つうしん 休日は山にいます QJY119

98−12−04

見晴らしのいい山を三原市に訪ねる 落ち葉の山道 三原市 竜王山(665m)

やはた川自然公園

山陽道を東へ走ると、山々のすそ模様の変化が

良く分かる。晴天の今日、沿岸部と言えど空港を過ぎたあたりは標高も高く、盛りは過ぎているが色彩変化が美しい。

三原久井ICを下りて直進、「やはた川自然公園700m」の標識に従って右折するとそこは御調八幡宮の境内を中心とした公園になっている。

すぐの駐車場がトイレもきれいで便利がいい。

境内の案内図には竜王山へのルートは出ていない。但し、道は一本、歩き出す方向さえ合っていれば問題無い。

山の方角は南なのだが、東のキャンプ場に向かって進めばいい。板に書いた「竜王山2.5Km」の標識もすぐ見つかる。

祠がふたつ並んでいて、そこはヒノキ林だ。しかし巾の広い山道はぎっしりとアベマキの葉と実(どんぐり)が落ちていて、まさに秋のハイキング。

ヤブコウジやツルアリドオシが赤い実を付けている。コシアブラ、タカノツメはこのあたりでは定番の落葉樹だ。

落ち葉の山道

陽が射して落葉樹の黄葉がとてもきれい。

ヒサカキやソヨゴ、ヤブツバキの常緑樹が対照的に背景を作る。ツルリンドウの赤い実、ミヤマママコナの花が最後の草花か。

山道は岩がゴロゴロしていて歩きにくいぞ。

ムベの実が落ちていた。ミツバアケビやサネカズラのツル植物も多い。クマノミズキ、幹が緑色のハナイカダも見つかった。

先程はアベマキで山道が覆われていたが今度はコハウチワカエデの愛らしい葉が埋め尽くす。黄色から真紅までとても鮮やか。

荒れた道はどんどんひどくなり、どうやらこの秋の台風の時(尾道では被害が出た)に鉄砲水でも出たのだろう。

ゴロゴロ岩と崩れた道や側溝の無残な姿にちょっと不安がよぎる。

木製の階段が半ば浮いた状態だ。注意しながら登らなければならない。

ハリギリのヤツデのような葉。左手の流れに沿ってアブラチャンが春の花芽を見せて続いていた。ヤブムラサキは普通にある。

おお、次に道を覆うのはウリハダカエデだ。黄色く色付き、カエデ類は秋の主役。

NHK「中高年のための登山学」の岩崎元郎さんの「50分歩いて10分休む。」に従い、道の途中でお茶としよう。しばらく行けばベンチもあったのに、木製階段の途中で座り込んだ。

それにしてもじわじわ直登だ。

この高さまで来るとウリハダカエデの色もあせている。コウヤボウキ、ダンコウバイ、ヤブツバキ、など。左手のベンチを過ぎればコアジサイが多く出る。花芽をつけたシュンランが嬉しい。コンテリギ(コガクウツギ)はきれいに黄葉していた。

八幡峠まで来た。地元の作った標識に従いここを右折する。登山口からほぼ一直線にここまでやってきた。だから鉄砲水の被害もまともに食らったのだろう。約1.6キロ登り続けたことになる。

コナラと松葉の小道

勾配はちっともゆるくならないのがこの山の特徴か。3m巾の道で決して歩きにくくは無いが、帰路は大変だろうと想像してしまう。

もっとも松葉を敷き詰めた道はいいものだ。

落葉樹はコナラが多くなる。ソヨゴ、ダンコウバイ、コハウチワカエデと色とりどり。双眼鏡で見るタムシバの花芽は春のモクレンのコートを着ている。足元にはセンブリが咲き殻となって立っていた。

