★★★★★......Excellent
★★★★..........Very Good
★★★.............Good
★★................Fair
★...................Turkey
1/2は★半分。

「オー!ブラザー」
O Brother Where Art Thou?
2001米
Joel Cohen/Director Joel Cohen,Ethan Cohen/Screenplay T-Bone Burnett/Music
CAST/George Clooney,John Turturro,Tim Blake Nelson,John Goodman,Holly Hunter

コ−エン兄弟最新作。
今回もというか、今回は特にすっとぼけた映画になっている。オデュッセイアが下敷きとの事だが たしかに、惑わしの女神は出てくるし、一つ目の巨人は出てくるし、、、
ジョージ・クルーニ−は今までの映画の中ではベストのいい感じ。脇にいい役者ばっかりいるから 当然なのだが、あるブランドのポマードだけは手離さないという設定が笑えた。
この映画、我々には馴染みの薄い、カントリー音楽が主体になっていて、金になるから「ズブ濡れボーイズ」 というでっち上げの名前で録音した曲が本人たちの知らないとろで大ヒットしてて、、、というのが 普通だったらそれを物語りの大筋に持ってくるところだが、そうではなくて、彼らが奇妙な出来事に 遭遇していく様が楽しい。コ−エン兄弟の映画、好き嫌いあるようだけど僕はやはり好きで、あの シャープな映像と、なんか狐につままれているような物語、、何がいいたいのか良く分からない曖昧な 感じが何とも言えない。
とはいえラスト、ズブ濡れボーイズが彼らだって判るくだりはグッときます。 ちなみにこの映画のサントラ盤は2002年のグラミー賞のベストアルバムに選ばれた。
また、そのサントラに参加したミュージシャンが1日だけ開いたコンサートのドキュメンタリ−映画が あって、アメリカだけでこっそり公開されたとか。
★★★★

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「GO」
2001東映
行定勲/Director 宮藤官九郎/Screenplay めいなco/Music
CAST/窪塚洋介,山崎努,柴崎コウ,大竹しのぶ

自分が行ってた小中学校には在日の子って結構いて、、というかそんなのフツーで別に意識もしてなかったけど、やはり地域や人によってはかなり普通に考えられて無い所もあるようで、、 そこに焦点を当てた小説の映画化、、、変に作るとかなりキツイものになる所を、かなり ポジティブな、元気の出る映画になっている。
たしかに主人公自身が確認するかのように「恋愛についての話」と言っているが、実際は父親と母親 の世代と、完全に日本で育った彼の心の葛藤を描いている。
この親父と息子の関係がむっちゃク−ルで、サツに捕まったときに無言で現れては素手でひたすら 殴りまくる、、山崎努が上手すぎて、、、、息子が息子の立場から対等に親父と つきあっている感じがすごく良かった。大竹しのぶはいつも上手い女優全とし過ぎてて苦手なんだが、 今回は出番も少なくよかったな。
★★★1/2

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「テルミン」
Theremin
1993米
Steven M. Martin/Director and Screenplay Hal Willner/Music 83min
CAST/Leon Theremin,Crara Rockmore,Robert Moog,Brian Wilson

