで。 |
下町の太陽 (1963) | |
2005年12月 | |
下町に住み化粧品会社の工場で働く寺島町子は同じ工場で働き正社員になるべく勉強に励む恋人の毛利道男と団地住まいを夢見て生活していたがある日、北良介という不良のような青年に声をかけられて・・・ 主人公の倍賞千恵子は今でいう派遣社員?のようなみたいに見えて工場で石鹸を箱詰めか何かの作業をする作業員。恋人も工場でデスクワークをしているけど正社員じゃない。この工場で働いている9割以上はおそらく正社員じゃないから毎年一人この工場から本社勤務で正社員になれる採用試験があって恋人の早川保は必死に勉強して正社員になって郊外の団地住まいを目指していて工場の女子社員もサラリーマンと結婚して団地住まいの奥様になることが夢みたいな、多分ちょうど高度成長期の真っ只中の時代性がよく表れていた作品でした。ライバルに北村一輝風なちょっと企み系のキャラもいたりするところもなかなか興味深かったし。 鉄工所で働き愚連隊と噂されるグループの一人、勝呂誉もいきなり倍賞千恵子に向かって「友達になってください。」ってストレートに告白。「怪奇大作戦」そのまんまのキャラでいい人だったなぁ。「一日だけでいいから付き合ってください。」とかとにかく言う事が恥ずかしくなるくらい純情なんですよね。しかも倍賞千恵子の末っ子の弟と以前から遊んでいるってところもいい人キャラだけど中学生と大人が二人っきりで電車ごっこをやるなんて今の時代だったらかなり危ない奴だよなぁと時代性を感じてしまいました。 ネタバレ→「結婚したら家で主婦しているだけでいい」という恋人の発言ですっかり冷めた倍賞千恵子は当然一緒に生きていこうみたいなことを言う勝呂誉とくっつきそうという一見消化不良を起こしそうな終わり方なんですけどこれにに限っては不思議な余韻が残ってこれもありだなぁと思うのでした。← | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
倍賞千恵子 (寺島町子) | 下町が似合いそうなマギー・ギレンホールで。 |
勝呂誉 (北良介) | 勝呂誉のイメージはどことなくカール・アーバーンという感じで。 |
早川保 (毛利道男) | ここのところ最後に振られるパターンが多いジュード・ロウで。 |
嫉妬 (1949) |
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2005年4月 | |
夫の芹沢耕介に理不尽な振る舞いにひたすら耐えていた妻、敏子が夫との別れを決断するまでを描いた作品。 佐分利信の理不尽なキレっぷりがすごいと聞いていたので観に行きましたが、本当すごかったです。この家には女中もいるんですけど夫の妻に対する扱いが女中以下というか奴隷並の扱いで唯一の救いが暴力を振るわないところだけどさすがにひどすぎる。朝起きて寝起きの一服をしようとしてライターがつかなかったら気を利かせてすぐにマッチを用意するなんて日常茶飯事。新聞も用意されていないと一気に機嫌が悪くなるから大変だし、妻の妹がちょっと金を借りにきたら「貸すんじゃなくてあげるんだろ?」と精神的な嫌がらせももちろん忘れていません。 そんな夫も会社じゃ手のひら返したようにやさしい人であぁこういう人いそうだなぁとちょっぴり嫌な気分になったけど、後半自分はしっかり浮気しているくせに妻が浮気していると勝手に思いこんで妻の弟の見舞い先に乗り込んで姉弟の知り合いを浮気相手と決め付け乱闘するし家に無理やり連れ帰った結果、弟の死に目に会えないしで理不尽さが度を越えすぎてコメディとなってきて楽しくなってきます。 この事件がきっかけで速攻で妻の高峰三枝子はいかにも昭和の貞淑な妻像でそれはそれですばらしいんですが、いい加減言いたいこと言えばいいのにとイライラするのですが最後は離婚を叩きつけて自立の道を歩みだすのがすがすがしいかったです。 逆に佐分利信は離婚を突きつけられて急に優しくなっちゃって高峰三枝子にすがるもんだからこんな嫌なキャラも愛すべきキャラに最終的に変わりました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
佐分利信 (芹沢耕介) |
ゲーリー・シニーズは何となく理不尽なことしそうで。 |
高峰三枝子 (芹沢敏子) |
不幸な妻のイメージがなんとなくあるジュリアン・ムーアで。 |
実録外伝 大阪電撃作戦 (1976) |
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2004年7月 | |
大阪では石村組と南原組の二大勢力がしのぎをけずって日夜抗争が続いていた。そんななか荒くれ者の集まり南原組の宮武は双竜会と手を結び暗殺部隊を結成する。双竜会の安田と南原組の高山は行動を開始するのだが、神戸最大の組織川田組が大阪進出を狙っていた・・・ なんかこうほぼ毎日松方弘樹、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、川谷拓三、今回は出ていないけど千葉真一を観ているとよくもこんなに撮ったなぁなんて感心し、そして案外ごっちゃにならないことに驚いていたけどさすがに今回はごっちゃになりました。今回めずらしく仲間を裏切ったり、仲間に入れたりと人の入れ替えが激しくって誰が敵で誰が味方かわからなくなりましたよ。その他大勢の組員は特にね。だから川谷拓三なんて今となっては松方弘樹側についていたのかすら記憶にございません。まぁ川谷拓三は出てくるだけで笑えるからいいんですけどね。 相変わらず出演者は豪華で神戸のやくざのお偉いさんに丹波哲郎と小林旭。噂では丹波哲郎が出ると雰囲気が全く変わるって聞いていたので出てきた時にはやばいかもと思ったけど出番がちょこっとだけだったからその噂を確かめることは出来ませんでした。 一番の見所と言ったら敵方にいる目黒祐樹でしょ。丹下左膳も真っ青なメイクを施し台詞は一切なしで(最後に一言、二言あったけど)一人都会派って感じがしてクールだったぁ。残念だったのはこれっていう兄弟対決が観られなかったことですね。どうせなら「かかってきな。思いっきりね。」byキル・ビルのノリで壮絶な最期が観たかったな。もちろん目黒裕樹のね。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
松方弘樹 (安田寿行) |
いかつい感じのウディ・ハレルソンで。 |
梅宮辰夫 (宮武平吉) |
梅宮辰夫はクリス・ペンのようにコロコロしてました。 |
渡瀬恒彦 (高山敬) |
線は細いが血の気は多いイメージのヴァンサン・カッセルで。 |
実録三億円事件 時効成立 (1975) |
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2005年11月 | |
競馬好きの西原房夫は会社の金を横領したのがバレたが恋人の向田孝子に助けられ刑務所行きは逃れた。やがて二人は綿密な計画を立て日本信託銀行国分寺支店から輸送される三億円を見事強奪し事件も迷宮入りしそうになるのだが、やがて刑事の葛木正男の捜査によって西原は追いつめられていく・・・ 石井輝男監督が三億円事件の始まりから時効成立にいたるまでの経緯を独自にアレンジした大胆な作品。三億円事件の捜査をしていた本物の鬼刑事がこの映画を観た感想「この映画のような犯人像だったら捕まえいた。」と語る斬新すぎるオープニングで始まってもこれから観る観客にとってはどんな奴が犯人なんだろうかと自然に期待に胸膨らみうつかみはオッケーで石井輝男は新しい感覚の持ち主だったんだなぁと実感しました。 前半は三億円を強奪するまでが描かれているわけですがこれが成功するってのは分かっているんですが、岡田裕介がしょうもないダメ男(それでいてなぜかマダムには人気がある)だから本当に成功するのかハラハラします。 見事盗んだ金も使ったら足がつくという理由で相変わらず年増の恋人小川真由美とアパートで貧乏暮らし。小川真由美なんてぐうたらしている岡田裕介の代わり水商売で生活費を稼ぐ毎日で悲惨です。しかも墓石の下に隠した三億円を鬼刑事にかぎつけられそうになったところを察して密かに三億円をアパートに移動するなんて気の利いたことまでしているのに岡田裕介はその金で競走馬を買っちゃうんですよ。無断で。普通ならぶっ殺すレベルの大騒ぎになりそうだけど小川真由美も悲しいかな岡田裕介に情があるから泣き寝入りですよ。 と岡田裕介のダメっぷりにむかつきながらも金子信雄に追いつめられていくわけで「こんな捜査方法じゃつかまりっこねーよ。」とか毒づきながらも天性の才能で確信に迫って行き今回の金子信雄はすごくまともじゃないか!と感心していたら公園の子連れの主婦に聞き込みするときに子供をあやす恐ろしさときたら。子供本気で泣いているし一歩間違えたら変質者ですよ。ってところとか無理やり捕まえた岡田裕介に取り調べる凶暴な姿はいつもの金子信雄の変なテンションがあって一安心?です。 ネタバレ→最後も取調べ中に競走馬が病気であっけなく死んで、岡田裕介はは半狂乱になりかけるけど小川真由美の「それは警察のでっち上げよ。」という愛ある嘘に支えられ無事時効を迎えるとんでもない展開が衝撃的。←ラストの三人のスリーショットはハードボイルドでカッコよかったです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! 「ブルーベルベット」の出演者で |
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小川真由美 (向田孝子) |
もちろんどこか頼りない感じのカイル・マクラクランで。 |
岡田裕介 (西原房夫) |
イザベラ・ロッセリーニの崩れかけの美しさというかギリギリの線がぴったりで。 |
金子信雄 (葛木正男) |
キレたら恐ろしいデニス・ホッパーで。 |
しとやかな獣 THE GRACEFUL BRUTE (1962) | |
2006年3月 | |
公団住宅に住む前田一家の長、時造は娘には小説家の愛人をさせ金を借り、芸能プロで働く息子には使い込みをやらせていたがある日、芸能プロの会計係で息子と深い仲の三谷幸枝が関係を解消しに前田家にやってきて・・・ 若尾文子主演ということになっているのですが実は公団住宅に住む前田一家が主人公なんだなぁと感じました。 とにかくこの一家のクレージーぶりがものすごく父親の伊藤雄之助は娘を小説家(吉沢駿太郎)に愛人として契約?させてそれに託けて金を借りては返さないでさらに借りつづける恐ろしいことをしているし、息子も会社の金を使い込み家の生活費にしているような恐ろしい一家なんです。 そんな息子も女に貢いでいるのですがそこでようやく出てくるのが若尾文子。彼女はただ貢がれているだけなのかというとそんなことはなく、芸能プロの社長高松英郎や税務署の船越英二とも関係を持っていて関係した男達から金を巻き上げてその金で旅館をを開業していたのです。さすが若尾文子!「しとやか」という意味は上品とか慎み深いって感じの意味なのですが、最初出てくるキャラみんなしたたかでタイトルは「したたかな獣」の方がいいんじゃないかと思ったのですが「しとやかな獣」とは若尾文子のことを言っていたんだなぁと感じました。 そしてそんな若尾文子の手ごわさを瞬時に見抜いて息子にあの女はやめておいた方がいいと警告するお母さん役の山岡久乃も実は「しとやかな獣」に値する冷静なキャラでさすがなんですが悲しいかな肌のつやとか若々しい若んですがちょっとふけ顔なもんでこのころからお母さん役をやっていたんですね。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
若尾文子 (三谷幸枝) | しとやかにというよりしたたかなイメージのデミ・ムーアで。 |
伊藤雄之助 (前田時造) | 胡散臭い感じのウィレム・デフォーで。 |
山岡久乃 (前田よしの) | 味のあるフランシス・マクドーマンドで。 |
死ぬにはまだ早い (1959) | |
2008年3月 | |
不倫中の元レーサーの松岡と人妻の弓子がドライブインに立ち寄るが一人の若い男がやって来て拳銃を片手に立てこもってしまい・・・ 警官殺しの凶悪犯が近くにいるかもしれない状況で見事、立てこもり事件に巻き込まれた不倫中の二人の運命は・・・といった感じの密室サスペンス。 二人の不倫カップルのほかにドライブインのマスターに常連客の老医師、新婚夫婦にイマドキという感じの少女二人に体調の悪いタクシー運転手と白痴風の男が巻き込まれるのですがそれぞれ助かるため徐々にエゴを出して人間の嫌な部分が出てくるところが面白いです。 特に老医師は何かにつけて言い訳を言ったり逃げ出そうとしたりエゴ丸出しで立てこもり犯の黒沢年男よりよっぽど性質が悪く見えてくるから不思議です。 それとは対照的に元レーサーという設定が謎の高橋幸治はものすごく冷静で取り乱したりもせずタクシー運転手が腸捻転で倒れた時も黒沢年男の制止も聞かずましてや愛人の緑魔子に銃が突きつけられているのに警察に電話してタクシー運転手を救うというクールなか冷徹なのかよく分からないですがほとんど表情を変えずにこの離れ業をやってのける様は感心しました。 緑魔子も相変わらずこういう愛人系というか男を惑わす系の役が似合っています。黒沢年男は時々ものすごくオーバーな演技になってやりすぎと思うところもあるのですが恋人を取られて自暴自棄になった感は出ていたように思えます。 最後のオチもそう来たかという感じ上手く出来ていて舞台なんかにしてもよさそうだなぁと感じるのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
黒沢年男 (若い男) | 自暴自棄になったら怖そうなクリスチャン・スレイターで。 |
高橋幸治 (松岡) | ものすごく冷静そうなポール・ベタニーで。 |
緑魔子 (弓子) | 愛人役が似合いそうなルックスのエヴァ・ロンゴリアで。 |
死の十字路 ISE'S WIFE (1956) | |
2004年9月 | |
伊勢省吾は愛人の沖晴美と密会中に妻の友子に乗り込まれ晴美を殺そうとしたのだがそれを止めた省吾は誤って妻を殺してしまう。省吾は妻をダム建設によって沈む村に捨てようとトランクに遺体を詰めるのだった。一方その頃バーで言い争いをし殴られた男、真下幸彦は意識がもうろうとする中、偶然停車した省吾の車に乗り込むのだがそのまま息を引き取ってしまい・・・ 殺人を犯してしまった主人公に全く関係ない第三者が絡んできて全てが悪い方向へと展開していき内容こそ違うもののまるで「死刑台のエレベータ」のような和製フィルム・ノワールでした。 妻の死体を捨てに行ったら後部座席に見ず知らずの男、相馬の死体がありそれも仕方なく捨てるのですが相馬の身内が雇った探偵、南重吉がこれまた相馬にそっくりっていう強引な展開は置いといて、この探偵にゆすられる始末。しかもこの探偵、死んだ省吾の妻の靴が片方ない事を知り、偽物を作ってゆするという手口があくどい。三國連太郎に同情しっぱなしです。 「死刑台のエレベーター」でもそうでしたけど会えそうで会えない展開がとてももどかしかったです。ネタバレ→しかもこの作品は最後は電話で声を交わすことしか出来ずにお互い自殺して終わっちゃうから何とも悲恋でしたよ。← 殺されちゃうから出番は少ないんですけど怪しげな宗教にはまり愛人の新珠三千代を殺そうとするサイコな妻役の山岡久乃の上手いこと。山岡久乃といえば日本の良きお母さん像のイメージしかなかったのでこの役は結構衝撃的でした。しかも眼を見開いたままの迫力満点の死体の演技もすばらしく助演女優賞ものでした。 | |
2回目のコメント | |
2006年12月 | |
二年以上ぶりに鑑賞しましたが、二年前は本格的に昔の日本映画を観始めた年だったので今より当然知らないことばかりだったので改めて観なおしても全く関係ない話が無理なく上手い具合にまとまっているなぁと感心してしまいました。 それに三國連太郎はこの時から殺すつもりはなかったんだけど殺してしまってだんだんドツボにはまっていってしまうある意味、一番可哀想な「飢餓海峡」路線をこの時からやっていたんだなという発見があってよかったです。 愛人の新珠三千代も社長秘書役なんですけど縦縞のストライプのスーツがものすごくモダンで普通で痩せているのにさらにスマートに見えてまるでモデルのようでした。 この時新珠三千代は日活時代だったのですが、同じく日活の「洲崎パラダイス赤信号」という作品でももうひとつ男運がなくていろいろ苦労する役で新珠三千代の場合は美人なのに男運というか恋愛運がない役が意外に多かったんだなぁと掘り下げていくといろいろ新しいことが分かってこれだから昔の日本映画はやめられないと思うのでした。 それと出番は少ないけどやっぱり山岡久乃の怪演は助演女優賞ものだなと思います。 これはDVD化されたら買ってしまうタイプの作品ですね。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三國連太郎 (伊勢省吾) | こういう役は意外に地味ながらもクライヴ・オーウェンあたりがいい感じかも。 |
新珠三千代 (沖晴美) | 男運の悪い役が多いトニ・コレットあたりで。 |
山岡久乃 (伊勢友子) | キレたら何しでかすかわからなそうなララ・フリン・ボイルで。 |
大坂志郎 (相馬良介/南重吉) | 嫌な悪党やって最近どんどんよくなっているキーファー・サザーランドで。 |
SHINOBI (2005) |
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2005年11月 | |
伊賀の朧と甲賀の弦之介はそれぞれ犬猿の勢力の忍にも関わらず恋に落ちる。しかし家康の命令で伊賀と甲賀それぞれの精鋭5人が戦い生き残った方の一人が忍の次期将軍になることとなり朧と弦之介はお互い頭となって戦いが始まるのだった・・・ 色んな意味で話題の「SHINOBI」噂どおりすごかったです。敵対する勢力の仲間由紀恵とオダギリジョーが次第に惹かれあっていくのかなぁなんて思っていたら始まった瞬間この二人ラブラブですよ。この出会いって結構大事なポイントだと思うんですけど端折っちゃって最初っから予想を覆す展開にある意味クギづけです。 伊賀と甲賀の選ばれし五人の手足れも仲間由紀恵側はウルヴァリンみたいな奴とか髪の毛?を自由自在に操る奴とか死んでも死なない椎名桔平とか個性豊かでオダギリジョー側も負けずにミスティークみたいな奴やら毒素でできてる怪しい黒谷友香とキャラ的にはみおんな忍というより和製X-MENといった感じですでに人間じゃないと言いたいのですがそれよりも総勢10名の手足れ達がまったく活きていないのがこの映画の問題点だと思いました。 とりあえずみんな一回特技を見せたら死んでいくみたいな展開がもったいないし、ウルヴァリンみたいな奴なんてあっさり黒谷友香の魅力と毒でやられていいとこなし。キャラクター設定だと野生児だから人と交流しないとあるのでこんなやられ方しないと思うのですがやっぱり性欲にはかなわなかったのでしょか?「パッチギ!」でおなじみの蛍火役の沢尻エリカも噂どおり弱かった。五人の精鋭に選ばれた理由が仲間由紀恵がピンチになったら体を張って守ってくれそうだから・・・ですよ。切なすぎます、蛍火。化粧が濃すぎて最初誰か分からなかった毒女の黒谷友香もとりあえず毒撒き散らすだけしか能がなくて戦闘能力微妙だし白塗りすりゃーいってもんじゃない椎名桔平はいったいなんだったのだろうか?と言いたい。 で仲間由紀恵の特殊能力が敵を睨んだら体内の血管が破裂する?ほとんど反則技で「スキャナーズ」かよ!という展開にビビるしオダギリジョーはとりあえず目が光ればよく分からないけど最強に強いという大将二人が異常に強いんですけどこの二人にも見せ場なしでやっぱりもったいないと思うのでした。 最後ネタバレ→仲間由紀恵のおかげで二つの村は救われその末裔が生きているとかまとめているのですが、内容があれなのであぁそうですか。としか思えないのがつらいところ。目潰しもキレイすぎて「薔薇の葬列」のピーターを見習えと言いたいです。← でもこの映画みんなで突っ込みながら観ると結構楽しいかも・・・ |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
