□ 断章2「彼誰時」〜ある夕暮れ □

 

黄昏時と宵闇の狭間。馴染みある者でさえ見分けられない。

今は彼誰時。

 

 

夜を経て明け方にもう一度。その時に尋ねてみよう。

彼が誰なのかを。

 

 

たとえその答えがどんなものであろうと――

 

 

「……許さないからね」

 

わたしから逃げたことを。

わたしに手をあげたことを。

わたしを信じなかったことを。

 

彼がどんな理由を抱えていようと関係ない。だって、彼はわたしの舎弟なのだ。

 

 

 

 

 

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文責:柳田久緒