日本映画

わ


若い娘たち
(1958)
5
2005年5月
五人姉妹のうち三人は下宿した学生と結婚していて四女のカナ子はそれだけは避けたいと願っていた。そんな中、将来有望の医大生の川崎が彼女の家に下宿生としてやってくる。カナ子は恋をしないように川崎に素っ気ない態度で接していたのだが・・・
雪村いづみは勝気な娘がはまっているのですが清水ミチコに激似のくせに美人という扱いをうけていてしょっぱなから笑えます。清水ミチコも40年前なら確実に大スターでしたね。
そんな雪村いづみがイケメン下宿生を好きなくせに邪険に扱っているうちに幼なじみで下宿生の同級生の水野久美といい雰囲気になってしまい一人で不機嫌になっているところなどもこっけいで笑えます。普通なら水野久美の役どころはそのまま寝取りそうなものですが彼女は雪村いづみにイケメン下宿生を譲るんですよね。本当争いのない平和なところも気に入りました。
親戚の本屋もこの家をまねして下宿生を募集するのですがそこにやってきたのが男臭いひげ面のゴリラのような男で本屋のお母さんも娘もがっかりしてしまうけどひげを剃ったら男前という定番のオチなんですけどこれもおかしくってこれも笑いました。
この映画当初観に行くつもりは全くなくって観たら結構面白いかも程度で観てみたらこれが想像以上の面白さ。反発しあう二人が最終的にはくっつくって分かりきっているのになんでこんなに面白いんでしょう。この時代のホームドラマ系ラブコメは吉村公三郎監督の「家庭の事情」もそうでしたが、主人公たち以外の家族やまわりの友達なんかもテンポよくそれぞれハッピーエンドになっていくところが魅力です。この手のジャンル好きです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
雪村いづみ
(石浜カナ子)
リース・ウィザースプーンがやはりこの手のキャラクターは最適だと思う。
山田真二
(川崎光夫)
コメディ映画の中に出てくるエリートという印象のルーク・ウィルソンで。
水野久美
(野村友子)
ケイティ・ホームズは男より女の友情をとりそうなタイプに見えて。


わが青春に悔なし
NO REGRETS FOR OUR YOUTH
(1946)
4
2005年4月
京都の大学教授を父親に持つ八木原幸枝は行動的で過激な野毛と生真面目な糸川に好かれていてやがて幸枝は左翼運動家となった野毛と結婚するのだったが・・・
草原を歌いながらハイキング?する若者達の姿から始まるオープニングを観て普通の青春ものかと思っていたら中盤以降目の覚めるようなハードな展開で驚きます。
前半は行動派と慎重派の男に好かれるお嬢さんんお話なんですけど、これはこれですごかったです。行動派の方はズケズケと世間に対する愚痴ばかり言う男だし、慎重派の方はなんでも黙って言いなりになっちゃう情けないタイプでどちらとも両極端すぎるし、原節子は悔しい思いをすると関係ないのに慎重派の糸川に「ひざまづいて、謝って。」とか言い出したりしてびっくりしました。何この女という感じで・・・だから今回こそ黒澤作品でもダメだろうと思ったけど後半結局、運動家の野毛と結婚するけど逮捕され獄中死してからの波乱万丈すぎる原節子の人生で一気に持ち返すから不思議です。
野毛の実家で彼の両親と暮らす決意をして田舎に戻ったけれどスパイ扱いされて村人の誹謗中傷の嵐や、硬い土地を姑の杉村春子と共に耕して稲を植え終えたと思ったら村人達によってメタくそにされて
「ドッグヴィル」並の壮絶な嫌がらせにやるせなくなります。村八分的な扱われ方しているのですが姑の杉村春子が本当にいい人でここでちょっと救われました。
原節子は多分、原節子だという事を意識して観たのは初めてなのですが、たくましかったし農作業姿なんかもしっくりきていて野太いというか意外と男らしい人だなぁと思いました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
原節子
(八木原幸枝)
石川三千花に野太いと言われたジュリエット・ビノッシュで。
藤田進
(野毛隆吉)
なんでもこなすダニエル・デイ=ルイスで。
河野秋武
(糸川)
真面目そうなティム・ロビンスで。