仲間由紀恵 (朧) |
ハリウッドの体育会系ジェシカ・ビールに見ごたえある戦闘シーンをやってもらいたい。 |
オダギリジョー (甲賀弦之介) |
悩める若者役が多いオーランド・ブルームあたりで。 |
黒谷友香 (陽炎) |
適度に妖艶系のエヴァ・メンデスで。 |
沢尻エリカ (蛍火) |
ここはハーマイオーニでおなじみのエマ・ワトソンで。 |
椎名桔平 (薬師寺天膳) |
キアヌ・リーブスがやったらみんな引くと思うけどある意味楽しそう。 |
忍びの者 シリーズ第1作 (1962) |
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2004年4月 | |
伊賀の里に百地三太夫率いる忍者達の中に石川五右衛門の姿があった。三太夫は織田信長の暗殺を企み次々と刺客を送り込むが五右衛門は三太夫に見込まれ帳簿係を任されるのだが三太夫の妻イノネと恋仲になるのだが五右衛門は監視されていて・・・ 石川五右衛門といったら勝手なイメージでなんかマッチョなイメージだけど実は忍者だったという斬新な設定。市川雷蔵が眠狂四郎と同様、またしても腕は立つが女に弱い凄腕がはまっております。そんな雷蔵(五右衛門)の不倫相手が岸田今日子というから驚きで、あっさり顔の雷蔵とこの時からすでにホラー顔の岸田今日子のラブシーンは雷蔵がが喰われちゃうんじゃないかと思うほど大迫力。でこれが三太夫にばれて殺されるかと思いきや、命を助ける代わりに金を盗めと言われ、金持ちの家から盗むんですけどこれが天下の大泥棒市川五右衛門と呼ばれるってことにつながるさりげない設定に感心するのでした。 織田信長役の若山富三郎もワンマンなところがよく出ていたと思うし何と言っても信長というイメージにぴったりでかっこよかった。久しぶりの若富らしさが見られてよかったなぁ。 忍者のボス三太夫もただ命令するだけじゃなくてちゃんと隠密行動しているところもいいし何しろ老体忍者なのにしっかり走るシーンがあったり、忍者同士の出世争いや嫉妬もあり、忍者は捕まったら決して身分や任務を明かすことなく自害しなくてはならないという掟に従って自ら顔を切り刻んで飛び降りる忍者や爆弾を抱えて爆死する忍者ありと実は忍者の世界の厳しさも描かれているハードボイルドな作品でもあるのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (石川五右衛門) |
なぜか女にもてもてというところがヒュー・グラントのようで。 |
伊藤雄之助 (百地三太夫) |
妖しげな雰囲気漂うところが忍者のボスっぽいジェームズ・コバーンで。 |
城健三朗【若山富三郎】 (織田信長) |
マイケル・マドセンで。捕まえた忍者の耳を切り落とすシーンは「レザボア・ドッグス」を思い出す。 |
続忍びの者 シリーズ第2作 (1963) |
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2004年6月 | |
忍者の道から足を洗った五右衛門だったが信長の執拗な忍者狩りについに愛妻マキとの間にもうけた子供を殺された五右衛門は信長を暗殺するために雑賀党に加わるのだが・・・ 前作の最後で信長が伊賀の里を滅ぼして終わりその続きから始まるのですけど、五右衛門の忍者としての葛藤を描いた前作とは打って変わって全く違う感じになっていてすごかったなぁ。約95分の作品ながら信長の絶頂期から本能寺の変そして家康の時代幕開けを描ききった大河ドラマってところがすごかった。しかもその全ての出来事を裏で動かしていたのは忍者だったというところが後で知ったけど監督がマイブームの山本薩夫ということで納得。骨太だったもんな。(ちなみに前作も監督は山本薩夫です。) 今回、隠密行動や剣術なんかの現実味のある範囲の身体能力で忍者の活躍が見られて忍者忍者していないところもよかった。くのいちなんて女を武器に相手を誘惑して情報を引き出し自分は惚れちゃいけないという本当スパイそのまんまの職業なんだなぁなんて感心しました。(このくのいち役が坪内ミキ子なんですけどようやく坪内ミキ子が登場する映画で面白いと思えましたね。「座頭市」シリーズで何度か見かけたけど彼女の出演している作品はイマイチだったもんなぁ。) キャスティングも秀吉が東野英治郎となかなか絶妙だったけど光秀役の山村聡がイマイチ自分の中のイメージと合わなかったかな。この人よくゲームの中で見かける光秀の王子様的なビジュアルじゃなくてサラリーマン風なんですもん。 本能寺の変で止めを刺したのが五右衛門なんですけどネタバレ→五右衛門が信長の腕を斬り落として足を斬り落として半殺しにするシーンは「キル・ビル」のソフィー・ファタールを彷彿とさせむごかったなぁ。(まぁ信長も散々忍者たちにひどい事をしてきたから当然と言えば当然なんですけどね。)← ラストもネタバレ→秀吉暗殺に失敗した五右衛門が捕まっていよいよ民衆の目の前であの有名な釜茹での刑にというところで映画は終わるのですが←この先どうなるの?とすごく気になる終わり方。よきライバルの服部半蔵が密かに民衆に混ざってその光景を見ているけど助けるのだろうか?などいろいろ想像膨らむ終わり方にもどかしくなるのです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
藤村志保 (マキ) |
ケイト・ウィンスレットで。なんか畑仕事も似合う感じが。 |
伊達三郎 (服部半蔵) |
どことなくがジョン・タトゥーロ的な雰囲気がして。 |
新忍びの者 シリーズ第3作 (1963) |
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2004年8月 | |
豊臣秀吉の暗殺に失敗した石川五右衛門は処刑目前で服部半蔵に助けられ再び秀吉の命を狙うのだが・・・ 五右衛門の恨み節が光るシリーズ第3弾。前先は短い時間の中で織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と誰もが知っている人たちのエピソードが凝縮されていてすごく感心しましたけど今回は豊臣秀吉の暗殺に焦点をあてて描かれていてちょっと物足りなかったけどこれはこれで悪くなかったです。 オープニングの釜茹での釜に入っているのはてっきり熱湯と思ったら煮えたぎった油って設定がインパクト大。そこに服部半蔵が予想通り五右衛門を助けに来るんですけどこの好敵手との男の友情がまたよかったけどあれですね、五右衛門すごく執念深いというか怨念深いというか秀吉暗殺だけじゃ物足りず豊臣家の血筋を根絶やしにするって目標がすごいことになっています。秀次なんか遠まわしの策略で自ら手を下さなくてもちゃんと命を奪ってますし。 最後もいよいよ秀吉を追い詰めた五右衛門だけどネタバレ→すでに病気で弱っている秀吉を殺す価値はない病気で苦しんで死ねって去っていちゃうんですよね。←やっぱり市川雷蔵はそこのところがクールでいいですね。 そんな秀吉演じた東野英治郎は見た目も秀吉のイメージそのまんまでナイスキャスティング。ちょっと残念だったのが淀君役の若尾文子が大々的に名前が出ていたわりには出演シーンも台詞も少なかったこと。もっと見たかったな。 これで一応完結か?と思ったら「忍びの者 霧隠才蔵」とまだまだ続くそうでどんな展開になるのか楽しみです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
東野英治郎 (豊臣秀吉) |
ちょっと猿系入っているトミー・リー・ジョーンズで。 |
姉妹 (1959) | |
2007年8月 | |
五人姉弟の圭子と俊子の成長を描いた青春者。 大映の野添ひとみと当時松竹に所属していた中原ひとみのダブルひとみがダブル主演した話題作だそうです。 話自体はしっかり者のお姉さんの野添ひとみとストレートな性格がたまに仇となってしまう妹の中原ひとみの成長期といった趣で内容自体は裕福とはいえないけどそれなりに幸せな家庭に育った二人がケンカしたり時には助け合ったりするありふれた内容なのですが二人の役どころが初めて見るタイプの役立ったので新鮮でした。 野添ひとみはお転婆なお嬢さんというイメージが強かったのですあ大映の人たちと組まないと、こうもしっかりとした育ちのよいお嬢さんという役も普通に演じられるのだなと野添ひとみの見る目が変わってきて一気にポイントアップといった感じです。 中原ひとみも東宝時代でよく中村錦之助と共演していてしっかり者の町娘という印象だったので今回の中学生というものすごい若い役のせいもあってかこんなおっちょこちょいでまっすぐな役見たことなくて得した気分です。 当時の社会情勢も反映されていてお父さんが発電所勤めなのですがリストラが激しくお父さんはリストラされなかったけど村の人が苦しんでいるのに修学旅行に行かせるわけにはいかないといって中原ひとみは修学旅行にいけなかったり、ネタバレ→野添ひとみも好きな人がいるけど稼ぎがよくないからといって親の勧めたお見合い相手とさっさと結婚してしまう←という自分を通せない今とは全く違った環境がとても興味深かったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
野添ひとみ (近藤圭子) | 10年くらい前のウィノナ・ライダーで。 |
中原ひとみ (近藤俊子) | 10年くらい前のキルスティン・ダンストで。 |
豹(ジャガー)は走った THE CREATURE CALLED MAN (1970) | |
2008年7月 | |
南ネシア共和国でクーデターが起こり、アメリカに亡命するために日本に大統領が3日間滞在することになった。元オリンピック選手の戸田は大統領を密かに護衛する任務を受けるが、とある大企業は大統領を暗殺するために殺し屋の九条を雇っていた・・・ 加山雄三と田宮二郎の対決の行方は・・・・ 最初は顔の知らない凄腕の二人が最終的に対決するというスタイルが雰囲気としては加山雄三主演の「狙撃」(宿敵は森雅之)という作品に似ているかなぁという印象です。 こういうタイプの映画は敵がどれだけ魅力的かによるのですがこの映画は田宮二郎が良すぎて加山雄三が霞んでしまっていました。 田宮二郎は英語が堪能だし、殺しの依頼をした大企業の秘書の加賀まりこも流暢な英語を話すのでいきなり加山雄三は出遅れている感じがします。しかもいつも先手必勝なのは田宮二郎でありとあらゆる手段で大統領暗殺をもくろみますが偶然の連続で失敗してしまうのですが、劇中戦争で彼氏を亡くした白人女性と知り合い、冷酷だった性格もだんだん人間味が出てきたり見所満載。主役はもう田宮二郎という感じです。なんてったって通称「黒豹」でタイトルにもなっていますからね。 加山雄三はハイテクに詳しい助手みたいなのがいて相対的に絶対田宮二郎より強いはずなのに毎回先を越されていいところなしというところが辛い。せめてひとつぐらいいいところがあれば加山雄三のパートも盛り上がったのになんだかもったいなかったです。というかこれは加山雄三じゃなくもう少しスラッとした人の方がよかったと思います。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
加山雄三 (戸田登) | もっさりした感じのクライヴ・オーウェンで。 |
田宮二郎 (九条輝彦) | ジュード・ロウに殺し屋をやってもらいたい。 |
加賀まりこ (秋山薫) | 美人秘書という役どころが似合いそうなダイアン・クルーガーで。 |
ジャコ萬と鉄 JAKOMAN AND TETSU (1949) | |
2008年6月 | |
北海道のとあるにしんの漁場。九兵衛が取り仕切っていたがある日、九兵衛に恨みを持つジャコ萬が戻ってきて嫌がらせを始める。そんな中しんだと思っていた息子の鉄も漁場に戻ってきて・・・ 三船敏郎と月形龍之介の男のドラマ。 恨みを持ったジャコ萬は九兵衛を許すのか、鉄とジャコ萬の間に男の友情は芽生えるのか?という展開が気になる内容ですが欲深くすべての元凶を作ってしまった九兵衛もまた時代に翻弄されてしかたなかったというところが同情はしないけれどとても興味深かったです。 引揚げの時にドサクサにまぎれてジャコ萬の船で日本に戻ってきて肝心のジャコ萬はロシアに取り残されて酷い目に遭ったのでそりゃジャコ萬は恨みのひとつやふたつ持つでしょう。というバックボーンがあるのでジャコ萬に同情してしまいそのことを知った鉄もそりゃ親父が悪いと言うものだから九兵衛は面白くない。それに加えれて労働者の皆様には漁が終わってから金を払う成功報酬だし他の漁場より断然賃金が低いので終いにはストを起こされてしまいますがこれは当然だよなぁと感じました。それでいてそういう時にだけ土下座とかしてお願いするものだから労働者の皆さんも怒りを通り越して呆れてしまう気持ちがよく分かりました。 人に何かをやってもらうにはお金とかそういう報酬面も大事ですけどこの人のために何かをやってあげたいという気持ちにさせるようでなければ人の上に立つことは難しいと改めて感じました。 その点、三船敏郎は話が分かって一気にみんなの心を掴んで気持ちをひとつにまとめるところは三船敏郎らしい役どころで観ていて気持ちが良かったです。 ジャコ萬役の月形龍之介は時代劇の印象が強すぎてこういうスタイルを観たことなかったので初めこれが月形龍之介なのかと信じられなかったのですがアウトローな感じがよかったです。 そんなジャコ萬のことを追いかけ続けているユキという女が最初はものすごく口の悪くて熊の出るような山道をひとり夜中犬ぞりに乗ってジャコ萬に煙たがられても会いに行くようね男勝りなキャラクターなのですが後半突然しおらしくなってジャコ萬さんに黙って付いていきます。みたいな乙女キャラになったのには衝撃でした。ここのところはちょっと不満に残りましたが全体的にはよかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三船敏郎 (鉄) | マーク・ウォルバーグにお願いしたい。 |
月形龍之介 (ジャコ萬) | アイパッチが似合いそうなティム・ロスで。 |
浜田百合子 (ユキ) | 気が強そうなサルマ・ハエックで。 |
進藤英太郎 (九兵衛) | 色々できるベン・キングスレーあたりで。 |
ジャコ万と鉄 JAKOMAN AND TETSU (1964) | |
2008年10月 | |
黒澤明脚本、三船敏郎、月形龍之介出演の同名作を監督を深作欣二、出演を高倉健、丹波哲郎でリメイク。 三船版で出てきた病弱わけあり青年、今回は江原真二郎なのですが、彼の素性が大阪からやって来たことが分かるとう若干エピソードが膨らんではいましたが基本的な話の筋はほとんど同じなので新鮮味はなかったですかね。 主役の高倉健は三船敏郎とは違ったタイプですが、アウトローだけど弱気を助け、正しい行いをするというスタンスは基本的に同じなのでこの役も違和感はありませんでした。 アイパッチの丹波哲郎も大仰な演技がこの役にぴったりでこちらも違和感なしだし理不尽な父親役も山形勲も悪くはなく全体的に三船敏郎版よりは分かりやすいと思うのですが、個人的にはオリジナル?の三船敏郎が主役をやった方が骨太感があって前の方が好きかなぁ。 ユキ役の高千穂ひづるはものすごく勝気な娘から最後一気にしおらしい娘になるのですが勝気な娘時代がもうひとつでした。オリジナルのユキは後半のしおらしい感じが逆にもうひとつで正反対の性格を違和感なくこなすのってやっぱり難しいのかなと思いました。 それより高倉健のお母さん(お婆さんか?)役の浦辺粂子の存在感ときたら、死んだと思っていた高倉健が帰ってきたと家族に言うものの誰も信じずだけど家族の前に高倉健が現われた時に「本当だったじゃろ。」的なことなど一言も言わず心底、喜ぶ姿は本筋とはあまり関係ないですがちょっと感動しました。浦辺粂子は基本的にいいお婆さん役が多いので出てくるとホッと和みます。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
高倉健 (鉄) | アウトロー気質のダニエル・クレイグで。 |
丹波哲郎 (ジャコ万) | ショーン・ビーンの悪役ではなく嫌な奴という感じの役も見てみたい。 |
山形勲 (九兵衛) | 無茶を言いそうなジョン・ヴォイドで。 |
高千穂ひづる (ユキ) | 演技力抜群のケイト・ブランシェットにお願いしたい。 |
ジャズ娘乾杯! (1955) | |
2008年1月 | |
視力が低下しお払い箱となった曲芸師のタニマンは北海道に行くことになり、父親に反対されながらも女優志望の三人娘のうち末っ子の美子が父親について行くことになる。残った二人の娘は父親を安心させるためにスターになったと嘘の知らせを送るのだが・・・ MGMミュージカルを思わせる青春映画。 オープニングが宝塚調のレビューで始まったなと思ったら雪村いづみの上の二人のお姉さんが寿美花代と朝丘雪路ということで妙に納得。歌唱力は雪村いづみが上なのでもっぱら二人はダンスのシーンのほうが多いのですが寿美花代はしっかりもののお姉さんという役柄もあって意外とエレガントな感じがしてよかったです。 エキストラなのに白内障で目が見えなくなってしまった伴淳三郎に嘘をついてスターになったと言ってしまいスターの振りをする二人の姉とそれを手伝おうとする末っ子の話なのですが、伴淳三郎も手術をうけて見えるようになった目を見えない振りして一度は家を出たけれど娘達と暮らせて嬉しいし、最後は本当のスターになるというオーソドックスな話に仕上がっているのですがなんといっても伴淳三郎が上手いです。もともと芸人だからこのやくもはまっているし、芸人の苦労を知っているから娘達が芸人になりたいと言うたびにお尻を引っぱたくのですが手抜き無しでひっぱたくものだから三人とも飛び上がるところが見ていて可笑しいです。物分りのいい芸人のフランキー堺も相変わらず三枚目でいい味出しています。 それに映画会社で働く下っ端の映画仲間にペギー葉山や高英男がいて歌のシーンを盛り上げます。ラストの「黄色いマフラー」の合唱も古きよき時代という感じでほのぼのします。 江利チエミが出演者のトップに出ていたので期待していたら(というか雪村いづみとツートップの話だとてっきり思っていた)後半いきなり喫茶店に乱入してきて強引に仲間に入るからビックリします。歌は相変わらずラテン系ジャズといった感じで一番上手いのですがこれはちょっとだまされた気分でした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
伴淳三郎 (曲芸師タニマン) | 曲芸もいけそうなクリストファー・ウォーケンで。 |
雪村いづみ (末女美子) | マンディ・ムーアあたりにお願いしたい。 |
