酔いどれ天使 DRUNKEN ANGEL (1948) |
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2005年4月 | |
戦後、酒飲みだが貧しい人ばかり診察する眞田のもとにある日やくざの松永が銃創の治療にやってきたが眞田は松永が結核である事を見抜く。やがて松永も眞田に心を開きかけるのだったが・・・ 当時28才の三船敏郎、おそらくやくざの若い衆の中でもシマも持っているトップという役どころなんですけどギラギラした中にもどこか落ち着いたジェントルマン的な雰囲気も持ち合わせ、一番最初にイメージしていた三船敏郎像がまさにこういうスタイルでかっこよすぎます。 口癖が「ふんっ!」のいつも仏頂面して口の悪い志村喬とそれに食って掛かる三船敏郎(というか三船敏郎にいつもはったおされる)がいがみあいながらもある種の友情と信頼ようなものを通わせて行くのいつ観てもいいものです。 後半気づいたら結核になって用済みとなった三船を陥れようとやくざの親分と出所したての男、岡田が絡んできたりで権力の無くなった三船は可哀想なんですよね。病状は悪化する一方だし、愛人の木暮実千代には捨てられるはで・・・ 木暮実千代は前にも書いたような気がするけど本当仇っぽい役をやらせたら天下一だなと思います。今回も権力と金だけが目当ての女の役であっさり三船から力のある男に乗り換えるしまるで韓国のテレビドラマに出てきそうな悪女のようです。 病院というか志村喬の身の回りの世話をする婆やが飯田蝶子なんですが相変わらず面白かったです。 関係ないけど三船がよく通っているダンスホールのシーンで一度は聞いたことのある「ウワーオ、ワオ、ワオー」とブギを歌う歌手(笠置シヅ子)歌は上手いけどビジュアルが猿っぽくていかにも昭和だなぁと感じるのでした。 タイトルとなっている「酔いどれ天使」、若尾文子の「赤い天使」もそうだったけど昔は医者や看護婦は「天使」と呼ばれていたんでしょうか?気になるところです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
志村喬 (眞田) |
ビル・マーレーは仏頂面で口の悪い役とか合いそうで。 |
三船敏郎 (松永) |
ベニチオ・デル・トロにやくざな役をやってもらいたい。 |
陽気な女 (1946) | |
2009年1月 | |
戦後、失業者で溢れるアパートで野村恒子も例外なく失業中だったがアパートの住民を励ましていたのだが・・・ 不景気を吹き飛ばすような応援映画。 アパートの住人のほとんどが無職で毎日職を探しても一向に仕事が見つからないという暗い状況で自分も仕事がないのに近所の人たちを励ます轟夕起子が戦後間もない時期に映画を観に来た人を励ましたんだろうなと感じました。ところどころミュージカルタッチなところも良かったのではないのでしょうか。 相手役は灰田勝彦ということでレトロな歌声を披露しますがこのキャラクターがものすごく後ろ向きなのでイラッとします。轟夕起子がこんな後ろ向きな人にキレることなく接する懐の大きい人間で関心します。 途中から高峰秀子が参入しますが高峰秀子も明るいキャラクターで頼もしい。アパートで唯一、裏で品物を流して儲けているような男がいるのですがそんな不正をする男は許せませんとばかりに断固戦うところが高峰秀子らしいですが、そんな高峰秀子を追い出そうとする闇屋の男で高峰秀子ピンチという展開ですがそこはお約束で正義は勝つ!という展開がどことなくすがすがしく、最後も希望に満ち溢れた感じの終わり方で、ちょうど不景気な現在にぴったりな映画でちょっと考えさせられました。 そしてこういう映画で女性は逞しいなぁと思うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
轟夕起子 (野村恒子) | ポジティブな感じのするエイミー・アダムスで。 |
灰田勝彦 (松本民雄) | 後ろ向きなキャラクターが似合いそうなキリアン・マーフィーで。 |
高峰秀子 (新井陽子) | 勝気そうなスカーレット・ヨハンソンで。 |
陽気な殿様 (1962) | |
2010年2月 | |
