Radis Amusant



<strong>10月2日(金)〜7日(水) 「ふたりてん」特集日記</strong>

1日目(10月2日・金)
ふたりてん開幕。
搬入時に終わらなかった飾り付けを、スタッフさんと
急ピッチで済ませ、それが終わったと同時に最初のお客様が来る。
しかもそれは臨月のパレット8期のお友達。
妊婦さんは縁起がいいと言うし、しかも商売は朝イチで
子連れ客が来ると繁盛すると言われているので、すごくありがたい。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113847322.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113847322.jpg" alt="外風景" border="0" width="300" height="400" /></a>

初日にパーティ(OP)を企画しなかったので、とても穏やかなスタート。
真面目に帰ろうと思ったが、スタッフAさんにお酒を薦められて
気がついたら3時間ぐらい(Aさん相手に)1人OP状態に。
昼間友人からもらった丸カステラを、のどに詰まらせ
危うく「展示初日に作家窒息死」と言う、ペーターズの伝説を
作りかけたが、取りあえず無事。
楽しくほろ酔いで帰宅。(写真は三枝さんの展示スペース)
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/2015101011384910f.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/2015101011384910f.jpg" alt="三枝さん作品" border="0" width="300" height="225" /></a>


2日目(10月3日・土)
週末はギャラリーも賑やか。
私のブログを読んで、車いすで来て下さったお客様もいらして
驚くと同時に感謝する。階段が多い会場でごめんなさい。

夜はオープニングパーティ開催。
会場BGMは、三枝さんのご友人であり写真家でもある
DJ沼田学さんに依頼。選曲された80年代音楽は
大いに会場を湧かせていた。ご協力ありがとうございました。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113653e85.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113653e85.jpg" alt="DJ沼田さん" border="0" width="300" height="225" /></a>
(沼田さんHPは<a href="http://manabunumataphotos.tumblr.com/" target="_blank" title="こちら">こちら</a>から  )

ふたり展は初めての試みなので、どんな風になるか
実際にやってみなければ見当がつかなかったのだが
いざふたを開けてみると、絵の展示をしていると言うよりは
次第に舞台に立って漫才をしている様な心持になってきた。
実際に爆笑しながら帰っていくお客様も多々いらしたので
この感触はあながち間違いでもないのだろう。
まぁ組む相手にもよるのだが、相方の三枝氏はとんでもなく面白い人で
我々はこの日の帰り道、彼女のせいで危うく笑いすぎて窒息死の
憂き目に遭う。…作家に次々受難が振りそそぐ展示会だ。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113654e19.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113654e19.jpg" alt="アクリルの絵" border="0" width="400" height="300" /></a>


3日目(10月4日・日)
穏やかな天気の日曜日なので、お客様多し。
昼過ぎは子連れの友人達でギャラリーが湧き、幼稚園みたいな状態。
相方の三枝氏は妙に勘が良く、スタッフK君の誕生日を言い当てたとかで
別の意味でギャラリーは湧いていた。私、エスパーと展示をしてしまったのか…。
ギャラリーに来た同い年の友人が、16歳下のイケメン・イタリア人の方と結婚していた。
しかもその方は、ものすごく漫画に詳しく日本語も上手く
「高橋留美子がいかに素晴らしいか」で盛り上がった。色んな意味で羨ましい。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101136585c5.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101136585c5.jpg" alt="こまちゃんお花" border="0" width="400" height="300" /></a>
(会場に大きなお花を送ってくれた友人、会期中にお礼を言おうと思ったが
終ぞ現れず。しかし終わってから、この日の昼に登場していた事を知る。
私は連日・終日、会場に居たはずなのに!?ここにもエスパーが!?)

帰り道、三枝家の人々と近くの居酒屋・真吉で酒盛り。
お魚が相変わらず美味しい。三枝氏に「なぜ漫画を描かないのか」と問われ
「枠線が上手に引けないからです」と答えたら、今度から枠は三枝氏が
書いてくれるらしい。
なぜか私を漫画化…いや、漫画家にしたがる、エスパー三枝。
未来に何が見えるのか。みんなで楽しい気分で帰宅。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113941ef3.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113941ef3.jpg" alt="真吉" border="0" width="300" height="225" /></a>


4日目(10月5日・月)
月曜日の昼間は、通常もっともお客様が少ない時間帯なので
スタッフAさんの薦めで、その場に居たイラストレーターの
友人たち、Aさん、エスパー三枝と共に車座になって
ギャラリーでお酒を呑みながら宴会。
いいですね、こういう展示会。ゆるくて楽しくて。
私、酔って危うく丸椅子から落ちかける。危ない、危ない。
「展示期間中、作家が酒に酔って椅子から転げ落ち、頭を強打して死亡」
と言うペーターズの新たな伝説に、また近付く所だった。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113844070.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113844070.jpg" alt="マップ作品3メートル" border="0" width="400" height="300" /></a>
(今回は3メートルに及ぶ巨大マップも展示中。迫力あります。手前味噌)