フランキー堺 (楽隊屋のフラさん) | 人がよさそうなブレンダン・フレイザーで。 |
ジャンケン娘 (1955) |
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2005年6月 | |
修学旅行で京都に行った阿佐見ルリと千明由美は舞妓の雛菊と知り合う。やがて東京に戻った二人のもとにお座敷で相手をして一目ぼれをした大学生を訪ねて雛菊が上京したのだが斎藤という苗字しかわからず三人は斎藤という大学生を探すことにするが・・・ 人気・実力も相当あった三人娘が共演した青春ミュージカル・コメディ。当時三人とも18歳で高校三年生で京都に修学旅行という設定はぴったりで性格も優等生タイプ、姉御肌タイプ、おっとり不思議系タイプと本人そのまんまってイメージのキャラクターで分かりやすいんですけど、美空ひばり貫禄ありすぎるしオバサン風パーマをあてているので全然女子高生に見えません。江利チエミは62年の「ちいさこべ」のときは普通にスッキリした体型だったのに若い頃は柔道部員ですか?というくらいムッチムチだったんですね。二人がそんな感じだから清水ミチコ似のい雪村いずみが信じられないことにすごく可愛く見えてびっくりします。 しかも美空ひばりの母親役が浪花千栄子ですよ。この設定なんか本物のひばり親子を彷彿させて妙にリアルでしたけど浪花千栄子はやっぱり恐面白かったです。 雪村いずみが探していた大学生は実はひばり達が京都で出会っていたという分かりやすい展開だなぁと思っていたらその大学生江利チエミが京都で出会った時から好きだったという意表をつく展開にびびります。しかもサブエピソードで17年ぶりにひばりの父親が現れてフランスに連れていく行かないとちょっとごたごたしたエピソードがあって実際父親と再会したけどそんなことそっちのけでラストは三人で遊園地を満喫しちゃうという新し過ぎる展開にキョトンとしてしまいました。 しかも三人娘ジェットコースターに乗るのですが、二人がけの席に無理やり三人並んで座って楽しそうに歌っちゃうからぶっ飛びものです。やっぱりミュージカルって話よりもどれだけ歌って楽しませるかでなんでもありなんだなぁと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! (ちょっと前のアイドルで) |
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美空ひばり (阿佐見ルリ) |
何だかんだで一番話題性のあるブリトニー・スピアーズで。 |
江利チエミ (千明由美) |
クリスティーナ・アギレラで。姉御肌というより姐御肌という感じですが。 |
雪村いづみ (雛菊) |
相当天然らしいジェシカ・シンプソンで。 |
浪花千栄子 (お信) |
母親だったら迫力ありそうなバーブラ・ストライサンドで。 |
驟雨 SUDDEN RAIN (1956) |
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2005年7月 | |
結婚4年目の並木夫婦は倦怠期に陥りちょっとしたことでいつも口げんかになっていた。そんなある日、亮太郎と文子は退職金の使い道で口論となり決定的な亀裂が生じ・・・ 成瀬作品でお馴染みの夫婦の倦怠期ものなのですが今回は原節子が耐える妻じゃなくてちょっと天然でそれでいて自分を主張するから旦那が多少理不尽なことを言ったりしても結構楽しく観ることができました。 近所からも多少煙たがられているけど野良犬に毎日餌をやっていてこの犬、が幼稚園の鶏を噛み殺しちゃって幼稚園の先生が鶏買い取れって言われて買い取った鶏をたまたま旦那の同僚が家に来ていたからさばいて水炊きにして出しちゃう図太さが素敵です。 この野良犬の名前もずばり「のら」でボロ雑巾のようなところがまたリアルで「めし」の時の野良猫?もそうですが小汚い野良にこだわってるなぁと感じました。 後半も旦那の友達にウェイトレスをやったらイカスよ。と言われその気になっているところを働くなんて許さん。と言われてしょんぼりしていたかと思うとケロッとして台所でお茶付け立ち食いですよ。それも三口くらいで食べ終わる豪快さ。 極めつけはラスト大喧嘩した翌朝、原節子は出て行っちゃうのかな?と思ったら庭に紛れ込んだ紙風船を旦那が子供に返してあげようとするけど上手く操れず戯れちゃっている状態が情けなくって面白かったのですが、振り返るとなぜか原節子がいて、「もっと強く!」とか「しっかり!」とか子供の紙風船で打ち合いし始めてなんだか知らないうちに仲直り。これ久しぶりに大爆笑。このラストシーンだけもう一回観たいなぁ。お隣さんの小林桂樹も呆れてたし、これは間違いなく心に残る大どんでん返しだと思います。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! (フレンズの出演者で) |
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佐野周二 (並木亮太郎) |
煮え切らなさが上手いデヴィッド・シュワイマーで。 |
原節子 (並木文子) |
リサ・クドローが「もっと強く!」と叫んでいるところを想像するだけで笑える。 |
集金旅行 (1957) | |
2006年5月 | |
子供を残し突然妻に逃げられてしまったアパートの大家が急死してしまう。アパートは借金の形になっていたが大家は高利貸しをしていた。その金を集めるためにアパートの住民で出版社が潰れたばかりの旗とかつての愛人から慰謝料を取ろうともくろむ小松千代が残された子供をつれて集金旅行に出かけるのだが・・・ 佐田啓二が大家が貸していた金を回収する本来の目的より岡田茉莉子が過去の男達から慰謝料と称してあの手この手で金をせしめるという方がなんとなくメインになっているのですが過去の男達が変な奴らばかりで一筋縄でいかないところが楽しいです。 初っ端の集金相手はあの伊藤雄之助で現在の評判は酒も飲まない人格者というとっても胡散臭気な偉い人になっているのですがそこのところを岡田茉莉子に突っ込まれてタジタジで金を払う羽目になるのですが伊藤雄之助は美女にコロッとやられる役がいつもながらに可笑しいです。 次に行ったところでは失敗して見合いをする羽目になるのですがこの相手(トニー谷)が場の雰囲気が読めずさらに二人の旅にまでついてきてしまう半分ストーカーみたいな奴でもちろん岡田茉莉子は隙を見て逃げ出すわけですが逃げられたら逃げられたで芸者と勢いで思いっきり楽しんじゃうトニー谷。このあっけらかんとした性格はちょっとうらやましいかも。 でいろいろあって子供も無事母親の元に返してめでたしと思ったら今度は帰る金がない。ということで近くにいる花菱アチャコから金をせしめようと阿波に行くのですがネタバレ→岡田茉莉子は「私の集金旅行はここで終わり。」と置手紙をのこして花菱アチャコのところに行ってしまうんですよ。てっきり、佐田啓二と結ばれる思っていただけにこれは衝撃的。しかもよりによっておすぎ顔の花菱アチャコのところに・・・気まぐれ娘的な雰囲気は感じてはいたけれどこれでいいのか岡田茉莉子とラストが少々納得できなかったのですが「やき餅」はうまいことやるなぁと思うのでした。← | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
佐田啓二 (旗良平) | ロマコメをやるときはいつも振り回されている感じのマシュー・ナコノヒーで。 |
岡田茉莉子 (小松千代) | 自由奔放なイメージのスカーレット・ヨハンソンで。 |
醜聞(スキャンダル) SCANDAL (1950) |
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2005年4月 | |
新進画家の青江がある日山で画を描いていると人気声楽家の西條美也子が山を登ってきた。彼女を親切心で宿に送るのだったがそんな二人をカメラマンに盗み撮りされてしまう。ゴシップ雑誌の編集長の堀はこの写真をネタに話をでっち上げてしまう。怒り心頭の元に蛭田という弁護士が現れ堀を訴えようとするのだが・・・ ゴシップ雑誌を訴えて勝利するまでを単純に描かないところが黒澤映画だなぁと思いました。人のいい貧乏弁護士蛭田が堀から金を渡されてついそれを受け取ってしまう。そこから弱みを握られた蛭田は裁判で青江を弁護することが出来ず世間はおろか事情を全く知らない相手方の弁護士にも非難される始末。正直この蛭田という弁護士を見ているとさっさと真実を話せばいいじゃないかとイライラしましたがこの弁護士が理性と弁護士の職を天秤にかけて苦悩する姿があったからこそこの映画は面白くなったんだと思います。単純に敵方の妨害に合うだけならありきたりですからね。 ワイドショーとかゴシップとか嫌いなので最後にネタバレ→編集長の堀が裁判で蛭田の勇気ある発言によってしてやられる姿は観ていて本当気持ちがよかったです。← ゴシップ雑誌によるでっち上げとそれに抵抗する有名人というテーマを50年以上前にやっているとはさすが黒澤明監督。しかもテンポもいいし、なんと言ってもそれぞれの役どころに適材適所の役者がぴったりはまっていたところがすばらしかったです。 三船敏郎は「酔いどれ天使」ギラついたやくざの若者から一変バイクのツーリングが似合うさわやかな若者像がこれまたゴーグルも似合っていてカッコいいし、声楽家役の山口淑子も日本人離れした目の大きさでいかにもスターという雰囲気が出ていました。 小沢栄はもう悪徳感が顔からにじみ出て憎たらしいけど彼だからこそ出せる嫌味感がよかったです。小沢栄が志村喬を睨みつけると蛇に睨まれた蛙状態なんです。志村喬は本当は切ないし情けない役なんですけどそこに笑いを入れてくるところが相変わらず上手いなぁと思います。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三船敏郎 (青江一郎) |
バイクに乗る姿がさわやかそうなジュード・ロウで。 |
山口淑子 (西条美也子) |
最近かなり伸びてきているダイアン・クルーガーで、 |
志村喬 (蛭田乙吉) |
申し訳ないという顔つきのスティーヴ・ブシェミで。 |
小沢栄 (堀) |
悪徳顔のビリー・ボブ・ソーントンで。 |
呪怨 (1999) |
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2005年3月 | |
ハリウッド版に日本の映画版2作品を観たついでに一番恐いと噂のオリジナル版を観てみました。ハリウッド版にまでなった「呪怨」も元はVシネマから始まったんですね。 このオリジナル版を観て思ったのですが、ハリウッド版はほとんで映画の一作目とこのオリジナルのミックスしたような内容だし、そのまんま人物ごとの章に分かれた見せ方が同じ。ハリウッド版まで行ってさらには続編もあるとかないとかで清水監督も同じような内容で上手いことやったなぁと思います。 あの所沢の呪われた家お同じだし俊雄君はさすがに違う子役だったけど伽椰子は同じ女優さんなんですね。この伽椰子役の藤貴子って全ての「呪怨」シリーズで伽椰子やっていて完全に「呪怨」専属になっているんじゃないのか?と少々心配になります。 奥菜恵の映画版は伽椰子の呪いの原因が分からずなんとも納得いかない感じだったのですが、オリジナル版はそれがしっかり描かれていて納得・・・ていうかこれハリウッド版と同じじゃん。しかもビル・プルマンの役どころが柳ユーレイというなんとも地味というか現実味あるという感じでしたがやっぱりこの、ネタバレ→ストーカー←が原因で怨念となるところがどうも納得いかない原因なんですよね。 栗山千明も出ているのですが彼女はこの家に一度だけ遊びに来たことがあるけど呪われてしまうという正しい「呪怨」道に則っているなぁと思うのでした。(ハリウッド版は警官が何人もこの家を捜査の為に訪れたけど彼らは結局死ななかったし。) |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
栗山千明 (田村瑞穂) |
レイチェル・リー・クックはVシネマ的で。 |
柳ユーレイ (小林俊介) |
ジョン・キューザックあたりがやるとリアリティがありそうで。 |
呪怨2 (2000) | |
2006年5月 | |
不動産業の鈴木達哉は事件が後を絶たない一件の家を霊感の優れた妹の響子に見てもらうことにしたのだが・・・ ビデオ版呪怨の続編。映画の方は2作とも観たし、ハリウッド版もビデオ版の1も観ていたのでどうせなら全部制覇してやろうということで観てみたのですが全てはビデオから始まっただけあってどのエピソードもどこかで観たことがあるデジャヴ感がものすごくて感想云々の前にこのシーンはハリウッド版で使われていたなとか映画の2作目で使われていたような気がする・・・とかそういう方に気が散って仕方がありませんでした。 不動産屋の達也と霊感の強い響子のエピソードは恒例の伽椰子の出番はほとんどないんですが見えない伽椰子の怨念に呪われているという感じがしてなかなかよかったです。この二人の実家の両親にまで影響してくるあたりははなんだか今回の伽椰子の怨念は家の外が多いなぁと思ったりしてそれでもまぁ話がつながっているからいいか。と思っていたら最後の方でこの不動産屋とは全く関係なく家のことを調べていた刑事が呪われていってなんだかまとまりないなぁと感じてしまいました。 でもやっぱり伽椰子が階段から降りてくるシーンを観ると出たー!伽椰子。という気分になって盛り上がるのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
大家由祐子 (鈴木響子) | 神秘的な力がありそうなサマンサ・モートで。 |
芦川誠 (鈴木達也) | 不動産屋とか似合いそうなビル・パクストンで。 |
呪怨 (2002) |
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2004年3月 | |
介護ボランティアをしている理佳が訪れた一軒の家そこで異様な雰囲気を感じながらも老婆の面倒を見ていたが二階の押入れから俊雄と名乗る少年を見つけてから理佳の身の回りで不可解なことが起こる始め・・・ サム・ライミ製作、サラ・ミシェル・ゲラー主演でビル・プルマンとかクレア・デュヴァルなんかの共演ってことで最近の日本映画は観ないという掟を破り鑑賞してみました。 理佳の章、仁美の章とか人物ごとにピックアップされた章仕立てや時間軸をずらした展開なんかつくりとしては面白いし、ちょっとした画面の隙間に俊雄が横切ったりするシーンなんかは、「あれ?もしかしていま俊雄くん通った?」と絶妙な恐怖描写でこれは面白いかもと思ったんですけどね・・・残念ながら違いました。 もうラストがよくわからなかったと言うか全然わからなかった。ネタバレ→伽椰子と奥菜恵の関係はあったわけ?とか伊東美咲は結局どこへ消えてしまった?←とか何人呪い殺されようが最後に結末だけはすっきりしてほしかった。ここのところはっきりさせとかないとアメリカじゃヒットしなそう。 伽椰子と俊雄くんに怖さがあると思っていたけどこれ家に怖さがあると思う。夢にこんな感じの家が出てきたもの。そういう意味ではインパクト大でよかったんですけどね。家と伽椰子達は・・・ |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
奥菜恵 (仁科理佳) |
サラ・ミシェル・ゲラーがやるんでしょ?この役。 |
藤貴子 (伽椰子) |
ヘレナ・ボナム=カーターあたりがやったら迫力ありそうで。 |
呪怨2 (2003) |
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2004年3月 | |
ホラー・クイーンの女王の異名を持つ原瀬京子やレポーターの三浦朋香を始めとする番組スタッフ達は呪われた家の取材をしたが番組関係者達は伽椰子と俊雄の怨念により次々と命を落としていくのだが・・・ 呪いの家を撮影してしまったスタッフ達に呪いが・・・って展開で、今回は自分の家に伽椰子と俊雄に呪われる度がパワーアップしていてすごかった。感心したのが新山千春の殺され方。自分の部屋の壁から夜中決まった時間にドン、ドンと物音が聞こえるけどネタバレ→それは伽椰子の髪の毛で首を吊られた自分のと彼氏の足がゆれて壁にあたっている←音だったっていうのは結構斬新だったなぁ。 番組のADといかメイク担当役で山本恵美が出演していたけどこれが結構重要というか見せ場が多い役で、恋のから騒ぎ→今は懐かしいワンギャル→「呪怨2」出演と今考えるとまさにワンダフルな奴なのであります。 とここまでは前作より理解できているかなぁなんて思ったけど、やっぱり最後の女子高生のパートがなんでネタバレ→2つの世界を行ったり来たりしているの?(夢の世界ならまだわかるんですけどね)←理解できなかった。前作もそうだったけど女子高生の部分をなくせばわかりやすくなるんだけどなぁ。 ノリピーの演技はなんか微妙だったけど、ホラー・クイーンという設定で絶叫シーンだけはばっちりなのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
酒井法子 (原瀬京子) |
ハリウッド版リングで絶叫を見せたナオミ・ワッツでぜひ。 |
修羅 PANDEMONIUM (1971) | |
2009年1月 | |
源五兵衛は御用金を失くしてしまい仇討ちに参加できずにいたが使用人の八右衛門が工面し百両を用立ててきた。しかし源五兵衛はその金を入れあげていた芸者の小万の身請け代に使ってしまうのだが、小万には三五郎という夫がいた。全てを失った源五兵衛は復讐を近い・・・ 中村賀津雄主演の血みどろの復讐時代劇。 予告を観ていつもの中村賀津雄ではないただならぬ雰囲気をかもし出していたので観てみたらこれが迫力があり、しかもシンプルな話なのによく出来ていてとてもよかったです。 100両という大金を失くしたというところもどうかと思う・・・というところは置いといて、この映画の唯一の良心とも言える使用人の八右衛門がという手段を使ったのか不明なのですが、100両を持って来てホッとしたのもつかの間、最初から金目当てで源五兵衛に近づいていた芸者の子万はあの手この手の芝居を打ってどうにか源五兵衛に身請けされるように仕向けるところが怖いのですが、長い間源五兵衛を騙し続けていたというところがもっと怖いです。 それで結局身請けして金を払うのですがここで三五郎があわられてものすごくワザとらしく「身請けしてもらったのはありがたいのですが、小万には亭主がおりまして・・・」なんて白々しいこと言うものだから怒りも倍増。 その晩、中村賀津雄は小万とその夫の三五郎を殺しに行くのですが、まずは偶然出くわした中村賀津雄を問答無用で斬るのですが、中村賀津雄がものすごく怨念のこもった表情をしていてこの映画で初めて中村錦之助と同じくらいいいと思いました。 小万たちに逃げられた中村賀津雄はようやく二人の隠れ家を探し当てた中村賀津雄はやさしい顔で全てを忘れようと言って酒を持参するのですがこれが実は毒入りというところがポイント。タイミング悪く小万と三五郎は酒に口をつけずにタイミング悪くやって来た小万の兄さんが飲んで血を白ながら瀕死の状態に。この時の血の吐きようときたらグロテスクで下手なホラーより迫力があるのですがここからクライマックスにかけて話の方も急転直下。 ネタバレ→三五郎はただ金が欲しかったわけではなく疎遠になっていた父親のために金を集めていたのですが、父親はその金を実は中村賀津雄が仇討ちに行けるように金を用意していて、そんな事をまったく知らない小万と三五郎はまんまと中村賀津雄から金を騙し取ってしまった。←という因縁深い話で2時間以上あるのですが独特の映像美と緊張感で全く飽きることなくさらっと最後まで観ることが出来てすっきりはしないのですが記憶に残るすごい映画だと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村賀津雄 (源五兵衛) | コロッと騙されそうなクライヴ・オーウェンで。 |
