★★★★★......Excellent
★★★★..........Very Good
★★★.............Good
★★................Fair
★...................Turkey
1/2は★半分。

「ノー・マンズ・ランド」
No Man's LandBR>
2001仏・英・伊・ベルギー・スロヴェニア 98min.
Danis Tanovic/Director,Screenplay and Music Walter Van Den Ende/Photographer
CAST/Branko Djuric,Rene Bitorajac,Filip Sovagovic,Katrin Cartlidge,Simon Callow

ボスニア戦争を描いた映画で、監督、脚本のダニス・ダノヴィッチは実際にボスニア軍に参戦し、内部から観たドキュメンタリー映像を撮っていた。
1993年6月。ボスニア紛争の最前線。霧で道に迷ったボスニア軍の兵士たち。いつの間にか敵陣に入り込み、気づいたときにはセルビア軍に攻撃されてしまう。唯一の生存者チキは、なんとか塹壕にたどり着き身を隠す。そこは、ボスニアとセルビアの中間地帯“ノー・マンズ・ランド”。偵察に来たセルビア新兵ニノと老兵士はボスニア兵の死体の下に地雷を仕掛けて引き上げようとする。その瞬間、隠れていたチキが二人を撃ち、老兵士は死に、ニノは怪我を負う。チキとニノの睨み合いが続く中、死んだと思われていたボスニア兵が意識を取り戻す。しかし、少しでも体を動かせばさっき仕掛けた地雷が……。チキはまさに身動きできない仲間を気遣いつつも敵兵ニノに眼を光らせるのだったが……。
と書いて判る通り、塹壕という小さな状況の中で、セルビア人、ボスニア人2人の三人が閉じ込められた状態 そして、本来中立の立場である筈の国連軍、それを世界に伝えるメディアが介入するというシチュエーション は、ボスニア戦争そのものをコンパクトに再現しているようだ。
言葉は同じ元は同じ民族なのに、戦争に対しては「そっちが仕掛けた戦争だ」と互いにゆずらない。ある時は 協力して、普通なら友情も芽生えるかもしれないような状況なのに、些細な事(一方的な誤解も含まれる)で一触即発になったりしてしまう。
まさに戦争とはこんなしょーもない事から亊がどんどん肥大して手がつけられないようになっていくのだろう。
チキとニノの些細な対立が戦争の縮図みたいに描かれていて、地雷を背中に仕掛けられたボスニア兵はどちらかというと中立的な描き方であるけれでも、その彼がラストに戦争の最も恐い部分を表現する役割となる。
特に国連軍やメディアの介入が、何の解決にもなっていないという皮肉が興味深かった。実際に戦争の渦中 にいた監督、、実際はボスニア側の人間が、このように非常に客観的に戦争の愚かさを皮肉っていて、観る人に同じ感覚を持たせる、、そういう意味では価値ある映画だと思う。
★★★★

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「メン・イン・ブラック2」
Men In Black 2
2002米 85min.
Barry Sonnenfeld/Director Barry Fanaro,Robert Gordon/Screenplay Greg Gardiner/Photographer Danny Elfman/Music
CAST/Tommy Lee Jones,Will Smith,Rip Torn,Lara Flynn Boyle

例の「ワイルド・ワイルド・ウエスト」があまりに酷かったので、もうバリ−・ソネンフェルドの映画は 観る気しなかったんだけど、、、(ウイル・スミス含む)
あまり期待して無かった分、及第点の出来。当然前作も観ていたが、トミ−・リ−・ジョーンズ扮するK が記憶を消されていた事とか、、といよりも記憶を消す装置の存在も含めすっかり忘れてました。まー その程度の映画です。
ララ・フリン・ボイル(「ツイン・ピークスの真面目なローラの親友が一番印象的)老けたな〜と思うと共に 意外や悪女役がかなりハマってたんで結構驚き。
★★★

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「春の日は過ぎゆく」
One Fine Spring Day
2001韓国、日本、香港 113min.
Hur Jin-Hor/Director Hur Jin Hor,Ryu Chang Ha,Lee Suku Yong,Shin Juno/Screenplay Kim hyoeng-gyu/Photographer Cho Sung-woo/Music
CAST/Yu Ji-tae,Lee Yeong-ae,Baek Seong-Hui,Baek Jong-hak

「八月のクリスマス」のホ・ジノ監督の三年ぶりの第2作。
淡々と日常を綴っていて傑作だった1作目のスタイルをあまり変える亊無く、本作でもほんとにそこらへんに ありそうな男女の出会いと別れを淡々と描いている。ただ、前作のような一種おとぎ話的な物語ではなく、今回はどちらかというと重い内容。
主人公は録音技師と、ラジオのパーソナリティ。仕事を 通じて知り合った二人は、いつの間にかつき合いはじめるが、楽しい日々もつかの間、彼女の方の気持ちが次第に離れていくことが理解出来ない彼氏は、、、というほんとに「特に大きな事件もない」ストーリー。それでいてその二人の打ち解けていく感じや、日常会話などがとても自然というか生々しく感じる。
全編、男の子の方から観た視点での物語になっていて、若干のきっかけは判るものの、何故彼女の心が 急に離れていったのか、彼女の方の内面はほとんど描かれない。観客は彼と同じように、いつの間にか彼女に新しい恋人が出来ている事や、運転できない筈だった車を手に入れてる事などに驚く。恋愛の苦しみとはそういう一方通行的な所にあるのではないかと言わんばかりに。
映画の前半、録音技師という設定なので、竹やぶが風を受ける音や水の流れる音など、かなり細部にわたって 「音」を印象的に使っていた。
それにしても、これだけ淡々と美しく、一番描きにくい人の根っこの部分を描ける、、、この監督はいったいどんな人なのだろう。
★★★★

