久しぶりに旅気分で帰省の途を時には遠回りして楽しもうと思ったのは、「安い朝一番の便に乗るのに、いつも4時に起床して(といういか、ほとんど寝ずに)一番電車に飛び乗り、慌てながら乗り換えを繰り返しぎりぎりに羽田に到着する」という必要がなかったためである。
お昼の便で移動するのはいったいどのくらい振りだろう。
これは北海道国際航空(Air Do)のお陰である。
搭乗は午後12時25分発千歳空港行き。
羽田空港まではいつも始発電車で新宿へ出、新宿から中央線で東京駅、山手線に乗り換えて浜松町へ、そしてそこからモノレール、というのが常であった。朝はその方が確実なのである。所要時間きっかり1時間半。
今日は、余裕を持って時間の準備をした。出掛けに最後のメールを読み出し、書ける返事をしMacのシステムを終了する。
玄関のカギをかけたのは午前9時45分。
そこから乗り換えを経て渋谷へ出、山手線に。山手線は品川で降りた。
何回も乗り換えを重ねてもさほど時間はかかっておらず、行き交う人を見る余裕もあり。品川まで所要時間30分未満。
「なんだのりつぎが速いと近いじゃん」などと思う。
品川駅の京急の切符売り場は人でごった返していた。その殆どは八景島などに行楽へ向かう家族連れや若者らしいことが係員のアナウンスからわかった。
京急は切符売り場が改札の中にあり、外に出る必要はなかった。
品川から羽田空港までの所要時間と電車の時間を確認してから、JRの切符を出し羽田空港行きを求める。
そのあと、時間を逆算しつつお腹のすいたのを満たそうと構内にあるパスタやさんに入り、予定通りに11時12分に電車に乗り込む。
京急羽田空港駅がこんなに便利なものとは思わなかった。モノレールよりも移動が楽で、おまけに400円だった。安い。今度からこれにしよう。
遠回りのつもりが、実は乗り継ぎが上手くいくと、トータル時間は1時間程度であることが判明。乗り換えるのに、荷物を持ったまま歩く必要があるが、それもまた旅であればよし。
出張などであちこちに移動していた頃は、とにかく時間から時間へという感じであったため、常に最短距離、最短時間が目標で何も余裕がなかった。今までの帰省もずっとそうだった。朝の暗いうちから半分眠りながらホームからホームへ急ぎ足ばかり。
だから今日はとてもいい気分だった。
初体験のAir Do。いったいどんなかな〜などと、先ほどからのいい気分のまま期待しつつカウンターへ。そして、クレジットカードを確認してもらいチケット(機械で発券ではない、シール&手書き)をもらい搭乗口83番に向かう。
80番台はとても久しぶりだなと思う。しばらくずっとANA便だったせいか、20番台ばかりだったので、方向が全然ちがった。
バスが到着し飛行機の場所まで移動。小型の飛行機も久しぶり。
以前、ボストンからニューヨークへ移動するときに乗った飛行機のことをぼんやりと思い出した。
----ボストン発のその便は、天候が良くなかったため予定の時刻になっても飛びたつ気配がなく、焦りまくった。
空港内のアナウンスも聞き取りにくくて、不安はつのるばかり。Northwestのカウンターのお姉さんに「いつ飛びますか?」と何回も尋ねていたら、「飛ぶことになったらあなたの名前を呼ぶから大丈夫よ。そこにすわってなさいねー」とのーてんきだった。ベンチにぽつりと座っていたら、身なりのよい母娘という感じの二人組が腰掛けてきた。どうやら同じ便という感じだったので、「まだ飛ばないんですよね?」と声をかけたら、「そうですね。でもこんなのはしょっちゅうよ」というような返事を返されてしまった。「やれやれ。」
いよいよアナウンスがありなんと約2時間遅れで小さなプロペラ機に案内される。定員40人くらいの飛行機だ。
「えー、、こんなの聞いてないよぉ。」
スチュワーデスさんなんかもちろんいない。操縦士のおっちゃんが何やらご案内を喋っていたがさっぱり分からなかった。
待たされた挙げ句に、小さい飛行機はがしがし旋回するし、揺れはひどいし、一遍に具合が悪くなってしまった。---といった出来事がそれである。
人々からは「この飛行機大丈夫だよなぁ?」などというような台詞がちらりほらりと聞こえてくる。毎度こんなふうな台詞をさり気なく耳にしながら、客室乗務にあたっているAir Doのスタッフの方々は大変だろうなあと思う。
さて、ここまではたいそう良かった。
最後のバスが到着し、飛行機を満員にして飛び立つ頃からけたたましくちょっとお下品でイライラする笑い声が響き出した。
前列の一番端の席に座る二人組の女の子たちだった。何がそんなに苦しいくらい笑えるのかと思うくらい「うっひゃっひゃっひゃ、ががががぁ〜、うぉーほっほっほ」といった笑いが高らかに、そして延々と続いたのである。
本人たちはその笑いの中に入り込んでいるせいか、周囲の反応には全く気がつかない。
こういうときは機内放送を、、、とも思うのだがAir Doは残念ながらその用意がないため逃げ場がない。
我慢してみたものの、結局到着するまでの1時間半くらい彼女たちはずっとその調子で笑いつづけ、とても腹が立ってしまった。(最近は穏やかさが無くなってきたか?)
着陸したときに、特にうるさい方のひとが「あー笑い過ぎて腰がいたい。でもしあわせー」と宣っていたのが聞こえた。だめ押しと言う感じで頭にきた。
せっかくここまでいい気分できたのに、台無しにされたような気がした。子供のほうがずっと大人しかった。
機内で疲れたので、速く高速バスに乗って眠ってしまいたかった。
バスは市内の実家からの最寄りのターミナルステーションまで高速道路一本で所要時間50分。
市内中心部の渋滞に入らないため、札幌駅よりはずっと北なのに、はるか速くにつく。バスがきて乗り込むと、なんと!先ほどの賑やかな二人組も乗ってこようとしていた。。「おおお、うるさいのはごめんだよ〜、勘弁してよ〜」と思いつついると、どうやらバスを間違って乗るところだったらしく、係員に「向こうの◯番乗り場ですよ」と教えられて移動していた。
たすかったぁ。
そして、安眠は約束されたまま、無事ぐっすり眠りにつき終点に到着した。
普段電車では眠れないけれど、このバスは乗り物の中で一番良く眠れる便なのである。
そして無事家路に。
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