QJYつうしん157号 休日は山にいます
緑の風が気持ちいい
ミヤマハコベが咲き誇る
安佐北区・ 宇賀峡
2001・4・22
太田川のキシツツジ
R191をJR布駅前の橋を渡り、太田川の右岸に沿って車を走らせる。新緑の山々と川の流れが新鮮だ。広島市内にいるとは思えない気持ちの良さ、ほとんど車の通らない川沿いの道に黄色が鮮やかなヤマブキとキシツツジのピンクの花が嬉しい。
ちょっと車を降りて河畔に出てみよう。
道沿いに咲くのはクサイチゴとたくさんのムラサキケマンだ。ちょうど川まで下りられる道がある、エノキの若葉が柔らかい。綿毛をつけたネコヤナギ、まだまだヤブツバキも健在だ。
葉の丸いハンノキはカワラハンノキ。今やっと雌花をつけたばかり。水をかぶりそうな場所にはケイリュウタチツボスミレらしき小さく花びらの細いスミレがある。
カワラハンノキ
そしてこの時期の主役はキシツツジ、間近に見るとヒラドツツジと同じ大きさに圧倒される。
発電所を過ぎてしばらく行くと、小さな宇賀橋がある。宇賀峡にはこの橋を渡ってすぐに左折するのだが、橋の手前でもう少し観察をしてみよう。
ヤマブキの花の下にはオドリコソウがたくさんあった。昔は雑草扱いされたオドリコソウだが、最近はあまり見なくなった気がするなあ。
橋のまわりにはヤブツバキ、コウゾ。おや足元に密集しているのはフラサバソウだ。カテンソウやハコベも多い。
これから訪れる宇賀峡も相当期待できそうだぞ。
宇賀ダムを渡る風
宇賀ダムの堰堤にはヤエザクラが一本植えてある。花びらを撒き散らして、ピンクの帯が道路に横たわっていた。そうか、ダムに沿って風がきついようだぞ、ちっとも寒く感じないのは快晴の青空だから。気温は18度くらい。いい感じ、いい感じ。
右手の小さな谷は水源管理地となっている。ムラサキケマン、ミツバツチグリ、ツルカノコソウ。おや、サツマイナモリがたくさん咲いている。キランソウは元気が良すぎて別名のジゴクノカマノフタを閉め忘れている。
サツマイナモリ
もうすこし走って、お茶にしよう。
ちょっと広い場所で、正面に見えるのが久地冠山(573m)のあたり。
水を満々とためて、青空の下、濃い緑の水面がとても気持ちいい。優しい風も緑色だ。
右手に祠が建っていて、そばには山菜にもなるハナイカダの若葉がとてもおいしそうだ。つやつやした若葉にたくさんの花がついているのはコクサギ、葉っぱは独特の匂いがあるのだが、別に悪い匂いではない。
湖畔にはキケマンが優雅に咲く。
お、大きなハコベが目に付いた。直径1〜1.5センチはあるだろう。これほどの大きさはミヤマハコベだ。クサイチゴやカキドオシより存在感がある。
ミヤマハコベ
昨年の細いマメをたくさんぶら下げているのは、キササゲだ。もともと薬用のため中国から入ってきた樹木だが、各地の湖畔や川のそばで自生している。
宇賀峡のアデランス
ダムが終わると本当の宇賀峡だ。
もっとも、しばらくは車を走らせて奥へ奥へとやって来る。快晴の日曜日にしては宇賀峡はあまり人の来ない場所だ。遊歩道があるわけでもないから、釣りでもしない限り人は集まらない。
キササゲの多い山道を一気に走り抜けることとしよう。ヤマブキの明るい黄色、ヤブツバキの真紅、道端の紫色はカキドオシとタチツボスミレだ。
ダムが終わってから1500メートルくらい走って、ちょっと広い場所に停める。
川の中に学名:アデランス、そうカツラの大木が若葉を風にひらひらさせて気持ちよさそうに立っていた。(もちろん冗談ですからネ)
コガクウツギはもう装飾花を開きかけている
