QJYつうしん 33号
休日は山にいます
温泉付きの山歩き 湯来町/感応山(佐伯郡)510m
じっとしてても暑いから
家にいても暑いから昨日などは会社に行ってしまった。そんな便利な会社が無い人は、やはり山に限る。歩けば当然汗がだくだく、さわやかに汗を流すなら温泉が一番。
そういう訳で山と温泉がドッギングしている便利な場所は無い物か。
あります、あります、ここ感応山(かんのうざん)。なにしろ登山口が湯の山温泉の前を通る。
湯の山温泉は広島藩主、浅野公の湯治場であったことはつとに有名。
それよりこの感じやすいネーミングは一体何だろう。全国に観音山ならたくさんある。観音が感応に変化したと思うのが自然かも。
温泉を覗く、目のいいやつ
え、いきなり、覗きをしているやつの話かって?そうなんですよ、それも目のいいことでは折り紙付き。特に夜は活躍する。
そう、本業は痴漢。
じゃなくて、フクロウのお話。
打たせ湯で有名な湯の山温泉の入り口直前に杉の木が立っているのをご存知?この木の地上12〜3メートル程の枝に風呂場に向かって黄色い大きな目を見開いているフクロウが1羽いる。温泉の受け付けの人に聞くと「もう四十日になるのよ。」とのこと。
双眼鏡で見ると、余りにも堂々としているから痴漢呼ばわりしてごめんなさい、と言いたくなる。
ハトよりやや小、目が黄色く光る、アオバズクだ。日本には春やってきて、神社や森に住み昆虫などを主食とする。体が別に青い訳ではない。むしろ地味なので、いることを教えてもらわないと気が付かない。この日、入浴に来た人に教えてもらった。
望遠レンズと三脚を用意しに再度車に戻る。これだけで汗が滝の様。
風呂場の前で双眼鏡にカメラの用意、あまり誤解を受けるようなことをさせないでくれ。
山道は暑い
温泉入り口を通り左へ行くとちょっとした休憩所が丘の上にある。登山口である。感応山へ1キロと書いてある。
標高差300メートル弱で1キロと言えば一時間の距離か、むしろ温泉へ入るなら丁度いい運動になる。
風が無い。蒸し暑いから、汗がだくだく。
花は無いがコウヤボウキやコバノミツバツツジがたくさんある。アカマツやリョウブの林の中を「風さえあれば」の思いで登る。
時折急坂となり意外としんどい山でもある。
つらさを癒してくれるのは山水画にも似た辺りの風景。
弘法大師の祠からのスタートだった。ここで再度、感応山のネーミングについて考えた。
もともと観音山だったがお大師様を奉る様になって観音様ではまずいから字を変えた。と、想像したらどうだろう。
こんな具合に素人は頭を使う。
タカノツメ、コシアブラ、ソヨゴとくれば山陽地方代表の山歩き。サンショウかなと立ち止まりイヌザンショウでがっかり、何度同じことを今まで繰り返したか。植物の層としては確かに山陽地方らしい。
ヤブツバキ、ネジキ、ヤマウルシ。
楽しそうなところではウスギヨウラク、バイカツツジ、ネズやカヤも。
いずれも花は見られない。
中間点の展望地
足元にも目をやろう。シハイスミレの葉、おや、きれいな鳥の羽が、カケスの羽だ。鮮やかな青いアクセントに心が和む。
展望地があって振返る。南側に四本杉で有名な東郷山(977m)の大きさに目を見張る。
北側は今登っている感応山、独特な岩が突き出た信仰の山らしさを見せる。
相変わらずコバノミツバツツジの葉が目立つ、花の時期にはさぞ見事だろう。そしてお馴染みのハチマキイチゴ(ナツハゼ)が多く出てきた。まだまだ青く、口にいれてもガリッ、酸味どころか苦い。
バリバリバリと羽音を立ててヒグラシが飛び立つ。あまり鳴いていない。
左感応山2分、直岩淵山40分の指標があった。もちろん左へ。南に突き出た岩の上は思いのほか風があって心地よい。
山頂で思った
岩にアカマツがしがみ付くように生えている。ベンチが用意してあって下を走るR433が見下ろせる。
ヤマツツジがまだ咲いていた。
それにしても、「天下を取った気分」。
ここは一体どれくらいの標高だったろう。こんな時に誰かが木にぶら下げたカマボコ板が役に立つ。カマボコ板については賛否両論あり。
私は結構見るのを楽しんでいる方だが、クギで木に打ち付けたものを見るとちょっと胸騒ぎを感じないではいられない。
QJYと書いたものを作ろうと思ったこともあるが、それが何になるのか、と考えると空しいからやめた。
古いものを見ないのは、カマボコ板の嫌いな人が処分しているのだと思う。
「放浪の山好きマドンナ会」「楽々園ハイキングクラブ」「山吹山楽会」「セノダイコンクラブ」…など大小色とりどり。
カマボコ板は全然無いのもさびしいが余りどぎつくたくさんあると不愉快。
こんなものを見に登ったんじゃないよね。頂上に立ち、辺りを眺め自然の豊かさを確かめておいしく弁当をいただくため。
広島の山は登山の部類じゃなくてハイキングなんだから足跡を無理に残さなくてもいい。それよりあんた、ゴミのひとつでも拾って帰ってくれないか?
テレビ局さんごくろうさん
温泉の手前に「YMCAみのち学荘」という研修施設がある。ここから300メートル山に登ると「たらたら滝」と言うこの季節にしゃきっとしない名の滝がある。涼しさを味わおうと寄ってみた。
丁度道に沿ってケーブルが3本敷いてあった。RCCの車が来ていて、中継をするようだ。若いスタッフが重そうな機材を担いで何度も上り下りしていた。
肝心の滝だが規模といい近寄りにくさといい、余りぱっとしない感じ。たらたらなんて名前もマイナス。テレビ中継するほどの滝とは言えないなあ。
滝で最も重要な「豪快さ」が全然無い。
登り口のコマツナギ、カワラナデシコ、ヤブランの花が救いだった。