和製喧嘩友達
FIGHTING FRIENDS:JAPANESE STYLE
(1929)
3
2004年5月
留吉と芳造はお互いトラックの運転手で共同生活をしている大親友。ある日二人はお美津という女を轢いてしまうが幸いお美津は無傷。二人はお美津が宿無しという事を知ると彼女も一緒に住むようになるが二人がお美津に恋心を抱いたとき友情に亀裂が生じ始める・・・
「突貫小僧」と同じく本来なら77分あるところが現在は全部合わせて14分しかないという事でかなり断片的。ラストでいきなりおげんの婚約者が現れて去っていき結局俺達何やっていたんだろうみたいなオチでそれまでのドタバタを観ているとほとんどコントって感じになっちゃっているから逆に全編通して鑑賞したら全く違う印象になるんだろうと思うのでした。
劇中、ひょんなことから留吉は芳造にナフタリンを食わせる罠をしかけるのですが、
芳造が砂糖だか飴玉と勘違いしてめっちゃ食べてるよナフタリン。ナフタリンはやばいでしょ。このままだと芳造が死んじゃうから止めてあげて為吉。と為吉のプチ・サイコな部分を垣間見たのでありました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
(短編なので今回はなし)


私は二歳
I AM TWO
(1962)
3
2008年9月
小川家に太郎という名の長男が生まれ、たーちゃんと呼ばれ可愛がられているがたーちゃん自身はどう思っているのか・・・
二歳児の視点で子育てに奮闘する大人たちと描いた市川崑監督作品。
未見ですが「ベイビートーク」シリーズはこんな感じなのかもと思いました。
船越英二、山本富士子夫婦の悲喜こもごもな子育て奮闘記が始まるのですが、山本富士子はものすごく過保護で船越英二は割りとそうでもなくてこういうことが原因でたびたびちょっとした夫婦喧嘩が起きるのですが、山本富士子は見るからに気が強そうな完ぺき主義なのでいつも責められてなんだか可哀想でした。
姑の浦辺粂子と実家に同居することになるのですが、当然子育てをめぐりあのやさしそうなおばあちゃんの浦辺粂子でさえも嫁姑問題が勃発するのですが、ある日船越英二が留守番でちょっと目を放した隙にたーちゃんがクリーニング屋さんのビニールに包まって窒息寸前に。
普段は不仲な嫁姑がここぞとばかりに共同戦線を張ってに船越英二がものすごく怒られてしょんぼりする姿が不憫でたまりません。こういう時男親って損な役回りだなぁと思いました。
というか子供は可愛いけれどやはり病気もすれば、怪我もして、夜泣きだってする。子育てってやっぱり大変なんですね。
劇中、団地住まい時代に岸田今日子がものすごい怖い顔でお母さん仲間として出てくるのですが、子供の風邪をうつしちゃったかもしれない知れないから病院に行ってください。みたいな顔とは裏腹にいいお母さんで、出番は少ないですが存在感は抜群でした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
船越英二
(小川五郎)
嫁の尻に尻に敷かれてそうなルーク・ウィルソンで。
山本富士子
(小川千代)
完璧主義そうなニコール・キッドマンです。
浦辺粂子
(小川いの)
孫に甘そうなジュリー・アンドリュースで。


わたしを深く埋めて
BURY ME DEEP
(1963)
3
2008年5月
弁護士の中部は出張を一週間繰り上げて自宅に戻ってくると見知らぬ女が酒に酔っていた。中部はタクシーで女を送り返し一眠りすると警察がやって来て女が死んだことを知り・・・
若尾文子と田宮二郎のサスペンス。
展開は順序だてて犯人が分かっていくのですが結果的には「古畑任三郎」的な印象を受けました。結果的には間が悪かったんだよねぇという感じの犯人の動機のところが。
若尾文子と田宮二郎の関係はというと親友の川崎敬三の奥さんで親しくしているという感じなのですが二人ともお互いが何となく好きで特に若尾文子は田宮二郎がものすごく好きです。川崎敬三はもちろん若尾文子が好きなのですが自分がそんなに好かれていないと分かっているので身を引くんですよ。慰謝料が若尾文子により多くいくようにして。健気です。そして
川崎敬三が若尾文子と夫婦役をやると必ず上手く行かないような気がしてちょっと可哀想です。
弁護士なんだからそこまで事件に首を突っ込まなくてもいいんじゃないのと思ってしまうほど警察よりフットワークが軽く、むしろ警察から情報もらって自ら捜査と報告する刑事も真っ青な働きっぷりで次々と事件の真相を紐解いていく田宮二郎なのですが出番が意外と少なかった若尾文子が必要以上に艶っぽいし、他の事件(といっても最終的にひとつの事件に繋がる)依頼人の江波杏子がいつものようにクールじゃなくてキャピキャピして田宮二郎の家に上がりこんで料理なんか作ってイメージと違ったりするところとかがものすごく気になって集中できませんでした。
話自体は観終わってから考えるとなかなかよく出来ていて面白かったと思います。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
若尾文子
(芥川千津)
シャーリーズ・セロンあたりの綺麗どころにやってもらいたい。
田宮二郎
(中部京介)
どこかダークなイメージがつきまとうクリスチャン・ベールで。