気ままな生活を好む若殿の榊原隼之介は家督相続のためしかたなく姫路に向かうことになるがその道中に次々とトラブルに巻き込まれてしまい・・・ タイトル通りコメディタッチの時代劇。 小さいエピソードを上手くつなぎ合わせた感じの仕上がりになっていて本当に市川雷蔵の映画という感じなのですが、出ている人も割りと豪華でにかく痛快で面白いです。 この若殿は庶民派で隙をついては親友の大工ところに将棋を打ちに行くような親しみやすいキャラクターで姫路に向かうときもこっそり付いてきてもらってお気楽な旅をするはずが、人柄のおかげもあって色々と人に頼まれごとをされながら人間的にも成長していくのですが、何故か突然現われた辻斬りの天知茂とかシュールな展開も見逃せません。 天知茂は昔は何とか流の凄腕だったのですが人を上手く斬ると死人は微笑を浮かべて死んでいくという噂を信じて満足いく人斬りになるまでそこら辺にいる人を斬りまくるというものすごく迷惑な人というところが笑いを誘います。 埋蔵金の地図を破棄してくれという依頼を受けたと思ったらその地図は高田美和の体に彫られた刺青だったというすごい展開になってみたり、仕方なく誘拐した姫の坪内ミキ子と両想いになってみたり、天知茂の人斬りが回りまわって宇津井健に怒りを買ったりと大忙しで話が展開されていくのですがお家騒動とか人斬りと言葉はヘビーですがコミカルタッチで展開していくので重苦しさのへったくれもないところがこの映画の魅力です。 市川雷蔵は時代劇は幅広く色々な役をこなしますが個人的にこういうノーテンキな若殿みたいな役をやっている時がイキイキとしているようで雷蔵作品ではこの手の作品が一番好きだなと想うのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (榊原隼之介) | ノーテンキな感じのアシュトン・カッチャーで。 |
楊貴妃 PRINCESS YANG KWEI-FEI (1955) | |
2007年8月 | |
妃を喪った玄宗皇帝は悲しみに暮れていたが軍人の安禄山の紹介で楊家の娘の玉環を紹介する。皇帝は玉環を気に入り貴妃となるのだが・・・ 溝口健二監督による伝記映画。 楊貴妃のイメージはものすごく傲慢でライチが好きで爪が魔女のように伸びていて自分より美人は許さないという印象でこんな強烈な役は京マチ子にぴったりだと思っていたら楊貴妃は時代に翻弄されたマリー・アントワネットのような女性でした。そりゃそうだ溝口健二がこんな怖い女帝像イメージの映画を撮るわけないですもんねぇ。 そんなわけで楊貴妃誕生までには色々あって楊一族では腹違いか何かで小汚い下働き同様の扱いを受けていたところを軍人に見込まれて皇帝に紹介されて瞬く間にセレブ入りするのですがその過程の中で軍人は密かに楊貴妃を紹介したことで出世できることを企んでいたり、楊一家は楊貴妃をネタに政治に口出しをして娘達は庶民が生活に苦しんでいるにも関わらず贅沢三昧の暮らしで最終的には庶民からの反感を買ってしまい最終的にはいわゆる革命的なことが起きてしまうという可哀想な人だったんだなぁと勉強になりました。 後で楊貴妃のことをちょっと調べてみたのですがラストシーンも史実と同じようでさすが溝口健二だなと思うのでした。 京マチ子は楊貴妃の気丈さがイメージと合っていて森雅之も浮世離れしている感じが皇帝役に合っていて壮大な歴史絵巻感が出ていた気がします。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
京マチ子 (楊貴妃) | 歴史もののヒロインはアンジェリーナ・ジョリーにやってもらいたい。 |
森雅之 (玄宗皇帝) | どことなく皇帝の衣装が似合いそうなケヴィン・スペイシーで。 |
用心棒 THE BODYGUARD (1961) |
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2005年4月 | |
馬目と丑寅一家の争いの耐えない宿場町に桑畑三十郎という浪人がやってくる。三十郎は馬目と丑寅に用心棒として売り込みに行くのだが・・・ 荒廃しきった宿場町に腕っ節の強い浪人が現れて対立するやくざの一家をやっつけるという内容がすでにツボなのですがこの映画はツボどころじゃない楽しさ満載の映画でした。 馬目の方だと親分の嫁の山田五十鈴が旦那を完全に尻に敷いていているし息子が丑寅に誘拐されて戻ってきた時も容赦なくビンタするビッチな役で可笑しかったし、丑寅の方もNo.3位の加東大介が腕力だけはあるけど頭は弱いやくざの役どころなんですけど、「おめぇ、強ぇな。」と一言おだてるだけで骨抜きになるアホっぽさ加減が笑えるしで両方とも親分じゃないところにインパクトがあるのがポイントだなぁと思いました。 