3.7月21日(火)天気:晴れ

 朝、起きて窓から外を眺めると再びアイガー北壁が目の前に聳え立っている。今日もドピーカンの快晴である。(^_^) ところがハプニング発生。カメラが無いのだ。昨日のチェックイン時にフロントに置き忘れたらしい。フロントに行ったら従業員が誰もいない。ホテルなのに! 誰かに持っていかれてしまったんだろうな! 町に戻ったら安物でもいいから買おうと諦めかけていた。フロントの周辺をウロウロしていたらホテルの従業員であるお婆さん(経営者かも?)が出てきて『何かご用ですか?』と聞いてくれたので『私のカメラを探しています!』と言ったら、にこやかな顔で事務室の机を指差している。『あ、あった!』私のカメラだ。私は顔一面に喜びを表現して受け取った。(^_^)

 さて、支度をして登山列車に乗ろうと駅へ向かったらすごい人の列だ。さすがアルプス観光のハイライトであるユングフラウヨッホへの登山列車は人気がある。駅に1番近いホテルに泊っていたのに出遅れてしまった。座席があいていない。通路に座るしかなかった。

 この登山鉄道は驚異的だ。岩壁にトンネルを掘ってユングフラウヨッホの頂上近くまで鉄道を走らせようという計画を1912年(大正元年)に完成させてしまったのだから。観光収入を頼りにするスイスならではの発想だが、現代のように自然環境保護重視の世の中だったら大反対運動が起こっていたであろう。

 途中アイガーヴァント駅Eigerwand(2865m)とアイスメーア駅Eismeer(3160m)で停車するが、何とそこはアイガーの大岩壁に窓を付けて外が眺められるのだ。アイスメーアは完全に雪と氷の世界に変わっていた。窓の外は雨のように雪解け水が落ちていた。

 終点のユングフラウヨッホJungfraujoch(3454m)駅は岩窟の中でひんやりと冷たい。地上に出るには階段を何階も登って行く。中はデパートの土産物売場のようだ。地上に出ると、いきなり冬景色に一変する。大雪原に夏の太陽が眩しくて眼がまともには開けられない。スキー場の雰囲気でもある。ヨッホとはドイツ語で山の鞍部を意味している。つまり、ここはユングフラウとメンヒを繋ぐ稜線になっているのだ。プラトー展望台にてヨーロッパアルプス最長のアレッチ氷河を眺める。

 帰路は終点より一つ手前の駅であるアイガー・グレッチャーで下車し、そこからクライネシャイデック駅を経由してウェンゲン・アルプ駅までハイキングを楽しむ。その途中、平らな岩の上で早めの昼食とする。左手には氷河と雪渓に囲まれたユングフラウが聳え立ち、正面遠くにはミューレンMurren(1645m)の町が小さく見え、右手下方には高山植物が咲き乱れる草原の中を登山電車が模型のように走っている。至福の時間を過ごす。(^_^)

 クライネシャイデックの駅に到着したら、そこは観光客で賑わっており、大きなセントバーナード犬が観光客と一緒に写真に収まっている。ところが、その犬と写真を撮るのは有料なのだ!(^^; 日本人もやたらと多いが、ハイキングの時間も無い団体旅行客ばかりだ。私達はさらにウェンゲン・アルプ駅までハイキングを続ける。これが目的の旅行なのだ。太陽の位置も高くなり周囲の景色もガスって来た。

 ウェンゲン・アルプ駅からは登山電車を乗り継ぎ、グリンデルワルトのホテルまで戻った。

4日目へ続く