5日目(10月6日・火)
この日は相方であるエスパーがいないので、笑い死にもまぬがれ
穏やかな1日。今日のお客様は長くゆっくり作品を見て下さる
方が多かったので、作品を静かにじっくり見たい方には
こうした何もない平日昼間がやはりお勧めですね。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113947ed1.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113947ed1.jpg" alt="本の原画と映像と" border="0" width="400" height="300" /></a>

ちなみに純粋な人であるエスパー三枝は、長年私に対して
何やら見込み違いをしている様なので、この展示を機に
「目を覚まさせてあげた方がいい」(byスタッフA氏談)と思っていたのだが、
三枝姉妹曰く「逆ですよ!かぶらぎさんが目を覚ますべきなんです!」と
言われた。確かに私はこの展示を経て、緩やかに目が覚めてきた。
三枝さんがエスパーであり、その秘めた力で初日の爆弾低気圧も
最終日に接近してきた超大型台風23号も退け、スタッフの誕生日を当て
ギャラリーを爆笑の渦で湧かせた、その力はすごい。
今度会う時、この人は空を飛べるようになっているかもしれんな…。
<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/2015101011384556d.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/2015101011384556d.jpg" alt="階段展示" border="0" width="400" height="300" /></a>



6日目(10月7日・水)
最終日。この日エスパーは、とうとう若い女性スタッフTさんらを相手に
タロット占いを披露し始めた。占いカフェならぬ、占いギャラリーである。
秘めたる力を惜しみなく人のために使うエスパー、場を和ませて偉いわ。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113943f37.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113943f37.jpg" alt="大盛況" border="0" width="400" height="300" /></a>

最終日はほぼ例外なく、お客様で賑わって忙しないものだが
そんな中、いきなりエスパーが「かぶらぎさん!かぶらぎさん!!」と
大絶叫して駆け込んできた。「この人どうしちゃったのかしら」と思って
振り返ると、そこには『平成の絵師』や『画伯』などの敬称で知られ
つい最近はNHK「日曜美術館」や、TBS「情熱大陸」で特集を組まれていた
現代アート界のスーパースター、<strong>山口晃さんのお姿があった…。</strong>
(作品については<a href="http://matome.naver.jp/odai/2135712013870654301" target="_blank" title="こちらのサイト">こちらのサイト</a>などをご参照ください)

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101136526f6.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101136526f6.jpg" alt="10・07山口さんショック" border="0" width="418" height="300" /></a>

人間、余りにも次元を超えたあり得ないものを目の当たりにすると
それが一瞬自分が作り上げた妄想なのか、現実なのか
わかんなくなっちゃうんですよね。なので咄嗟にはわたくしも「はいぃ?」と言う
リアクションしか取れなかったのだが、恐らく私も周囲も次の瞬間
「うそっ!!」と思ったと同時に、ウィンドウズ7用に設定されたPCが
無料提供のWin10を搭載したような状態のフリーズを起こし、
その場は騒然どころか、逆に恐ろしいほどの静寂に包まれたのだった…。
(後で聞くところ、その場に居合わせた人々は平静を装うのに
必死だったらしい)

美術界の人には当然説明は不要だが、一般の方の為に分かりやすく例えると
これは福山(敬称略)がいきなりギャラリーに来たのと、同じぐらいの
破壊力を持っている。わたくし、とうとう最終日にショック死か。
伝説通り越して、事件ですよ。と言うか私が死ななくても、既に事件ですよ。

そして人間、咄嗟の時に正しい判断はなかなか出来ないらしく
どうしていいかわからん私は、おもむろにカメラを持ち
「かかかかか…隠し撮りを」と言っては、周囲から止められ
(注:山口さんは私がDMをお出ししたので、こそこそ隠し撮りせんでも
いいはずなのだが。しかし本能的についつい…)
近くにいたイケメンで優しいイラストレーターの亀澤君に「傍に居た方が
いいんじゃないですか」と冷静なアドバイスをされ、咄嗟に
「一緒に居てくれ」と頼んだが(さすがに今回ばかりは必死なので下心はなし)
イケメンで優しい亀澤君は、本当に優しいので「僕もう帰りますわ」と
気を効かせて帰ってしまったのだった…。ひぃ。

この場合、隠し撮りではなく、ご挨拶してお茶をお出しするのが
正しい判断ですが、さらに追い打ちをかけるようにそのわずか1〜2分後
イラストレーターの城芽さん率いる<strong>宝塚</strong>大学の学生さん達が
「授業の一環として、ギャラリーを見せて下さい」と言って、急に来場された。
その光景はさながら「金のガチョウを持っている城芽さんにくっついた街の人々」
のように(ペーターズの入り口は狭いので)一列になって次から次ぎへと
総勢20名ほどの学生さんがどんどこ、どんどこ入ってきた…。

