QJYつうしん 32号

     休日は山にいます

 平成8年7月22日

天然のクーラーだ  吉和村/瀬戸の滝(佐伯郡)

暑い暑い、言ったら、罰金取るぞ

あんまり、暑い暑いと皆が言うものだから、我慢していてもつい同調してしまう。

会社も夏休みをくれるけどエアコンのきいているオフィスの方が楽だ。

夏は山に限る。時折夕立に遭って涼しくなったり、木立の中を渡る風の音だけでも涼を感じることが出来るから。

その中でも「滝」は抜群の清涼剤。

もっと言えば、水しぶきを浴びることが出来るくらい近くに寄れる滝は最上級の清涼剤か。

吉和の隠し子、瀬戸の滝

最近の温泉ブームともみのき森林公園を中心に開発された別荘地、渓流釣りのメッカ中津谷川、冠山の清流に洗われたおいしいワサビ。吉和には観光の目玉と言える産物が山ほどある。緑豊かな山々は何でもありの自然の宝庫だ。

その中で秘密にしておきたい場所が細見谷渓谷だ。吉和の奥座敷、これより奥はクマの住む十方山や恐羅漢。そこまでぎりぎりの選択でこれしかない納涼地はここ瀬戸の滝

これ以上は無いぞ、名前の由来は知らないが太田川の源流として、瀬戸内海に流れ込むからこの名が付いたとしたら、大変なロマンを感じないではいられない。

吉和村の役場の前を通り、温泉クヴェーレ吉和を通過、すると急に山道に入ってしまう。ここから2.3キロ、車のすれ違いに気を遣いながら進むと左に立野キャンプ場だ。6月にはモリアオガエルが手の届く距離と、目の高さで産卵するのを見ることが出来た。

そこを左折しないで進み、立岩ダムの上端の橋を渡るともう行き止まり。いつからだろう、万年通行止めの戸河内への県道だ。

立野キャンプ場からは1キロちょっと。

工事現場の空き地を駐車場に使わせてもらう。十方山への登山口として案内板もある。トイレもあるのだが、あまりぱっとした登山道が見えないのが残念。

周囲は湖のおいしい空気と流れ込む川の音。そう、これが目指す瀬戸の滝からの水、太田川の源流のひとつだ。ピンポン玉くらいにふくらんだクルミの実は秋には楽しみだ。

四方八方を通り越して十方が見渡せる十方山(1319m)は、昨年の秋にQJYで参加者を募って登った。ルートはシシガ谷ルート、紅葉のハイキングはつうしん第8号をご覧あれ。

山道も涼しい

あまりぱっとしない登り口もちょっと歩き出すと幾分広くなってむしろ非常に整備された登山

 

 

道ではないかと思われる。ただ山頂との標高差が800mあるというのはちょっと厳しい。できれば下山時に使いたいが車を利用しているとそれも無理。

登山口に杖が10本近く用意してある。

ちょっと登れば「右十方山、直瀬戸の滝」の看板。足元にはかわいいヤブコウジの白い花が咲いている。赤い実はお馴染み、そうこの時期に咲くんだね。そして歩く足元からセミが飛び立つ。鳴くとうるさいヒグラシだ。やや湿った林に多い。そう言えばまだ鳴かないな、と耳をすませば、聞こえるぞ、瀬戸の滝の音だ。

もう20分くらいで滝に着くはず。

岩滝とでも呼ぼうか、水の枯れた石ころだらけの川のような場所を越え進む。

イワカガミ、イカリソウなどが花の時期には見られそう。ウリノキが実を付けヌスビトハギが咲いている。イチヤクソウ、ササユリは葉のみ。

また「右十方山」の別れがあった。ここからは結局先程の道と一緒になるのだが、相当急坂であると赤ペンキで表示してある。

オオナメクジが現れた

どの程度急坂かちょっと道に入ってみる。やけにアベマキが多い、コルクの樹皮が特徴の木だ。

足元の枯れ草の上が光っているぞ。幅5センチ長さ50センチくらい粘っこく光る道、目を進めてみると小さなキノコに食らいついたヤマナメクジ(ナメクジ科)が2匹。長さ15センチの大物だ。おいしそうにむしゃむしゃとキノコを食べている。30分もあれば食べ尽くしそう。


そこまで付き合っていられないので滝への道に返す。

静寂の中で豪快な滝の音がはっきりと聞こえてきた。

木々の合間から白い流れが見える。

コップだけ持っておいでよ

大トチノキが立っている。あたりを見回すと多い。下には実もたくさん。

滝は落差50m以上ありそうだ。上4分の1はワンクッションあって2段滝だ。細かい水飛沫が宙を舞っていて本当に涼しい。カメラなどは濡れるので要注意だが。

滝壷の水際まで来られるから水筒の麦茶は不要、コップだけ持ってここに来ればいい。

双眼鏡で見るとギボウシの花、ヤマアジサイも、ハリギリの木も大きい。ジンジソウやイワタバコの葉もある、なにより嬉しいのは孔雀シダが確認出来たこと。もちろん十文字シダ両面シダもあったが、姿のいい孔雀シダには敵わない。

 

 

いつまでもいたいけれどそろそろ暑い広島へ帰ろう。再度、ネムノキの花の咲く立野キャンプ場の流れの中に足を入れてもう一度涼しさを味わってみた。

筒賀の新名所、三日前にオープンの龍頭ハウスで汗を流す。450円取るなら高齢者福祉センターの方がいいぞ。単純放射能冷鉱泉つまり早く言えばラドン温泉。

ちなみにグリーンスパつつが福祉センターはアルカリ単純低温泉。

また楽しみが増えたね。


県の代表 その7 香川県の巻

県木・県花…オリーブ(モクセイ科)

瀬戸内海に浮かぶ、ご存知小豆島。アズキ島ではないよ、父が香川県の出身だからいろいろ聞いているが、しょうずぐん、しょうどしまなんて他県の人は知らないよね。

高松市内に街路樹として植えてある木。

県鳥…ホトトギス(ホトトギス科)

広島でもポピュラーな鳥。特許許可局、てっぺん欠けたかと鳴くのは有名、なにしろ喉を傷めるくらいの一所懸命さで鳴いてるみたい。

(広島県の隣県の県花、県木、県鳥を特集しました「県の代表」はひとまずこれで終了します。産業、風土、自然が素直に表われること、旅行に出掛けたらその土地の代表選手を事前に知っておくと楽しくなります。)