その後の日々        最初に戻る


10/7(火)

 本日は、同室のKさんが退院の日。みんなで見送ったら、明るい彼女がいなくなった分、なんとなくがらんとした気分。スペースは同じなのに。
 もう、T先生をいぢめる?などという、ふざけた話しで盛り上がる(?)のは、私と"お姉さんさっちゃん"だけになってしまった。
 今の病室は6人部屋だが、現在私の他に、昨日のCさんの後に私の隣に来た、奥様のFさん、窓際にふたりのさっちゃんと殆ど話のしたことのない単独治療(?っていうかなぁ!)のIさんの5人。あと、今日のKさんの後に誰が来るかな…というところ。
 午後になって、昨日からとなりのベッドに来た奥様のFさんとお姉さんさっちゃんと私とで、1階にお茶しに行く。朝から目一杯食べていて、さんざんお腹がぶうなのに、コーヒーフロートを(まだお粥の身の分際で)注文してしまう。明日はまた検査でたぶん夜は緊張して食べられない気が(ホントか?!)するから今のうち。
 夜、外科の先生二人が来てくれる。「その後いかがですか」程度なのだが、いつもわざわざ足を運んで下さるので、恐縮してしまう。…と思っていたら、さっき飲み物を買いに行った帰りのエレベータに独りで乗っていたら、途中の階から乗ってきた別の外科の先生に『あっ!救急で来た人でしたよね。』と声をかけられた。私は、すぐに気がつかなかったので、『よく覚えてらっしゃいましたね。』と答えると、『や、あの時すごい苦しそうだったでしょ。その後どうしましたか?聞きたいと思っていたんですよ。』と云って、私の病棟の階でひょいっとわざわざエレベーターを降りて、いろいろ聞いてくださった。
ひょろっと背が高くて、若くてかっこいい先生(笑)。こっちはあの時、のたうちまわっていたので、なんとなく覚えてはいるものの、顔の区別が実は全然ついてなくて、申し訳ないことに、どの場面で来てくださったのかは定かではない。先生の方がよく記憶していてくださり、なんとも恐縮してしまう。普通はカルテを見ないと、自分の患者でなければ、わからないものだと思っていたので、とても驚いた。
6時に病棟にあがって9時から緊急手術になったこと、観察室での1週間と現在までのこと、それに未だに原因が分からないこと、今週の検査の結果を見て、問題なければ退院させると云われてたこと…を話すと、とてもほっとしてくださり、びっくりした。いい先生だなぁ…。-ものすごい感動 -


10/6(月)

 今日は一応晴れ…かな、空は靄がかかって、あまり青くないのだが非常に明るい。
東京の晴れってこんな感じが多くて、最初とっても悲しかった。
 今日は、隣のベッドのCさんの退院日。すごい残念。今の部屋は非常に若いから、とっても楽しい。今度の隣の人がスーパーウルトラばあさんではありませんように。(時々すごい人がいるのよねぇ。病人のくせに。笑)
 朝9時から、初体験:浣腸の巻。(絶句)
やはりここで書くのははばかれるので、やめましょう。
 午後1時45分から検査。最初の右手の造影剤が漏れて、左手にやり直しとなる。漏れると痛いんだよねぇ、これが。
CTの間じゅう、がちがちになっていたので、終わった頃はへろへろになってぐったり。病棟に戻ると、Yさん(看護婦)に『顔蒼いよ』って声を掛けられたけど、その後ちゃんと食事をしたので、ま、たいしたことはないのでしょうが。大変に疲れました。

 夕方、サブちゃん先生が午後の検査の結果を早々と連絡してきた。「今日のは異常なし」とのこと。めでたしめでたし。

 さて、この頃自分の見る夢について考える。この夏、病院にはいってから、夢のない日はない。自分の夢が興味深いっていうのも変だけど、何の脈絡もない夢が次から次へと現れて、混乱してしまうこともよくある。今まで、このようなことが殆どなかったので、病院生活で、自分の中に、確実な変化が起こっている気がする。
何年も前に、通りがかっただけの場所から始まったり、信じられない人が登場したり、おおよそ自分が発したとは思えない台詞を口走ってみたり、それはそれはバラエティーに富んでいて我ながらその想像力に感心してしまうほどだ。

