ショートキャンペーン「夢見石」・リプレイ

第一話:セロ村殺人事件

 

PC

  • 「黒旋風」(ブラックサイクロン)リッキィ…ファイター
  • サラ…クレリック
  • ラグナー・ヘイムダル…ファイター
  • ルギア・ドレイク…マジックユーザー
  • ハリー・メイソン…シーフ
  • コリー…シーフ

NPC

  • ガイーソン…『森の女神』亭主人。
  • ガギーソン…ガイーソンの息子。
  • ジール…宿屋『森の女神』亭のウェイトレス。
  • ブレンダ…宿屋『森の女神』亭のウェイトレス。
  • ヘルモーク…『森の女神』亭の常連客。虎族。
  • ラルーサ…神殿の老神官。
  • スピット…青年神官。ブレンダの婚約者。
  • ツェット…盗賊ギルドの長。いつも家の前で薪を割っている。
  • キャスリーン…村のご意見番である老女。
  • マクレガー…『夢見石』を発見した冒険者。今回の冒険の依頼主。
  • レビー…マクレガーの仲間の冒険者。
  • グレイ…中堅パーティのリーダー。
  • アイン…中堅パーティの盗賊。
  • アグニー…駆け出し冒険者パーティのリーダー。

 

 

act1: 夜はまだまだこれからよ 〜呪いの女神亭


――森を抜けると、そこはセロ村だった。

フィルシムのギルドより依頼を受けてパーティを組んだ一行は、さほどひどい怪我もなく無事「恵みの森」を抜けた。村に着いたのが夕方だったこともあり、真っ直ぐ宿屋へと向う事に。

が、何故か宿の前でいきなり物陰に隠れる(Hide in Shadows)ハリー。同じくコリーが「待て」と仲間を手振りで制し、おもむろに周囲を調べ始めた(Find Traps)。

こんな村の中でさえ警戒を怠らないとは、さすがは裏街道を生きるシーフである(いや、それとも警戒しているのはプレイヤーの方なのか。恐るべしSLマスター)。

しかし腹を空かせたリッキィは、ずかずかと扉に近づき、両手で大きく扉を開け放って言った。「頼もうー」

 

酒場の中央にはウェイトレスの姉ーちゃんズを侍らせた依頼人、マクレガーが座っていた。繋ぎを頼むまでもなく、パーティを一目見るなり「おう、待っていたぞ」と声をかけてくる。

それぞれの自己紹介を簡単に済ませた後、マクレガーが自慢げに夢見石の力で傷を治してやろうと申し出る。とにかく「すげぇだろ〜、ほれほれ」と、自慢したくてしょうがないらしい。

ラグナー、ルギア、サラは素直に厚意を受けたが、全然ケガしなかったハリー、それから石に胡散臭さを感じたコリーとリッキィは「ケガしてない」と断った。そしてお約束通り、善良なる三人組はいきなり揃ってSTに失敗。石に妙な魅力を感じ始める。やはり憎まれっ子は世に憚ってしまうのだろう。

なんだか気持ち良くなってしまった三人に「すごい石ですね」などとウットリ見つめられ(←しかし三人が見ているのは石)、さらに上機嫌になるマクレガー。酒場を見渡し、「みんな、ここの払いは俺が持つぜ!」と太っ腹宣言。大いに飲み食いする。

 

ざっと翌日の打合せも済ませた後、一応仕事だし、不用心に見せびらかしてもいるしで、今夜から警備をと提案したが却下される。

『わざわざ護衛を雇ったくせに、おかしい』

疑い深いシーフ二人組は目と目で会話した。こっそり部屋に隠れようと静かに階段を上りかけた(Move Silently & Hide in Shadows)コリーだったが、レベル違いのマクレガーにあっさり看破され、ひとまず引き下がった。結局3階の部屋には入らず、周りで勝手に警備をすることにする。

 

マクレガーが寝るまで酒場で粘る一行。酒場に集まる面子を観察していたハリーが、酒をかっくらうヘルモークを見て「ヤツはドラゴンに違いない!」と言い出す(←モンスターロア技能にファンブル)。

「そりゃ違うだろ」という皆の意見に耳を貸さず(←ファンブルだから)、帰宅するヘルモークの後をつけて(Move Silently & Hide in Shadows)ドラゴンの生態を観察しようとする。どうやら彼はドラゴンフェチだったらしい。しかし獣人区の住人に途中で釘を刺され、やむなくストーカー行為を断念。

