QJYつうしん  休日は山にいます

ヒジキのなる木を探してみよう

広島で一番早く梅が咲く島

下蒲刈町 大平山(275m)・観音平遊歩道

2003.1.18

安芸灘大橋

全長1175メートル、女猫の瀬戸をまたぐ巨大な橋は島の人にとって希望の橋だ。ただ、往復で1400円かかるのはちょっと割高感がある。

しかし橋を渡ってすぐの白崎公園に降り立つと一気に心が癒された。鏡のように静かな瀬戸内海をのんびり見ていると、もう春が来たような気分。

海に反射した太陽が下から顔を照らす時、まぶしさの中にその熱を確かに感じられた。

<白崎公園>

 

ここには広いツツジ園があって、サツキ、キリシマ、クルメ、ヒラドなどの園芸品種が37種類植えてある。狂い咲きの多いツツジ類の中で、咲いていたのは、赤いキリシマの「かがり火」と「紅キリン」だった。いや、この暖かさなら咲いていて当然か。

車を先に進めると、町の農村環境改善センターの建物が目に入る。そこのグランド沿いの道路に駐車して、町の最高峰、大平山へ向かおう。

キカラスウリがまるで島の名産のレモンのように大きくなっていた。

 

 

おやビワも今が満開の時期だ。メジロが嬉しそうに飛びまわっている。ホオジロもたくさん見る。島はどこでもつる性の植物が巾をきかせているが、ここはキヅタが多い。赤い実はビナンカズラ(サネカズラ)、私のライバルでもある。あれ?

<ビナンカズラ>

今日の目的地大平山への取り付きは、上蒲刈方面に100メートル先へ進むと、右に看板が出ていて「大平山公園」と表示がある。

ヒサカキ、ナワシログミ、クロキ、ナナミノキ、アカマツを覆うテイカカズラ。

海面から山頂まではたったの275メートル、もっともこれから歩くのは舗装道路だ。しかし行き先が山頂の公園だから、車が脇を通り抜けることはほとんど無い。安心して歩けるよ。

 

 

みかん畑のウォーキング

ウバメガシをやっと見つけた。島によってはこの木ばかり目にすることがあるが、ここでは初めて。

ゆるい坂道を歩いているとヒヨドリが大きな声で騒ぎ始める。かんきつ類は温州ミカンが終わり、甘夏らしい大型系のみかんがこれから収穫の時期を迎えるようだ。うすい黄色の玉はレモン。

道端に山と積まれたみかん。

<みかん畑> 

 

これから出荷なのか、それとも出来が悪くて放置されているのかな。

そのヒヨドリ達が団体で飛び立つ。ああ、みかんをつついていたんだ。良く見ると痛められたみかんが多いぞ、黒い袋をかけて防いでいるのもあるが。花の蜜を吸う程度の小鳥ならかわいいものだが、農家の生産物であるみかんを木になっている状態で傷つけられたらたまったものじゃないよ。

<みかんの被害>

みかん畑が途切れるとカクレミノ、ホソバタブ。それらにからみつくムベやビナンカズラ。

振り返ると安芸灘大橋や背後に見える野呂山の姿を見ることができる。かなり上がってきたぞ。

 

 <安芸灘大橋と野呂山>

花をいっぱいつけたビワ、おお白いウメが咲いている。白梅は紅梅より少し遅れるはずだが、ここではそんな定説とは無関係に陽光を浴びた白いウメの花が見事に咲き始めていた。

さらに歩きつづけると山を覆っているのはマダケの竹林だ。これも放置された結果。タケがはびこると他の植物は育つ余地がなくなる。

大下トンネルが見えたらその手前を右に曲がる。標識が出ているので間違えることはないだろう。

ハコベが繁茂し、クズを巻きつけたアラカシ、クロキ、アカマツ。オオバヤシャブシが目に入るようになった。雄花のつややかなゼリービーンズが早く開花したがっている。

 <大下トンネル手前を右へ>

 

メジロやカワラヒワが集団で目の前を横切る。

アカメガシワ、アベマキ、どれも枯れて残った実で判断できる。足元にはクサイチゴ、年中枯れないのかな。

アカマツの幼木が並んでいるが、どれもきっかり7年生のようだ。先のほうが切られているものは恐らく松飾りに利用されたようだ。

コジイやタラノキ、ネズ。真冬なのに暑い暑い。風がちっとも冷たくないのだ。(あとで分かったけど16℃まで気温が上がっている。沖縄なみ。)

