ちょっと(相当?)あぶないギャグショートです(笑) この手のネタが嫌いな方、済みません m(_ _)m 『重力の罠』 「何だぁ、この部屋? 二人部屋なのに、ちっこい寝床がひとつだけか?」 御剣は、粗末な安宿の一室を見回しながら言う。 「ひとつじゃねえよ。ベッドの上に、ハンモックが吊ってあるだろ」 ジークに言われて、御剣はそのハンモックに近寄り、しげしげと観察する。 「こんな網の中で寝るのかよ、おい?」 「じゃあ、ミツルギはベッドを使えよ。俺、ハンモックでいいから」 その夜。ハンモックに入ったジークが、少しうとうとしかけていた時だった。 体の下で、ぷちっ、と小さな音がする。 「・・・・?」 その音が、もう何度か聞こえた所で、いきなりハンモックが破れた。ジークはそのまま、どさりと音を立てて真下へ落ちる。 そして、下のベッドには・・・ 「おー、そうかぁ、そんなに俺と一緒がいいかぁ」 もちろん、ニヤニヤ笑いを浮かべた御剣が待ち構えていた。 『星京の不運』 〜責任感は怪我の元〜 「あら、黄じゃない。・・・一体どうしたのさ、その格好は?」 タキが驚くのも当然だ。黄は、そこかしこに包帯を巻き、しかも片腕を吊り松葉杖をついている、というボロボロの格好なのだ。 「いやぁ、面目ない。闘技場でやられたんだ」 「闘技場? ジークとの試合では、勝ったって聞いたけど?」 不審気に、タキは聞き返す。 「ああ、確かに。試合は勝ったんだが・・・」 言いづらそうに、黄は答えた。 「決勝ラウンドで、ジークをリングアウトさせてしまったんだ。ああいう場所だから、気をつけていたんだが、つい・・・」 闘技場のリングの外は、池になっている。重い鎧を着けているジークでは、もちろん溺れてしまう。 「それから、どうしたの?」 「仕方ないから、人工呼吸してやってたら、美那さんと御剣に見られてしまって」 ・・・そして、美那の『いやぁっ、黄の変態!(成式奥義連弾儀)』と、御剣の『俺のジークに何しやがるっ!(三途の渡)』を一度に喰らってしまった黄なのであった・・・。 『手段に難あり』 「タキさぁん、ジーク見なかった?」 宿屋の一階の酒場。表の戸から駆け込んで来た美那が、テーブルについていたタキに声をかけた。何やら、届け物らしい包みを抱えているのは、果物か何かのおすそ分けだろう。 タキは、少し戸惑ったような顔をして答える。 「ああ、部屋にいるけど・・・今ちょっと、現実逃避してるんだよ」 「???」 美那は、一瞬首をかしげたが、 「まあ、部屋にはいるのよね? 行ってくるわ」 と、二階への階段を駆け上がってゆく。 「あ、ちょっと・・・あーあ、行っちゃった」 数秒後。 「きゃぁっ! いやあぁぁぁ〜〜〜っ!」 絶叫が響き、そして美那が、転がるように階段を降りてくる。 「ジークったら・・・ジークったら、御剣と一緒に布団の中に!」 真っ青になっている美那に、タキはため息をつく。 「だから言ったろ、現実逃避してるって・・・」 『南蛮人の秘密』 「畜生っ、一体何だってんだよ、あの連中!」 風呂から上がってきたジークは、カンカンに怒っていた。馴れない浴衣の紐を結び直しながら、御剣に向かって訴える。 「人を珍獣扱いしやがってさぁ! そりゃあ、異国の人間が珍しいって気持ちは分かるぜ。でもよ、何も風呂をのぞかなくたって!」 二人は、瀬戸内海のとある城に滞在している所だ。 しかし「南蛮人」であるジークは、珍しがられて周囲の視線にさらされ、すっかり閉口していた。 「ああ、そりゃあ・・・足の指があるかどうか、確かめたかったんじゃねえか?」 御剣が、のんびりとした口調で言う。 「足の指・・・?」 「そうさ。南蛮人は靴をはいてるせいで、この国じゃ、足の指がないって噂があるんだ。おんなじ人間なのになぁ。ま、勉強させてやってると思って許してやれよ」 ・・・しかし。その翌日・・・ 「あいつら、もう許さねえ! 『下も金髪だ』なんて言いふらしやがって!」 激怒して大剣を持ち出すジークを、御剣は必死で止めていた。 |