三条泰子 (小万) | 芸者っぽい感じの役も似合いそうなケイト・ベッキンセールで。 |
唐十郎 (三五郎) | こういうダークな話が似合うジャレッド・レトで。 |
今福正雄 (八右衛門) | 忠実な使用人にはマイケル・ケインに。 |
修羅桜 (1959) |
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2004年9月 | |
江戸に金三百貫を運ぶ岸波半兵衛は金が盗まれる事を察知し石とすり替えたのだが金のありかを知る半兵衛は誘拐されてしまう。息子の又四郎、伊織は囚われた父の半兵衛を救出しようとするのだが・・・ 江戸川乱歩原作の時代劇。江戸川乱歩といえば明治、大正あたりのモダンな人たちの殺人事件か明智小五郎っていう勝手なイメージがあったので時代劇、しかも普通の勧善懲悪ものだったので新鮮でした。 冷静沈着な兄、又四郎と血気盛んな伊織の対立しながらも父と金を探すという展開を描いているのですが、途中貧しい人たちの為に政府の金を盗んでは分け与える雲切一家が仲間になってからが面白くなってきました。金のありかを嗅ぎわけたり、ちょっと先のことを占ったり出来る雲切一家の親分やらその一家の紅一点で又四郎に好意を寄せる姐さんお虎とかがちょっとコミカルで乱歩の雰囲気は微塵も感じさせません。 後半は金の隠してあった村が切支丹の村の近くだし、又四郎とお虎が当然くっつくものだろうと予想していたら切支丹の村で出会った小娘と一緒になっちゃうし・・・ただ強い相手と戦うとことを望む青白い顔の刺客やら天下をのっとろうと黒船を利用しようとする真犯人とかなんとなく「眠狂四郎」的な雰囲気が全体的に漂っていて個人的にはこんな乱歩も嫌いじゃないと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
森美樹 (岸波又四郎) |
「トロイ」におけるしっかりものの兄エリック・バナと軽率で行動的な弟オーランド・ブルームを彷彿とさせ。 |
松本錦四郎 (岸波伊織) |
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瑳峨三智子 (千里のお虎) |
やっぱり姐さんときたらファムケ・ヤンセンです。 |
修羅雪姫 LADY SNOWBLOOD (1973) |
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2003年12月 | |
夫と息子を塚本儀四郎、北浜おこの、竹村伴蔵、正景徳市の4人に理不尽にも殺された鹿島小夜。彼女は復讐を誓い正景徳市を殺したがつかまってしまう。監獄の中で娘を産み雪と名づけ恨みを託し死んでいく。やがて成長した雪は復讐の旅に出るのだった・・・ オープニング番傘に仕組んだ刀でターゲットを一刀両断、これだけでもかっこいいと言うのにここで梶芽衣子が自ら歌うテーマ曲「修羅の花」が流れるんですよ。これこれ「キル・ビル」と一緒だぁ。と思いながら梶芽衣子のかっこよさを堪能しました。特に蝶の模様の入った着物の着こなしはもちろんなんですけど、鋭い眼差しで睨みつけるところ、一瞬たりとも笑顔を見せないところがクールなんですよね。 他の登場人物もいまはベテラン俳優となっているところに驚きました。仇の一人竹村伴蔵の娘役が中田喜子でしかも遊女っていう今では想像できない役柄で驚いてみたり、小夜に殺された正景徳市役が気付かなかったけど地井武男だったりとなんかすごい面子がそろっています。 もちろん梶芽衣子はよかったんですけど、母親役の赤座美代子の子供を生むために男と寝まくる体当たりの演技。助演女優賞をあげたいと思うくらいすごかった、恨みを込めた出産シーンも。 全編通じて観てみてなるほどタランティーノが好きそーだなーっていうか絶対好きだなこれはと実感。小夜を見下ろす塚本儀四郎達とブライドを見下ろすエル・ドライバーやオーレン・イシイ達、時間軸をずらしたストーリー展開とか「キル・ビル」テイスト満載というか「キル・ビル」はかなりこの映画参考にしているんじゃないかな? 続編の「修羅雪姫 怨み恋歌」もぜひ見てみたいと思うのでした。 |
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2回目のコメント | |
2004年2月 | |
去年の12月に観て以来2ヶ月ぶりの鑑賞。池袋の新文芸座で梶芽衣子オールナイトというすばらしい特集の中の一本。「野良猫ロック ワイルド・ジャンボ」「女囚701号 さそり」と観ての3本目の連続鑑賞でおそらく深夜2時くらいだったと思うんですけど一回観ているからちょっと仮眠でも・・・と思っていたら眠くなるどころかしっかり全部観ちゃいました。 展開がわかっていても面白い。やっぱりよく出来ているなとと単純に思ってしまいましたね。前回見たときには見逃していた地井武男も今回はじっくり観察することが出来たけどすでに殺されているという役だけあって出番はかなり少なめ。ちあきなおみ風のつけぼくろもしているから本当にじっくり見ないと見過ごしちゃいます。 仇の中の紅一点、ふてぶてしくもあり憎たらしい、北浜おこの役の中原早苗という人は調べてみてびっくり深作欣二監督の奥さんじゃあありませんか。日本映画界も意外と世間は狭いんですね。 「因果応報!」と言って斬りつける梶芽衣子に改めて惚れ直し、今の20代半ばの女優には到底出来ない役だし、内容も今じゃ倫理的も無理っぽいよなぁなんて思いつつ、1970年代日本映画がまだ娯楽としてちゃんとしていた時代だからこそ多少過激な表現も許されていたんじゃないかなぁなんて勝手に想像してみたりするのでした。 最近、梶芽衣子関連の作品にならって「泣き言は言わない」をマイ・テーマにしよう誓うのであった・・・(心の中で泣き言を言いまくりますが) |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
梶芽衣子 (鹿島雪) |
もちろんタランティーノが「キル・ビル」撮影時に見せたというルーシー・リューで。 |
赤座美代子 (鹿島小夜) |
芯が強そうなミシェル・ヨーで。 |
修羅雪姫 怨み恋歌 LADY SNOWBLOOD 2: LOVE SONG OF VENGEANCE (1974) |
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2004年2月 | |
両親の仇を討ち、鹿島雪は殺人犯として追われる身となっていた。やがて雪は観念し捕れえられ死刑を待つのみとなったが秘密警察の菊井精四郎が徳永乱水の持っている手紙と命を奪うこと条件に助け出す。しかし乱水のもとに女中として忍び込んだ雪は乱水の人間味に惹かれ菊井を裏切るが・・・ その後の雪の行動を描いた「修羅雪姫」の続編。うーん決して悪くはなかったんですけど前作が傑作だっただけにトーンダウンしている印象はぬぐえなかったです。結局は明治政府を陰で操る菊井とその仲間達の陰謀を革命家の徳永達とともに阻止するというよくあるタイプの世直しものになっちゃっていたからなぁ。殺陣も血がドバーッとど派手に飛び散ったりするのを期待していたけどそれも少なめだったしちょっと残念。 ネタバレ→乱水が菊井に拉致され拷問された挙句ペスト菌を注射されたり、あやの気がふれ警察にあっさり一刀両断されたりと←内面的なえぐさがアップしていてさすが秘密警察のすることは汚いと思いましたね。 劇中、伊丹十三と吉行和子のラブシーンがあったけど、吉行和子が脱いでいたのが衝撃的だった。(ヌードの吹き替えなければ・・・)吉行和子って自分の中ではサザエさんのフネ的なイメージだから裸は見てはいけないような気がしたのでした。 雪と恋に落ちる周介が原田芳雄が登場。原田芳雄が無骨でかっこいいこと、非情な秘密警察の菊井に岸田森がベルバラ風で妖しかったりとキャラは抜群の濃さでよかったんだけどこれだけキャラが濃いと梶芽衣子の存在感が若干薄くなった感じもなきにしもあらず。でも梶芽衣子のハイカラさん姿が見られたからよしとしよう。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
伊丹十三 (徳永乱水) |
文系の革命家という役どころが似合いそうなロバート・ダウニー・ジュニアあたりで。 |
吉行和子 (徳永あや) |
狂気の沙汰的な役もこなしそうなジェニファー・ジェイソン・リーで |
原田芳雄 (徳永周介) |
ヴァンサン・カッセルで。素行が悪そうだけどやるときゃやるって感じが。 |
岸田森 (菊井精四郎) |
線の細い非情な役人と言ったらレイフ・ファインズでしょう。 |
少年探偵団・第一部 妖怪博士 (1956) |
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2004年9月 | |
出演者は全く違いますが、基本的に怪人二十面相が原子炉の設計図を狙うという設定で「怪人二十面相 三部作」とほとんどいっしょでしたけどこっちのほうがボリューム感はありました。 少年探偵団の素敵な?マリ子お姉さんのがおっとり天然キャラだったり性格描写が細かくなってはいるものの少年探偵団が明智小五郎をナイスサポートをして怪人二十面相を追い詰めていくってところが同じ分目新しいところはあまりなかったかったのですが最後の二十面相のアジトの洋館のセットはさすがにゴージャスになっていました。仕掛けとか凝っていて。 二十面相の罠によってセメント漬けになった明智達ここからどう脱出するのか!?というところで話は終わってしまいすっごく消化不良。この映画第一部ってなっている時点でやな予感したんですけど、第二部「二十面相の悪魔」でやっぱり完結するのかぁ。「キル・ビル」の時は次が公開されるって分かっていたから待っていられたけど、第二部なんてもう一生観る機会ないかもしれれないじゃん。こんなことなら観るんじゃなかったと思うのでありました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中原ひとみ (岸マリ子) |
ヘザー・グラハムはおっとり系のお姉さんのような気がします。 |
勝利者の復讐 (1958) | |
2008年2月 | |
刑務所帰りの前島はまともな生活を送るために職を探すが仕事が見つからずかつての仲間から商事会社の就職を勧められる。前島は就職するのだが商事会社の社長の深沢は前島に脅しをかけ宝石強盗の加担をさせられる。だがひとり逃げ遅れた前島は警察に捕まってしまい・・・ 刑務所帰りの男が巻き込まれる八方ふさがりなサスペンス。 錠前破りのエキスパートだったけれどまともな職に就こうとするけれど就職出来ずおまけに奥さんの小畑絹子も勤め先で旦那が善かもだと分かってしまいクビになってしかたなく細川俊夫はかつての仲間の真っ当な商事会社という言葉を信じたら強盗集団だった、という世間の冷たい視線に耐えられずまた生きていくために仕方なく強盗に手を染めるという焦燥感というかくたびれた感じが細川俊夫にぴったりはまっていました。 そんな細川俊夫が主役の映画ですが、やっぱり気になるのは悪役の天知茂です。宝石店の店員もを次々と容赦なく撃ち殺す非情なところが相変わらず素晴らしいです。すばやく警官に建物を取り囲まれますが偽警察手帳を見せてあっさり非常線を突破する用意周到なところも天知茂らしいです。 しかも今回は一人二役の双子という設定で性格のいい弟はアリバイ工作に使われてネタバレ→必要なくなったら自らの手で弟を殺してしまいます。←ニヒルで冷酷という天知茂の十八番が発揮されていました。 ネタバレ→幼い娘が泥棒の子なんかと遊べるかよ。といじめられたり、途中で奥さんが死んでしまう←というヘビーな内容もあったりと予測不可能な展開が新東宝らしかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
細川俊夫 (前島清一) | 見た目がくたびれた感じのクライヴ・オーウェンで。 |
小畑絹子 (前島房江) | 出番が少なくても印象に残るレイチェル・ワイズで。 |
天知茂 (深沢正夫) | 最後は油断してしまうところがやっぱりショーン・ビーンです。 |
昭和残侠伝 血染の唐獅子 シリーズ第4作 (1967) | |
2006年2月 | |
「日本侠客伝」と別シリーズですけど内容は同じです。 今回の設定は昭和初期の左官屋で東京博覧会をめぐるいざこざが繰り広げられます。 悪役にいつもの天津敏に河津清三郎が加わってパワーアップ。河津清三郎はいかにも悪党の親分というよくが似合っていて絵に書いたような嫌がらせを戦略的に展開してくれるので観ていて楽しいです。そして悪党側についてるいいやくざが池部良ってところがショーン・ビーンのようでこれまた渋カッコよかった。 それに仲間の一人に清川虹子の息子(30代中盤)がいるんですがこれがどうみても40代半ばの中年だよなぁという強引なところとか健さんの仲間達はみんな男気があっていい奴らなんですけど単細胞で行動が直線的なところが相変わらずで楽しいです。 でもちょっと納得いかないなぁと思ったのが、このシリーズでお馴染みの身請けされそうな芸者を助けて闇討ちされる健さんの仲間・・・という展開がもちろんあるのですが今回その役に抜擢されたのが山城新伍ですよ。山城新伍はイメージ的に悪党側についていて欲しかったです。 あとちょくちょく出てきて、愚連隊とかちょっと変わったキャラで美味しいところを持っていく津川雅彦は今回どもりのある役で目立っていてドーラン黒人なみに塗りすぎだろってところはあるんですけど結構カッコいいことに気がつきました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! (健さんはとりあえず省略) | |
藤純子 (風間文代) | キーラ・ナイトレイあたりにキリっと決めてもらいたい。 |
池部良 (風間重吉) | イメージは本当ショーン・ビーンです。 |
河津清三郎 (阿久津剛三) | ミッキー・ロークに典型的な悪役をやってほしい。 |
昭和残侠伝 死んで貰います シリーズ第7作 (1970) | |
2006年2月 | |
今まではピンチになった時にようやく健さんが帰ってくるという展開だったのですが今回は最初から健さんが登場して藤純子との出会いのエピソードも含まれていてようやく違った展開か?と思ったものの相変わら内容は同じでした。いや楽しいからいいんですが・・・ 出会いのエピソードが面白すぎというかやばいです。賭場でボコボコにされた健さんを見つけた芸者見習いの藤純子が介抱するのですが店の酒を飲ませたりなぜか一目惚れするまではよくて、目を離した隙に健さんは旅立ってしまうのですが、この時の藤純子が健さんを探す言動が「やくざの・・・(ここで溜めが入る)やくざのお兄ちゃーん。」ってアメリもびっくりの天然っぷり。相手が健さんだからいいようなものの違かったらぶっ飛ばしものですよ。 といろいろなエピソードがあって展開ものすごく速いです。刑務所に健さんの妹が訪ねて来たり関東大震災で街が大混乱になっている隙に悪いやつらがのさばるきっかけあったり盛りだくさんだなぁと思っていたら突然妹死んでるし何でかなぁ?としばらく考えていたら関東大震災で死んじゃったんだぁと2テンポくらい遅れてようやく理解できました。油断していましたが中々複雑です。 で今回の舞台は料亭で健さんの実家で目の見えなくなってしまった母親を気遣って別人の振りして料亭で働き始めるわけですが、あの不器用な健さんが出し巻き卵を作ってますよ。いつもの大工やら火消しやらガテン系もいいけど板前さんもカッコよかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! (「昭和残侠伝 血染の唐獅子」とほぼ同じキャストなので今回はなし) |
女王蜂と大学の竜 QUEEN BEE AND THE SCHOOL FOR DRAGONS (1960) | |
2010年9月 | |
東京のマーケットを仕切る関東桜組に三国人が殴りこみをかけてくるが、偶然通りかかった広岡竜二がマーケットを守るのだが、次第に三国人による暴力が過激になっていき・・・ 新東宝の豪華目な仁侠映画。 この映画、今まで観た中で三原葉子史上最も姐御的で仁侠映画なのに吉田輝雄は最もコミカルなキャラクターでした。 いきなり三国人が関東桜組に乱入。組長(嵐寛寿郎)が留守だったので娘の三原葉子が大立ち回り。でも三国人たちの数が圧倒的に多いのでさすがの三原葉子たちもピンチと思ったら颯爽と登場してバッタバッタと三国人をなぎ倒す吉田輝雄に笑うところじゃないのですが爆笑です。 そんな二人が口げんかしながらもお互い何となく好き。みたいなラブコメ的な要素もあって任侠ラブコメディという新しいジャンルが出来ていたと思います。さすが石井輝男、吉田輝雄、三原葉子によるゴールデントリオだなと思いました。 後半、祭りのシーンで何故か三国人たちは神輿の上に売り出し宙のストリッパーを乗せて登場。それが気に食わない三原葉子は自らさらし姿になって神輿の上に載ってストリッパーとの神輿で騎馬戦みたいなシーンになって三原葉子らしさ全開でよかったです。 天知茂が若頭役で出ていて、これは絶対裏切るだろうと思っていたら意外にも出番は少なくキャラクター的にもいい人というところがちょっと拍子抜け。万里昌代は勝気な八百屋さんという役どころで危うく貞操を奪われそうになるのですが間一髪、吉田輝雄に助けられると言うのはお約束。ネタバレ→それにしても嵐寛寿郎って殺されそうになっても殺されないですよね。それだけ大物だったんですね。← | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三原葉子 (桜珠美) | キャサリン・ハイグルにお色気たっぷりにやってもらいたい。 |
吉田輝雄 (広岡竜二) | ジェラルド・バトラーみたいに頼りがいのある人にお願いしたい。 |
女王蜂の怒り (1958) |
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2004年8月 | |
