QJYつうしん 154号 休日は山にいます
トレーニングの春山歩き
一等三角点のある       大黒目山(802m) 庄原市

平成13年3月20日

 

山のシーズン到来

春の足音が聞こえ始めた。いよいよ花の季節到来だ。なまった身体を鍛えて、足慣らしもしなければ。そして登るからには、ある程度登りがいのある山に行きたい。

選んだのは庄原市・大黒目山。秋には松茸山として入山禁止になる。また松茸山は植林していないのが普通、花粉の心配から開放されるかな。この時期なら積雪も期待出来るぞ。

インターネットでこの山を検索して見ると、ほとんど情報が無いことがわかる。情報のひとつは自分のQJY121、「山頂の三角点について究JYする」が出てきたのには驚いた。そう、ここは一等三角点補点(県内12箇所)のある山だ。

県道・庄原東城線の起点、赤川交差点から東へ走り、中国道をくぐってから3キロほど進むと本小学校の信号がある。ここを左折し2キロで登山口だ。「夫婦松」と書かれた看板に注意する。

広島を8時過ぎに出てここに着いたのは10時。少し先の篠津原池を覗いて見よう。池の中には大きな鳥居があり静かな水面を見ているととても心安らぐ。きれいな水をたたえて風の無いこの日は鏡のような水面だ。

さて、登山口に戻ると1台先客があった。

確かにここは松茸山だ。白いビニールテープが張られて興ざめなことはなはだしい。「高・松茸生産組合」と書かれた看板、「入山禁止」ともある。

秋には入れない。もっともそれほど人気のある山では無いので山道は荒れ放題と聞いた。

先ほどからウグイスが忙しそうに鳴いている。

マンサクの荒れた山道

歩き初めからゴロ石の荒れた林道となる。
道は恐いぞ

山道に生えたフキノトウがご愛敬。ソヨゴ、アカマツ、アセビが並ぶ、大雨の時期には川に変身するらしく、人がすっぽり入るくらいのクレバスが道の中央に続く。

これは本格的な登山だ。遭難しないように。

イカリソウやウツボグサ、ヤマボクチ、オカトラノオなどの咲きがらが花の季節に来てよと招待状を寄越してくれる。ワラビの季節もいいみたいだ。

右手から谷川の音が心地よい。

左手にはクマザサ、アカマツも多い。

マンサクの谷

おお、マンサクが見事に咲いている。谷川に沿ってたくさん。アセビと共に早春の花の代表だ。この後はアブラチャンなどが咲くのかも知れないが、今はマンサクのみ。今年は少し遅れ気味だもんね。無風状態の今日は歩き出すとすぐに汗ばむ。

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ジグザグ山道

谷川をいっぱいまで詰めて、ちょっと休憩だ。ここにカマボコ板が吊るしてあって「これから15分 ジグザグ しんどいぞ!」これを読んだ以上、当然休憩しなきゃ。

谷を渡ると赤テープが目印となる。

広葉樹は葉を落としているので、分かりやすいが夏には結構ヤブコギになることだろう。

コナラ、アベマキ、ハウチワカエデなど。松茸テープが見えなくなった。それにしても植林の無い山は気分がいい。

足元は落ち葉を踏みながら、いろんなドングリを見ることができる。クリもあるぞ、アベマキのドングリは大きい。タヌキのフンまで。

登山口から見た大黒目山

バイカツツジやコバノミツバツツジ(ダイセンかな?)も多い山だ。ウスタビガの繭がぶら下がっている。樹木に巻かれた赤テープが安心だ。

カマボコ板どおり15分と言うわけにはいかなかったがしんどい道と言うのは当たっていた。

鞍部に着くとまた一休み。

尾根筋歩きの楽しさ

山歩きをしていて楽しい山の条件と言えば、尾根筋歩きがあることでは無いか。

ここからあと30分はかからないが、稜線に沿って歩く限りは道を間違えることも無い。もっとも再度現われた白い松茸山ビニールひもが自然に導いてくれるのだが。

相変わらずアベマキが多い。ミズナラらしき葉、ネズもあるぞ。何より嬉しいのはコバノミツバツツジが多いこと。もちろん新芽の状態で、ダイセンミツバかも知れない。是非、咲く頃に再チャレンジしたい山だ。シュンランも目につく。