三十郎が居候?する居酒屋の親爺に東野英冶郎なんですけどこういった作品では王道の最初は目障りだった三十郎を最後はののしり合いながらも歓喜をとともにして、三十郎のために捕まったりもするし逆に捕まった親爺を助けにも来たりする擬似親子的な関係がここでも観られて、この映画を観ていると脇役の大切さが改めてわかります。 宿敵の仲代達矢も今まで70年代の「華麗なる一族」や悪い役だけど「金環蝕」で苦悩するイメージがすごく印象だったので今回の完全なニヒルな悪役にはやられました。 三十郎の企みがばれてボコボコにされて監禁されるシーンなどは「キル・ビル」を思い起こさせるシーンなどがありこの映画は世界で観られているという実感もわきます。 三船敏郎はもみ上げ伸びたりひげも生やしたりで20代の頃の尖がったかっこよさはないんですけど、その代わりにお茶目さというか愛嬌があって、これはこれでまたこっこよかったです。 監禁や誘拐、どさくさにまぎれて逃げようとする女郎達を逃がさんとして蔵に鍵をかけて女郎達を閉じ込める強欲な山田五十鈴とか宿場で儲かっているのは棺桶屋だけと悪漢だらけの惨い世界なんですけど不思議と笑いがこみ上げてくる娯楽作品で何度でも観たくなるのです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三船敏郎 (桑畑三十郎) |
三十郎はジョージ・クルーニーの兄貴っぷりを感じさせます。 |
仲代達矢 (新田の卯之助) |
悪役やっている時のケヴィン・ベーコンに近いものがあった気がします。 |
東野英治郎 (居酒屋の親爺) |
ローバト・デュバルにぜひ味わい深くやっていただきたい。 |
山田五十鈴 (おりん) |
ジェシカ・ラングがこの役やったらリアルに恐そう。 |
妖僧 BRONZE MAGICIAN (1963) | |
2010年2月 | |
厳しい修行を行い法力を身につけた行道は人々の病を治していた。やがてその噂が宮廷に届き、不治の病を患った女帝の病を治すのだが行道と女帝は恋に落ちてしまい・・・ オープニングで法力を使ってネズミを一瞬のうちにして骨だけにしてガイコツになったそのネズミが走り回る特撮があったものでトンでも映画化と思いきや、妖術を身につけた長髪僧侶の市川雷蔵が国を乗っ取るくらいのやりたい放題をするのかと思いきや、厳しい修行を積んで特別な力を身につけた市川雷蔵がその力を世のため人のため女帝のために使ういい話でした。 悪徳大臣の若山富三郎が金と政治を我が物にしようとしているところを雷蔵が阻止するのですが、若山富三郎の悪徳大臣っぷりがなんともこのご時世にぴったりな感じなのでハラハラしてしまいました。 みごと若山富三郎を成敗した雷蔵は女帝の藤由紀子にも気に入られよくはないけれどどんどん宮廷での影響力が大きくなり陰湿で嫉妬深い大臣の小沢栄太郎に煙たがられますが、いっつも雷蔵にギャフンと言わされてしまうところが痛快。暗殺されても法力で無傷になってしまう摩訶不思議なシーンもあって普通の文芸ものとは一線を画しています。 がしかしそんな雷蔵もいつの間にか病弱な女帝の藤由紀子と相思相愛に。一時は法力で女帝も元気になりますがやっぱり徐々に体が弱ってきてしまう。そんな雷蔵も雑念のせいか法力パワーも効かなくなってやっぱりこういう神秘的な力を持つ人は昔から恋をするとそういう能力が失われてしまうのは世界共通なんだなと思うのでした。 全体的に純愛な感じもあるのですが政治腐敗を正そうとする雷蔵に若い仕官みたいな人たちが頑張って改革していこうという姿もあり、意外と今観るとタイムリーな映画かもしれません。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
市川雷蔵 (行道/道鏡) | 長髪み似合うジョニー・デップで。 |
藤由紀子 (女帝) | 綺麗どころのシャーリーズ・セロンにお願いしたい。 |
妖刀物語 花の吉原百人斬り YOSHIWARA THE PLEASURE QUARTER (1960) |
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2004年12月 | |