 

一方その頃、サラは同じく酒場にいた中堅パーティと誼を結んでいた。ここで村の神殿についての情報をゲット。ついでにナンパされたが、生来の鈍さからあっさりスルーする(余談だが、SLマスターはNPCパーティに、美形の女好きを登場させる事が多い)。

 

マクレガーが部屋に上がった頃を見計らい警備に入る一行。スペルキャスターのルギアとサラはシフトから外し、屋根の上にコリー、宿の扉前にラグナー、3階の扉前にはハリーとリッキィが交代で見張ることにした。

一見水も漏らさぬ警備ぶりだが、じつは「寝不足だと力が出ない」というリッキィの睡眠時間調整のために、シフト間に半刻ばかり隙間があった。さらに警備上もっとも要となる場所に陣取っていたコリーが、なんたる事か、察知判定(パーセプションチェック)に3連続で失敗してしまった。

マスターはこの時、心密かに快哉を叫んだ(らしい)。ここで犯人が発見されてしまったら、いきなり話が終わってしまうのだから当然である。ベテランプレイヤーが多いとシナリオの穴を突かれて大変なのだ(←マスター談)。

 

結果、ジールはシフト間の隙間を縫ってマクレガーの部屋を出ると、裏口から家に戻った。その後現れたドッペルゲンガーも裏口から入り、見張りを避けるために壁を抜け(この頃マスターはドッペルゲンガーをシャドウと混同していたようだ)、続き部屋から寝室経由で仕事をし、同じルートを通って帰宅。コリーが半分居眠りしていたおかげで、当初の予定通り、死体は翌朝発見されることになった。めでたしめでたし。

 

 

act2: いきなりミッション・インポッシブル 〜第一の殺人


出発の朝、下りてこないマクレガーを迎えに行くが反応は無し。様子がおかしいと部屋の中を覗いてみれば、そこには予想通り、マクレガーの死体が転がっていた。

「やっぱなー」という顔でさっさと現場検証を始めるシーフ二人。宿の息子に呼ばれてかけつけた老司祭や警備隊から捜査権をもらい、パーティは手分けして聞き取り&現場調査を行なった。

シーフ達の捜索とサラの診断&聞き込みにより判明したのは

  • 窓には鍵が掛かっていた。壁を登ったような形跡はない
  • ベルトポーチに入っていたらしい「夢見石」が無くなっている
  • 使用した杯が2個あることから、昨夜は誰かと会っていたらしい
  • マクレガーの腹に刺し傷×3発。凶器は鋭い刃物状でどれも致命傷レベル
  • 昨晩のマクレガーは妙に陽気で太っ腹だった
という事だった。

 

一方、現場の周囲調査にまわったラグナー達は、犯行現場の下に宿泊する中堅パーティ(グレイ一行)に聞き込みをするが、アインから「女性(←サラのこと)を寄越せ」とすげなくされる。仕方なく戻ってきたラグナーから話を聞き、「わかった。女ならいいんだな」と何喰わぬ顔で2階の部屋を訪ねるリッキィ。

アインは「お前みたいな化けモンを呼んだわけじゃない(リッキィはとても不細工)」などと罵詈雑言を吐きながらも、「昨夜マクレガーを3人の人間が訪ねている。内一人は駆けだしのボウヤ(←アグニーの事)」という話をしてくれる。さらに昨晩の「きっとドラゴンに違いない」ヘルモークが冒険者の案内をしている事まで教えてくれた。実は結構いい人だったらしい。

ヘルモークからはマクレガーについての補足情報や、アグニー達の行き先などを聞くことができた(この段階でアグニーは容疑者リストからほぼ外れた)。

ガイーソン親子やウェイトレス達からはたいした情報は得られず。

 

部屋の捜索を一通り済ませ、情報収集がてら村内廻りをしたコリーは、途中でシーフギルドを発見。しかし、ツェットに危険なものを感じたため深入りせず、早々に立ち去った。

その後を追うようにハリーも散歩中、ギルドを発見する。「よっしゃあ!」と中へ入ってはみたものの、情報料の壁は厚く、めぼしい話を得ることはできなかった。

 

状況からして

  • 昨晩訪れた3人のうち、警備を始める前にアグニーが、シフトの隙間で後の二人が出入りした
  • このレベルの人間が真っ正面から3発喰らっている以上、犯人は顔見知りか魔法的な不意打ちができる者
と皆の意見は一致したが、それ以外の事についてはさっぱりだった。

