休日は山にいます 981231

一年を振り返って(1998年) 山頂の三角点について究JYしてみる

QJY121

日本には四季がある

どうしてこうも日本人はせっかちなのだろう。

朝から晩まで休みなく働き、考え方さえすぐ結果を求める猪突猛進型。子供達には高い学歴と出世を望み、財産の形成が大きな目標となる。

ところ変わって南米メキシコ、午後には必ず帰宅し昼寝を済ませてから、また仕事場に戻ると言う。我が社のコンピュータ工場の一つはブラジルにあるが、こんな所で生産された機械はどうも不安である。

だがそれも日本人の考え方。

世界のほとんどの国では、のんびりと一年を暮らし、現役の社会人は楽しい老後を夢見ているのだと言う。

この違いを生んでいるのは何だろう。これが日本にある四季によるものではないか、といつも思う。四季があれば、一ヶ月の遅れは、例えば農業では致命的だし、漁業でも影響が出る。

ぼやぼやしていたら、何もかも遅れてしまうのだ。四季の存在はその一年のサイクルのみならず、人にとって都合の良い年、ちょっと歯車の噛み合わなかった年を作ってしまう。

四季はヨーロッパでも存在するが、大雪の冬、酷暑の夏の両極端があるのは希有なこと。

今しか出来ない。来月、来年はどうか分からない。この焦りは、四季のある国だからこそ。

そう、日本人は焦りやすい国民なのだ。

いいことか、悪いことか、その国民性、せっかちな性格はどうにも直しようが無いようだ。

この一年の活動

まず、1月には「勤労者山の会」に呼ばれてスライド映写を伴なう講演会をした。これは新聞各社に取り上げてもらったため、定員の倍以上の入場者があり真冬の会場が熱気で汗が出るほど。

その後、QJYつうしんの100号発刊記念として、自費で講演会を開いた。この時も中国新聞に出してもらっているので、観察会の会員以外でQJYつうしんを初めて見て下さった人が多かった。そして、その後この会の会員になられた人も。

自然観察会の存在を知らない人が多いのだ。

圧巻は尾道市に呼ばれた講演会。500人以上の観客だった。でもこれは市民大学講座なので、聞いている人が皆、自然保護に関心があるわけでは無い。だから、ちょっとプレッシャー。

そして気楽に出来たのは公民館でのカメラ講座。自分で楽しみながら話ができるのは楽しい限り。

多くの仲間

山で知り合った人に入会を薦めたこともあった。

人柄で自然観察会のメンバーにふさわしい、と思ったら是非入会を薦めている。

山には一人で出かけたり、仲間と2〜3人で出かけることが多い。どうしても写真撮影のために出かけるので、あまり大勢の山歩きはしない。

今年出かけた山はQJYつうしんにそれぞれ掲載しているが、もちろん内緒にしている山やポイントも多くある。

出かけたものの、さしたる成果の無かった山、毎年行くから、もう紹介しなくなった山。口止め(?)されている山。

いろんな山でいろんな人と話しをするのが好きになった。花の写真を撮っていると、山ではゆっくりしているから。だから話し掛けられる事も多い。

誰と行くのか、と良く聞かれるけど、やはり花を良く見つけてくれる人が一番だ。その点、さすがにうちの会の事務局の人たちは目がいい。

小さな葉が地面にへばりついていても必ずこだわって調べている。そして貴重な草花と分かると、チェックポイントとしてメモしている。

同行して下さる女性もこのタイプが多い。

私の山歩きだと、じっと花を見ていても急がされることは無いが、登山パーティーだとさっさと歩かなければならないから、と言う。

猿政山で、サンカヨウの花の写真を撮っていたら、どこかの講演会で私を知っていると言う人に会ったが、頂上に行かずに下山しているのを見て不思議に思ったことだろう。

相変わらず、目的は「花」であって「山頂」ではない山歩きだったわけだ。

三角点を極める

話変わって、山頂にある三角点について知識をふやしておこう。岩崎元郎さんが登頂すると必ずナデナデする三角点。

え、四角いのに何故「三角点」?

こういう質問に即答出来なければ。

これは三角測量と言って、三角形は三つの辺と三つの角のうち適当な三つが分かれば、他は計算によって測ることが出来ると言う、ピタゴラスの原理を応用したものだ。

この測量基準になった山頂の標識が三角点。

これには一等から四等までランク付けがあり、一等だけ本点と補点があるので5段階に分けられているのだ。 <ランク基準>

区 分

配点密度

点間距離

設置数

1等本点

1500kuに1点

45.0km

347

1等補点

500kuに1点

25.0km

622

2等

55kuに1点

8.0km

5,056

3等

8kuに1点

3.0km

32,770

4等

2kuに1点

1.5km

55,180

93,975

三角点の標石は、地上に出ている部分が約4分の1の高さで、地下には柱石がどーんと埋まっている。一等の場合はさらに盤石がその下30センチに埋められている。石標ではなく丸い金属標がコンクリートに打ち付けてあることも。

なお、三角点ではなく多角点も世の中には存在するそうだから、これから良く石標を読んで見ることも重要だね。

<三角点標石の各部の長さ>

 

一辺の長さ

地上の高さ

全長

一等

18cm

21cm

94cm

二、三等

15cm

18cm

90cm

四等

12cm

15cm

72cm

標記はちょっと古くさくて、等級は右から書かれ、「三角点」などは「三角點」となっていることも確認しておくこと。

<広島県の一等三角点>

冠山

1338.98m

吉和村

 

野貝原山

719.53m

廿日市市

野登呂山

542.00m

沖美町、能美町

 

一峰寺山

449.33m

豊町

 

小田山

719.07m

広島市、黒瀬町

鷹ノ巣山

922.10m

福富町、向原町

 

堂床山

859.61m

広島市

 

臥龍山

1223.44m

芸北町

阿佐山

1218.17m

芸北町、(島根県)

 

女亀山

830.29m

作木村、布野村

 

岡田山

638.76m

三次市

 

大黒目山

801.58m

庄原市

 

猿政山

1267.73m

高野町、(島根県)

 

竜王山

665.08m

三原市

 

彦山

430.06m

福山市

 

星居山

834.67m

神石町、三和町

道後山

1268.93m

東城町

本点5、補点12 ○印は本点

基準が、山の高さで決まっているのでは無いと言うことは分かったよね。三角点は測量のポイントだと言うこと。岡山県の我が先祖の地、真鍋島は標高120.74mでも一等三角点がある。


【河野調査小屋】

牛田山山塊の東の端に尾長山(186m)がある。喫茶「板木」からの登山口を登り400mの地点だ。そこから縦走・北上し200mにある山階鳥類研究所の支部として調査を担当するのが河野一成さん。

小さな小屋を目立たない場所に建て、黙々と調査活動をしている。

牛田山の主として名高い人だ。

先日寄ってみるとクマタカ研究会の飯田知彦さんも来ていた。みんなで近辺の植物観察をした。

オガタマノキ、タマミズキ、モッコク、タムシバ、アオハダなどいずれも巨木。

珍しい黄色い実のなるタマミズキのある場所を教えてもらった。

牛田山の山頂には「牛田山を愛する会」が造った畑や庭園樹が並ぶ。かかしを置いたり、鉄棒を設置したり、また山頂を堂々と占拠するルンペン小屋まで。それで、たき火や歌声のうるさいここを避けて、離れた場所でお昼にする女性も多いとか。

本当に牛田山を愛するって、どういう事だろう。