次郎左衛門は生まれつき顔にある醜い痣のせいで女性とは縁遠い男だったがある日仕事仲間に連れて行かれた吉原で玉鶴という遊女だけが次郎左衛門に痣を気にせず接してくれた。やがて玉鶴との結婚を夢見て入れあげる次郎左衛門だったが玉鶴の目的は太夫になることだった・・・ 中村錦之助と有馬稲子の「浪速の恋の物語」のように風俗にはまった男の悲劇を描いた作品なのですが、こちらは「浪速の恋の物語」の遊女との純愛からくる悲劇じゃなくてどん底になるまで騙されてしまう悲劇な作品です。 ここのところ遊郭にまつわる作品を観る機会が多かったのでちょっとだけですが知識が身に付きました。吉原は浅草にある政府公認の売春宿で岡場所というのが新宿なんかの政府非公認のそういったところらしいのですが、玉鶴は岡場所あがりだから吉原の遊女に常に馬鹿にされて皆が嫌がる客の次郎左衛門を押し付けられた時にこれを機にのし上がろうと奮起する。この吉原の品格のある遊女じゃなくて岡場所あがりで情があるけどそれ以上に野心家の遊女という役どころが水谷良重にぴったりなのです。そう玉鶴という女は今まで苦労してきたから一生暮らしていける保障が欲しかっただけで騙すつもりはなかったんですよね。玉鶴も可哀想な女なんです。 片岡千恵蔵は30才の旦那には無理があったけど、次々と降りかかる災害やタイミング悪く店に行ったために利用されてしまうところなんかをじっと耐える生真面目さと耐えに耐えた怒りが最後に爆発する怒りはさすがに上手いと思いました。金に換えられなかった呪われているという妖刀でついに八ツ橋太夫となった玉鶴や店の主人をばっさり斬る最後は「ドッグヴィル」のようにスカッとしたのでありました。 あと、吉原のセットは建物はもちろんのことタンスなんかの家具までちゃんとしていて本当感心します。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
片岡千恵蔵 (次郎左衛門) |
片岡千恵蔵に洋風テイストを加えると日産のカルロス・ゴーンになる気がして・・・ |
水谷良重 (玉鶴/八ツ橋) |
野心も情もありそうなアンジェリーナ・ジョリーで。 |
妖婆 THE POSSESSED (1976) | |
2007年9月 | |
裕福な家の娘、お島は婿養子との祝いの席がもうけられていた。お島には幼い頃から一緒に暮らしていたさわという従姉妹がいたが、さわはお島に嫉妬しやがてお島に不幸な出来事が次々と起こり始め・・・ 女の嫉妬は悪霊をも呼び出すのか!?という怖い内容なのですがそれ以上に嫉妬される側の京マチ子が怖いです。製作が永田雅一だから主役は京マチ子というのも分からなくもないのですが、この映画が1976年公開で今日マチ子が生まれたのが1924年ということは撮影時期とか考えても50歳は超えているはずなのに18,9歳の生娘役ですよ。無理があるどころの騒ぎじゃありません。しかも脱いで脱いで脱ぎまくっています。ある意味このとんでも映画で京マチ子は不可能を可能にしたといっても過言ではありません。 本当なら稲野和子が和製黒魔術師?に頼ってで京マチ子に呪いをかけておきながらしれっとした顔で京マチ子の前に現れるという腹黒い怖さみたいなところが見所になりそうなのに京マチ子の怪演で一人勝ちです。 クライマックスなんてネタバレ→生気を吸い取られて今度は逆にタイトルどおり妖婆になって稲野和子の娘の生気を吸い取ろうとする妖怪になってしまうのですがこれまた特殊メイクがすごいです。「スノーホワイト」のシガーニー・ウィーバーも真っ青の誰か全く分からないくらいの妖婆メイク。そして川にダイビングしてますから。←思いっきりと度胸がいいです。やっぱり京マチ子はすごかったのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
京マチ子 (お島) | 顔が魔女顔のヘレナ・ボナム=カーターで。 |
稲野和子 (さわ) | 嫉妬する役が合いそうなエレン・バーキンで。 |
予言 PREMONITION (2004) | |
2007年8月 | |
帰省先からの帰り道、里見英樹は仕事のため途中で公衆電話に立ち寄るがそこで自分の娘が事故死をした記事の載った新聞を発見する。やがて新聞どおり娘は事故死して3年が経ち再び英樹のもとに再び怪しげな新聞が届き始め・・・ Jホラーシアターの第一弾で「感染」と同時上映された「恐怖新聞」を元ネタとした作品。 「恐怖新聞」といったら子供の頃漫画で読んでものすごく怖かった記憶があるのですがこの映画は全く別物となっていて恐怖新聞らしさがなくなっていて残念。たしか見たくないと思っていても主人公に窓を割ってでも強制的に読ませるのが恐怖新聞であったはずなのにこの映画では恐怖新聞が届く人がみんな何故かそんなに抵抗しないで新聞を読むのが疑問でした。 