日本映画

て


帝銀事件 死刑囚
(1964)
5
2005年8月
昭和23年1月豊島区の帝国銀行椎名町支店に衛生課を名乗る男が伝染病予防のためと行員らに薬を飲ませるのだが行員達は次々と絶命していき男は18万円を盗んで逃走した。やがて容疑者の平沢貞通という画家が容疑者として逮捕されるのだが・・・
こんな事件が戦後すぐに日本で起きていたなんてびっくりします。やり口が青酸化合物の入った容器に油を入れて自分は上澄みの油の部分を実際飲んでみせて安心させておいて行員達には沈殿している青酸化合物を飲ませるというすごく洗練されている犯行シーンはちょっと鳥肌ものです。しかもこの映画の上手いところは帝銀にやってきた犯人の顔は映さず常にバックショットという手法が見事でした。
ちょっと驚いたのは当時の銀行は普通の家で経営していたんですね。ちょうど町の八百屋さんみたいなノリで。だからその家の子供とこかも毒を飲まされてしまって相当悲惨だったんだなぁと思います。
これは事件の真相を追う新聞社が中心となって描かれているのですが最初この新聞記者達がのゴシップ記者みたいな振る舞いをするのでいやな感じだなぁと思ったのですがダメな警察の代わりに事件の真相を暴こうとする正義感あふれる男達の姿を描いた作品でもあったのですごく気に入りました。取材の方法をめぐってメインの記者武井と阿形は殴り合いをするけどある程度殴り合ったらお互いさっぱりしちゃって仲直りしちゃっている。こういう男の友情ものは観ていてすがすがしいです。
武井は事件の生き残りの娘さんを取材しているうちにちゃっかり結婚しちゃっているのは愛嬌ですが・・・
後半は画家の平沢が捕まっていろいろ取り調べられちゃうわけですけどこれを観る限りじゃ警察は自白を強要しているのは明確だし、そこから挙がってきた証拠も実際の生き残りの被害者の証言と圧倒的に違いすぎて限りなくこの平沢という男は白だというのは明らかなのに結局死刑を言い渡されてしまいます。最後にナレーションで当時の複雑なこの時代背景などが原因であることと、新聞記者達も報道の仕方で多少裁判官に影響を与えてしまったのではないかと反省するのですが、それ以上に
この事件何かしらの陰謀があったのではないかと感じられずにはいられないのでした。この平沢、実際刑は執行されずに獄中死してしまったし。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
信欣三
(平沢貞通)
信欣三はピート・ポスルスウェイトっぽい雰囲気が若干あると思う。
内藤武敏
(武井)
大人しそうな顔して恋も仕事も結構やり手のイメージのトニー・レオンで。
井上昭文
(阿形)
熱血漢の塊と言う感じのキーファー・サザーランドで。


鉄男
TETSUO THE IRON MAN
(1989)
3
2005年4月
塚本晋也監督による肉体が金属に侵食されていく男の話。
15年前の作品には感じられないビジュアルがすごかったけれど
なんとも言えない悪夢的な感覚がデヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」を思い出してしまいました。悪夢的だからなのかけたたましいのに途中意識が飛んで何回か巻き戻して観直しましたけどこの映画はよく分からない感じというかフィーリングを楽しむタイプの作品なんだなぁと思いました。
ちょっとベテランOL風の眼鏡の女が田口トモロヲを追い回す前半、地味な彼女が突然豹変して凶暴化するあたり「パラサイト」のファムケ・ヤンセンを彷彿とさせ勢いがあって相当好きです。
後半やつ(塚本晋也)が出てきてますます難解になって個人的に脱落してしまいました。きっと田口トモロヲと塚本晋也って道ですれ違っても絶対気がつかないタイプの普通のルックスだしなんかこの二人の見分けがつかなかったから個人的についていけなかったようにも思います。
鉄男2はこれを元にスケールアップした作品になっているらしいという話も聞いたのでストーリー性もアップしたのかなぁなんて思いつつ機会があったら観てみたいと思います。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
田口トモロヲ
(男)
レイフ・ファインズジョセフ・ファインズの兄弟で。イメージ的にレイフの方が”やつ”かなぁ。
塚本晋也
(やつ)