波止場で運送業を営む海堂組の女親分ゆりは対立する竜神組の剛田の卑劣な罠に陥り全てを奪われてしまい・・・ ちょうど駆りたかったビデオが貸し出し中でなにか代わりになるようなものないかなぁ。と探していたらパッケージの裏に菅原文太の映画初出演作品て書いてあったし、ごひいきの天知茂も出演してるじゃん。と若干宇津井健が出演しているのに怪しさを感じつつもこれに決定。 任侠ものにやっぱり宇津井健は不釣合いでした。オープニングで海堂組の仕切る祭りに乱入してきた竜神組のチンピラたちを宇津井健が成敗するって展開ですが、全然強そうじゃないんです。パンチも蹴りも遅いし名前もハリケーンの政で全てがミスマッチすぎて逆に笑えます。ラストの海堂組と竜神組の喧嘩でネタバレ→流れ者のやくざハリケーンの政が助っ人に・・・と思ったらなぜか警官の格好していて一瞬思考回路が停止。あ、宇津井健は潜入捜査官だったのか。←って納得。するわけもなく、えぇ!今まで観てきたのなんだったの?という気持ちを久しぶりに味わいました。 主役の久保菜穂子はビジュアル的にいささか地味な気もしなくはないけどしっかり姐さんしていたし、当時20代の天知茂の悪役も若いのに貫禄十分で格が違いますね。菅原文太も軽やかなダンスを披露してくれて珍しいもの見せてくれてありがとう。という気持ちになりました。 あと、最近気がついたんですけど宇津井健の映画って全体的にぬるいです。今回も任侠ものの割には誰一人として死なないですからね。酒に毒を盛られたと思ったらただの睡眠薬だったし・・・ 監督は石井輝男だからどぎつい色彩がいつものようにふんだんに使われていましたけど、ベッドシーンになりそうになると照明がピンクになるのが笑えたりして石井輝男テイストは堪能できました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
久保菜穂子 (海堂ゆり) |
コニー・ニールセンで。地味ながら姐さんの素質はあると思う。 |
宇津井健 (ハリケーンの政) |
ビル・パクストンがやくざ役をやるような説得力のなさでした。 |
天知茂 (剛田昇) |
陰湿な悪役というイメージのクリストファー・ウォーケンで。 |
女経 (1960) | |
2006年4月 | |
女経と書いてじょきょうと読む、男を手玉にとるしたたかな女の姿を描いた大映のオムニバス。 第一話【耳を噛みたがる女】増村保造監督 貧しさから逃げ出すためにキャバレーで働く若尾文子は男達をホテルに誘いこみ金を巻き上げときながら寸前のところで何かと理由をつけては逃げ出すという若尾文子ならではの役どころで必殺技はタイトルどおり男の耳を噛むとこで相変わらずいい感じです。そんな若尾文子が次のターゲットに選んだのは会社社長の息子、川口浩。川口浩も若尾文子を一銭も使わず落とすと田宮二郎と賭けをするけど二人とも本気で惚れてしまうというという内容でラストいかにも若尾文子らしい終わり方が吹っ切れていて、いかにも増村&若尾というコンビという感じもいいのですが、キャバレーで強引な手法で店の女達から嫌われている若尾文子にも唯一理解者がいるのですがそれが左幸子。左幸子は何かしでかすんじゃないかとちょっとハラハラしましたが本当に若尾文子の理解者という普通の役どころで若尾&左という組み合わせたぶん初めて観たのでこれは新鮮でした。 第二話【物を高く売りつける女】市川崑監督 失踪した売れっ子作家、船越英二が夢遊病のような女、山本富士子に出会うちにボロ別荘を高値で売りつけられるという話です。 相変わらず船越英二は美女にコロッと騙されちゃう役がはまっていて楽しいし、山本富士子はいかにも田園調布の奥様といった口調で船越英二にこの別荘が売れなくって困っているんです。みたいな遠まわしで別荘買わせるテクニックと一人になったときにはちゃきちゃきの下町の姐さんという感じで六畳一間のアパートでアイロンなんかをかけたりするギャップは中々すごかったです。 そして今回はそんな山本富士子の招待を見破った船越英二がアパートに乗り込んで二人はめでたく結ばれるのです。船越英二も今回は勝ち組でよかったよかったという感じでした。 第三話【恋を忘れていた女】吉村公三郎監督 老舗旅館に嫁に来た京マチ子も今ではバーやら何やらで店を数件持つ女実業家となったけど後にも先にも金が一番と思っている女の話で義理の妹、叶順子が川崎敬三と結婚したいから金を貸して欲しいとたずねて来るも川崎敬三なんてやめておけと一蹴して金を貸さないのですが叶順子も負けずに「もう若くない。」と言い返すのです。京マチ子に向かって・・・恐ろしい、恐ろしすぎる。京マチ子にそんなこといえるのは若尾文子か叶順子といったところでしょう。 で旅館に来ていた修学旅行生が事故に遭ってその子と先生が残ることになるんですけど京マチ子は金が一番だからその生徒の分は別料金をしっかりいただいてちょうだい。なんて冷酷なことを言ったりするのですが警察の追われている昔の恋人が現れたり生徒に輸血したりしてるうちに仕事もいいけど今から恋しても遅くはないかしら?などと人生を見つめ直すのでした。 大映のオムニバスも話は突飛なんですけど新東宝のオムニバスと比べるとものすごくちゃんとしていると感じるのはやっぱり監督の差かなぁなって思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
若尾文子 (紀美) | イタリアの宝石モニカ・ベルッチで。 |
山本富士子 (土砂爪子) | 綺麗どころつながりでニコール・キッドマンに。 |
京マチ子 (お三津) | 旅館の女将さんとか似合いそうなスーザン・サランドンで。 |
女囚701号 さそり シリーズ第1作 (1972) |
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2004年2月 | |
愛する恋人で麻薬捜査官の杉見にはめられた松島ナミは怒りのあまり杉見を襲うが、逆に逮捕され女子刑務所に送り込まれてしまう。松島ナミは杉見に復讐するため脱走を繰り返すが幾度となく失敗。ナミのおかげで懲罰の巻き添えをくらう受刑者はやがてナミを敵視し始め壮絶なリンチを受けることになるが・・・ いやーオープニングからこんなに女性の裸がこんなに出てくるのに全然色っぽくないのもすごいけど、これでもかってくらいナミに看守も囚人もよってたかってリンチされちゃうんですよね。手足を縛られたナミに煮えたぎった味噌汁をかけようとする意地悪女囚にナミが隙をついて味噌汁を逆にかけて所内は大騒ぎ、騒ぎを起こしたナミに看守がまたリンチを加えるけど、「吐け!松。どうして手足を縛られてるお前が味噌汁をかけることができたんだぁ!」って、つっこむところはそこかい! ナミにしてやられた女囚が逆上して襲ってくるシーンも笑っちゃいけないが、笑っちゃいます。いきなり歌舞伎メイクに変わってすごい形相で襲ってくるんだもんなぁ。もう何でもありです。 終盤、女囚達の反乱が起こるんですが人質に取られた看守の中に小林稔侍を発見。ボコボコにされるわ服を脱がされるわで散々だったけどなんかちょっとうれしそうだったなぁ。女囚に囲まれて・・・ ライバルの女囚片桐も眉毛がなくってはすっぱ感が出ていてリアルだったし夏八木勲もハードボイルド風でなかなかかっこよかったなぁ。 でもやっぱり梶芽衣子の黒のロングコート姿と消して弱音や泣き言を吐かない姿のかっこいいこと。「女囚さそり」「修羅雪姫」「野良猫ロック」の3シリーズで日本いや世界最強の反骨のヒロインの座はゆるぎないと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
梶芽衣子郎 (松島ナミ) |
アンジェリーナ・ジョリーで。反骨精神はかなりのものと見た。 |
夏八木勲 (杉見次雄) |
結局やられる役といったらショーン・ビーンで。 |
横山リエ (片桐) |
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」級の凶暴さでお願いしたい、ジュリエット・ルイスで。 |
女囚さそり 第41雑居房 シリーズ第2作 (1972) |
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2004年2月 | |
杉見に復讐し再び刑務所に入ったナミ。しかし所長の郷田は地下にナミを押し込めていたが法務省の巡回があり一年ぶりに外に出る。ナミは隙をつき郷田を襲うが失敗し、女囚達は石切り場で懲罰が与えられてしまう。その帰り女囚の大場とともにナミは脱走に成功するが・・・ 題41雑居房とタイトルについてはいるけど雑居房なんて全然出てきません。なぜならずっと逃亡ばかりしているからなんですけどこれがまためちゃくちゃ。脈略もなく突然姥捨て村?に逃げ込んだ女囚達が捨てられた老婆によって一人一人の犯罪エピソードが語られるという奇想天外さときたら・・・唐突すぎてびっくりだ。 今ではすっかりベテランの白石加代子に地で般若のような形相でものすごい怪演。いや怪演すぎるよ。また白石加代子の犯罪ってのが自分の子供の殺害と妊娠中の自分の腹を刺すってことで、スカートまくってその傷を見せるんですけどパンツ丸見えも度がすぎる。いいから早くスカートを元に戻しなさいと「アバウト・シュミット」のキャシー・ベイツの全裸を思い出しまったのです。 それにしても梶芽衣子のすごいこと、何がすごいかって台詞がたったの一言だけ。あとはすべて眼で語るという離れ業。主人公が台詞なしなんて前代未聞。だから眼付け勝負は決して負けませんって感じで凛々しいことこの上なし。せめてもっと台詞があったらよかったのに・・・というか梶芽衣子の声が聞きたかったんです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
白石加代子 (大場ひで) |
ということでキャシー・ベイツで。 |
渡辺文雄 (郷田) |
執拗そうな雰囲気のピーター・ストーメアで。 |
女囚さそり けもの部屋 シリーズ第3作 (1973) |
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2004年2月 | |
逃亡中の松島ナミは地下鉄で刑事の権藤に捕まり手錠をかけられつかまるが、ナミは包丁で権藤の腕を切り落とし再び逃亡する。 やがてナミは精神に以上のある兄と暮らす娼婦のユキと知り合い意気投合するが、権藤の追跡の手がすぐ側まで迫っていた・・・ 女囚シリーズ第3作目。前回で所長の郷田に復讐はたしたから全く新しい話になると思いきや、ちゃんとナミってキャラクターのとった行動が繋がっているところが驚きです。 今回のオープニングはかなり強烈。なんてったて刑事の腕を切り落として逃亡。しかも包丁で切り落とせるのか人間の腕を?と考えている間に手錠でつながれている刑事の腕をぶら下げたまま町中を逃亡というすごい展開。さらに墓場で腕を食いちぎっています。梶芽衣子ここまでやってあっぱれです。 今回の悪役?鮫島役の李礼仙もアイラインが目元から1センチは離れているんじゃないかという強烈メイクで見た目にインパクト大。監禁していたものの隙をつかれ逃げられたナミをの怖さを知っている鮫島は殺されるよりもマシということで自ら刑務所に入るもののナミも偽名を使い刑務所に入ってきて鮫島に復讐するんですけど鮫島をただ睨むだけで徐々に精神に以上をきたすというほとんど呪いに近い復讐方法だ。大鶴義丹の浮気で怒り心頭のマルシアにはぜひ姑の李礼仙がぎゃふんとなるこの映画を観てすっきりしてほしいと思うのでありました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
成田三樹夫 (権藤徹) |
目だっていい役も地味目になってしまう、ジェイソン・パトリックあたりで。 |
李礼仙 (鮫島カツ) |
ザ・悪女といった感じのレベッカ・デモーネイで。 |
女囚さそり 701号怨み節 シリーズ第4作 (1973) |
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2004年2月 | |
逃走中の松島ナミは児玉警部に執拗に追跡されついに捕まってしまうが隙をついて再び逃走する。そこでかつて児玉に痛めつけられた工藤に助けられたナミは二人で逃走を続けるのだが・・・ 梶芽衣子の女囚シリーズもこれで終焉。振り返ってみるとなんともいえないすごいシリーズだったなぁ。 今回はラストを飾るにふさわしく主役の梶芽衣子に加えて田村正和に細川俊之という今じゃこの顔合わせは見られない組み合わせという共演ぶり。田村正和なんかは30年前も今と変わらぬ芸風というか当時からすでに田村正和って感じの演技だったんですね。しかもめちゃめちゃ男前で軽く驚いたりもした。 梶芽衣子と田村正和の恋愛、逃亡のエピソードは以外に普通じゃない?と思ったけどやっぱり後半、刑務所に入ってからが女囚シリーズらしさで溢れていましたよ。今回、看守はクレームがあったのか?男性から女性に代わっていたけど、女看守も男性ヌード雑誌を見て「すっごーい。見てみなよ。」とかいう台詞も飛び出しさりげなくあばずれぶりを見せてくれたり、死刑執行は所内の広場のようなところで実行されたりと、これぞ女囚シリーズと言わんばかりのめちゃくちゃな設定で一気に盛り上げてくれるのがまさにラストにふさわしいんですね。 ラストも結局、ネタバレ→警察の執拗な拷問に根を上げナミの居場所を自白してしまった工藤も殺しにいくんですけど「あんたは悪くない。あんたに恋した松島ナミを殺したんだ・・・」←って言うんですよ。そして「恨み節」の流れる中、街中に消えていくナミ。最後までかっこよかったわ梶芽衣子、それにいろんな意味で伝説に残る「女囚シリーズ」なのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
田村正和 (工藤安男) |
今一番、正義感があっていい男といったらヴィゴ・モーテンセンでしょう。 |
細川俊之 (児玉武志) |
狙った獲物は逃がさない的なところがありそうなケヴィン・ベーコンで。 |
処女ゲバゲバ VIOLENT VIRGIN (1968) | |
2008年3月 | |
駆け落ちに失敗して処刑されるために荒野に連れてこられた星と花子。花子は十字架にかけられ死の儀式が始まるが星は逃げ出し次々と組織のメンバーを血祭りに上げていく・・・ 若松孝二監督作品でもカルト的な人気があるこの作品は以前から興味があったのですがようやく観ることが出来ました。 俳優も全くしらない人たちばかりで即興的な話の展開といいなんというかATGっぽい香りがしました。 内容は処刑に連れてこられた二人のうち男の方がなぜかボスの命令で処刑の前だけボスになれという命令で組織の女をかたっぱしから抱くというナンセンスな展開が繰り広げられて次第に次々に男も女も殺しまくって組織の仲間はパニックという血なまぐさい展開が繰り広げられていくのですが変な挿入歌が途中で流れたり主人公の星は自分で尻尾が生えていると信じていたり、十字架に全裸で磔になる花子の磔具合も大事なところはアイマスクで隠してあってこれはどうやって留めているの?というところが気になって仕方がなかったりとかなりシュールでなかなかついて行くのが厳しかったのですが観終ってからじわじわ凄みが効いてきました。 登場人物が学生運動をしている感じは特に明確になっていないのですがやっぱり若松孝二監督作品は内ゲバっぽい感覚が色濃く出ているなぁと感じました。 勢いに飲まれて観てしまったところがあるので、もう一度観る機会があれば冷静に観たいです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
谷川俊之 (星) | 独立系な感じのするヴィンセント・ギャロあたりで。 |
芦川絵里 (花子) | パンチの効いたロザリオ・ドーソンがやったら一味も二味も雰囲気が違う感じになりそう。 |
女性操縦法 “グッドバイ”より GOODBYE (1949) | |
2009年9月 | |
雑誌社で働くプレイボーイの田島に社長から大株主の娘との結婚話が持ち上がる。田島はお見合いに臨むため社に出入りしている田舎娘のきぬ子を嫁にしたてて付き合っている彼女と次々と別れていくのだが・・・ 森雅之と高峰秀子の名コンビで送るラブコメディ風な恋愛もの。 こんな軽いノリの恋愛ものの原作が太宰治というところが意外でしたが後半は結構ピリッとスパイスが効いていて切ないところもありました。 森雅之のプレイボーイっぷりはさすがに板についていて女の扱いがスマートなところはいいのですが恋人のひとりに飲み屋の女将さんで清川虹子というところが幅が広くて笑いました。 高峰秀子は森雅之よりも素晴らしく、田舎者丸出しの方言が様になっていてただただ感心。最初は汚らしい格好をしていて次に出てきた時はどこかのお嬢様風ないでたちで森雅之は完全にノックダウン。あらゆる面で高峰秀子は森雅之の一歩先を行っているところがしっかり者の高峰秀子らしくていい。 ようやく4人の恋人たちと別れることが出来た森雅之。その時にすでに高峰秀子に本気なのですがお見合いに言ってみると現われたのは高峰秀子。おかしいなと思ってアパートに電話をすると田舎弁の高峰秀子がちゃんと出るではないですか。なんだか安心した森雅之はノリノリになるもお嬢様バージョンの高峰秀子は急にそっけなくなってしまうのですが・・・ というちょっと切ないというかほろ苦い終わり方が太宰っぽいのかななんて思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
森雅之 (田島周二) | こういう役こそブラッド・ピットにやってもらいたい。 |
高峰秀子 (永井きぬ子) | ドン臭い格好からセレブなスタイルまでこなすハル・ベリーで。 |
女体 VIXEN (1969) | |
2006年10月 | |
自由奔放な浜ミチは大学理事長の息子に襲われたと慰謝料200万円を請求するが理事長の娘、晶江に上手く言いくるめられて100万円になってしまう。そんなミチを気の毒に思った理事長秘書で婿の石堂信之は密かに全額を手渡すがそんな信之にミチはたちまち惚れてしまうのだが・・・ じょたいと読むそうです。岡田英二が自由奔放な浅丘ルリ子に振り回されやがて全てが破滅に向かっていく猟奇的な愛の物語。 浅丘ルリ子、街を歩く時も着ているものが下着の上にシースルーの服という限界ギリギリの感じもするのですが痩せているので肋骨も全開というところがものすごく気になりました。 浅丘ルリ子がメインですけど実は岡田英次の反乱じゃないかと感じました。婿養子なんですけど義父が小沢栄太郎で嫁が岸田今日子じゃそりゃあ浅丘ルリ子と浮気をしてぎゃふんと言わせてやりたいと思いますよ。 浅丘ルリ子は家に乗り込んで岸田今日子に「お宅の旦那と寝た。」と浮気宣言。この時の岸田今日子の表情が余裕を装っているけど見る見るうちに顔面蒼白するところはさすがだし、岡田英次に離婚宣言されても「私待っています。」と言っちゃうところが岸田今日子ってやっぱり怖いです。 二人はやがて一緒になるのですが浅丘ルリ子には腐れ縁の川津祐介がいるのです手切れ金を渡したにも関わらず別れず殴り合ってるうちに偶然殺してしまって浅丘ルリ子に「何で殺したのよ!」とお前のために二人とも殴り合ってたんだよという状況の中、岡田英次はいい人ふだから素直に自首すると「あんたいい人。」と豹変するところは何だこの女という感じです。 後半は岡田英次の妹の婚約者に手を出しさすがにキレられるのですがそんなことで怯む浅丘ルリ子のわけもなく毎晩深夜に電話をかけまくりさらにはエスカレートして突然自宅に押しかけたりして観ていて本当イライラしました。ネタバレ→何がなんでも手に入らないと知った浅丘ルリ子はさわやかイケメン伊藤孝雄を車に乗せ死のダイブ。二人とも奇跡的に生きていたけど本当に怒った岡田英次はついには包丁で殺そうとしたけど結局殺せず一人家を出て行くのですが←ここでさすがに怯えたかなと思ったら「出て行かないで。」って何この女?というより何だアマ!?という感じで映画館は変な笑いで包まれていました。 ネタバレ→最後酔っ払って風呂に入る時にガス管引っこ抜いて死ぬのですが言っちゃぁなんですが、すっきりしました。← 岡田英次って若いときものすごくカッコよくて歳をとっても渋いんですけどよくこの映画出たなぁと思うしこの映画は「音楽」に通じるアバンギャルドなところがあると思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
