休日は山にいます 990211

QJY122

日本庭園の山歩き マンサクの咲く 広島市安佐北区 二ヶ城山(483m)

登山口まで

朝9時半に集合したのは、Y子さんと、今日が初対面のKさん、誘った他のメンバーは雨のせいか家に閉じこもっていたようだ。

二ヶ城山に、この時期登るのは、広島市で最初の春の風物詩、マンサクの花を見るためだ。

昨年は2月7日に登って、満開だった。

登山口は高陽台団地(三井建設)の上、高陽の岩の上地区にあるレストラン「GUSTO」を右折し、道なりに上がる。山陽道にかかる「上岩上橋」を渡り新しく出来た墓苑の前に車を停める。

雨が降りしきる中をY子さんはリュックを置いて、Kさんはバーナーを置いて、身軽になって発進した。登山口まで林道をゆるやかに登りながら歩く。

左に谷川を見ながら、足元にシリブカガシやコナラのドングリを見ながら。マルバスミレの葉、ヒメヤシャブシやノグルミなどの実も多い。

するとKさんはリースの作り方を説明しはじめた。この山歩きでひとついいのを作ってもらおう。

マンサク咲く地獄谷

あんまりゆっくり歩いたので(?)雨がすっかりあがってしまった。林道からの登山口は地獄谷と呼ばれる沢沿いにある。ソヨゴはすっかり実を落とし、ヒサカキはもう春の花芽をつけている。

昨夜からの雨でも、それほど道は悪くない。所々に先週の雪が残り、風情がある。

タカノツメの冬芽を観察し、ヤブツバキの赤い花や昨年の実を拾う。ツツジ類が多い。

深山に来たような雰囲気は流れる水の音しかしない静けさのせいか。確かこのあたり、あった、二番目の砂防堰堤を覆うように黄色いマンサクが満開の春の花を付けていた。

別名タニイソギと言う呼び名は大好きだ。

雪とマンサク

谷川沿いで春一番に咲くから谷急ぎ、又は他に急ぎとも解釈される。

あたりを見回すとマンサクの花は何本か見つかる。ここはアテツマンサクと思われる、が花だけではその確証は無い。

この場所しかマンサクが無いのは残念だが、それでも都会地で見られるのは嬉しい限りだ。

すぐそばにヤマノイモが実をぶら下げていた。ついでにムカゴも口に入れてみる。種を包んだ薄い膜がまるでピップエレキバンのよう、こうして植物を身近に感じてみるのが自然に近づく第一歩。

さらに進むと赤い実が道に落ちていた。タマミズキだ。ストレートに伸びる高木の優雅な姿、近辺に何本か見つかる。今は鳥達にすっかり食べられているが。楽しい渓流沿いの山歩き。

地面に落ちているドングリが、揃って芽を出している。

沢沿いの山道の奥は流れが岩の上をなめるように這うナメラ滝となっている、見上げると樹肌が緑色のウリカエデだ。昨年の実をぶら下げている。つまりこの木は雌。

バイカツツジも多い、花は6月頃か

二ヶ城山

日本庭園

右折し、急坂を登ると最初のポイントとなる「高圧線鉄塔」にやってくる。これから先は岩の多い、アカマツの添えられた「日本庭園」の中を歩くような山歩きとなる。

つまり山道のいたる所が休憩所になるのだ。

「安芸町」と書かれた石標。

うすもやの中に口田方面が見えた。

松笠山も見える。夏の日照りは辛いだろうが、冬はこうして日本庭園の山歩きに雪を添えて、また違った趣きで楽しめる。

Kさんにひとつ覚えて帰って欲しい樹木「ネジキ」を説明する。この木のぬくもり。赤い枝。

ところどころ、展望の広い場所があって、天気さえ良ければなあ、と残念だ。しかしもう雨の心配は無い。

温品バイパスがくっきり見えるぞ。アップダウンと岩、松、ちっとも寒くないので助かる。

東区役所で入手した一万分の一地図には鉄塔の高圧線まで書き込んであるから、現在位置が正確に分かる。

現代の山歩きに高圧線の位置確認は必須だ。

菰口いこいの森方面への分かれ道を過ぎる。

すぐに483.2mの山頂だ。たいした高さでは無いが、松笠山より150mも高い。

お昼まで少々間があるが、ここで昼食としよう。

「ええっ!」とY子さんの声。マンサクで引き返しのつもりだったらしく、お昼を用意していないのだ。Kさんからおにぎり、私からパンをもらいすぐに元気を取り戻したが。

山頂からは広島湾が見える。

タムシバの木が一本あって、春の花芽がたくさん付いている。落ち葉までいい香りがするぞ。

エナガの一群が可愛い声で我々のすぐ近くにやってきた。エサの少ないこの冬、初めて群れているのを見た。

尾根筋の縦走帰路

帰路をどうしようか相談してみると、ふたりとも探検しながら歩きたいと言う。山歩きは知的なスポーツだ。この二人、初めての道に挑戦する楽しさを知っている。磁石を持って地図を見て、道を確かめながら進む。 これぞ、老化防止。

最初の北ルートは100m地点で素晴らしい展望の場所があり、広島ICや可部方面がくっきり。

青空までのぞく絶好の山歩きになってきた。

しかし、その先がヤブコギでどうも道がはっきりしない。赤テープも無い。夏にはとうてい入り込めないから、この季節ならではの無理をやってみようとしたが、結局あきらめる。

次は東ルートだ。これは地形図でほぼ尾根筋歩きとなることが判別できる。最後は林道の終点となっている。

見晴らしのいい場所では馬木の広島変電所が眼下に見える。先ほど広島ICが見えたのに今度は広島東ICが見えるわけだ。

今まで見られなかったシロダモが多くなった。Y子さんがこれなあに?と持ってきたのはイラガの繭、ウズラの卵のような模様がきれいだ。

樹木に押しピンが打って有るのを抜いていたら、Kさんが「ひどいことを…。」とつぶやく、この人は優しい心を持った人だ。木は何も訴える手段を持たない、「痛かったろうね。」私達より長く生きている木だってあるのに。

心休まる山歩きをさせてくれるのは、これら一本一本の木があってこそ。感謝してもいいはずだ。

約1キロの尾根筋歩きの間に小ピークが計三つ、途中二箇所の鉄塔、この高圧線の起点は広島変電所だ。

変化のある山道に気温、積雪がほど良く調和している。

名水の林道

この道は林道の終点につながっている。

オオバヤシャブシの実がたくさん。ここでKさんがつるを拾って、器用に素晴らしいリースを編んでみせてくれた。Y子さんはそれに常緑の葉やノグルミの実、ウラジロの葉を挟み込む。手作りリースにすっかり魅せられたようだ。

飾り付けはピーマンやキュウリも面白いそうだ。

林道の途中で女性が二人うずくまっていた。

良く見ると、岩盤から湧き出る水をペットボトルに汲んでいる。とてもおいしい水なのだそうだ。このあとも何箇所か湧水の場所があり、コップが置いてある。

水が多いせいかアケボノソウのロゼットも多い。

むちゃくちゃ広い林道だが、管理は中国電力らしい。登山口の奥でフェンスがしてあり、車では入れない。だから、ゆったりとした山歩きが出来る。

日本庭園、尾根筋歩き、湧水や野鳥。

春一番のマンサクの咲く楽しい山が、市内の団地のこんなに近くにある。