以前、学校で取っていた科目の関連で、フロイトやカントなどの本をちょっとだけ読んでいた。まあ、私には難しい本だったので、ちょっとしか読まないうちに、本棚に眠ってしまったが、この頃読み直してみようかな…なんて思い始めている。


10/5(日)

 朝、雨のち晴れ。
 ゆうべ、同じ部屋のKさんCさんと私との3人で、爆笑続きのおしゃべりを2時間近くもしていたせいか、今朝は腹筋が痛くて、また笑ってしまった。
夜回診に来た当直の、T先生(永瀬正敏似)を再び××?するという案があったが、あまりに笑い過ぎたので、3人ともパワー不足。何となくT先生は、この部屋の雰囲気を感じとったのか、さっさと逃げ腰(勝手な想像だが)ででていった。ふたたび爆笑の渦となり、間もなく消灯時間が来て、カーテンを閉め合うこととなる。おやすみなさい。
私は、笑い過ぎで虫が起こってしまったか(子供みたいだなあ)中々寝つけなかったので、スタンドの灯を小さくつけて、同僚さいちゃんからいただいた本『オンリー・ミー(三谷幸喜著)』の続きを読み出したら、面白い本なのにうっかり忘れてしまい、カーテンの中で声を殺して笑いこけて、もっと眠れなくなってしまった。1時間くらいして、本を完全に読みおえてようやく眠る体勢。
 明日、明後日で、CさんKさんの順に退院してしまう。ちょっと残念だが、こればっかりは致し方ないなぁ。

 さっき看護婦さんのKさんが、やってきて明日の断層撮影の説明に来た。身体の横断面を撮影する検査だ。
準備もすごいが、私の苦手な痛いメニューがめじろ押し。恐怖。眠れないよぉ。どきどき。
造影剤の注射は、痛くて大嫌い。どうやってもご赦免にはなりっこない明日は、ひたすら恐怖である。そのわりには、おやつ三昧してるけど。


10/4(土)

 朝は、ぼーっとしってこの頃なかなか起きれなくなった。夜も比較的早い目に眠っているように思うのだが、どうも今一つ。寝過ぎなのかな。
 今日の回診でサブちゃん先生が、再来週の初め頃に退院を考えているとのこと。あまり長引かないで良かった。病院生活の方が、楽には楽なのだが、そんなに病人してばかりもいられないので、ちょうどイイ頃かなと思う。
 Macをいじっていたら、Nセンセが新しい先生の回診にくっ付いてきていた。
『ご飯ちゃんと食べられてる?』『はい、食べてます』のやり取りの後、『再来週休み明けに退院できるらしいね』って云って下さり、『まあ、ゆっくり休んでたら』と締めくくっていなくなった。
今日からシャワーも良いとのこと。ラッキー!
 さて、病院時間の夜も深くなった8時半ころから、同室のKさんCさんと私で、爆笑タイムとなった。窓際にいるふたり、ダブルさっちゃん("学生さっちゃん"と"お姉さんさっちゃん")は外泊していなかったので、いつも静かに誰とも話さないIさん以外のこの3人は、手術の時の愉快な話や、Cさん(40代)の会社の若い女の子の奇怪な話やらで異常な盛り上がりの後、なぜかドア付近で、ナースステーションの実況中継。
夜回診に来た、当直のT先生(永瀬正敏似)に、Cさんが『私退院が決まっているのに37度から微熱が全然治まらないのよねぇ、いいのかしら?』と質問をしたところ、T先生が『大丈夫だと思います』と答えた。そこで彼女はすかさず、『思いますじゃなくって、大丈夫ですよっていってくれないと安心してでられないじゃない?』と返すと、後ろ手に組んだT先生が、わずかにおどおどした表情で、『データ見てきますから』とそろそろと出ていった。私達は、『あ〜!いぢめてるぅ!』って爆笑になり、T先生の動向を見守って、あれやこれやと話が膨らんでいった。そうこうしているうちに、T先生が戻ってきて、『Cさん、一応データの方は確認しましたが、手術もしていますし、まだそういうこともあると思います。これが…云々』と説明してくれた。『そう?。はっきり云ってもらえないと不安でしょ、だから聞いたのよ』とCさんは納得して返事。T先生は、どうもおばさん年代には、慣れないのかどこかおどおどした感じだが、すぐ調べてくれるところはさすが。どこかの部屋で、もっとやられてんのかなぁ。もしかして。(笑)