話自体はぞれほど悪くはないけど(ラストの繰り返しとかは唐突に感じたけれどあれはあれでいいと思ったし・・・)全体的に地味すぎるのも今一歩でしたが一番の欠点はなんといっても三上博史。奥さん役の酒井法子がナチュラル路線の演技に対して三上博史は一人演技が濃くテンション上がって浮きまくっているのがものすごく気になりました。 念写が出来る不思議な能力の持ち主の老女が吉行和子だったんですけどこれも何となく微妙。こういう役こそ岸田今日子がぴったりなのになぁとこの映画の大きな問題はキャスティングにあると思わずにはいられないのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
三上博史 (里見英樹) | こういう役はエリック・バナみたいな人がやると合うと思う。 |
酒井法子 (里見綾香) | サマンサ・モートンあたりの地味なんだけどいい女優にやってもらいたい。 |
夜の河 RIVER OF THE NIGHT (1956) | |
2009年1月 | |
京都の老舗の染物屋の娘、きわは自分のデザインしたネクタイをしている東京からきた大学教授の竹村と出会い二人はたちまち恋に落ちるのだが・・・ 山本富士子と上原謙の失楽園もの。 着物を着る人がほとんどいなくなり洋服が幅を利かせて染物業界も何か工夫をしなくては生き残れなくなってきている頃、やり手の山本富士子は染物をネクタイやら巾着なんかにして頑張っている時に偶然、赤の他人の大学教授、上原謙が自分のデザインしたネクタイをしていることからたちまち意気投合。というところまではいいのですが、いかせん山本富士子のデザインした生地がネクタイにどう見ても不向きで上原謙がつけてもどうしても浮いています。他にも上原謙が真っ赤な蝿を研究していることに影響された山本富士子は赤い蝿の模様の生地で着物を作る大胆さ。誰も注意しなかったのだろうか?好きな人に影響されるなてめずらしくツンツンしてないじゃないか。などと思いながらも二人の恋は進んでいきそうで進まない事情がありまして、上原謙の奥さんは重病でここ数年寝たきりなのでした。 というもどかしい展開は置いといて山本富士子に近づく大映の濃い脇役たちが断然面白い。 山本富士子に仕事の相談を受けた小沢栄太郎は自分に気があるとものすごい勘違いしてあの手この手で山本富士子をものにしようとするけれど上手く行くわけもなく氷のようなお富士さんにあっさり振られて恨み節。染物問屋の会合では酔っ払って周りの迷惑考えず悪態をつきまくり最低なのですが小沢栄太郎らしくてはたから見ている分には楽しいです。 一方なぜか今で言う美大生?で何故か知り合いという設定の川崎敬三は密かに山本富士子に恋をしているので上原謙とツーショットで京都の街を楽しそうに歩いていると後からこっそりつけて楽しそうな二人を見て口惜しがるというストーカーそのものが不気味。勘違いしている川崎敬三は山本富士子に「不倫はいけません。」的な苦言を呈するもお富士さんに「あなたに言われる筋合いはない。」とばっさり切られてさすがだなと笑ってしまいました。横暴な中年オヤジとストーカー学生に一方的に好かれて今だったら完全に事件になってお富士さんの命は危うかったかもしれないなぁと思うのでした。 肝心の内容はというと山本富士子目線で話が終始進むので上原謙のちょっとした一言(しかたがない一言なんです)で上原謙との関係がぐらついたりするのがちょっと一方的でいかにも監督の吉村公三郎らしさは全開なのですが男が観るとちょっとね・・と感じてしまうのでした。 | |
ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
山本富士子 (舟木きわ) | ダイアン・クルーガーにお願いしたい。 |
上原謙 (竹村幸雄) | リチャード・ギアあたりがぴったりだと思います。 |
夜の素顔 (1958) |
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2005年5月 | |