その後も色々と推理してみたものの、所詮は情報不足。煮詰まった話し合いは次第に与太話の色を帯びていった。

「宿の人間は全員グル。酒には眠り薬が入っていて寝ているところをズンバラリ」とか、「闇売春をやっているヤツがベッドでマクレガーとヤってる途中殺った(←まんま正解。マスターはだらだらと冷や汗をかいていたそうな)」などとわけのわからない筋書きがいくつか立てられたものの、結局この日の捜査はこれ以上進展しなかった。

 

 

act3: 主は冷たい床の上 〜第二の殺人


朝靄の立ちこめる中、一同はジールの悲鳴で叩き起こされた。今度の犠牲者は宿屋の主人ガイーソン。一階の厨房の奥にある部屋で腹に一撃喰らって死んでいた。見るからにマクレガーと同じ傷口であることから、同一犯だろうと思われた。

どうやら昨夜帳簿つけをしている最中に顔見知りがやってきて、室内に招き入れたところでざっくり殺られたらしい。レベル持ちのマクレガーと違い、親父は一発でキレイに昇天しており、一般ぴーぽーと冒険者では鍛え方が違うのがよくわかった。

 

昨日に引き続き現場検証を行う一同。その精力的な捜索により、いくつか重要な発見があった。一つ目は親父が肌身離さず提げていた鍵束が無いという事、そしてシーフが本領発揮してこじ開けた(Open Locks)金庫の中に何か冊子状のものがあったらしいという事だった。

さらに帳簿を調べていたルギアが不審な金の流れを発見する(経理技能に成功。そんな技能を入れているPCがいるとは夢にも思わなかったマスターは、「ヤア、一本取ラレタネ」とボーナスEXPを贈呈)。どうやらこの宿屋では怪しい副業を営んでいるらしく、どこかに裏帳簿のようなものがあるらしい。おそらくこれが金庫に入っていたブツだろう。

新たな事実にどよめく一同。隠れサイドビジネスといったら、薬か故買か売春か。裏帳簿の内容がわかれば自ずと犯人も絞られてくる。早速全員で手分けして聞き取り調査を開始した。

 

ここでジールを担当したサラが聴罪師の本領を発揮(CHAチェックにクォーター成功。ジールはマインドマスクSTにファンブル)。「実はガイーソンを殺した夢を見た」と、いきなりゲロさせる。さらに家までついて行き、長年培った聴罪テクニックで、懺悔モードへと突入。

病気の母がいて生活が苦しい事、そのためにガイーソンの下で売春をして稼いでいた事、一昨日の晩もマクレガー相手に仕事した事、その時夢見石で回復して貰った事などを、ところてんの如くツルツルと喋るジール(←STにファンブルしたから)。さらに夢見石を隠し持っていることまで吐き出させてしまった。……恐るべしサラ。

そして自分が盗ったんじゃないというジールを宥め、「悪いようにはしないから」と石を預かってひとまず家を出た。

 

一方、宿ではうまく情報が集まらず手詰まり感のあったコリーは、なけなしの金を握りしめ、シーフギルドを訪ねていた。ここでガイーソンが売春の元締めをしており、ジールとリールがその商品であるという情報をゲットする。

「やっぱり闇売春だったのか!」

しかし、まだピースの数が足りない。この時点で最有力容疑者はジールだが、ただのウェイトレスが『詐欺師』相手に3発入れられるのか疑問である――いくら油断していたとしても。

「実は副業でエンジェルダストやハシシを扱っていた」、「夢見石はデュプリケーションミラー(←D&Dマーベラスマジック)的な力がある」、「むしろドッペルゲンガーかクローン製造器では(←先読みされて内心青褪めるマスター)」云々。

サラが帰ってくるまで暇なPC達は、事件が起こるまで与太話に花を咲かせるのだった。

 

 

act4: 悪い子はいねぇかぁ 〜レビー襲来


ジール宅を辞したサラはまっすぐ宿に戻らず、隠れキャラのひとりであるキャスリーン婆さんを訪ねていた。この余所者嫌いのババアは、薬草師のくせに一般居住区のど真ん中に住んでいた。ジールから聞いていなければあっさり素通りしたに違いない。