WARU
(2006)
2
2006年3月
刑務所で出会った更級十朗の「地平同」の活動を手伝う氷室洋二は、ある日暗殺されてしまった更級のために立ち上がるのだが・・・
ひょんなことからこの「WARU」の前売り券を頂きましてせっかくなので初日の初回に観にいってきました。もしかしたら初日舞台挨拶があるんじゃないかと密かに期待していたけどやっぱりあのシネパトスに哀川翔とか松坂慶子が来るわけありませんでした。
話は原作の作者、真樹日佐夫先生が自ら「地平同」のボスとなり殺され哀川翔が復讐するまでとマフィア達に命を狙われる二部構成になっていたのですが、なんか後半部分のつながりがものすごく強引なような気がしたのですがこれはもしかしてVシネマの感覚なんであろうか?などと哀川翔作品を初めて観るものでそんな風に感じました。
で断然いろいろな意味で面白かったのは前半で、
ものすごい強面の真樹日佐夫先生が5歳くらいの息子と一緒に公園で遊んだりするシーンなどはかなり無理目な感じがして楽しかったです。
あと、哀川翔と刑事の石橋凌のバランスは中々よかったと思います。なんていうか哀川翔は圧倒的に台詞が少ないんですがその分石橋凌が台詞があるって感じで哀川翔は存在感で魅せるタイプの人なんだなぁと思いました。それと松坂慶子はものすごく浮いていました。
すごく気になったのは画質がものすごく悪く観にくかったのですがこの映画ってそういうものなんでしょうか?これさえなければよかったのに上映前の予告編より画質が悪いとさすがにテンション下がりました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
哀川翔
(氷室洋二)
キーファー・サザーランドあたりにやってもらいたい。
石橋凌
(桜木)
強面刑事路線のブルース・ウィリスで。


わるいやつら
BAD SORTS
(1980)
5
2010年10月
病院長の戸谷は看護婦長や料亭の女将や元患者と浮名を流していたが、ある日デザイナーの槙村という女と出会いたちまち夢中になるのだが・・・
松本清張原作の泥沼サスペンス。
出てくる人物が全員まさにわるいやつらだし、女優陣たちが華やかでテンションが上がります。
美人デザイナーの松坂慶子が今は肩幅ガッチリでアメリみたいな天然おばさんになってしまっていますが、当時はとにかく綺麗で驚きます。彼女の最終的には「わるいやつら」に当てはまるキャラクターなのですが何もしなくても(現に夜中まで事務所で一人ミシンで洋服なんかも縫ったりしている。)男たちがこぞって援助してしまう女から嫌われるキャラクターというのが面白いです。だから看護婦長の宮下順子からは他の女との浮気はいいけれど松坂慶子だけは辞めとけとクギを刺されたりもします。
料亭の女将役の梶芽衣子を目当てで観ましたが、クールかつ計算高くてやり手の女将というキャラクターがぴったりとはまっていました。ネタバレ→
最後も逮捕される時にお縄頂戴みたいなシーンがあるのですが「女囚さそり」シリーズで鍛えただけあってものすごくさまになっていました。裁判でも片岡孝夫をあっさり見捨てるところも素敵です。
藤真利子は片岡孝夫に合わなきゃ破滅しそうな悲劇的な女という感じで面倒なタイプ。そんな面倒なタイプに輪をかけた感じなのが看護婦長の宮下順子。一回別れたけれど再び抱かれてNo.1の気分に勘違い。性質が悪い事に激情型の性格なので包丁振り回しています。
片岡孝夫が女たちの愛憎劇のちょっとした行動が積み重なって破滅へと陥っていく展開が上手いし、後半も豪華なスターこちらは男優陣が出てきてクライマックスを盛り上げます。ネタバレ→
ラスト全員が痛い目に遭うところもスカッとしました。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
片岡孝夫
(戸谷信一)
ジョニー・デップはこういう役もいいと思います。
松坂慶子
(槙村隆子)
ケイト・ベッキンセールにこういう役を挑戦してもらいたい。
梶芽衣子
(藤島チセ)
こういう役はファムケ・ヤンセンです。
藤真利子
(横武たつ子)
ローラ・リニーにお願いしたい。
宮下順子
(寺島トヨ)
激情型の役が似合うジェニファー・ジェイソン・リーで。


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