20分も来れば「右0.2K 奥の院」の標識がある。

これは帰りに寄ることとし、先を急ぐ。頂上まであと0.5キロとあるが実測300mくらいだ。

ヒメヤマツツジだろうか全部で8輪咲いている。

落ち葉の広い道を気持ち良く歩いて頂上に着くと高さ7〜8mの鉄骨のやぐらが立っていた。やぐらのそばには一等三角点。

このやぐら、「立ち入り禁止」の札が掛けてある。しかし今日の天気の良さは登らずにはおられまい。南方面の瀬戸内海のゆったりとした風景、筆影山や東の因島あたり。

すぐに別グループがやって来たが、皆ここに登る。もっともここから南側に100m行けば木造の展望台があり、同様な光景を見ることが出来たが。

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奥の院と山の名の由来

帰りに先程の「奥の院」に寄ってみよう。

奥の院は貴船神社となっている。そう、広島の阿武山にもあるし全国区としては京都が有名だ。御祭神の説明、起源が看板に書いてある。

さて竜王山に関わる説明は無いものか?

御調八幡宮創祀(769年)以前より龍神(雨乞いの神)として信仰された、とある。そう、竜王とは雨乞いの神なのだ。その証拠に貴船神社には清水の湧く井戸があった。阿武山の貴船神社は大田川の治水の神社であった。どっちにしても「水の神」である。今日の登山道の荒れ様を見ると、雨乞いの神より治水の神を必要としたと思うのだが。

下山は車をまわしておけば三原東城線に出るルートが魅力だが、そうもいかずピストンとする。

当然、細心の注意を払って下ることとなる、がこれほど急勾配だったかと足がすくんでしまうほど。

下山時のこの気の使い方こそ、山歩きが中高年の運動に適していると言える最たるものだ。決してだらだらと歩く訳にはいかない、自分ひとりだけで無く、メンバー全員の安全を考え、楽しく遊び、無事帰宅してこそ「休日の山歩き」が完結するのだ。

山歩きは知的なゲームである。

よって中高年には最適な遊びである、と。

やはた川自然公園まで下りると地元の人が「昔はこの川に小さなサンショウウオがいてね…。」と貴重な話をしてくれた。

昇雲の滝〜佛通寺

せっかくだから、紅葉の名所「佛通寺」に寄ってみよう。久井のIC前まで戻り、佛通寺までは昔の狭い道を通らなくても「昇雲の滝」経由のいい道が出来ている。

しばらく山陽道に並行し、あとは標識に従って佛通寺に向かう。途中にある昇雲の滝はとても姿のいい豪快な滝だ。

丁度、西日を浴びて多くの岩峰が輝き、紅葉とともに素晴らしい風景を作り出していた。

正面にゴリラの顔そっくりの大岩もあり、もっと有名になってもいい場所だと思う。

高坂自然休養村を過ぎると、修行の寺「佛通寺」はすぐそこ。さすがに時期遅れではあるが、境内のもみじは見事で、巨大杉に囲まれた三重塔や川にかかる橋の光景はこころ落ち着く。

雪舟の命名と伝えられる「崑崗池」の水面いっぱいに落ちたモミジの葉の光景は素晴らしい。


【サンベヤマネコ】

イリオモテヤマネコほどの貴重な種ではないが、島根県の三瓶自然館に行くとこのヤマネコがいる。

彼女は正式名を星野由美子さんと言い独身で我が観察会ではおなじみの島根のマドンナでもある。

で、何故ヤマネコかは知らないが、電子メールをくれる時のニックネームがサンベヤマネコなのである。

新潟出身で酒が強いので「ホシノ寒梅」と呼ぶのが妥当ではあるが、とても明るい性格で自然館には欠かせない女性だ。テレビにも良く出て鳥の話をしている。三瓶に行ったら、是非会ってみよう。

何故彼女のことを思い出したかと言うと、広島の観察会に若い女性が少ないことが気になるから。

今のこども達は山や川で遊ぶことが少ないのだそうだ。若いママやギャルも自然観察会で学んで欲しいものだ。