浅丘ルリ子 (浜ミチ) | 怖いものなしといった感じのスカーレット・ヨハンソンで。 |
岡田英次 (石堂信之) | 中年の危機が似合いそうなクライヴ・オーウェンあたりで。 |
書を捨てよ町へ出よう (1971) |
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(理解できず) |
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2005年10月 | |
寺山修司。名前だけは知っていたので観にいったらこれぞATGという感じのする内容でとにかく難解。こんなにも解らないとい思いをしたのは初めてで、感想が書けないので今回は感想短めです。 主人公の少年が映画について観客に問いかけから始まるオープニングにただならぬ雰囲気を感じたのですが映画の世界?に入ってから画面が緑になったり紫になったり実験的すぎます。さらにこの主人公の家族も万引き癖のある婆さんやら痴漢をする父親やウサギフェチの妹やらこれまた一癖も二癖もあって寺山修司の世界にどんどん取り残されて困ります。しかも途中途中で素人なのかな?人通りでごった返す歩行者天国の中で本筋とはまったく関係ないゲリラ的なパフォーマンスをして奇妙な人たちは観ていて退屈はしないんですけどやっぱりついていけないものがありました。 後半も売春宿の集合体みたいな迷路のようなアパートにさまようのですがそこに丸山(美輪)明宏がバスタブに浸かっていろいろとあの口調で主人公に物申すのですがそこでバスタブから出るから当然ヌードなわけで、美輪明宏何か見てはいけないものを観たという気分になったりこれがゲージツってものなのかなぁと思いました。 終了後「すっごく面白かった。」と言っている人たちがいましたがこの面白かったという感情はどこからも湧き起こりませんでしたが、いい経験はしたなとは思いました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! (今回は難解すぎてなし) |
不知火檢校 (1960) |
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2004年1月 | |
杉の市は生まれつき目が不自由だが悪事に関しては天下一。そんな杉の市一の悪行の限りを描いた極悪時代劇。 杉の市の少年時代の悪行からすでに来ています。祭りの酒樽に自分の鼻水をわざといれて貧しい自分の家に持ち帰り母親に飲ませるというエピソードは許せもするけど、次の無邪気な顔して若旦那をはめ一両をみごと手にする市のエピソードの憎たらしいことといったらこの上ないんですな。 成人後の市の悪行はさらに過激に。道の脇で癪に苦しむ旅人を按摩をすると見せかけ必殺仕事人も真っ青の手さばきで殺害。「痛みがなくなったでしょう。ついでに息もなくなっちゃたよ。」ってぼそっと言う台詞がゾッとするほど身にしみます。この一部始終を見ていた生首の倉吉に脅されるもとっさに旅人から奪った金を渡し、逆に味方につけて仲間になるという気転の利かせようときたら腹黒さを通り越して天才かもしれません。こんな奴がいたら絶対近づき(かかわりたくは)たくはないと心底思うのでした。 中盤、夫に内緒で金を借りに来た中村玉緒に金を無担保で貸して、無理やり玉緒を抱くけど次の日夫が戻ってきて玉緒に「昨晩お預けした50両をお返しください。」といいのける始末の悪さ。この悪知恵、女を騙す時も十分すぎるほど発揮されるのです。それにしても中村玉緒って言い過ぎかもしれないけどあんまり変わっていないような気がする。(すごい面影がありすぎるってこと)声だけは全然違うんだけどいったいいつからあんな声になったか逆に知りたくなりました。 最後は不知火檢校の地位まで上りつめた市がネタバレ→結局は民衆の前で捕まるというラストはこのまま捕まらずに生きていくっていう終わり方より断然いいと思います。なぜなら不知火檢校という地位に上りつめてしまったんですから。捕まっても「私は知らん。」と言い続ける市の姿がどこかの政治家のようでもあって←時代を先取りしているようでさすが勝新太郎と思うのと同時に始めて勝新作品を観たけど勝新の偉大さと存在感に圧倒されたのでした。(しかも当時29歳か30歳ってことを考えるとなおさら) |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
勝新太郎 (杉の市) |
人の良さそうなショーン・アスティンが実はって感じ?(かなり無理がある) |
白雪先生と子供たち (1960) | |
2009年10月 | |
小学校教師の雨宮はある日子供たちが浮浪児の常治と遊んでいるところを見かける。やがて学校の鯉が盗まれる事件が起き、犯人は常治と分かり、身寄りのない常治を雨宮は引き取るのだが・・・ 原節子らしさ全開のすがすがしい教師と生徒の関係を描いた作品。 下校途中に生徒たちが浮浪児の子とベーゴマやメンコをやっているところを見かけた原節子。生徒たちは一目散に逃げて残った浮浪児は原節子に凄んで見せるも、「あなたお家はどこなの?学校には行っていないの?」と慈愛に満ちた表情で語りかけるものだから浮浪児もたじたじです。そして鯉を盗んでまでしなければ生きていけないと知った原節子は浮浪児を引き取り小学校にも入れてあげるのです。まさに菩薩か天女としか言いようがありません。白雪先生とは子供たちが密かに付けたあだ名で、白雪のように美しくやさしいからと言う原節子らしいなと思いました。 町の有力者の息子が大きい顔をして先生の見えないところで問題を起こしたりするのは今のドラマでも同じだなと思いながらも基本的にみんないい子たちなところがいいですね。 クライマックスはそんな有力者の子の家の工場が汚水を川に垂れ流して学校の池の鯉が全滅しかけるという公害問題まで取り上げていて教育上本当にいい映画だなと思いました。 原節子は真っ直ぐな性格なので単身有力者のもとに行き、汚水をどうにかならないかと直訴しに行くのですがその行動が問題となり、学校を辞める決意をする原節子。生徒たちに「先生が辞めるなら僕も学校辞めます。」なんて教師冥利に尽きる感動的な展開なので観終わってすがすがしい気持ちになります。 子供たちも草で作った船を川に流して学校の池までちゃんと着くかメンコを賭けようぜ。みたいな子供らしさもあって現代の子供たちにも道徳の時間とかに是非観てもらいたいと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
原節子 (雨宮加代子) | 先生だったらやさしそうなレイチェル・ワイズで。 |
尻啖え孫市 THE MAGOICHI SAGA (1969) | |
2009年7月 | |
京で一目惚れした女を追いかけ織田信長の領地にやって来た雑賀孫市。藤吉郎と信長は孫市の鉄砲隊欲しさに一目惚れした女を仕立て上げ孫市に取り入ろうとするのだが・・・ 中村錦之助が雑賀孫市の半生を演じた時代劇。後に豊臣秀吉となる藤吉郎を弟の中村賀津雄が演じるというところも注目。 中村錦之助ははみ出し者的なキャラクターを演じるとより上手く見えるのですが今回もよかったです。しかも弟の中村賀津雄が後の秀吉というところがどうかなと思っていましたが、中村兄弟の二人の息の合った楽しそうな演技を観ているだけで楽しいです。 最初は孫市を騙して仲間にしようとしている藤吉郎がしだいに孫市のまっすぐな性格に惹かれて性格の全く違う二人が男の友情を築き上げていくところもいい。 と前半はいい感じに進んでいくのですが、後半ようやく登場する栗原小巻と運命的な出会いとして栗原小巻は織田信長の反対勢力で二人は織田信長を暗殺しようとする後半の部分は展開が唐突で拍子抜けしてしまいます。とくに最後はあっけない終わり方で残念。 出番の少なかった栗原小巻は綺麗なんですけど時代劇という感じはしなかったかなぁ。最後の戦いで女の人が戦に出る時にはなぜかティアラっぽいものを頭につけていますがそれもいまひとつ似合っていなかったし。こういうのは藤村志保のような人がやるとピンと来る気がしました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
中村錦之助 (雑賀孫市) | やんちゃな感じのウディ・ハレルソンで。 |
中村賀津雄 (藤吉郎) | ロバート・ダウニー・Jrあたりにお願いしたい。 |
栗原小巻 (小みち) | 顔立ちの整っているケイト・ベッキンセールで。 |
勝新太郎 (織田信長) | 将軍という感じのラッセル・クロウで。 |
白い巨塔 (1966) |
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2004年2月 | |
定年による東教授の後任選挙が近づいている浪速大学医学部。教え子の財前五郎が時期教授の最有力候補だが、東教授は財前の言動が気に入らず別の大学から候補探しを始めていた。しかし財前も巧みに選挙工作を行いついに教授になろうとしたその時、財前のオペした患者が死亡し訴えられてしまう・・・ 「悪名」シリーズですっかり田宮二郎のファンになったと同時にナイスタイミングで巷じゃ「白い巨塔」ブームってことで元祖が上映。オープニングの手術シーンが本物のようにリアルで感心しましたよ。 「悪名」シリーズの人情系で気さくなやくざモートルの貞、清次しか知らなかったから出世欲の強いエリート志向の田宮二郎は新鮮だったけどやっぱりかっこいいなぁ。初めは敵対していた教授達が徐々に財前側勢力についてくる様は圧巻。やっぱり人の上に立とうって志のある者は自信とカリスマ性と多少の腹黒さがなきゃだめなんですよね。 しかし35年以上前の病院ってすごかったんですねぇ。酸素吸入器にみたいな装置が三角フラスコだよ。これじゃ助かる患者も死ぬさ。財前は悪くない、当時の医療設備が悪かったんだよ、死んだ患者も元は里見助教授患者じゃないかと普段は応援しないタイプの主人公を応援してしまった。 名前を覚えることが困難なほどたくさん出てくる登場人物も魅力的、財前の義理の父財前又一がなにかっつーと「金か!なんぼいるんじゃ!」と言って金を出すシーンはほとんど漫画的でおかしかった。 東教授役の東野英治郎の裏工作も憎々しく西村晃に続き、水戸黄門とは正反対の役柄に驚く。財前の愛人ケイ子役の小川真由美のしたたかさと冷酷さがはまり役。いまTVでやってるやつこの役黒木瞳でしょ?未見ですけど、小川真由美のようなしたたかさとかが出せているのか気になるところ。里見助教授の江口洋介も確かに理想がある医師ってところは江口的だけど田村高廣のような謙虚さというか気弱さが足りなくてなんかちょっと違う感じがするんだよなぁ。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
田宮二郎 (財前五郎) |
最近悪役が多いエドワード・ノートンで。 |
東野英治郎 (東教授) |
悪巧みしている老人というイメージのクリストファー・リーで。 |
田村高廣 (里見助教授) |
優秀なんだけど気弱そうという感じのジム・カヴィーゼルで。 |
小川真由美 (ケイ子) |
レナ・オリンで。なんか愛人って言葉が妙にしっくりきて・・・ |
白い魔魚 (1956) | |
2009年4月 | |
紙問屋の娘、竜子は大学生活を謳歌していたが、実家が破産しそうになり政略結婚を受け入れるのだったが・・・ 有馬稲子がはつらつとした女子大生役を演じた女性映画。 やたらと有馬稲子の気が強くて「浪花の恋の物語」の時とずいぶん印象が違う今どきの娘さんだったのでちょっと戸惑いましたがこれでもかと有馬稲子に次々と襲い掛かる難題に継ぐ難題でまるで昼ドラを観ているようでした。 まずいきなり交通事故で入院。轢いたのは高峰三枝子の会社の従業員。ということで不幸中の幸いと言うべきか大物の高峰三枝子と知り合いになってバイトもゲットと事故に遭っても悪くないんじゃない?みたいなエピソードがあるのですが、超大物高峰三枝子が出てくると彼女にも何かエピソードを用意しなくてはいけなかったのか本筋とはあまり関係ない高峰三枝子の恋の話やら会社の危機みたいなエピソードが絡んできて中高年の方も楽しめます?的な作りになっています。 有馬稲子の方はというと、服装チェックのある大学に通っていてマニキュアを塗っていったら職員室だか校長室に呼び出しみたいな高校生みたいな変な大学なのですが呼び出されても逆に何がいけないのかまくし立てる現代的な娘さんでボーイフレンドも石浜朗逆らえませんという感じが微笑ましい。そんな有馬稲子は人気者だから愛人生活を送っているふしだらな同級生の女の子が面白くなく石浜朗を誘惑するのですがそんなお色気作戦に全くといっていいほどなびかない石浜朗がえなり君かっていうくらい健全すぎて感心します。有馬稲子はそんな不健全な女子大生を取っ組み合いのケンカをして逞しいのですが。 忘れちゃいけないのが有馬稲子に近づく男、上原謙。実家の紙問屋を救って欲しいなら結婚しろと迫るようないやらしい男で、しかもホテルの部屋の前まで送ったら思い余って有馬稲子を襲ってしまってこんな上原謙は見たくなかったと思いました。そんな上原謙にきっぱり別れを告げたら金の援助はさっぱりなくなってそのせいか分からないけれど父親急死の知らせを受けて実家に飛んで帰ると親戚一同、お前が結婚断ったからだとすごい剣幕。もうやってらんないわ!とばかりに有馬稲子は家を飛び出すのですが、こういう時の女性のガッツはすさまじいものがあると思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
有馬稲子 (綾瀬竜子) | こういう役はアン・ハサウェイに限ります。 |
石浜朗 (重岡種夫) | 爽やか過ぎてすいませんという感じのザック・エフロンで。 |
高峰三枝子 (篠宮紫乃) | 大物感漂うヘレン・ミレンで。 |
上原謙 (青木) | イヤらしい感じの役が似合うレイフ・ファインズで。 |
新・己が罪 (1956) | |
2007年7月 | |
医学士の塚口と結婚を前提に付き合う箕輪環は塚口がアメリカ留学を目前に温泉旅行に出かけ体を許してしまう。そんな塚口には密かに婚約を誓った許婚がいた。やがて環は妊娠し塚口に告げるのだが・・・ 乙羽信子がこれでもかという悲惨な目に次々と遭うメロドラマ。 塚口という男が本当に嫌な奴でして塚口以外の登場人物はみんないい人ばかりで乙羽信子のためをと思って色々とやってあげればあげるほど裏目に出るか腹黒い塚口に利用されるかのどちらかで本当昼のドラマの不幸なヒロインを見ているようでした。 自殺しかけた所を運良く通りかかった銀座のバーのママに助けられ何とか子供を産むけれどお父さんは娘に馬主との縁談がありバーのママと相談し子供は死んだことにして知り合いに預けることになるし、そうとは知らない乙羽信子は馬主と結婚して子供も出来てようやく幸せになったかと思いきや旅先で子供が急病になったかと思いきや病気を診てくれた先生はあの憎き塚口だったというもろメロドラマな展開がすごかったです。当然塚口は乙羽信子に言い寄ってくるという展開もありつつ子供の療養先で出会った少年が死んだと思っていた自分の息子だったという展開と来たら! ネタバレ→結局二人の息子は水難事故で死んでしまい再婚した旦那さんも出て行ってしまい←とことんどん底人生の乙羽信子は見ていられないくらい可哀想なのですがネタバレ→最後は旦那さんと分かり合えて本当によかったねと思うのでした。← 乙羽信子は不幸だけれど見た目がにこやかな感じなので辛気臭くならなかったのがよかったし再婚した旦那さんも、乙羽信子に子供がいたことを許したいんだけど自分の中の潔癖さがそれを許さずにはいられないという心の心情がとてもよく現れているところがよかったです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
乙羽信子 (箕輪環) | 不幸な役といえばナオミ・ワッツです。 |
中山昭二 (塚口虔三) | レイフ・ファインズあたりにお願いしたい。 |
高田稔 (桜戸隆弘) | とても真面目そうなダニエル・デイ=ルイスで。 |
仁義なき戦い シリーズ第1作 BATTLES WITHOUT HONOUR AND HUMANITY (1973) | |
2008年1月 | |
戦後の広島、呉市。広能昌三ははやくざのケンカに加勢し殺人を犯し刑務所に入ることになるがそのことを買われ山守組に入ることになるがやがて山守組は他の組との抗争を繰り広げていき・・・ 以前から観たかった「仁義なき戦い」シリーズについに手を出したのですがやっぱり面白かったです。 任侠ものではお馴染みの面子が揃っていて久しぶりに血湧き肉躍るといった感じでテンションは上がるわスカッとするわでストレス解消にもってこいでエンタテインメント性もストーリー的にもしっかりしていてとにかくエネルギッシュでした。 その中で菅原文太は極道ものだけど人情ってものがあって人のことを思いやることが出来てついて行きたい感じの理想の兄貴像だと思います。 そして任侠の世界を描いているとはいいつつも社会人に起こりえることが描かれているところが今も愛されて語り告がれるところなのかなぁと感じました。例えばこの映画に出てくる菅原文太にしろ松方弘樹にしろ梅宮辰夫(梅宮だけ違う組だけど菅原文太とは兄弟の杯を交わしている)にしろ会社でいうとことの一番戦力となる中堅どころなのですが往々にして親分が自分勝手だったりダメ親分だったりして何とかしなければと思って行動を起こすわけですが出るくいは打たれるといった感じで保身をはかる親分に次々と狙われていくわけなんですよね。 というわけどダメな親分は金子信雄がイメージにぴったりではまっていたのですがどうして親分になれたのか疑問になるほどあまりのダメっぷりに殴りたくなるくらいイラッとしてここだけはたまにストレスが溜まりました。 これまだシリーズ始まったばかりですけど主要そうなキャラクターが次々と死んでいき大丈夫?と思わせるテンポのよさというか気前のよさにちょっぴり心配になったのですが早く続きが観たくなるのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
菅原文太 (広能昌三) | 顔が任侠道といった感じのジェイソン・ステイサムで。 |
松方弘樹 (坂井鉄也) | 今が旬のダニエル・クレイグで。 |
梅宮辰夫 (若杉寛) | 濃い顔のベニチオ・デル・トロで。 |
仁義なき戦い 広島死闘篇 シリーズ第2作 BATTLES WITHOUT HONOUR AND HUMANITY DEATHMATCH IN HIROSHIMA (1973) | |
2008年1月 | |
