日本映画

や


やくざ刑罰史 私刑
(1969)
3
2005年11月
様々な時代のやくざ達が裏切り者をリンチしていく3話のオムニバス。
オープニングにいろいろなリンチを紹介する様子が「徳川女刑罰史」と同じ雰囲気でしたけどこっちのリンチはこってりしているけど指つめなんてはっきり言って手序の口ですってノリがほとんどギャグなところがつかみはオッケーという感じでオープニングだけでテンションあがります。
1話目は江戸時代の話でテーマは「やくざ渡世に二つの法度“盗みをするな、間男するな"」です。
一言で言うと腹が立つほど密告、裏切りなんでもありの卑怯なやくざ石橋蓮司のおかげで組長の右腕的存在の大友柳太朗が盗みの濡れ衣をその弟分の菅原文太ふが間男の罪を密告されて最終的にで組がまるまる無くなる話なんですがほかにも石橋蓮司にはめられたやくざが耳を切り落とされたり、菅原文太も目をえぐられたりで痛いです。大友柳太朗もなぜか自分で目をえぐって散々痛めつけてくれた親分に目玉を投げつけひるんだ隙に斬るという展開で、菅原文太も彼女と旅立ちでハッピーエンド?なのですが
大友柳太朗と菅原文太よくこの映画に出たなぁと内容よりそのことばかり気になっていました。
2話目は大正時代?でテーマは「親分並び一家に迷惑を及ぼしたる者は所払い、それを受けし者がふたたび士地に戻りたる時は白刃をもって制裁を加える」です。
敵対する組の親分の腕を斬りおとした日本のクライヴ・オーウェンこと大木実は刑務所から帰ると実は仲間からはめられて所払いになっていて彼女も敵対するの新親分の女房になっていたという感じの内容でリンチらしいリンチといえばバカなやくざがちょっとミスったらお仕置きされる程度で一番ビジュアル的にインパクトに欠け印象も薄いんですがその分ちゃんとしていました。
3話目は現代でテーマは「組の組織を破壊、秘密を漏洩せる者は理由の如何にかかわらずこれを抹殺する」です。
二つの敵対する組が金塊をめぐり相手方のやくざと裏切り者を次々リンチにかけていく話で、最後まで何のために争っているのか忘れちゃうくらいこれこそがオープニングに通じる濃さがあってすごいです。吉田輝雄なんて結局どっちの味方でもない謎の男で謎のままです。
私刑と書いてリンチと読ませるだけあって
西部劇だと馬に現代だと車やバイクに縄つけて引きずりまわすのはよく見かけますが、今回はヘリで引きずりまわしの系でこんなの今まで観たことありません。他にもライターで顔を焼いて殺したり、車の中に閉じ込めてをスクラップ工場でつぶすまでは普通ですけど潰れた車から肉片を飛び出させる変なこだわりがあったり本当観たことない衝撃映像すぎて笑っちゃいます。
やくざの中に「吸血鬼ゴケミドロ」の高英男も出ていたりして全体的に妙に出演者が豪華なカルト映画なのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
大友柳太朗
(友造)
渋カッコいい系のアル・パチーノあたりで。
大木実
(尾形修二)
というわけで大木実は日本のクライヴ・オーウェンという感じがする。
吉田輝雄
(広瀬辰夫)
デヴィッド・ウェンハムあたりどうでしょう?