ちょっとしたピークの左を巻く。ここが権現山になるのだろうか。更にあと三つ小ピークを越える。今までのしんどさがウソみたいに楽しい落ち葉を踏みながらの山歩きだ。

アカマツ、ネジキ、リョウブ、ソヨゴ。

ブナやヤマコウバシもあるぞ。ここで下山中の若い男性とすれ違う。先ほどの車の主だろう。

山頂の展望

1時間半をかけて山頂にたどり着いた。「のろし台」であったと言うからにはもう少し展望がいいはずだが、樹木が育ってちょっと苦しい。それでもこの季節は北部の多飯が辻山などを確認することができる。

おや、北の斜面は随分白いぞ。雪だ。今日1日でかなり解けることだろうが、先日までは冬の山だったことが伺える。

数坪程度のそれほど広くない山頂は石垣で囲まれている。中央に建設省国土地理院の「大切にしましょう三角点」と書かれた札があり、一等三角点の石標が鎮座する。そのまわりをヒオドシチョウが羽根を広げて地面にとまる。

ぐるりをツツジが取り囲み、カシワやアセビ、コナラの木もある。誰かが展望の為に木を切ってしまっているようだ。まあ、登山口の荒れ様を考えればこの程度は許してあげたい。

ここは風が無い分、とても暖かい。丁度昼食時間になった。シャツを脱いで乾かそう。

別のルートもあるようで、赤テープが西側にも見えたが、下山はもとの道を引き返す。

テンのフンも見つかった。広葉樹の多い森は小動物にも優しいのだろう。

シジュウカラやウグイスがBGMになってくれた楽しい山歩きだった。

スギ花粉の飛散

  帰路の赤川交差点を南にとれば総領町への道だ。丁度セツブンソウの時期なので寄って見よう。果たして、今が最高の時期だった。TVや新聞ではいつも咲きはじめを報道するが、実際に満開になるのはずいぶん遅れる。

  特に今年は2月に厳しい寒さがあったので、例年より遅れ気味なのだ。

セツブンソウは満開状態

  オウレンも相変わらずすごい数。

  三良坂方面から帰ることとしよう。この時期あまり見たくないものがある。いつもセツブンソウの満開の頃、出くわすのがスギ花粉の飛散している姿。

  山からまるで火の手が上がったように、黄色い煙が突然舞い上がる。見ているだけで目がショボショボしてしまいそうだ。

  強烈な残像が心に焼き付いてしまった。

三良坂町の山から花粉が・・(中央)



【編集後記】

ボランティアをしている広島市東区のイベントで、小学生を連れて山の樹木に名札をつける催しがあった。

1班10名の小学生を率いて3班で葉や木肌の違いや常緑樹、落葉樹などの説明をまじえて山を上がる。

30分もあれば登れる二葉山の山頂まで、東照宮から2時間かけて一人1枚の樹木名札をつける。札の裏に自分の名前を入れたり、参加証も配る。ゴミの収集もある。

事務局が考えたアイデアがたくさん。

山頂で竹トンボを飛ばすゲームなどで盛り上がった。子供達は最初の1時間はおとなしかったが、それ以降はどうも気が散る傾向があるようだ。

こうした経験も積んでいかなければ。

それより、みんな自分の木をいつまでも覚えておいて欲しいな。

シリブカガシ、タラヨウ、カゴノキ、アベマキ、コナラ、クロキ、クスノキ、クロガネモチ、ヤマザクラ、アラカシ、タブノキ、ヒサカキ、ウリハダカエデ、ナナミノキ、ゴンズイなど。