2.7月20日(月)天気:晴れ

(1)グローセシャイデック[Grosse Scheidegg:1962m](大峠)→フィルスト[First:2167m]→グリンデルワルト[1034m]

(2)メンリッヒェン[Mannlichen:2300m]→クライネシャイデック[Kleine Scheidegg:2061m](小峠)

 朝、野鳥の鳴き声で目を覚さすと、朝日を受けたアイガー北壁が紅く染まっていた。ホテルの部屋からビデオとカメラ撮影が忙しくなった。最高の天気である。\(^o^)/ 右手に見えるメンリッヒェンの丘〜山麓の牧草地帯〜アイガー北壁〜そしてアイガーの左奥には4000mを超す白い峰々が連なっている。まるで絵のようだ。スバラシ〜!

 朝食はパンとコーヒーのみである。ヨーロッパの旅は2度目なので朝食のスタイルは慣れている。食後に電車が到着したので、駅へ荷物を受け取りに行ったら無事到着していた。やっと心配事が消えた。

 この日はハイキング後、アイガー直下にあるクライネシャイデックのホテルに泊り、明日は下山後、再度このホテルダービーに泊る。そこで、荷物を仕分けして、大きな荷物はこのホテルに預けることにする。なお、私は単語を並べる程度の英語しか出来ないが、荷物を預かってもらうという会話は何とか相手に通じたのである。(^_^)

 ハイキング用の飲み物を買ってグローセシャイデック行きのバスに乗った。切符売場での会話は勉強しておいたが、意味が通じない時、相手に見せる“目的地別・切符購入カード”なるものを用意しておいた。ドイツ語でアンチョコを作ったのだ!(^^;

 標高2000m近い“大峠”に到着。真横に迫る山はヴェッターホルン[3701m]、左手にはアイガーを始めとする4000mを超すアルプスの山々が大パノラマ、右手はこれから向かうフィルスト方面の牧草地が優しく広がっている。\(^o^)/
(左の写真は“大峠”とバスの切符。FR 7.-とは、7スイスフラン。1Fr=約100円。つまり700円。スイスの物価は非常に高い。)

 さあ、待望のスイス・ハイキングの始まり始まり! のんびりと歩こう!(^_^) 観光客の姿もまばらだ。日本人は数名のグループが1組いたが、足早に去って行ってしまった。何と言ったって最高の天気だし、足元には可憐で鮮やかな色の高山植物、眼前にはアルプスの大展望。ビデオやカメラ撮影でいっこうに歩が進まない。すれ違う人達とは日本と同じように挨拶を交わし合うのがマナーのようだ。日本では『こんにちわ!』だが、あちらはドイツ語圏。午前中なので『グーテンモルゲン』と思ったが、世界中の観光客が集まっている場所なのでマチマチだ。ただし現地の人も多く、単に『モルゲン』と言っているようだ。それに、私が日本人と分かるのか『コンニチワ』と言ってくれる人も多い。日本語も世界的になってきたものだ。(日本人観光客が多いためかも。)

 ハイキング道(アルプグリンデル[Alp Grindel])は、放牧された牛の群れがアチコチにいて、カウベルの音やモーモー鳴く声が響いている。なんとものんびりした風景ではないか! ツアー旅行では出来ない贅沢な日程だが、本日の宿は、はるかかなたの地点なので、あまりのんびりも出来ない。

 フィルストに着いて、ここからゴンドラリフトでグリンデルワルトの町外れまで下る。非常に長い距離のリフトである。数年前までは一般的なスキー場のリフト(但し横向き)だったのだが、現在ではゴンドラ化している。リフトからの景色も素晴らしい。正面の谷は氷河である。日本では夏でも雪渓しか見られないが、本場アルプスは至る所に氷河が残っているのだ。

 グリンデルワルトに戻り、町外れにあるベッターホルンを背景にした教会で休憩。そして、街に戻り、スーパーで昼食を買い求め、グルント[Grund]まで住宅街を縫って歩いて行く。知らない地であり、方向感覚が狂っているのだが、地図を頼りになんとか目的地に到着した。ロープウェイ駅近くの日影で昼食にするが、この日は完全な快晴だったせいか、太陽の熱で日焼けをしていて首筋や腕がヒリヒリする。

グルントから4人乗りテレキャビンで30分の、標高が2300mもあるメンリッヒェンへ登る。テレキャビンの切符売場で係りのおじさんがキャンディーをくれた。このキャンディーが気に入って町のスーパーに寄る度に探すことになる。(^_^)

 メンリッヒェンも大展望台だ。前方には万年雪で真っ白な、アイガーEiger(3970m)・メンヒMonch(4099m)・ユングフラウJungfrau(4158m)の3大名峰が招いている。観光客はここまでだが、私たちはハイキングが目的なので、本日の宿泊地クライネシャイデックへ向けて出発だ。

 正面にアイガー北壁を見ながら雪渓が残るハイキングコースを歩く。この日は平日の為か、ハイカーの姿は殆どいない。目の前を外国人の親子4人連れがいるだけだ。ハイキング道は緩やかに山の斜面を巻いて付けられている。息が切れるような急な坂道は全く無い。終始アイガーなどの山々を眺めながら悠々と歩ける。山の斜面には濃いピンク色のアルペンローゼ等の花々が咲いている。日本の山と同じくこの時期が高山植物の最盛期のようだ。アイガー北壁の直下に広がるクライネシャイデックの丘が近づくと、本日の宿泊ホテル“シャイデックホテル”が見えて来る。

 このホテルにチェックインし部屋を案内される。ここは歴史的なホテルだそうである。アンティックな調度品が目に付く。風呂や洗面台の水道の栓が錫(すず)製である。風呂は当然、西洋式であり、シャボンを泡だたせて入る方式である。ここは今回の旅行で唯一の1泊2食、つまり夕食(ディナー)付きである。優雅に夕食を楽しんでいたら急に雷鳴が轟き土砂降りの雨になってきた。猛烈な雷であった。さすがアルプスの雷様だ。やはり夕方までハイキングをしていたら恐い目に会いそうだ。注意注意!

3日目へ続く