戦後、踊り子の朱実はその道で有名な家元小村志乃の元に弟子入りし頭角を現すのだが朱美は志乃を落としいれ独立して菊陰流を創設した。しかしそんな朱美の地位を弟子の比佐子が密かに狙っているとは朱美はまだ知らずにいたのだった・・・ まず前置きで戦時中に慰問をする踊り子の京マチ子のシーンがあったのですが(ここで後に旦那になる根上淳と出会う)これがまたハワイアンな格好でビキニなのはいいのですがわき腹の贅肉がはみ出ていてすごい事になっていました。こういう思い切った事してくれるから京マチ子好きなんです。 そんな京マチ子が師匠を陥れて自分は独立するという筋書きなのですが面白くなるのはやっぱり弟子の若尾文子が絡んできてから。 かつて芸者屋で散々こき使った京マチ子を尋ねてきた浪花千栄子は強欲の塊みたいな婆さん像が楽しいんですが、それを追い返す京マチ子も罵声を浴びせてケリも食らわせて笑えます。 京マチ子は企むことがあからさまに自分の体で男を誘惑ってところが単純というかストレートなんですけど若尾文子は根上淳と浮気したところをばれたら泣きながら京マチ子にわびを入れつつ振り替えると薄ら笑いしたり病気で倒れた京マチ子を看病して虎視眈々と跡目を継ぐ準備をするような計算高い女だからちょっと恐いものがあります。 最後もバレーを盛り込んだ舞踊の発表会を行うのですが京マチ子は卑弥呼みたいだし、若尾文子は弥生人みたいないでたちですげー格好だなと思ったらネタバレ→京マチ子舞台でまさかの急死。そして誇らしげに「立派に跡を継ぎます。」と薄ら笑みを浮かべて言う若尾文子の勝利だなと思うのでした。京マチ子VS若尾文子ものは「女の勲章」もそうでしたけど、京マチ子が死ぬというエンディングが多いのは二人のスターのプライドを考えてどっちが勝ったということを曖昧にしているんじゃないかなと感じました。← |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
京マチ子 (朱実) |
体を武器にしてのし上がっていくタイプのキム・キャトラルで。 |
若尾文子 (比佐子) |
前にも書きましたがしたたかな時の若尾文子ってソフィー・マルソーのようです。 |
根上淳 (若林) |
一見いい人そうだけど浮気者なイメージのオリヴィエ・マルティネスで。 |
夜の蝶 (1957) |
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2005年4月 | |
政治家や各界の大物にも顔が利く銀座のクラブのママ、マリの元に京都で絶大な人気を誇るママのおきくが銀座にクラブをオープンすることになりマリとおきくの戦いは次第にエスカレートしていき・・・ 京マチ子と山本富士子という二大スター夢の共演。二人は言ってみれば静と動の正反対のタイプのスターだから共演なんてないと思っていたけどあったんですね。すごく楽しかったです。 しかも京都から新座に乗り込んでくるママが山本富士子でかつて京マチ子の旦那と浮気をしていた因縁の過去を持つアクティブな女だし、京マチ子は旦那を寝取られて悔し涙を流しているしで二人ともイメージとは逆の役どころが新鮮でなんだか得した気分です。 京マチ子は嫉妬心や企みがストレートで分かりやすいし、後半、狙っていた社長の部下が社長を裏切ったらそいつにカクテルぶっ掛けるわ、山本富士子のパトロンを寝取って大はしゃぎなんかしていつも京マチ子テイストにあふれていておかしかったです。 一方山本富士子は京マチ子の知り合いの船越英二を金の力で利用してクラブのホステスを集めさせたり、パトロンからもらった金を本命の医学生のために使うというしたたかな女。感情もあんまり表に出さないからネタバレ→最後男に振られるわ京マチ子にパトロンは寝取られるわでついにキレちゃった山本富士子は酔っ払い運転で京マチ子を追跡&クラッシュで二人とも死んじゃいます。←恐さでは断然山本富士子かなぁと思いましたけど、最終的にこの二人の対決は引き分けかなぁ? 船越英二は相変わらず女に振り回されちゃうタイプの役どころだけど今回はほとんどコメディみたいな作品だからカラッとしていてよかったです。 |
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ハリウッドバージョンはこの人で!! | |
京マチ子 (マリ) |
今「24」のシーズン2を鑑賞中でなんですがちょうどぴったりなキャラクターを発見。 京マチ子にはシェリーでお馴染みのペニ−・ジョンソン・ジェラルドを。 山本富士子にはリンでお馴染みのミシェル・フォーブスで。 |
山本富士子 (おきく) |
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船越英二 (秀二) |
女性の頼みごとを断れなそうなタイプのヒュー・ジャックマンで。 |