山中という男が大友連合会の大友勝利に痛めつけられているところを村岡組の姪の靖子に助けられ山中は村岡組に入り、やがて靖子とも恋仲に落ちるのだが・・・ 「仁義なき戦い」シリーズ第二弾。 単純に前作からの続きかと思いきや、菅原文太が獄中にいる時にさかのぼり、そこで出会った気骨のある青年の北大路欣也が主人公となった外伝っぽい感じの内容にそうきたか!と一本取られた感じです。 内容としてはヒットマンとなった北大路欣也が結局は組織の上層部に振り回されてしまいヒロインの梶芽衣子との悲恋も味わうというやるせない感じなのですが絶頂期の美しい梶芽衣子と北大路欣也の相性は見た目にもばっちりでとてもよかったです。 信用されていると思って村岡組の親分の頼って北大路欣也は結局利用されるだけ利用され捨てられる運命にあるのですが幹部の成田三樹夫は「すまんな」的な表情をして切ない表情になるところが泣けます。金子信雄みたいにダメな親分についたらついたで苦労するし、したたかな村岡組の親分についたら非情に切り捨てられるしでこのことは普通の会社にも置き換えられられますが色々考えさせられます。 お気に入りの成田三樹夫が新たに加わりその他にも一作目ではナレーションだけだった小池朝雄が加わり北大路欣也のエピソードがメインですが横でしっかり本筋の話がさりげなく進んでいるところが面白いつくりだなぁと思いつつ、○○組と沢山出てきますが大ボスの配下にすべて属していて誰がどっちの組についているか分からなくので油断は禁物です。実際観ていて杯返すとかいって敵対していてた方に乗り換えたりするのでそこら辺はぜひとも相関図が欲しいところですが誰がどっちに付こうと何となく分かってしまうところがこの映画のすごいところだと思います。 ライバルの大友連合会のボス(加藤嘉)の息子、千葉真一が身内でも手をつけられない血の気の多い暴れん坊は「日本の首領」とほとんど同じキャラで常にキレているから何言っているのかもギリギリで分かるくらいで無茶苦茶ですがやっぱり愛嬌があるから楽しいです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
北大路欣也 (山中正治) | いつまでも若造という感じのするライアン・フィリップで。 |
梶芽衣子 (上原靖子) | 綺麗どころのシャーリーズ・セロンで。 |
千葉真一 (大友勝利) | キレたら怖いヴァンサン・カッセルで。 |
仁義なき戦い 代理戦争 シリーズ第3作 BATTLES WITHOUT HONOUR AND HUMANITY PROXY WAR (1973) | |
2008年1月 | |
広島最大の組織村岡組の跡目を山守が継ぎ山守は広島で最大の勢力を持つことになるライバルだった打元は神戸の明石組と杯を交わしやがて広島と神戸の一大抗争に発展していき・・・ 一作目の正当な続編として(2作目は北大路欣也のエピソードだったので)、そして脂の乗ったエピソード的にももっとも面白いのはこのシリーズ3作目だと思います。 主な新キャラとして仲間にのちにライバルになるかなりやり手な小林旭が参戦。一作目でいなくなった梅宮辰夫も明石組の幹部で敵対している組だけど菅原文太と親友という役で眉毛なしで復活。渡瀬恒彦は菅原分たのところに入ってくる新入りという感じ。 そして厄介な新キャラとして打本組の組長として加藤武が参戦してくるのですがこれが金子信雄と同じくらい性質が悪くてイラッときてダメすぎて苦笑いしてしまいます。最終的に金子信雄からは煙たがられ加藤武からは逆恨みされて観ていて菅原文太が可哀想になってきます。 だけど一回は杯を返して完全に吹っ切れているのではっきりものを言うところはすっきりします。 成田三樹夫も金子信雄傘下に入ってしまって親分の無能さにうんざりしている様子が可哀想でした。見かねて菅原文太は金子信雄を落としいれようとして途中まではうまいこといくけれどこういうタイプに限って自分の身の危険だけは察知するのは早くて逆に菅原文太がピンチになっていくところなんかは観ていて歯がゆいです。 敵対する方も加藤武が全く使えないから格好だけ親分でいてくれればいい。とはっきり戦力外と見なされているとこなんかは使えないトップはもろもろのことはこっちで何とかするのでお願いだから何もしなくていし口も出さないでね。という現代社会に通じるところがあってやっぱり共感できるのでした。 今回は意外と血なまぐさい抗争劇は少なめなのですがそんな中、渡瀬恒彦は熱かった。これだけの面子に囲まれるとまだまだ若いせいか鉄砲玉という感じ役どころなのですが勢いがあっていいですね。それに極道の世界に入りたてだから礼儀とか知らずにしょっちゅう菅原文太にひっぱたかれるシーンは微笑ましいし。勝手な行動して本気でぶちのめされた後にやさしい声を掛けてあげる菅原文太にぐっと来ました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
小林旭 (武田明) | 敵に回したくないタイプのラッセル・クロウで。 |
成田三樹夫 (松永弘) | 成田三樹夫のイメージは個人的にショーン・ビーンです。 |
渡瀬恒彦 (倉元猛) | まだまだ若手でいけるガエル・ガルシア・ベルナルで。 |
仁義なき戦い 頂上作戦 シリーズ第4作 BATTLES WITHOUT HONOUR AND HUMANITY POLICE TACTICS (1974) | |
2008年1月 | |
明石組と新和会の代理戦争は激化して一般市民を巻き込む事件が多発したことから警察も本格的に暴力団の取り締まりを強化していく。そんな中、広能は山守を追いつめるべく画策し広能の筋書き通りことは運ぶのだったが・・・ いよいよクライマックスに近づくシリーズ4作目。 中立の立場を守っていた小池朝雄を菅原文太が味方につけるかかつての仲間、小林旭が味方につけるか政治的な駆け引きがありつつ下っ端に黒沢年男や小林稔侍の顔もあり、松方弘樹も小池朝雄のところのナンバー2(病弱だけどカリスマ性あり)で復活という感じで前作で死んだわけではないけれどいなくなった成田三樹夫の分を補うには十分です。 前作の後半で菅原文太が煙たい金子信雄は破門し小林旭を若頭にするのですが小林旭もだんだん金子信雄やゴマスリの田中邦衛が使えない奴と確信して菅原文太と同じように苦労するのですが責任感の強いい小林旭ははっきりと指針を打ち出し金子信雄にぐうの音も出ないようにびしっと物言うところがカッコよく、さすが好敵手なだけはあると思いました。小林旭のことはいまいち好きではなかったのですがこのシリーズを通してなかなかいいなぁと思いました。 一応仕方なく菅原文太と同じ勢力になった加藤武も金子信雄の命を狙いに行ってなかなかやるなと思ったら金子信雄に捕まってあっさり菅原文太が陥れようとしていることをしゃべってしまい全ての計画が狂ってしまってやっぱり加藤武はチキンでした。 はっきり言ってこの二人がいなかったらこんな抗争になっていなかったんですよね。こう考えると歴史と呼ぶには大げさですが一人の些細な言動のひとつひとつが積み重なってこういう事件が起きたかとおもうと人間って面白いと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
金子信雄 (山守義雄) | ルックス的にはボブ・ホスキンスで。 |
田中邦衛 (槙原政吉) | チキンな香りのするヴィンス・ヴォーンで。 |
加藤武 (打本昇) | ダメな感じが最近観たロバート・カーライルっぽかったです。 |
仁義なき戦い 完結篇 シリーズ第5作 BATTLES WITHOUT HONOUR AND HUMANITY FINAL EPISODE (1974) | |
2008年2月 | |
広能の服役中暴力団は次々と解散させられ各組は一致団結し政治結社、天政会を発足させる。やがて二代目を武田が襲名しますます勢力の拡大を図り跡目を身内の松村にと画策するが反対する大友勝利の妨害に会い・・・ 広能昌三が引退を決意するまでを描いた完結編。 これを2年で完成させしかもどれも面白いというところがすばらしい。DVDが欲しくなりました。BOXセット再販して欲しいです。 菅原文太が子分のことを第一に考えた上で組のことなどを考えるという姿勢がシリーズを通して一貫していて(当たり前ですが)こういう上司の下で働いたら部下も成長しそうです。 実録ものをベースにしているから当然なんですが、主人公が刑務所に入っている間にも外の世界では刻々と各組が主導権を握ろうと敵だった組と裏から手を組み虎視眈々とトップを狙う争いもしっかり描いているところがこの作品のすごいところだと思いました。 前作までは若かった菅原文太も10年以上は軽く刑務所に入っていたので小林旭もみんなそれ相応に歳をとって貫禄が付いたように見えるところもよかったです。 北大路欣也が小林旭の跡目を継ぐ若い親分役で復活。小林旭が逮捕されると察知して身内の北大路欣也を後任にするのですがしっかり留守の間に勢力を拡大して小林旭が戻っていきたら親分の座を未練なくあっさり返すところはカッコいいです。奥さんも野川由美子だし。深作欣二は他の作品でも男気ある役をやらせていたので北大路欣也のことがお気に入りだったんだと感じました。 松方弘樹も菅原文太の弟分という役どころで復活。シリーズ通して3作品違う役で登場しましたがこの役が一番ギラギラしていてキャラクター的には面白かったです。 一応前半は小林旭が主役みたいなもので敵は宍戸錠なのですがこれは好みもあると思いますがちょっと微妙だったかなぁ。すぐキレて手がつけられないタイプの暴れん坊タイプのキャラクターなのでここは千葉真一にお願いしたいところでした。 終盤、北大路欣也のエピソードで小林旭が引退を決めライバルの菅原文太へ一緒に引退を勧めて最初は渋っていたけれどある事件をきっかけに完全に引退を決意して小林旭と語り合うのですが今まで見えていない部分も含めていろいろあったかと思うとなんだか泣けました。 壮大な五部作でしたが「新仁義なき戦い」シリーズ三部作も観てみたくなりました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
宍戸錠 (大友勝利) | キレやすいレイ・リオッタで。 |
野川由美子 (かおる) | 極道の妻にぴったりなファムケ・ヤンセンで。 |
新・仁義なき戦い シリーズ第1作 (1974) | |
2010年12月 | |
三好万亀夫は敵対する組の組長を刺殺し刑務所で時を過ごす。そして出所後、勢力を拡大した山守組は葉bつが出来内部抗争へと進んで行き・・・ 新シリーズなのですが基本的な流れは「仁義なき戦い」5部作と同じ感じです。菅原文太の男気あるやくざといいところがひとつもない金子信雄のダメ親分っぷりとか。 初めて観た時の斬新さはないのですがやっぱり「仁義なき戦い」というのは面白いと思います。やくざの世界の内部抗争を描いてはいますが、これは普通の会社にもよく見られることでもあってようはダメな上司の下についてしまった子分たちの苦悩と嫉妬ですよね。 組長の金子信雄がダメすぎるからNo.2の若山富三郎が隙をついて金子信雄を陥れようとするのですが何だか運がいい金子信雄はギリギリのところで回避して菅原文太にどうにかしてくれと泣き落とし作戦。嘘泣きだけは天下一品というところもしょうもなさ過ぎて苦笑いです。 それに相変わらず出ている人が豪華すぎます。中谷一郎は冷静な頭脳派って感じのポジションでしたがネタバレ→あっさりやられで使い方も豪快。←宍戸錠も若山富三郎の親戚か何かなのですが、病気で完全に頭がおかしい役だし、松方弘樹も名前が二番目くらいに来てた割には登場シーンはかなり短かった気がします。カッコよかったですけど。 金子信雄みたいにのらりくらりとしているタイプの人がトップだと、何だかんだ言ってこういうタイプはほったらかしにしておくと組織自体がつぶれてしまうので結局誰かが必然的に助けてしまうわけで、わりと組織って均等が取れるものなのかもと思いました。実力もあって野心もあるタイプだと色々なところから狙われて短命になりやすそうだし。 と自分や知人をどのタイプかと置き換えて観るだけでも十分に楽しめるんですよ。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
菅原文太 (三好万亀夫) | ダニエル・クレイグにお願いしたい。 |
金子信雄 (山守義雄) | 最近のダメな感じのロバート・デ・ニーロで。 |
若山富三郎 (青木尚武) | ギラギラしているレイ・リオッタで。 |
新・仁義なき戦い 組長の首 シリーズ第2作 (1975) | |
2011年1月 | |
北九州で覚せい剤の利権をめぐりふたつの組織がしのぎを削っていたが、一匹狼の三好が一方の組長を殺害して刑務所に入る。それから数年後、出所した三好は組を頼って北九州へと向かうのだが・・・ 「新・仁義なき戦い」シリーズ第二弾。 とは言っても前作の続きではなく単独エピソードなので観始めた時はあれっと思いましたがこれはこれでありだと思います。 内容的にもこれまでの「仁義なき戦い」のテイストを残しつつも新しいキャスティングで極道の世界がより現実的な感じがして、新シリーズではこれが一番好きです。 組長が西村晃ということで金子信雄の情けない組長と比べると迫力があるし、その娘が梶芽衣子というところでポイントアップ。そしてその婿が山崎努なんですがヒロポン中毒で梶芽衣子にクロウをかけっぱなしで西村晃には見放されている役どころがはまりすぎています。山崎努っは本当にこういう役がよく似合います。 成田三樹夫は当然組織のNo.2なのですが菅原文太が西村晃に気に入られて瞬く間に出世していく様に脅威と嫉妬を覚えて横槍を入れてくるというところもいいんですよね。仁義なきシリーズらしくて。こういう出来事が積み重なって内部分裂が起きていく様がこのシリーズは本当に面白いと思います。 あと、いつもなら小林稔侍は下っ端の下っ端なのですが、今回は菅原分太の右腕的な役だし、川谷拓三にいたっては刑事役でおとボケているのでおかしかったです。ちょっと変わった仁義なきシリーズを観たいと言ったらこれをオススメします。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
菅原文太 (三好万亀夫) | やっぱりイメージはダニエル・クレイグですね。 |
成田三樹夫 (相原重彦) | イメージはポール・ベタニーという感じです。 |
山崎努 (楠鉄弥) | ジャレット・レトにお願いしたい。 |
新・仁義なき戦い 組長最後の日 シリーズ第3作 (1976) | |
2011年1月 | |
「新・仁義なき戦い」シリーズ第三弾にして終了。これも単発作品なのでこれだけ観ても問題ありません。 とは言っても「最後の組長最後の日」はシリーズ史上もっとも盛り上がらなくて残念です。何というか普通なんですよね。(普通の世界じゃないんですけど・・・) 話が込み入っているのかなと思ったのですがそんなところが今ひとつだったのかもしれません。菅原文太の妹が松原智恵子で妹もやくざのところに嫁に行って苦労しているという設定なのですが、松原智恵子がこのシリーズというのが今ひとつピンとこないんですよね。そしてそれに九州と大阪やくざの抗争とこじんまりしていないのと出演者が一新された感じなのでパンチに欠けて人物を把握するのが大変でした。 ということで内容が九州の親分を殺された菅原文太が大阪のやくざの親分の小沢栄太郎を地獄のそこまで追っていって命を奪うみたいな大まかな内容くらいしか憶えていなくてぼんやりとした印象しかありません。 その中でやっぱりキャラクターが生きていたのは敵対する大阪やくざのNo2.の成田三樹夫。この人がこのシリーズに出てくるとやっぱり全体が引き締まっていいと思います。 あと、菅原文太が雇うヒットマン(日本人ひゃない)がどこかで見たことあるなと思ったら郷英治で顔が濃いから妙に納得。それと八名信夫とかを見かけると何故か嬉しい気分になって。最終作は知っている顔を捜すのが面白いです。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
菅原文太 (野崎修一) | クリスチャン・ベールあたりにお願いしたい。 |
松原智恵子 (麻美) | 成長株のキャリー・マリガンあたりで。 |
仁義の墓場 GRAVEYARD OF HONOR (1975) | |
2008年1月 | |
河田組の石川力夫は組長の許可なく縄張りを荒しついには関東に出入り禁止となり大阪に行き着くのだがそこで力夫は薬物に手を出して・・・ 破天荒な人生を送った実在のやくざ石川力夫の半生を描いた作品。 何でも仁義に反したということで伝説的な人物になっているそうですが、なるほどパンチがあるというかパンチが効きすぎていて誰にも手がつけられませんという感じが伝わってきて納得。 戦後の混乱期からやりたい放題で、破門されて大阪に行ってからは薬物中毒になるのですが薬物欲しさに大暴れ。なんだか知らないけれど薬物中毒の田中邦衛が仲間に加わって出入り禁止の東京にお構いなしに大暴れ。親友の梅宮辰夫にかくまってもらっているのに説教されたら撃ち殺す、破門された親分のハナ肇も襲いに行くという暴れっぷりは目が合っただけで何かされそうなので近づきたくありません。 と全体的にはみ出しもののやくざというところは新鮮でしかも実在の人物というところはとても面白いと思うのですが肝心の主役、渡哲也があまり好きではないのでもうひとつ乗れませんでした。弟の渡瀬恒彦は好きなのでこれが渡瀬恒彦だったら断然面白かったと思うと惜しい気がします。 渡哲也の相手役は多岐川裕美なのですが多岐川裕美が出てくると殺伐とした雰囲気が高級感溢れる感じになってしまって女優一人でこうも雰囲気が変わるものかと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
渡哲也 (石川力夫) | キレたら怖いイメージのショーン・ペンで。 |
多岐川裕美 (石川地恵子) | 幸薄そうなジュリー・デルピーで。 |
田中邦衛 (小崎勝次) | 挙動不審な感じの役がよく似合うジョヴァンニ・リビシで。 |
真空地帯 (1952) |
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2005年8月 | |
昭和19年、仕官の財布を盗んだ罪で2年半服役していた木谷一等兵が病院帰りという名目で帰ってくる。何もしない木谷に他の兵達は次第に反感を持ち始め・・・ タイトルの真空地帯。この意味を調べてみたら「ある働きが全く及ばない地域」と出ていてなるほどこの映画の兵隊宿舎が舞台で起こる様々な理不尽な出来事を見事に表現しているなぁと思いました。 戦争中の戦争ものと比べると宿舎の兵隊達の行動が人間性がないというかかなり非道な感じがして嫌な感じになります。 特に三年兵が一年兵にする体罰がというか嫌がらせが半端ないです。とりあえず軍曹に薪を持ってこいと言われたら一年兵にやらせるのは当たり前。宿舎の薪を持っていこうものなら「わしらが拾ってきた薪を持っていく気かぁ?」とびんた数発当たり前。一年兵可哀想と思いつつもその中に間抜けな奴もいるわけで、そいつが大鍋いっぱいに入った味噌汁?を運んでいて、こいつ絶対こぼすと思ったら案の定こぼして殴られまくり。これにはさすがに同情の余地ありません。しかもこいつサボることばっかり考えていて馬の毛並みを揃える仕事中にあろうことかタバコ吸ってるし・・・。もう馬の糞を食わされちゃってましたけどこいつは自業自得なんで可哀想のかの字も出てきませんでした。 メインの木村功は無実の罪で服役していた訳ですがこれが意外と軍全体に関わる陰謀ものな話に広がってちょっと関心。木村功を陥れた上官が加藤嘉でいつもと雰囲気違うなぁと思っていたら結局加藤嘉も陥れられていたといういつも通りの切ない役どころでしたし。 刑務所帰りがなぜかばれて中傷されていた木村功がついにキレる場面があるのですがこの人怒鳴っても迫力ないタイプですけどだからこそ本当にキレた時はちょっと恐いものがあります。普段寡黙なタイプの人間がキレたらみんな本気でビビル。そんな瞬間を垣間見たのでした。 事務員的な仕事をして、情報通で何かと木村功に親切にしてくれる言わば「兵隊やくざ」における田村高廣的存在の會田一等兵をとネタバレ→腐敗というか無実を暴こうとしていいところまでいくけど陰謀により生きては帰れない戦地に送られるやるせない←ラストは他の戦争映画と一味違いました。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