やさぐれ姐御伝 総括リンチ
(1973)
3
2005年11月
港に着いたお蝶は運び屋と間違われてしまいいきなり拉致され拷問を受けそして目を覚ますと隣で女が横で死んでいた。濡れ衣を着せられたお蝶は復讐を誓うのだった・・・
テーマソングにのせたオープニングの殺陣のシーンがもろ「修羅雪姫」なんですがどこかが違う!お蝶が一人斬っていくごとになぜか着物が一枚ずつ脱げていき最終的には全裸ですよ。しかも蛇の目傘に刀を仕込んでいるところも「修羅雪姫」なんですけど
普通仕込み傘っていったら柄の部分に刀が仕込まれてそれを引っこ抜いて戦うじゃないですか?だけどお蝶の仕込み傘は傘の先に刀が仕込まれているんですよ。そうなると蛇の目傘開きながら戦うからめちゃくちゃ動きづらそうだし戦いにくいだろうっていきなり突っ込みどころ満載でさすが成人映画。
話も女の隠し所に麻薬を隠して運ばせていたある組織が女が用済みになったから始末しようとするけど結局女たちにばれてリンチを受けるような大雑把にいうとそんな内容だったと思いますがいまいち内容が分からないです。よく分からないけどお蝶のほかに和風の麻薬運ぶグループのほかに思いっきり「さそり」シリーズの梶芽衣子を意識したグループが悪党のグループそれも2グループで最後大乱闘ですよ。しかも当然のように女たちはみんな服脱いで戦っているし無茶してます。一応女の中で唯一味方の黒一点の譲二というキャラも参戦するも結局なんだったのか今となっては思い出せず。
あともちろん女たちは悪党の男たちを全滅させてやったー!って喜んでいるけど女の子達も思いっきり死んでますから・・・と色んな意味で強烈で内容は覚えていなくてもビジュアルは脳裏に深く焼きついたのでした。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
池玲子
(猪の鹿お蝶)
「シン・シティ」のゲイルでおなじみのロザリオ・ドーソンで。
内田良平
(譲二)
それじゃ「シン・シティ」つながりでクライヴ・オーウェンで。


無宿 やどなし
(1974)
3
2006年5月
刑務所で知り合った穴吹錠吉と駒形玄造は偶然女郎屋で出会いサキエという女を足抜きさせるのだったが・・・
勝新太郎と高倉健というだけでも夢の共演なのにさらに梶芽衣子まで加わってまさに夢の実現。勝新はジャイアンみたいなイメージ通りのキャラクターで健さんはいつものように寡黙な男でそんなはっちゃけた勝新をクールにやり過ごすところも楽しし、梶芽衣子は女郎屋の女が相変わらず綺麗で最初の足抜きさせるところまでは面白かったです。
足抜きさせたあと健さんはやくざものと決着をつけるために勝新は宝探しをするため
後半まで二人は完全に別行動になってせっかくの健さんと勝新のコラボがもったいない展開です。
その点、梶芽衣子は健さんに撒かれて一人になったかなぁと思ったら偶然にも勝新に再会して二人で健さんを探す旅に出るという二人よりも出番多いんじゃないのと思うほど露出が高くておいしい役どころでもうけたなという感じです。
ひとつひとつのエピソードはまぁまぁだと思うのですが全体的なバランスを見ると統一感が感じられない今ひとつという印象でした。
最後もネタバレ→
二人が殺される刹那的なラストまでの三人の楽しげで平和な宝探しのシーンも梶芽衣子がこのままでずっといたいという心情は良く分かるのですが妙に長すぎて中だるみしてしまったし・・・
二大スター共演ってやっぱりそれぞれ見せ場が必要になってきて、それをやろうとするとそこで必ずといっていいほど無理が生じてバランス悪くなっちゃうんですね。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
高倉健
(穴吹錠吉)
着流しが似合いそうなショーン・ビーンで。
勝新太郎
(駒形玄造)
豪快という感じのラッセル・クロウで。
梶芽衣子
(サキエ)
女郎役もいけそうなサンディ・ニュートンで。