。
サワギクもつぼみを抱いている。ナガバノタチツボスミレ、マルバスミレを確認、タガネソウやタケニグサもこれからだ。
ヤマブキは道に沿ってずっと咲いている。
そしてまたまたミヤマハコベの群生。
これほどこのハコベを見たのは初めてだ。大きさに圧倒される。また咲き方も群生になるのがとてもいい。
石を飛び越えて向こう岸に行ってみようか。
アデランスやイヌシデの大木。
クレソンも花をつけ、ワサビやキケマン、オニタビラコ、ウマノアシガタなど種類は豊富。
タンポポもがくを見る限り、外来では無い。
向こう岸にはコガネネコノメソウ、マルバコンロンソウだ。どちらも珍しい植物。
「猿淵」を過ぎると右手に小さな滝があった。いや小さな滝は数多くあるが。
サツマイナモリやヤマブキ、タチツボスミレ。イワタバコの葉が手の届く場所にたくさん。
これはオオサンショウソウだ。
水をかぶりそうな岩にへばりついて咲いている。オオサンショウソウと早口で3回言えるかな。
オオサンショウソウ
ヤマアイ、ウワバミソウ。シュスランやチャルメルソウも見つかった。
末広滝から地蔵尊まで
ひとつの場所でいろんな花に出合うから、なかなか先に進めないではないか。
お弁当は「末広滝」手前の河原に下りよう。
ラショウモンカズラが咲いている。シャガはまだのようだ。谷を覆うように立つ木々から花の咲きがらや小さな葉が風に舞って落ちてくる。お弁当を手で覆いながら食べなければ。
水がとてもきれいだ。水量はいつもこの程度なのだろう、周囲の花の位置で予想がつく。また、ここの流れは石を飛び越えてどこでも向こう岸へ渡れるから面白い。
大きな岩が立つ「唐音・からおと」では、ヤマルリソウが出てきた。ずっと群落を作っている。背の高いオオタチツボスミレもあるぞ。
ヤマルリソウ
ツルカノコソウ、ミヤマハコベが相変わらず咲く。今日はこのミヤマハコベが主役になったようだ。
唐音から200メートル進んだあたりの右手に山道がある、ここに車を停めて歩き始める。100メートル進むと「上唐音」だ。
さらに200メートルで岩の窪みに「千仏堂」。
ずっとミヤマハコベは山道を飾る。スミレもヒメアギスミレ、タチツボスミレ、マルバスミレの大行進。おや、これはエイザンスミレの葉だ。
副がくのあるイチゴはヘビイチゴ。キランソウやカキドオシはもうあたりまえになってしまった。
林道に入って
宇賀峡に初めて来たのはいつだったろう。近くて便利な場所を求めてやって来た。中国新聞に連載を始めた時で、600ミリの望遠でジャケツイバラを撮影することが出来たのを覚えている。
今日は久しぶりにその時の山道に入ってみよう。入り口はチェーンで封鎖されているが、車が入れないだけで人は通れる。
やはりここもミヤマハコベに圧倒される。
アカシデが細い枝に若葉をつけ、アカメガシワに花いっぱいのアケビやミツバアケビがからみつく。
ジャケツイバラも大きな茶色のマメをつけていた。あれ、もうつぼみをつけているものがある。まだトチノキが葉を出したばかりなのに。
道端のイタドリをカッポンと折って、かじってみよう。中はとても水気が多い、酸味が利いたなつかしい味だよ。
ウグイスはキョッ、キョッ、キョッ、キョッ・・・・・・と警戒音で鳴く。ここではコバノミツバツツジが終わりかけ、ザイフリボクが満開だ。
時折、道ばたでガサガサッとカナヘビだろう、慌てて逃げ出す音。ヤマカガシらしき長いやつも春を満喫していた。
こんなに近い場所で、緑の風に囲まれながら、自然を楽しめるなんて、とてもシアワセで〜す。