「余所者に売る物はないよ」、と最初は頑なな態度をとっていた婆さんだが、ジールの母親のために痛み止めが欲しいというサラの言葉に幾分か心を和らげる。「気まぐれに情けをかけるのはお止し」などと言われながらも、目的の品を購入。悪くない印象を与えて家を出た。

 

サラとキャスリーン婆さんが(そうは見えないが)和んでいた頃、宿に残っていたPC達は「化け物襲撃」の報を受け、村の入り口へと向かっていた。相手は一体のみ。たいして手間もかからないだろうと思われた。

しかし、目抜き通りをゆっくりと近付いてくるその姿を見たハリーは思わず叫んだ。

「に、兄さん?! なんで、ハイパーゾンビなんかに……!(モンスターロア技能成功)」

それはハリーの兄、レビー・メイソンの変わり果てた(←でもウェポンマスタリーは一緒)姿だった。

デキる死人相手にクレリック抜きでやる気はなく、何より肉親であるハリーの目の前でボコるのは躊躇われた。なんとなく手を出し倦ねる一同を完全に無視し、腐れレビーは一直線に宿へ向かう。

もしかして、何か思い残したことがあったから、こうして黄泉返ったのかもしれない。一同はしばらく彼の様子を窺うことにした。

宿の別館をしばらく彷徨った後、歩みを止めず北へと向かうレビー。遠巻きに見守る村人&パーティ一行。

「どうする、一斉にやっちまうか?」

「お待ちなさい。しばらく様子を見るのです(by水戸黄門)」

途中、婆さんの家から戻ったサラも合流したが、レビーの不可思議な行動が気になり、そのまま行く末を見守ることにした。

 

 

act5: 好奇心猫を殺すかも 〜ゾンビ達の輪舞


後を追うこと暫し、レビーは村の墓地に辿り着くと、そのまま中央の霊廟の中へ消えた。一同は用心のため墓地には入らずに、入り口で様子を見ることにした。

一応警戒していた甲斐はあったらしい。だらだらと立ち話をしていた一同の目の前に、突然大量のゾンビが湧いて出たのである。驚いて立ち竦む若干名、そしてターンに失敗するサラ。囲まれていたら全滅コースだが、なんとか壊滅レベルにとどまった。

パーティの半数が倒れた(AD&D仕様なため、HPが0でも死亡しない)が、ギリギリこれを撃退する。応急手当とキュアライトでひとまず全員動けるようになったものの、残HPはかなり心許ない状況だった。

 

だが、入ったまま出てこないレビーも気になる。そもそもレビーのせいでゾンビが現れたとしか思えない。このまま捨て置くのは危険だという意見に、比較的元気なコリーとハリーが霊廟を覗きに行くことになった。

用心をしつつ、霊廟の扉をくぐるシーフ二人組。だが、彼らの前に現れたのはレビーではなく、緑の光を放つエルダーグール・マクレガーであった。

いきなりの事に驚くハリー(サプライズチェック失敗)。不利を悟って撤退しようとするコリー。しかし入り口はいつのまにか現れた兄ゾンビによって塞がれていた。

追い詰められ、次々と麻痺爪にかかるハリーとコリー。彼らの行く末や如何に!

 

そんな事とは知らぬ待機組は、相変わらず墓地の外でぶらぶらしていた。すると、突然彼らの目に、霊廟から溢れ出る緑の光が飛び込んできた。おまけに扉の向こうから、2体の凶悪アンデッドまで現れる始末。

「もう、だめだぁ!(←アドンのポーズ)」などと現実逃避してみてもなんら現状は変わらない。魔法を殆ど使い切ったMUとクレリック、HPが一桁のファイター2人でこれを迎え討たねばならないのだ。移動速度で負けているから、そもそも逃げられないし。

勇気を奮い起こし、強大な敵に立ち向かう待機組。しかしミーディに入った直後、いきなりラグナーが麻痺った(STに失敗)。

「な、なにぃ!(byC翼)」

さらにマクレガーはラグナーの脇を抜け(麻痺っているのでゾック無し)、後ろで必死に防御していたルギアを血祭りに上げる。すでに皆の脳裏には「全滅」の二文字が浮かんでいたが、マスターは相変わらずオープンダイスである。全く以て容赦なし。

 

しかし捨てる神あれば拾う神あり。ダイスの神様が哀れに思し召したのか、防御全開で敵をひきつけ、攻撃をかわし続けるサラ。その隙に、両手に構えた二挺斧でざくざく刻むリッキィ。