鉄男 II BODY HAMMER
TETSUO II THE BODY HAMMER
(1992)
2
2006年4月
幼い頃の記憶がないが結婚し子供もいる平凡な男の谷口はある日、謎の集団に子供を連れ去られ体に何かを埋め込まれてしまう。やがて谷口の肉体に異変が起き始め・・・
前作と違って平凡な男、田口トモロヲの復讐と隠された過去が描かれていてストーリー性は格段にアップしていて台詞なんかも増えています。なにか謎の集団も塚本晋也を除いて全員ボディービルダー風でそいつらが唐突に子供をさらったりするシーンなどは悪い夢を見ているようでちょっと怖かったりもするわけなんですよね。
だけど
この映画の弱点というか最大の難点は台詞がものすごく聞き取りにくいんですよ。聞き取りにくいと思ってテレビのボリュームを上げると今度は金属音だけが大音量で台詞と生活音?っていうのかなのバランスが悪いのが気になりました。
全然関係ないんですけど、田口トモロヲのヘアスタイル1992年だとちょうど高校生だった頃ですがこういうツーブロックっていうのかな?しているちょっとオシャレな友達がいたとか奥さんの格好がハウスマヌカン風でギリギリバブリーなところとか今観るとものすごい微妙な感じなんですけどこういうスタイル10何年前にあったなぁと妙にノスタルジックになるのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(鉄男と同じで)


鉄砲玉の美学
(1973)
3
2004年6月
関西の暴力団天佑会は九州に進出するために鉄砲玉として勢いのある天祐会のチンピラ小池清を九州に送り込む。清は天祐会の名を広めるためにまさに鉄砲玉のごとく行動を開始するのだが・・・
鉄砲玉とはやくざの世界でチンピラが一人で敵のシマに乗り込んでやられる。それを口実に組対組の戦いを始める、まぁ特攻隊のようなものですかね?そんな鉄砲玉になった小池清の末路を描いた作品です。
24才という設定は多少強引だけど何といってもさえないチンピラに扮した渡瀬恒彦がいい!ギラギラしているところが特に。生活はウサギを売って生活してるんですよ。(ウサギは大きくなったら売れないってことで餌もそんなにあげちゃいけないというプチ的屋情報もあったりする)だから100万円を渡されて張り切って鉄砲玉になって九州に乗り込んだもののただのチンピラ。だから人を殺したこともなければ狙われたこともないから実際そういう現場に遭遇したりすると焦っちゃうんですよね。拳銃をもって鏡の前で決め台詞を言ったりするチャーミングなところもあったりして、そこのところの微妙な表現が上手いですわ渡瀬恒彦。
確かに渡瀬恒彦はよかったけど結局もらった100万円で遊びに遊んでいるうちに敵方の組のお偉いさんが手を回して天祐会が出入りできなくなってしまって鉄砲玉の意味がなくなっちゃうってオチ。せっかくの拳銃も誤って発砲して警官との撃ち合いになって・・・という終わり方はそれはある意味破滅的で嫌いじゃないけど個人的には鉄砲玉のごとくはじける渡瀬恒彦が見たかったな。
あと川谷拓三が敵方のしょぼいチンピラ役で登場していたけど情けなさが本当にはまっていておかしかった。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
渡瀬恒彦
(小池清)
チンピラ感が絶妙にマッチするスティーヴン・ドーフで。


やじきた道中 てれすこ
(2007)
3
2007年12月
ある日、人気の花魁お喜乃が病の父親に一目会いたいから一緒に逃げて欲しいと弥次郎兵衛に頼み快く引き受けるが芝居に失敗した喜多八も旅についていくことになり・・・
落語をネタにした江戸っ子コメディ。
内容はとても分かりやすくてオーソドックスなのですが役者がしっかりしているので落語が分からなくても十分楽しめるところがこの映画のすごいところだと思います。
道中のに起きる小さなエピソードもそれぞれ面白いのですがどれも小粒なところが逆に難点となってしまっている印象を受けました。嘘だけど花魁のお父さんに会いに行くという本筋となるエピソードが薄くなっている感じがしてもったいなかったです。
小泉今日子は最初、中村勘三郎と柄本明に囲まれて大丈夫かな?と心配だったのですがちゃんと張り合えていたし、
色々修羅場を見てきた花魁らしく威勢がよくて騙した男達に囲まれても上手くやりこめるあたり小泉今日子が楽しそうに演じているところが観ていて気持ちがよかったです。
脇役がそれぞれぴったりな役どころをやっていて映画全体の質を高めている感じで吉川晃司と鈴木蘭々が夫婦という異色の組み合わせのエピソードも意外としっくりきていたし、藤山直美や國村隼のベテランが絡むエピソードは安心して楽しめるというところでは全体的に作品の質はよかったと思います。お年寄りがターゲットだと思うのですが若い人にも観てもらいたいなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
中村勘三郎
(弥次郎兵衛)
スティーヴ・カレルにお願いしたい。
柄本明
(喜多八)
トラブルメーカーという感じのウィル・フェレルで。
小泉今日子
(お喜乃)
コメディは安心して観ることが出来るジェニファー・アニストンで。