僕が今やってるバンド"transparent"ではヴォーカル&ギターがテルミンを使っている。どちらかというとエフェクトっぽい扱いで、リズムの無い部分でギューーン!って感じでね。
最近ではジョン・スペンサーがライブで使ってるの観たし、コーネリアス の小山田圭吾や、、古くはツエッペンのジミー・ペイジとかも使っていた。
 最近のバンドで使ってるテルミンの大きさは、エフェクターボックス程度でアンテナなんかも収納出来るコンパクトなもの。 しかし、この映画に出てくるオリジナルのテルミンは冷蔵庫程もありそうな大きなタイプ。昔のSF映画に出きそうな、後ろにスピーカーらしき大きなパネルがあって、左手にアンテナ、右手には湾曲した金属パイプの ようなものがある,なんだか不思議な箱という感じである。
勉強不足だったんだが、テルミンっていうのが、開発者の名前である事 も知らなかった。
レオン・テルミン博士、ロシアにおいてテルミンを自らの研究で開発した彼は第二次世界大戦前にニューヨークを拠点に活動。この映画は彼の愛弟子とも言える、テルミン演奏家の第一人者、クララ・ロックモア のインタビューを中心に、彼の歴史を遡っていく。
第二次世界大戦中に急に姿を消した彼は祖国に戻っていたが、実際は収容所で強制労働についており、西側には彼は処刑されたものとなっていた、、、。
この二人が再会する所を映画のクライマックスに持ってきており、よくぞ残っていたと思うのだが、1930年代のテルミン博士と彼女の映像とフラッシュバックさせる。テルミン博士はこの時点で90歳を超え、クララも80を超えている。凄い。過去の映像の博士、、すっごくダンディでかっこいいのだ。
ただこの部分は特別感傷的に描かれてはいない。、どちらかというと晩年のテルミン博士は、ちょっとボケが入ってそうな、かなりおとなしい老紳士になっており、再会の場面もかなりあっさりしていて、実際は そんなもんなんだろうな〜と感じた。50年以上会ってない わけだから、そこで号泣したらウソだもんね。ただ、なんともいえず その再会の場面が微笑ましくっていいのだ。「ホラこれがあなたの昔の写真よ」 「眼鏡持ってくるの忘れてしまってよく見えん」なんてね。
おもしろいのは、彼がロシアに帰ってからはいわゆる盗聴器のようなもの を開発していた事実とか、楽器だけではなく、あくまでも新しいモノを 創る創造者であり続けたこと。
クララの演奏は凄い、、、あのちょっと触っただけで微妙に音色の変化する 楽器をまるで、バイオリンの用に流暢に弾きこなす。元はバイオリン奏者で、 テルミン音楽的進歩性を感じたから、博士についていったのだという。 そういえば50年代のSF映画やホラーによく「ぽわ〜ん」と言う効果音的音楽が出てく るけど、あれ昔のテルミンだったんだね。
また、音楽やってる人なら知ってるミニ・ムーグの開発者ムーグ博士も テルミンの影響からだそうで驚いたし、ビーチ・ボーイズの「Good Vibration」にテルミンが使われてるのをブライアン・ウイルソン自ら語るシーンもおもしろい、、、目がイってて結構やばそうなんだわ。
この映画の米国での発表は1993年で、なんと映画完成のプレミアの翌日にテルミン博士は亡くなったとのこと。当然映画では触れられてないがすごい事実だ。
★★★1/2

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「ロック・ユー!」
A Knight's Tale
2001米 132min
Brian Helgeland/Director and Screenplay Richard Greatrex/Photographer Carter Burwell/Music
CAST/Heath Ledger,Paul Bettany,Rufus Sewell,Shannyn Sossamon,Mark Addy,Alan Tudyk,Laura Fraser

観終わったあとハッピーな気持ちになる活劇の傑作。
このタイトル、、、色々考えた結果なもんなんだろうが、、しかし「ロック・ユー!」とは。誰が聞いても バンドが出てくる音楽ものだと思うはず。
原題は「A Knight's Tale」(騎士物語)ということで実際は中世の時代の騎士の話。
中世の平民の青年が身分を偽って"馬上槍試合"に出場し、仲間の助けもあってどんどん強くなっていくと いうストーリー。
冒頭にクイーンの「We Will Rock You」がかかるのでそんなタイトルに、、、、たしかに例の「どんどん ちゃっ どんどんちゃっ」って いうリズムを観客が奏でる描写があるけれども、、ずっとそのノリでは行かず にしっかりと作られた作品だった。
「グラディエータ−」の ようなスケ−ル感は無いが、中世を舞台にした青春映画としてとても楽しめる。 この2人の従者と一人の口上師、そして女の子の鍛冶師との旅の雰囲気が楽しくて、、 、裏切らない仲間に支えられるってのはいいもん。
「L.Aコンフィデンシャル」で 見事な脚本を書いていたブライアン・へルゲランドの監督第一作。舞台が舞台だけに かなり撮影とか大変だったと思うが、見事に仕上げている。どーりでテキトーに作っ てそうで、 実は内容が詳細に渡ってきっちりしていると思った。
特筆すべき は試合前に自分が付いている騎士の口上を述べる人に実在の作家チョーサー が就いていたという おもしろい設定を持ってきていて、それを演じているポ−ル・ベタミ− 、、、最高です。後に「ビューティフル・マインド」 で例の幻覚として出てくる親友を演じる俳優。彼の演技を観るだけでも一見の価値あり。 僕の現在の一番の注目株です。