長く絶望的な戦いも、リッキィの必殺技「ブラックトルネード(←クリティカル攻撃)」により幕を閉じ、パーティは辛くも勝利を手にしたのだった。

「ふう、死ぬかと思った」

このとき、パーティの心はひとつだった。

 

 

act6: 闇奉行に証拠はいらぬ! 〜事件の結末


首の皮一枚で生き残った一行は、この不可解な出来事を解明すべく腐れレビーを入念に漁った(「兄さん、いったいどうしてこんな事に……はっ、そうだ! もしかして兄さんが何か手がかりを握っているかも!」)。出てきたのは夢見石に関する書類一式。おかげで事件の大まかな流れが掴めた。

「やっぱドッペルゲンガーじゃん」

ひとまず村に戻って経緯を報告し、ゾンビーズからかっぱいだ「制御の指輪」その他諸々の所有権を主張。承認される。ついでに村の防衛に貢献したとして報奨金とキュアを一発ずつかけて貰った。――このパーティの大いなる犠牲により、司祭の爺さんは天寿を全うする事になるが、それはまた別のお話(シナリオ的には爺さんは死ぬ予定だった)。

 

ボロ雑巾なパーティにとって、キュアライトウーンズなんぞ、はっきし言って焼け石に水。まだ最後の山場があるのに、HPがこれではあまりにヨワヨワである。

少々危険だが、良い物が手に入った事でもあるし、

「……よし、夢見石を使え」

「しかし閣下、あれはまだ未完成です!」

「案ずるな、我々には制御の指輪があるではないか」

というわけで、亡き兄の遺志を継ぐと称して(←今回限りのゲストPCだからというセコい理由)、ハリーが全員に治癒。

なんとか「大破炎上」→「中破」程度まで回復する。

 

ひと息いれたパーティは、これまでの流れをまとめてみた。

1:マクレガーがジールに夢見石を使った

2:ジールの夢(たぶんドッペルゲンガー)が具現化

3:その夢がマクレガーを殺して石を奪う(これが3人目の足音)

4:同じくガイーソンを殺して裏帳簿を奪う

一連の事件は、ジールの抑圧された願いが歪んだ形で実現しているように思われる。では次に起こるのは何か。その答えを導き出すのは簡単だった。「ブレンダ(とスピット)が危ない」

 

決着をつけるべく、パーティはブレンダにおおまかな事情を説明して警護を申し出た。

「犯人は暴走した夢見石が創り出した邪悪なドッペルゲンガーで、ジールの姿と記憶を悪用している。ジールが殺人者という汚名を着せられる前に、犯人を退治するのに協力して欲しい」

ジールは不運な被害者で、悪いのは夢見石を使いまくったマクレガーであるという風に話しを持っていき、「スピットも同席するなら」と、護衛を承諾させた。

 

その晩、ジールとドッペル・ジールが別物であることを証明するために、パーティは二手に分かれて警備。ジール宅にはサラ(と家の前にルギア)、残りの面子はブレンダの家で待機。疑いの眼差しを隠さないスピットと困惑気味なブレンダを前に待つこと暫し。真夜中に扉を叩く音。予想通り、ドッペルゲンガー到来。

いつも通り応対し、家に招き入れるブレンダ。スピットがいたことにびっくりしつつも、あっさり中に入るジール。が、入りきったところで扉脇に潜んでいたファイター二人に気づき、形相が変わる。「今、仲間がジールと一緒に家にいる。ここに一人でやってきたお前は誰だ」と詰め寄るラグナー。あくまでジールのフリをするドッペルに、「それなら今日の午後、サラと何を話したか言えるか?」とリッキィ。

動揺しつつも姑息なドッペルはブレンダに助けを求めようとするが、ブレンダの「疑いを晴らすために言って」というセリフに、矛先をスピットに変更。すがるフリをしていきなり爪で攻撃した。しかし残念ながらスピットはレベル持ち。一撃で仕留められず。

腹を抱えたスピットが床に転がってあわあわ言っている間に、リッキィとコリー(ずっと部屋の隅に潜んでいた)の連続攻撃を受け、ドッペルゲンガーは倒された。その屍はジールとは似ても似つかぬ姿であった(っつーか、そもそも人じゃないし)。

 

こうしてセロ村連続殺人事件はひとまず幕を閉じたのであった。