田園に死す
(1974)
1
(理解できず)
2005年10月
寺山修司ものを連続鑑賞。「書を捨てよ町へ出よう」と同様これぞATGという感じのする内容でこちらも難解。なもので、今回も感想が書けないので感想短めです。
今回は八千草薫が出ているからちゃんとしているかと思いきや登場人物のほとんどが白塗りでこれは前衛的すぎる。解説を読むと寺山修司の自伝的内容の物語とあって確かに「書を捨てよ町へ出よう」よりは物語性があったようには感じられますけど全然内容を覚えていないんです。というのも話が頭に入ってくるより先にイメージが頭の中になだれ込んできてなんだかトリップしているってこんな感じなのかな?という状態なので観ていてすごい脱力感を感じます。「書を捨てよ町へ出よう」は本編とは関係ないけlれどゲリラ的なことが多くて刺激が多かったので疲れるのですが集中して観ていられたんですんね。
まぁ、青森の村にやってきたサーカス団は空気女とかとにかく普通のサーカスじゃないちんどん屋風のビジュアルが異様な雰囲気の団員で構成されて悪夢を見ているようだったしとにかく観終わって疲れたことが一番印象に残りましたけどね。
最後も確か実家で母親とご飯を食べていたら家のしきりがドリフのコントのようにすべて倒れて家がなくなったと思ったらそこは銀座でそこで食事を続けているみたいなシュールかつ理解できなくて、
生理的に受け付ける受け付けないってあるけれど寺山修司作品は間違いなく受け付けないなぁと思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(今回は難解すぎてなし)


天下の鬼夜叉姫
(1957)
3
2007年7月
旅芸人の京之介一座が絡まれているところを偶然通りかかった露木丈太郎が助ける。その後、丈太郎は徳川大名が般若の面を被った集団に襲われるところに遭遇するがその集団こそ豊臣の残党として京之助と名を変えた鶴姫たちの仕業だった・・・
旅芸人一座が○○一家に因縁つけられそこを一人の浪人風の男に救われるというオープニングだったので題名と内容が合っていないなぁと思ったのですが話が進んでいくうちに豊臣の残党が徳川に恨みを晴らすべく次々と殺戮を繰り返しつつも残党の鶴姫は丈太郎に恋をするというアクションありの一種の悲恋もので思っていたより楽しめました。
鶴姫たちは軽業師に成りすまし、みんな忍者のような身のこなしを習得していて手ごわい中、丈太郎側も女スパイに豊臣の残党を放って相手の動向を探る展開が江戸のスパイといった趣で後半になるにつれテンションも高くなってきてよかったです。
鶴姫を支えるボスが丹波哲郎に残党とは関係ないけど女スパイに恨みがあり鶴姫に手を貸す浪人に天知茂と敵側は個性的。天知茂は初っ端で丈太郎との対決で崖から落ちてまさかこれだけ?と思いましたが片腕になってしぶとく復活してポジション的にはショーン・ビーン的な役どころでこの人はこういう役をやるとはまると思うのでした。
作品自体70分くらいの短さでさらっと観られる感じがいいのですが個人的にはラストがちょっとぬるいかなと思うのでした。
新東宝作品なのですが三原葉子が出ていないだけで何かまともな気がするのは気のせいでしょうか?
ハリウッドバージョンはこの人で!!
宇治みさ子
(京之介/鶴姫)
体も動かせるキルスティン・ダンストで。
明智十三郎
(露木丈太郎)
時代劇もいけそうなジョニー・デップあたりで。