木村功 (木谷一等兵) |
反逆するところがユアン・マクレガーっぽくて。 |
下元勉 (會田一等兵) |
こういう真面目な兵隊はジム・カヴィーゼルで。 |
新宿アウトロー ぶっ飛ばせ (1970) |
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2004年10月 | |
マリファナの取引に失敗して奪われてしまった直は出所したばかりの凄腕とうわさの西神という男を味方につけマリファナを取り戻そうとするが、友愛会という組の殺し屋サソリが二人の前に現れて・・・ 日本の映画とロックと歌謡曲特集の流れで「野良猫ロック」シリーズと同じくレイトショーをやっていたのですがこれは梶芽衣子が出ているので当然鑑賞。この映画藤田敏八監督なのですがこれを観て藤田監督は梶芽衣子をカッコよくではなく女らしく撮りたかったんだなぁと感じました。今回も原田芳雄の経営するバーのママで渡哲也の元恋人役でしたし。 渡哲也は渋いんですけどロックと歌謡曲という世界というよりかあの少し角刈り入ったヘアスタイルは演歌の世界といった感じで雰囲気の違う原田芳雄(相変わらずロックしているという感じでカッコよかったです。)とコンビを組むから不思議なビジュアルなんですけど今回はいい感じでした。 原田芳雄が殴る蹴るの暴力でとっ捕まえた敵から情報を聞きだそうとすると渡哲也が止めに入ったから意外とやさしいと思ったら渡哲也、指の骨を折るわでよりエスカレート。捕まった奴もこりゃ情報を吐くしかありません。という70年代の暴力ちっくなところも勢いあってストレス解消にもってこいです。 悪役も大映からのスペシャルゲスト成田三樹夫ってところが最高です。なんてって仲間を平気で裏切る裏切る非情な殺し屋で銃にサイレンサーを取り付けて頬擦りするあたりはおっそろしいくてさすが成田三樹夫だとワクワクしましたよ。最後もちろん渡哲也と撃ち合いになりますけどちょっと不死身気味なところも最高です。 ネタバレ→梶芽衣子がほとんど意味なく殺されるってところは気に食わない(これ藤田監督の特徴だと思う)のですが←やっぱり渡哲也、梶芽衣子、原田芳雄、成田三樹夫の顔ぶれを見るだけでも観た甲斐があったなぁと思うのでした。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
渡哲也 (西神勇次) |
グーで殴られたらやばそうなラッセル・クロウで。 |
原田芳雄 (松方直) |
ベニチオ・デル・トロにイメージが合うと思う。 |
梶芽衣子 (サソリ) |
バーのママとかやらせたらいい感じそうなマリア・ベロで。 |
成田三樹夫 (荒木隆明) |
オーラが凶器というか狂気なレイ・リオッタで。 |
新宿マッド (1970) | |
2007年5月 | |
牧田十郎という演劇青年が殺され父親が状況し死の真相を追っていく中、息子は新宿マッドと呼ばれる人物に殺されたらしいと分かるのだが・・・ 以前から興味があった若松孝二監督作品を鑑賞。 思っていた通り「暴力」「性」「政治」的な香りがプンプンしてアンダーグラウンド感が色濃く出ていて当時の風俗を知ることができ、また堪能できる作品でもありました。 父親が革命運動をしていた息子の死の真相を知りたがる必死さは分からなくはないのですがその演劇ちっくな演技と申し訳なさそうな装いをして警察官もついにはキレるしつこ過ぎる聞き込みに食あたり気味で観ているこっちもうっとうしくなってきます。だけどついに新宿マッドがいるフーテン集団の溜まり場を突き止めた父親はフーテン達に殴られながらも死の真相を聞きだそうという執念ときたら、やっぱり親というのは子供のためなら何でも出来るんだなと感心しました。 新宿マッドとは何者なのか?それは意外とあっさり面が割れるのですがネタバレ→その存在は空虚で新宿マッドはどこにでもいて、そいつはたいしたことはないし、実際のところ革命って学生運動ってなんなの?と疑問を投げかけるような←ラストが印象深く若松孝二という監督の作品は暴力的だけどもっと観てみたいという魅力があるなぁと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
谷川俊之 (父親) | 演技がこってり系のロベルト・ベニーニで。 |
新諸国物語 笛吹童子 第一部 どくろの旗 シリーズ第1作 (1954) | |
2006年9月 | |
満月城が悪名高い野武士の赤柿玄蕃の手に落ちてしまう。満月城の主の二人の息子は中国で不吉な予感に襲われ荻丸と弟の菊丸は日本に帰ってきて赤柿玄蕃に復讐を誓うのだったが・・・ ラジオドラマの映画化で中村錦之助をスターにしたといわれる「新諸国物語」シリーズの中のひとつ「笛吹童子」三部作の1作目。 45分位だから映画というよりTVドラマを観ているようでした。当時の子供達は熱狂したそうですが、野武士の集団がどくろ党で旗とかも海賊を彷彿とさせるどくろマークはもちろん野武士達の顔が分かりやすい悪役顔といういかにも少年が好きそうな要素が詰まっていてなんとなくその感じは分かりました。 兄の千代之介は一刻も早く仇を討ちたいと単身で満月城に乗り込み捕まって呪われたどくろの面をはめられて面が取れなくなったり、弟の錦之助は戦いを望まず呪われたどくろの面を打ち破る白鳥の面を作るために面職人になったりして二人とももうちょっと考えて行動しようよと思ったりもするのですがこの後、この無茶な行動がきっかけでものものすごく強引に話のスケールが拡大していくとはこの時はまだ思ってもいませんでした。この続きは第二部で・・・ 悪党のボスはどっかで見たことがあるなと思っていたら月形龍之介でいつも白髪混じりか白髪の印象が強かったのですがちょっと三枚目っぽいそれでいて凶悪な感じもやっていたんだなぁと始めて見る姿にちょっと得した気分になるのでした。 | |
2回目のコメント | |
2009年3月 | |
新諸国物語シリーズは「笛吹童子」三部作、「紅孔雀」五部作と「七つの誓い」三部作があるのですが、一回観た事のある「笛吹童子」を観てしまいました。 最初に満月城に攻め込んでくる月形龍之介が率いるどくろ党の旗を見てどこかで見た事があると思ったらやっぱり前に観たことがあって軽くへこみましたが気を取り直して全部観ることにしました。 改めて観なおしてみると少年向けの活劇風な時代劇ですが意外としっかり作ってあって感心しました。満月城の城主(千代之介と錦之助のお父さん)がもうダメだと分かって自害する所や乗っ取った城でどくろ党の面々が満月城の女たちに酒を注がせたりするシーンが盛り込まれていて中々ハードです。 どくろ党の中にいる唯一まともな斑鳩隼人というキャラクターもこちら側についてくれるというエピソードもあり男気を感じさせてくれるところもありそれなりに見応えはありました。 中村錦之助が笛吹童子なのですが、錦之助はデビュー当時のこういうアイドル的な役よりやっぱり江戸っ子とか豪快な戦国武将なんかの役の方が断然輝いて見えると改めて思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
東千代之介 (荻丸) | 「仮面の男」のレオナルド・ディカプリオで。 |
中村錦之助 (菊丸/笛吹童子) | 弟分というイメージのオーランド・ブルームで。 |
月形龍之介 (赤柿玄蕃) | 悪党のボスにぴったりなデニス・ホッパーで。 |
新諸国物語 笛吹童子 第二部 妖術の闘争 シリーズ第2作 (1954) | |
2006年9月 | |
萩丸と満月城に乗り込んだ右門を追いつめた隼人は右門を逃がすが、赤柿玄蕃にばれてしまい右門の娘の桔梗とともに磔にされてしまうがその時空から竜が現れ二人をさらって行ってしまい・・・ 「笛吹童子」三部作の第二弾。 2作目は萩丸と菊丸の兄弟が出る幕まったくなしで妖術師同士の争いみたいになっちゃっているのに驚きます。妖術師の大友柳太朗は実は赤柿玄蕃に滅ぼされた京都のいいところの末裔で、妹の胡蝶尼を探していて若い娘をさらっては妹かどうか確認しているという生活を送っているような奴で肝心の妹も生い立ち知らずで千石規子扮する妖術師に育てられたというほとんど本筋と関係ないストーリー展開が斬新過ぎるんですけど、竜に化けて二人をさらった大友柳太朗が桔梗は自分の手元に右門はいらないからといって途中で捨てたところ女妖術師に捕まってそこで胡蝶尼と出会ったり、忘れていた頃にちょっこっと萩丸と菊丸の兄弟がうまいこと絡んでくる展開がなんだかんだいって結構まとまっているなと感心しました。 千石規子率いる妖怪軍団もからかさ小僧とか懐かしいものばかりでこういう中に大友柳太朗と千石規子が一緒にいるのがものすごく斬新で貴重なものを見たという気になりました。 そんなこんなで妖術師のエピソードもなんとか終わりいよいよクライマックスの第三部に続くのでした・・・ | |
2回目のコメント | |
2009年3月 | |
やっぱり笛吹童子のことなんかどこかに行ってしまって、大友柳太朗の妖術使いがいかにして生き別れた妹を探し出すかみたいな話になっていて無茶苦茶だけれど改めて観なおすとなかなか面白かったです。三部作の中では一番ぶっ飛んでいると思いますが面白さでは一番に感じました。 妹役の高千穂ひづるも女妖術師の千石規子に妖怪たちと一緒に育てられてからかさ小僧とかのっぺらぼうなんかのオーソドックスな妖怪が次々と出てくるところが楽しいし、高千穂ちづるも妖術が仕えて同じ妖術を何回も使うのですが割りと長めの呪文を毎回全部唱えるところが「もういいよ」と思いつつも律儀に呪文を唱えてくれるので後半は笑ってしまいました。 妖術使いに拾われて妖術使いになって世間を騒がせている大友柳太朗が丹下左膳をさらにやんちゃにした感じでイメージにぴったり。精神的に大人になりきれていなくてちょっと世間とずれている役どころが上手いなぁと思いました。偶然助けた桔梗と隼人も男の方は用がないからという理由で捨ててしまったと悪びれることなく言い切るところは何度観ても笑えるのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
田代百合子 (桔梗) | さらわれ上手なナオミ・ワッツで。 |
大友柳太朗 (霧の小次郎) | 妖術を使いそうなビリー・ボブ・ソーントンで。 |
高千穂ひづる (胡蝶尼) | 母親が本物の王女のサンディ・ニュートンで。 |
千石規子 (提婆) | デフォルメした役が似合うグレン・クローズで。 |
新諸国物語 笛吹童子 第三部 満月城の凱歌 シリーズ第3作 (1954) | |
2006年9月 | |
妖術師の堤婆から逃れた桔梗と隼人は萩丸と出会い赤柿玄蕃に同じように滅ぼされた白蓮尼に助けられる。菊丸も白鳥の面を完成させいよいよ満月城に乗り込み・・・ 「笛吹童子」三部作の完結編、第三弾。 途中思いっきり話がそれましたけどようやく中間達も集結していよいよ満月城奪還するお話ですが集結するまでもどくろの面が張り付いたままの萩丸を見て敵だと思って仲間に谷底に落とされたり胡蝶尼も赤柿玄蕃に追いかけられつつなんとか助けてもらったお婆さんが偶然にも子供時代の胡蝶尼を世話した乳母だったと最後まで盛りだくさんで飽きさせません。 最後は面職人だった中村錦之助も戦いに加わるのですが白鳥党だか白鳥隊だかネーミングが白鳥なのでちょっと弱っちいイメージですが最後は余裕の完勝。あっけなさ過ぎてちょっと物足りなかったかな? 男性スターを多く抱えてした東映だけに東千代之介、中村錦之助のから脇役が月形龍之介に大友柳太朗が出ているというところが改めて振り返るとやっぱり豪華だなぁと思うのでした。 | |
2回目のコメント | |
2009年3月 | |
完結編も改めて観なおすと大友柳太郎の妖術師がメインになっていて千代之介と錦之助が満月城を取り戻すパートはあんまりなくて驚きました。最後のほうは妹をめぐって女妖術師の千石規子と戦っていましたが千石規子の死に様が枯れ木になってしまうところがさすが妖術使いと思わせるファンタジーちっくな死に方で素敵でした。 色々あってようやく高千穂ひづるもなぜか戦いに加わり満月城に総攻撃という展開。大河ドラマなみの迫力があって(大げさです)見応えがあります。城の攻め方も正面からだと攻めにくいので月形龍之介の知らない隠れ通路から場内に進入して不意打ちを食らわすと言う戦術を使っていて少年映画なのに大人顔負けの展開もあっぱれです。 月形龍之介のやられっぷりも大仰なのですが雰囲気に合っていて見事に最後を締めくくってくれて、千代之介なんてものすごい高い崖から落ちてかすり傷程度とかそこはご愛嬌というシーンがいくつもあったり、間違えて二回目を観てしまいましたが結構楽しんでしまいました。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
楠本健二 (斑鳩隼人) | 敵側から味方に寝返りそうなクライヴ・オーウェンで。 |
八汐路恵子 (白蓮尼) | 尼も似合いそうなケイト・ブランシェットで。 |
人生劇場 飛車角と吉良常 HISHAKAKU AND KIRATSUNE -A TALE OF TWO YAKUZA- (1968) |
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2004年11月 | |
おとよを足抜きさせた飛車角は二人をかくまってくれた宮川のいる組の出入りに加わり見事勝利した。しかし身内の裏切り者を殺した飛車角は逃走中、故郷に戻ってきた吉良常に匿ってもらいやがて自首した。やがて月日は経ち宮川は再び女郎になったおとよはお互い飛車角の知り合いだとは知らず恋仲になっていた・・・ 基本的には上海帰りの吉良常が亡き親分の息子尋ねた時にいい者のやくざ飛車角と出会いいろいろと世話を焼いてやるという任侠人情ものだったような気がするんですけど途中から任侠いい者同士の三角関係人情物?とでも言いましょうか、なんだかそんな展開になって二人に惚れられる飛車角か宮川のどっちにも決められないおとよを見ていて恋愛エピソードだけみればこれは任侠版「パール・ハーバー」か?と思ってしまいました。まぁ鶴田浩二と高倉健って寡黙で仁義は通すみたいな似たような雰囲気で決めかねるのは分からなくもないけど珍しく優柔不断な藤純子にイラついてみたりもしました。 吉良常役の辰巳柳太郎という人は始めて見たきがするのですが枯れた味わいがとてもよかったし、死んだ親分の息子役に松方弘樹に宮川のボスが若山富三郎というNo2が微妙に納得いかない大木実だったりと任侠ものとしては豪華な顔ぶれで見ている分には十分満足。しかも藤純子の女郎仲間に左幸子だし。 ネタバレ→最後、一人で敵方に乗り込んで殺された高倉健。同じくその後に一人乗り込んで死んだ高倉健を発見した時←白黒になって全てのかたをつけた後にカラーに戻るという面白い見せ方は「キル・ビル」のオープニングを彷彿とさせよかったです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
鶴田浩二 (飛車角) |
ショーン・ビーンはやはり任侠の世界が似合うと思う。 |
辰巳柳太郎 (吉良常) |
人の情けがちゃんと分かるようなダニー・グローバーで。 |
藤純子 (おとよ) |
「パール・ハーバー」なケイト・ベッキンセールで。 |
高倉健 (宮川) |
おもいっきり寡黙なジェイソン・パトリックで。 |
新選組始末記 (1963) |
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2005年1月 | |
山崎蒸が当時評判の悪かったにもかかわらず新撰組に入隊希望をしたのは近藤勇の人間性に惹かれたからである。やがて新撰組は土方歳三の策により近藤勇が局長になるのだだったが・・・ 新撰組初期の頃の話。 新撰組ってよく知らなくて神聖なものかと思っていたけど新撰組内部は人間のあくどくてドロドロとしたところばかりでこんな新撰組は知りたくなかったですわ。 近藤勇が局長になる前の局長の芹沢は言動全てが野蛮人そのものでムカついたけど、そんな芹沢の代わりに卑怯な手段ながらも土方歳三が芹沢の寝込みを襲い近藤勇を局長にすべく行動を起こしたところはちょっとスッキリしたのですがそんな土方のやり方に反発した山崎が嫌われちゃって何にも信用してもらえなくなり敵の集合場所を聞きいても山崎の情報源より捕らえた敵を拷問して得た情報を信用される始末で完全に無視状態。観ていて可哀想になってしまいましたよ。 結局山崎の情報が正確で新撰組が勝利するわけですけど土方は素直に山崎に詫びを入れて二人が分かり合えるなんともいい話で終わるのですけどやっぱりこれは土方役の天知茂のおかげでしょう。自分の非を認めて潔く姿は普通見苦しくなるところですけど天知茂がやるとこいつやっぱりいい奴だったんだと思わせるオーラが感じられてやっぱり天知茂はかっこいいと思うのでした。 城健三朗は近藤勇という人物像をよく知らないからこの役に合っているのかいないのか分かりませんけど城健三朗らしい茶目っ気たっぷりなところは可愛らしかったです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (山崎蒸) |
素朴な真面目さがある感じのマット・デイモンであたりで。 |
城健三朗【若山富三郎】 (近藤勇) |
やっぱりここは豪快なラッセル・クロウで。 |
天知茂 (土方歳三) |
何度も書いているけど天知茂は日本のショーン・ビーン的存在です。 |
新・平家物語 (1955) |
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2004年12月 | |
貴族に使われていた武士が貴族や僧侶に反発しいよいよ頭角を現し始めてきた平安末期の話。 市川雷蔵の出世作とも言われ日本初の長編カラーのデジタル・リマスター版ということでそこそこ興味はあったし、貴族に番犬のように使われてきてそれに納得できない武家の平清盛が最終的には立ち上がる?みたいな内容だったんですがイマイチぴんと来なかったです。 対立する比叡山の僧侶達との抗争もあったりして悪くはないと思うのですが、比叡山の僧侶達が見た目と行動が本当に極悪でこれじゃあ武家が善人、僧侶が悪人扱いでなんだか描かれ方に不公平があるような・・・ そんなことより清盛の母親泰子役に木暮実千代。武家に嫁には来たけれど、優雅な生活を忘れられなくて旦那の忠盛にはいつも不満を言いまくっているというもう想像通りというか相変わらずの役なんですけど衣装がすごかった。さらしみたいなものを巻いたうえに振袖風なものを羽織っているだけだから変にセクシー。というか木暮実千代が思いもかけず巨乳でそっちばっかり気になっちゃってしまいました。 なんだか木暮実千代と上映前の藤村志保トークショーで大作の本作を堪能できなかったのがちょっともったいなかったなぁ。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (平清盛) |
弓を使うといえばやっぱりオーランド・ブルームなのです。 |
大矢市次郎 (平忠盛) |
デニス・クエイドはいい父親という感じがします。 |
木暮実千代 (泰子) |
優雅な生活が性に合っていそうなカトリーヌ・ドヌーブで。 |