山の音
SOUND OF THE MOUNTAIN
(1954)
4
2005年7月
鎌倉で夫、修一の実家で暮らす菊子は夫がよそで女を作り毎晩帰りが遅かったがそんな菊子を舅の信吾は優しく気遣うのだったが・・・
上原謙がやる気のない感じの夫で妻がそれに耐えるという形で内容的にも「めし」っぽいけど「めし」より相当酷い話ですよ。あっちは夫婦の倦怠期に奔放な姪がやってきて妻が私ってなんなんだろうと悩むような内容でしたけど今回の話って夫が完璧に浮気をしているし(しかも一人じゃない)、その事をうっすら感づいてる妻が夫の実家で健気に働いているという姿が不幸です。
さっさと家を出て行けばいいのに山村聡が変に気遣いったり優しいのもあってか原節子が家を出て行かないんですよねぇ。いやぁ出て行けなかったのかなぁなんて思いました。そんな微妙な心理が絶妙でしたね。
上原謙もいつも以上にあれな役で観ていて本当嫌な気分になって
今回で完全に上原謙は完全に嫌な男というイメージも定着してしまいました。
これ最初、原節子が鼻血を出すんだよという評判を聞いて変な動で機観に行ってしまったのですがこの鼻血のシーンはネタバレ→
原節子がやっとできた子供を夫の浮気に反抗して堕ろした翌朝に出す←わけありな事情だからちょっと重かったですね。鼻血観たさにって動機はちょっと不純だったかなとちょっぴり反省。
一方ネタバレ→
不倫相手の方も妊娠していてこちらは一人で産んで一人で育てるという結果が尾形家にとっては子供を望んでいただけに皮肉な結果だなぁと思いました。
家を出て行った原節子が最後に山村聡と話すために戻ってきた時に山村聡が中途半端な優しさをみせたことが逆に原節子を苦しませることになったと・・・反省するんですよね。
←変な優しさはかえって逆効果ってことを胆に銘じておきます。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
原節子
(尾形菊子)
やっぱりこういう難しい役はケイト・ブランシェットで。
上原謙
(尾形修一)
しょうもない役をやると光るビル・パクストンで。
山村聡
(尾形信吾)
いいお舅さんというイメージのマイケル・ケインで。


闇を横切れ
ACROSS DARKNESS
(1959)
4
2006年10月
連れ込みホテルで女が殺されその横に泥酔した男が逮捕されるがその男は市長選挙に立候補していてたちまち大スキャンダルになるが西部新聞の若手記者、石塚は真犯人がいると確信し独自に取材を進めるのだが・・・
一人の若き青年記者が陰謀を暴いていくサスペンス。
これは正義感と熱血漢溢れる一直線な川口浩が主役というキャラクターにはまっている時点で成功しているのですがそれを差し引いてもやっぱり増村保造監督のサスペンスはよく出来ていて面白いです。
ストリッパーの死体に市長選立候補者が容疑者になるというゴシップ系の事件がやがて市の有力者ほとんどが関わる汚職事件にまつわる展開へと発展し川口浩が事件の鍵となる人物を探り当てるたびに内通者による情報漏洩などで次々と殺されていき、ついには本人も命の危機が・・・というまさにサスペンスの王道の展開が繰り広げられる内容なのですが今観ても古臭くなくかえって新鮮で面白く感じるのはやっぱり増村保造監督の才能もあるのですが90分程度でテンポよく話が進んでいくところも大きいです。
終わり方もネタバレ→
ようやく新聞が出来上がるという時に山村聡が殺されてしまっても川口浩が局長のために生地を書き上げよう!とまっすぐな気持ちをみんなに伝えて原稿をひたすら書き続けるショット←というのも感慨深くてよかったです。
そして「黒の試走車」でも出ていてこの手のサスペンスが絡むと俄然いい味が出る叶順子は今回事件の真相を知るストリッパー仲間という役どころなのですが相変わらずふてくされた感じがよかったし、川口浩の息子のようにかわいがりいろいろアドバイスしてくれる編集局長に山村聡という配役も全体的によかったです。
ハリウッドバージョンはこの人で!!
川口浩
(石塚邦夫)
実直そうなジェイク・ギレンホールで。
山村聡
(高沢渉)
誰からも慕われ便りにされそうなマイケル・ケインで。
叶順子
(鳥居元美)
ちょっとひねた感じのアーシア・アルジェントで。


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