天国と地獄
HIGH AND LOW
(1963)
5
2005年4月
ナショナル・シューズの重役、権藤の息子が誘拐され身代金3000万円要求されてしまう。しかし実際に誘拐されたのは息子と一緒に遊んでいた運転手の子供だった。しかし誘拐犯はそれでも権藤に身代金を要求し・・・
「三十郎」ものの活劇もいいけれど多分黒澤作品ではこれが一番好きかなぁ。サスペンスフルでスタンダードでありながら今観ても全く色あせていないところがなんともすばらしいです。
三船敏郎演じる権藤が密かにナショナル・シューズを乗っ取るために株を買い集めていて最後の一押しというところで誘拐事件に巻き込まれてしまうのですが、権藤が自分の子供じゃないのに破産覚悟で身代金を払うかどうかの葛藤が描かれているのですが、株で会社を乗っ取るなんてまさに今が旬で時代を先読みした感があって黒澤監督ってすごいと感心しました。
仲代達矢が演じる警部が捜査に絡んできてからが断然面白くなるのですが、すごく印象的なのが
特急の小窓からスーツケースを投げ落とす身代金の引渡し方法。このシーンどこかで見たことのあるようなデジャヴ感。きっとこのシーンはすごく有名なんでしょうね。
最後は謎の犯人、山崎努のエピソードもじっくりと描かれていているところも感心します。山崎努がヘロイン中毒者を手下につかって子供を監禁させたり最後にいろいろ犯人の行動が明らかになたったりと作り方がいつもながら丁寧だなと思います。ヘロイン中毒者といえばジャンキーの巣窟みたいな所が出てくるのですが菅井きんがシャンキーその1みたいな役どころで出ていたのもすごかったけどジャンキーたちがゾンビみたいでそこら辺のホラー映画よりよっぽど恐かったです。
次々と話の中心となる人物が変わって、普通なら主役の三船は一体どうしたんだろう?と思うところですがこの映画無駄がないからそんなこと思わせる余裕を与えないところがさすがだなぁと思います。
犯人の動機もそんなことと思わせる理由が現代にも通じるしそれがタイトルの「天国と地獄」につながっていてこの映画も何度も観たくなる作品です。
一つだけ理想を言わせてもらうと三船と仲代の役は入れ替えた方がしっくりくると思います。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
三船敏郎
(権藤金吾)
前半ちょこっと「身代金」的なところがあったのでメル・ギブソンで。
仲代達矢
(戸倉警部)
マイケル・キートンなら警部役いけそうで。
香川京子
(権藤伶子)
ジュリアン・ムーアはどんな相手の人妻役でも上手いことこなします。
山崎努
(竹内)
こういう役はエドワード・ノートンにぴったりです。


天使の欲望
(1979)
5
2009年9月
東北の寂れた町から上京して看護婦となった姉妹。姉の涼子は大病院の看護婦として成功していたが、妹の久美は堕胎専門となっているような産婦人科の見習いとして暮らしていたが二人の関係は良かったのだが、久美の行動がきっかけとなり二人は次第に対立して行き・・・
姉妹の壮絶な愛憎劇。
主役(姉の方)の結城しのぶを見たくてこの映画を観たのですが、イメージが全然違います。1990年頃のトレンディードラマ?で秘書課のチーフみたいな役をやっていてシロガネーゼ風の品の良いアラフォーの人だなと思っていたのですが、この映画だと全体の半分くらいは脱いでいるんではないかという潔さ。やっぱり1970年代の映画は色々な意味で力強くていいです。
結城しのぶは昼は看護婦の鏡、夜は男を漁る女で時期不調になるかもしれないというのは病院のお偉いさんと夜寝ているからというかなりしたたかな性格。そんな結城しのぶは病院で奥田瑛二そっくりな患者に襲われもそれが快感で逆に自分から仕掛けていくすごい展開。
抱かれている時も「この匂いたまらない。魚の腐った匂い。」って褒めているけど褒め言葉になっていません。
妹の有明祥子という人は初めて見たのですが性格が荒っぽくてがさつでヤバイです。一回、田舎に姉妹で帰った時に母親の再婚相手に結城しのぶが犯されそうになって助けるという姉思いのところがありつつも、
姉のお見合いで「迷惑ばっかりかけてきたけどひとつだけ自慢できることがあるんだ。」と言い「姉ちゃんが強姦されそうなところ助けたんだ。」ってバカ。結城しのぶたまらずビンタ。ここから姉妹の亀裂が入るのですが、帰り道もビンタされ有明祥子は水溜りにダイブ。という体を張った演出も抜群。
そして何かというと相田みつを風な歌をノートに書き綴り、画面にデーンと出るシーンが何回かあるのですが段々と姉を恨んでいく歌に変わっていくところが怖いです。
そんな妹も偶然出会った奥田瑛二そっくりな男に恋をするも姉といい感じになっていると知って、姉の夜の顔を病院にばらして病院をクビに姉も妹の前で抱かれてにやけているといった修羅場がエスカレートして行きたまりません。
クライマックスも全裸n姉妹がメスを片手に殺し合いというすごい展開になって久しぶりにかなりのテンションが上がりました。これほぼ成人映画になりそうな雰囲気ですが、DVD化されたらぜひとも欲しい一品です。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
結城しのぶ
(松沢涼子)
上品な感じのダイアン・クルーガーで。
有明祥子
(松沢久美)
荒っぽい印象のアーシア・アルジェントで。