 

 

左手に駐車場が見えた。もちろん誰もいない。

周囲の樹木を見ると、ヤシャブシにしてはちょっと様子が違う。実がとても大きいし上を向いているぞ。あ、葉をすっかり落としているがノグルミだ。

<ノグルミ・オオバヤシャブシ・ヒメヤシャブシ>

さらに進んでやっと頂上の桜が植えてある広場に到着した。トイレも完備。ここにもハコベの緑の絨毯、咲いているものがある。春の七草はナズナもそうだ。オオイヌノフグリ、ホトケノザもたくさん咲いている。

<ホトケノザ> 

 

北側の山頂には砲台の跡が三つ。ヤブニッケイの木が目立つ。ここに三角点は見当たらない。

南側の松林の中にはカクレミノ、ナガバノコウヤボウキ、ヒメヤマツツジらしき木もあった。

この広場から南側には上黒島,下黒島のふたつの島が春の海に浮かんでいる。優しい風景だ。鏡のような瀬戸の海と反射する陽光、山道歩きではなかったけれど、一服のお茶を味わうこの優雅さはやはり山歩きの楽しさのすべてだ。

そばではビワの木でメジロが花に頭を突っ込んで蜜を吸っている。

 <ビワ>

 

ヒジキのなる木はどこだ?

下山は駐車した場所へ向けて同じルートをとればいいのだが、島ではわき道も多くあり、方向さえあっていればトンでもない地域に出ることはまず無いだろう。

そこで帰路のトンネルとの間で小さなわき道に入り、下って見ることにした。ヒメウズやオドリコソウの葉を見ながら、やはりみかん畑のジグザグ道を縫うように下る。このように頭を使った経路選択が山歩きの妙でもある。もっと分かりやすく言えば「ボケ防止」かな。

 

 

さて、島特産のみかんは車で移動する道路上の無人市で入手できる。大きな伊予柑5個200円を買い、島の南部「梶ヶ浜ビーチ」へ。
<青空市にて>

南部の浜沿いは見事に松林を植栽している。海も青く、空は快晴。

地図で大地蔵とか小地蔵とかあったので、それがどこにあるのか地元に人に聞いてみると単なる地名だった。このあたり、「海の駅」とかいろんな施設がありトイレなども多く便利な場所。

 <梶ヶ浜ビーチ>

 

牛ヶ首の岬も含め、釣り場にもなっていて小公園もたくさんある。

午後のウォーキングは「観音平遊歩道」だ。これは看板が出ているのでそれに従って入山してみる。ヤブツバキ、シャシャンボ、クロキ、コバノミツバツツジなど。ヒメユズリハが多いのも意外だ。

ん?看板に「ヒジキのなる木」の場所が書いてある。いったいこれは何だろう?

 

 <袖についたセンダングサ>

この時期誰もいない遊歩道を登り、最初の展望台から瀬戸内海を見る。遠く四国の山々が見渡せる場所だ。地図のとおりに山道が交差し東屋などが見える。こんな時にデジカメで地図を撮影しておくと中途で確認できるから便利だ。そして観音様を奉ってあるところにヒジキについての説明版が出ていた。

要するに海で拾った観音様を山に奉ったところ、お礼として、「海に出なくてもいいように、木々にヒジキを実らせてくれた。」という昔話によるものだそうだ。つまりヒジキのなる木は実際あるわけでは無さそう。

 

 

なあんだ、ヒジキのなる木、大発見!の見出しでQJYを書こうとしたのに残念。ちなみに地図では観音堂と東屋の中間にあるはずだったが、そのあたりに案内板すら見つからなかった。

ところで、どうもこの手の日本昔話は善行に対して金銭のバックマージンが伴うので、いかがなものかと時々思うのだが・・・。<三角点>

東屋のある場所には四等三角点があった。

松葉の敷き詰められたコシダの山道はミモザ(フサアカシヤ)の若葉が小さなつぼみを抱いて並んでいる。

 <ミモザ>

 

はーるよ来い、はーやく来い。

ここには来てる!