★★★★

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「リトル・ダンサー」
Billy Elliot
2000英 111min
Stephen Daldry/Director Lee Hall Screenplay Brian Tufano/Photographer Stephen Watrbeck/Music
CAST/Jamie Bell,Julie Walters,Gary Lewis,

どんな状況でも、自分が「好きだ!」と感じるもの、そしてそれを 見つけるきっかけが人生のどこかにある事は素晴らしいですよね。
この映画のバレエにしろ、音楽にしろ。もっと他のものでも。

この映画はイギリスの炭鉱が舞台。
僕が勝手に名付けた炭坑4部作、、「フル・モンティ」「ブラス」「遠い空の向こうに」 そして本作品。他にも沢山あると思うけど、炭鉱が閉鎖されたり、ストがあったり、 そんな厳しい現実から希望を見出す設定の映画になってます。
「遠い空の向こうに」はアメリカ映画で、あとはイギリスの作品。

イギリス北部の炭坑町。
11歳のビリーは炭坑労働者の父と兄、祖母と暮らしていた。
母は数年前に亡くなっている様子。通っていたボクシング教室と同じ 体育館でやっていた女の子だけのバレエ教室のレッスンに飛び入りした ビリーは、バレエに特別な何かを覚えた。
教室の先生もビリーに特別な才能を見出す。
彼はバレエに夢中になるけれど、厳格な労働者である親父は大反対。

「炭坑4部作」の設定が似ている点は
@経営難の炭坑が舞台。
A皆ストライキまたは、そのため職にあぶれていて街は元気が無く、 ネガティブなムードが漂っている。
Bそこで「何か」に魅せられ、熱中する主人公。 
Cそれに伴う困難と街の人びととの軋轢、または理解。

細かくは違うけど、基本は全部こういうストーリー構成です。
「炭坑」という舞台を「人が希望を失いかけている」という事の象徴 として描いているような気もします。

特に「遠い空の向こうに」と、「リトル・ダンサー」はとてもよく似た設定。
頑固モノの親父は、息子には炭鉱夫になってもらいたい、 叉は、地味で堅実な人生を望んでますが、 自分の現状に対してはかなり不安を持ってます。

息子は炭坑そのものに将来性を感じられず、「遠い空」の場合はロケット製作に、 この映画ではバレエに熱中。当然親父からはことごとく反対されます。

タイトルバックの映像は、ビリーがロックを聴いてベッドでぴょんぴょん跳ねる映像。
飛翔する感じ。彼は天性のリズム感があって、、
自分ではコントロール出来ないくらいに体がどんどん動いてしまうんですね。
「リトル・ダンサー」では、男がバレエをやるなんて!
とすぐ言われる炭坑街で徐々にビリーがはまっていく過程と親父 との確執が面白いです。

観客は「何て理解の無い親父!」と思わせる描写の連続。でも このカタブツの親父の伏線が後半ぐっと感動的にさせてくれるんですね。
中盤でバレエの先生に「いらんものを教えるな!」と文句つけに行ったあと、 ビリーはこっそり練習している所を見られてしまいます。(ここは名シーン)
翌日親父は無言で裏切り行為とも言える、組合に反して再開させている現場 へ向かいます。同胞でもある長男がみつけて激しく止めるシーンにはぐっときました。
実は誰よりも息子を愛していて、何を犠牲にしても自分は 彼の幸せな人生を望んでいるんですね。
あと、家族との別れのシーンも泣けました。

このビリー君、ある意味子供っぽい所と、妙にませたところがある 雰囲気が絶妙で、コーチの先生とのやりとりなんて、とても味があって、 本作に洒落ッ気を随分ともたらしているように感じますが、当 時映画初出演だったらしいですね。

こう書いていると凄く感動的な物語のように聞こえそうだけど、 肝心の主人公はただなんとなく、、、好きになっていくのかな〜っていう だらっとした感じの映画です。(笑)

この映画「白鳥の湖」が出てきますが、ラストのバレエ団は最近来日もあった マシュー・ボーンのものらしいですね。
僕も「バレエ」と言われるとあまり詳しくないので、白鳥の湖が 浮かんでしまいますが、 バレエに精通されている方が観たらどんな感想を持つ映画なのかちょっと興味あります。 「甘すぎる!」とか思うのかなあ。

★★★★★

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