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「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」
Star Wars Episode2 Attack Of The Clones
2002米 144min.
George Lucas/Director George Lucas,Jonathan Hales/Screenplay David Tattersall/Photographer John Williams/Music
CAST/Ewan McGregor,Natalie Portman,Hayden Christensen,Samuel L. Jackson,Christopher Lee

「エピソード1」の時に比べると、世間の騒ぎ方はなんとなくイマイチ?思った通り本国では現在(2002年6月最終週)のBox Officeは夏休みを前にしてまだ公開7週目なのに9位にまで下がってて、多分「スパイダーマン」に負けちゃうのかな?って感じ。
観たのは先先行ロードショーなんで、まあかなリ好きなコアファンが結構いたと思うんだけど、上映中、、、 はかなり静かだった。シーン。
映画としては実は説明臭かった「エピソード2」よりはまだおもしろかった、、という程度の感想。ただ、 前作もそうだったけど、物語がわかりずらい。ルーカスの頭の中にある世界観、、惑星間紛争?みたいなものと議会たらなんたらかんたら、、、、、、はっきりいってよくわかりまへん!自分が頭悪いのかな?でも 子供達が観たら、もっとわからんぞこれ。下の「バーバー」はすごく大人向け映画って感じだけど、多分 「バーバー」のほうがストーリーが理解出来るよ。子供だったとしても。というより物語の中に入れる。
この新版スターウオーズの世界はなんだかひとりよがりで「娯楽映画」の基本を忘れてしまってるような気がする、、、。オリジナルの「スター・ウオーズ」は単純な昔の連続活劇をSFにしたシンプルな映画としてのおもしろさがまずあったけど、この2作を観る限り、映画そのものが別の所へ行き過ぎてて、せっかくのキャラクターやSFXの素晴らしさが勿体無い、、、、。それにあのアミダラとアナキンの恋愛シーンは凄く古臭くて笑ってしまいそうなくらい、、、だって草原をごろんごろんとか、煖炉!ですよ煖炉!
また、ラストも「エピソード1」と同じような数千体が戦う似たような場面を持ってきてて、「またかい」 って感じ。
しかし、ライトセ−バーぶんぶん振り回したりとか、オープニングの「じゃ〜ん!!」とかエンディングに 切り替わる所で毎回得られるカタルシスは他の映画では絶対出来ないことなんで、評価は甘め。映画としては ★2つくらいだけど、スター・ウオーズってだけでオッケーって所あるもんなあ。
しかしどうやってあと1本でレイアとルーク・スカイウオーカーの誕生とダースベイダ−になる過程を描く んだろうか???結構しんどいと思うんだが、、、「エピソード3」って5時間くらいあるとか、、、。
★★★1/2

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「バーバー」
The Man Who Wasn't There
2001米 136min.
Joel Coen/Director Joel Coen ,Ethan Coen/Screenplay Roger Deakins/Photographer Carter Burwell/Music
CAST/Billy Bob Thornton,Frances McDormand,James Gandolfini,Adam Alexi-Malle

コーエン兄弟最新作、、、って前作の「オー!ブラザー」から日本ではあんまり間が開かずに公開。 予想通りまた全然違うタイプの映画だった。
平凡な理髪師が、偶然客から聞く「ドライクリーニング」を使った儲け話しに乗り、妻の不倫相手を恐喝してそれを資金に平凡な生活から脱却してみようか、、と思うが、様々なトラブルに巻き込まれる話。
映画のムードとしては救いの少ない「ファーゴ」に近い感じ。ただ、ストーリーの起承転結はあっても、 それを語る事が目的な映画ではない。原題は"The Man Who Wasn't There"。「そこに存在しなかった男」 。タイトルの通り、主人公(ビリー・ボブ・ソーントン渋い!)は空気のように、流れのままに 自分の運命を委ねていく感じ。
寡黙なこの男と妻とは対照的に、それ以外の登場人物、、理髪店経営者の従兄弟、上手い話をもちかける インチキ?事業家、主人公を弁護する隣街から来た弁護士など、皆、雄弁にしゃべりまくる。このへんの 対比が意味シン。人と雑談したり、パーティ等の派手な付き合いが苦手な彼が唯一ひきつけられたもの がベートーベンやモーツアルトを弾く少女ってのもおもしろかった。
モノクロームの画面が綺麗で、このある意味無機質な雰囲気の映画をより個性的にしていた。ただ、コーエン映画独特のユーモアは当然用意されているけれども、淡々とヘビーな物語が続くので結構重たい気分になる映画でもある。
★★★1/2

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←2002/2

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