山口さんと宝塚、まさに盆と正月が同時にやって来たかのようなこの事態に
わたくしは完全にフリーズし、そこに立ちつくしながら
「落ち着け私、<strong>宝塚</strong>と言っても宝塚音楽学校ではない。その<strong>宝塚</strong>じゃない」と
まずそういう無意味な所から、必死で平静さを取り戻そうとしていた。
傍らではエスパーが、スタッフTさんと「宝塚なら関西から来たんですかね」と
言い合っていて「それは違う。絶っ対に違う」とお腹の中で呟きつつも、
もう既にその時点で、突っ込む毒気を抜かれていた私である。
(実際この大学は新宿にあるそうです)

かくしてそんな押すな押すなの、大盛況展のようになったギャラリーの中に
さり気なく(!?)山口晃さんがいらっしゃる。後で聞いたところによると
スタッフTさんはこの時「学生さんが山口さんに気づいたらどうしよう!
大パニックになったら、どうしたらいいのか…」と、就任半年目にして
最大の危機を試されていたらしい。
しかし一方で、イラストマップを囲んでは賑やかに湧いている
学生さん達を見て山口さんは「おお、盛り上がっていますよ」と楽しそうにし
「なかなか自分の作品についての意見を聞く機会はないから、このように
聞き耳を立てた方がいいですよ」と、果敢にも学生さんの中に
入って行って耳をそばだてる演技をして下さった。ひぃー。

本来なら、学生さん達にご挨拶したり笑いかけるのが筋なのだが
大変申し訳ないが、完全にこの事態は私のキャパを超えていたので
私はその場で卒倒しないように立っているだけで精一杯でした。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
(ちなみに学生さんと意気投合したエスパーは、ちゃっかりみんなとの
集団記念撮影に収まっていた。「私の展示に来てくれたから!」と嬉々として
語っていたが、オレは…?)

この間、わずか1時間にも満たない時間だったと思うのだが
果たして私は山口さんに、作品についての講評をお聞きする事はおろか
人間としてまともな対応も出来なかったのではないか…と、色々
反省したいが、思い返すのも恐ろしいので、敢えて考えない事にする。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113850d3b.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113850d3b.jpg" alt="山口さん" border="0" width="400" height="352" /></a>

そして記念撮影をしたり、握手を求めたりと、感激にむせびながら
丁重にお見送りする我々を見た山口さんは、くいっと顔をあげて
「なにやら…とても良い事をした気がします」と仰って帰って行かれました。
よ、喜んで下さっている?我々の対応、これで大丈夫でしたか?

その後、会場に居合わせたイラストレーターの中島梨絵さん共々
みんなで手に手を取り合って、ギャラリーの前で小躍りした事は
言うまでもありません。中島さんがうっかり口を滑らせ
「こんな所に山口晃(敬称略)がいるなんて!!」と言って
我々から「こんな所とはなんだー」と突っ込まれ、ギャラリーに対し
土下座せんばかりに平謝りしていた事も、彼女の名誉の為
付け加えておきます。はい。

感極まったエスパーは「ふたり展ってスペクタクルですよ!」と
言っていたが、果たしてふたり展がどれもそうなのか
エスパーが何か力を発揮してしまったのか、凡人の私にはわかりませんが
いやはや終わりよければ全てよし。感謝感激であります。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101411401f3.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/201510101411401f3.jpg" alt="お礼のクッキー" border="0" width="400" height="300" /></a>

(写真は皆様にお配りした、お礼のクッキー)

そんなこんなで、非常に密度の濃い、楽しいふたり展も無事終了。
いらして下さった皆様に、深く感謝しています。
終わってから会場に置いていた感想ノートなどを読み返して
そこに記された皆様からの温かい言葉に励まされ
これからも頑張ろうと思いました。元気貰いました。

そしてふと、最後のページを見ると…そこにはいつの間にか
山口さんのコメントが!どれだけ良い人なんだ、山口さん(涙)
そこには私がこわごわ知りたかった作品への感想と
『来てよかった。またまいります』との言葉がございました。

これは…社交辞令かもしれない。そうはわかっていながらも
もしも、もしも、またいらして下さった時に、妙な作品をお見せする
わけにはいかん…と、自らのハードルを上げた展示会でございました。

一緒に開催したのが三枝さんで本当に良かったなぁと思える
楽しい1週間。諸々ありがとうございました。

<a href="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113940f41.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-81.fc2.com/m/i/n/minakokaburagi/20151010113940f41.jpg" alt="私似顔絵" border="0" width="300" height="400" /></a>
(そんなエスパー三枝が描いて下さった、わたくしの似顔絵。美化186%:当社比)