電送人間
SECRET OF THE TELEGIAN
(1960)
3
2008年4月
遊園地のミステリーハウスで一人の男が刺殺されるという事件が発生し新聞記者の桐岡は同級生の小林警部から情報をもらい事件を調査するのだが・・・
「ガス人間第一号」なんかと同じ系統の「X-ファイル」系の内容なのですがこれはベースは面白いのですがまとめ方がもうひとつで全体的にイマイチという印象。
登場人物は鶴田浩二を手助けする平田昭彦から刑事に土屋嘉男で電送人間こと中丸忠雄に命を狙われる社長が河津清三郎といい奴も悪い奴もみんな悪役顔というところが面白いです。事件に巻き込まれるOLにが白川由美と無駄に女性キャラが出てこなくて硬派な画作りで仕上がっているのがいいですね。
と雰囲気は合格点。だけど内容が・・・中丸忠雄がかつての復讐心から次々と電送人間となって復讐を行っていくところまではいいのですが電送人間が突然現れるところまではいいのですが逃げる時は普通に走って逃げるというところがダサいです。電送人間なんだから逃げる時は電線か何かでビビッと消えて欲しかったところです。
ヒロインの白川由美も前半、中丸忠雄に襲われたりして大変な目にあっているにも関わらず後半気がつけば白川由美はフェードアウト状態。このあたりもう少しちゃんとやればかなり面白くなりそうなのにもったいないです。
ラストの中丸忠雄も何となく消化不良気味だったし。
ただ中丸忠雄の無表情で笑う姿はすごく不気味と思っていたらネタバレ→
顔に傷を負っていて中丸忠雄が中丸忠雄のマスクをしているというところはよかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
鶴田浩二
(桐岡勝)
行動力溢れる感じのベニチオ・デル・トロで。
平田昭彦
(小林警部)
たまにいい人役をやるショーン・ビーンで。
白川由美
(中条明子)
ブレイクする可能性が高いオルガ・キュリレンコで。
中丸忠雄
(中本伍郎/須藤兵長)
クライヴ・オーウェンの悪役もたまには見てみたい。


デンデラ
(2011)
5
2011年7月
70歳になった斎藤カユは村の掟に従い山奥に捨てられるが、カユが気が付くとかつて捨てられた老婆たちによって助けられていて・・・
姥捨て山のその後を描いた異色作。
捨てられた老婆たちは生きていたというコンセプトなのでたくましく生きて行っている姿が描かれるのかなと思っていたらとんでもない。たくましいはたくましいのですが老婆たちが自分を捨てた村に復讐するというリベンジムービーというところがすごいです。
それも
メインキャストだけで浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子に草笛光子と昭和を代表する大女優たちが本物のの雪の降る雪山でアクションするからあっぱれです。
それにかなりスプラッターで血の飛び散り具合も半端じゃないところが楽しかったです。

設定も大段でリーダーの草笛光子が100歳で復讐することに命を燃やす恐ろしい役なのですがなんだか説得力があってよかったです。アイパッチの倍賞美津子は見た目もカッコいいのですが、村には復讐しないで豊かになって見返してやろうという穏便派ですが、ちゃっと戦うし一番カッコいいんです。
山本陽子は最初は存在感が薄いかなと思いましたが、後半ちゃんと見せ場があってほっとしましたが、浅丘ルリ子が一番年下で新入りだから小娘扱いされているところもすごいのですが、なんといっても顔が迫力あってすごかったです。70歳で色々初めてづくしで悩んだり笑ったりするところはちょっと励まされた気もしますが・・・
復讐にあたり何をするかというところはネタバレなのであれなのですが、ラストはちょっと皮肉な感じがしててそこがまたピリッとしていてよかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
浅丘ルリ子
(斎藤カユ)
負ける気がしないヘレン・ミレンで。
倍賞美津子
(椎名マサリ)
メリル・ストリープあたりにお願いしたい。
 山本陽子
(浅見ヒカリ)
ダイアン・キートンにアクションをやってもらいたい。
 草笛光子
(三ツ星メイ)
迫力満点のグレン・クローズで。


「テント劇場」より 盗まれた欲情
(1958)
3
2005年12月
ドサ回りをする劇団員達の人情劇。
タイトルから増村保造監督の「「女の小箱」より 夫が見た」のようなどろどろした怖い内容かと思いきや普通の人情劇でした。
昔だけか良く分からないのですがドサ回りをする団員達は基本的に舞台の道具一式だけトラックに詰め込んで実際の見世物小屋っていうんですかそういうのは滞在する各地の村々にテントがあってそこを劇場にしていて昔はやっぱり娯楽ってものが少なかったせいかこういう人たちが来たときのために道具が一式そろっていたんですね。
昔の映画を観るとちょっとしたこういう文化を知ることが出来て勉強になるからいいんですよね。
内容はドタバタした印象で大卒の長門裕之がなぜか劇団の裏方の仕事をしていて劇団員の姉妹、姉は劇団員の旦那がいるのに惚れてしまい、だけど妹も長門裕之が好きでこの微妙な関係はどうなる?みたいなことだったと思うのですが、ネタバレ→
最後南田洋子は長門裕之をふって旦那の元に戻っていき、長門裕之は妹とともに劇団を去る←という終わり方がちょっと切ない感じもしないでもないけれど個人的に正しい終わり方だなぁと思いました。後味もすっきりしていたし。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
南田洋子
(山村千鳥)
なんとなくヘザー・グラハムにやってもらいたい。
長門裕之
(国田信吉)
無口で地味なのになぜかもてるところがクライヴ・オーウェンぽかった。


点と線
POINTS AND LINES
(1958)
3
2009年6月
博多の人気のない海岸で男女の死体が発見され、その姿から心中で事件は片付けられようとした。そんな中ベテラン刑事の直感から他殺の可能性が出てきた。
やがて東京からやって来た刑事の三原は汚職事件にたどり着き・・・
割と最近も北野武主演でドラマ化された松本清張原作のサスペンス。
いかにも松本清張らしいサスペンスで話としては面白いのですが時間が80分ちょっととサスペンスにしては短いので話の展開が唐突過ぎる気がしてなんだかもったいないなと思いました。その点、未見ですが、北野武版は2夜連続という形をとっていたみたいなので内容としては多分こちらの方が分かりやすいのではないのだろうかと感じました。
主人公n若手刑事は当時新人の南廣という人が演じたのですが正義に燃える熱血刑事という感じ熱いです。そんな刑事をサポートするベテラン刑事が志村喬でこの二人は心中と違うんではないかと話のきっかけを作ってくれる地元の刑事に加藤嘉とすごい顔ぶれが観ていて盛り上がります。
山形勲はいかにも悪そうな感じで存在感抜群ではまっていた良かったし、妻役の高峰三枝子は病弱で家からあまり出られないという設定が無理があるくらいに顔色がよいのですがそこはさすが大女優だけあって前半は全然出てこないのですが存在感は一番あります。
聞き違えてなければ高峰三枝子はまだ28歳という設定だったように記憶しているのですがそれはさすがに無理があると思うのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
南廣
(三原紀一)
若い刑事が似合うライアン・フィリップで。
山形勲
(安田辰郎)
メル・ギブソンあたりがやったら面白そうです。
高峰三枝子
(安田亮子)
脇役でも存在感のあるキャサリン・キーナーにお願いしたい。


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