ラストレイル王国

1.王国概要

概要
ロー・カスターの東南に位置する小国。元はカスター王国の一地方であったが、有名な「三代の大橋」を建造した事により独立を果たす。主産業は豊富な鉱床に支えられた鉱石山業、宝飾品細工など。人口は約33000人程度。街の名前や役職などには宝石の名前がついており、それがそのまま象徴石として用いられている。
街の名前
王都(ロードナイト)と鉱山街(ジルコン及びベリル)は産出する石に由来する。残り三つの街(サイトリン、オブシディアン、コーラル)は、後に国が拡大していった際、調和をとる為に貴石の名を与えられた。これら三つの貴石は、王国内でほとんど産出されない。
王国の兵団
この国には王直属の近衛隊と王国守備隊の二つがある。守備隊はそれぞれ貴石の名を冠せられ、それと同じ色の石を嵌め込んだ鞘を吊している(更に都市守備隊は街の象徴色の房飾りをつける)。近衛隊も同じ造りの鞘を持つが、あしらった石はヘリオライトになる。

○兵団○
近衛隊隊長(ルベライト卿) ――― 近衛隊(ヘリオライト)200名
兵団長(トルマリン卿) ――― 王国守備隊1800名(以下内訳)
  • 王都(ロドクロサイト)300名
  • 鉱山(ダンビュライト)300名
  • 都市(マラカイト)400名
  • 街道(ヘマタイト)400名
  • 国境(アゲイト)400名
各人が称号及び部隊名に冠された貴石を身に帯びているため、どこの所属か一目でわかる。
ギルド
三つの大きなギルドが国王と共に国政を定める。鉱夫ギルド、細工師ギルド、流通(商人)ギルドである。各ギルド長は通常本部のある街において町長の役割を担う。ギルド石をあしらった襟飾りが各ギルド章であり、これを身につけていない者はギルド員と見なされない。

○ギルド章○
ギルド長は銀に金の象嵌とギルド石、六つの街の象徴石と国の石アイオライトをあしらったもの。鉱夫ギルドはアメジスト、細工師ギルドはオパール、流通ギルドはパイロープがギルドの象徴石。
ギルド員は真鍮に青銅の象嵌とギルド石(の屑石または類似色の石)。
ギルド員の襟留め→ 襟留め.gif

 

2.名所案内

王都ロードナイト
ロードナイト(ケイ酸マンガン硬度6.5)の鉱床をもつ山を切り開いてできた街なので、建造物の石材にロードナイトを使用している。そのため王城以下、街全体がサーモンピンクという、城塞都市とは思えない景観を誇っている。
鉱山街ジルコン
ジルコン(硬度7.2)を産出している為にこの名がある。都市群の中でも一二を争う古い街で、王国の生命線ともいえる。ここには鉱夫ギルドの本部がある。
鉱山街ベリル
ベリル(硬度7.5〜8)の巨大な鉱脈に支えられた街。エメラルド、アクアマリン、モルガナイトの産出では、質量共に他の追随を許さない。
工房都市オブシディアン
国の原石の大部分がこの街に集まる。内部は細工師の集う「内苑」と、集積所及び分別所がある「外苑」とに分かれている。「内苑」には細工師ギルドの本部がある。
交易都市サイトリン
東の玄関口にあたるこの街は国一番の規模を誇る。国内外の鉱石は全てこの街で統制をうける。また、近隣諸国の宝飾品の価格水準を決めるのは、この街にある流通ギルドである。なお、街の中心には魔術師の塔があり、街全体を盗賊の手から守っている。
港町コーラル
南の玄関口ともいえる町だが、主産業は輸送と漁業なのでサイトリンのように大きな街ではない。しかし運ぶ品物は高価な事が多い為、護衛を雇う都合上、この国唯一の冒険者ギルドがある。それゆえ、町の人口変動が最も激しい。
<石垣>
まだこの地がカスター王国の一地方だった頃の歴史的記念碑。現在は崩れた石壁が点在するのみだが、元々は西のモーゲン光国と大きな戦があった時の防衛線として築かれた。今でも語りぐさになるような凄惨な戦いの末、石垣はほぼ全壊。守備に当たっていた人々も、生存者はほんの一握りという有様だった。しかし、そのおかげで援軍が間に合い、敵軍を追い返す事ができたと伝えられている。近在の村々では戦勝記念日に合同で、彼らを讃える祭りを開く。
<大橋>
この国が独立するきっかけとなった、差し渡し30mもある巨大な橋。時のカスター王が、「あの険しい谷川に橋を架けられたら、どんな望みでも叶えてやる」と言ったのが事の始まり。当時はまだ地方領主だったラスターは、配下の鉱山技術者達をかき集め、壮大な事業に乗り出した。呻吟苦難の末、孫の代になって完成。一筆貰っていたのが幸いしたのか、はたまた当時の王が弱腰だったせいなのか、以後ラストレイル王国として独立を果たす。「三代の大橋」と呼ばれる事もある。
カー・ダスル
伝説の魔術師が建てたと言われる、一対の灯台の内の一つ。最上階の部屋には、決して消えることのない青い炎が燃えている。
カー・カダルン
河口を挟んだ対岸に位置するもう一つの灯台。二つの灯台は共に、灯窓の一つが互いに向き合っている。この灯台の最上階には、決して消えることのない緑の炎が燃え続けている。
ドール・カントール
緩やかな丘や窪地が連なる地でありながら、なぜかドールと呼ばれている。小さな泉や林が点在する肥沃な土地である。
イーニス河アヴォン・イーニス
実質上の西の国境。遙か上流まで溯ると、カスター王国王都に辿り着く。
リフェイ河アヴォン・リフェイ
王国の背骨とも呼ばれる重要な河。ジルコン〜オブシディアン〜コーラルの主要運搬路であり、下りならば一日で河口まで出られる。川船の交通は大変頻繁である。上りは普通馬に牽かせるが、特別に認可を受けた商人や国の船には、魔法で速力を付加したものも見られる。
ギンヴァイル河アヴォン・ギンヴァイル
実質的な東の国境である。大変大きな河であり、流れも穏やかである。北方の街アルファラにはこの川沿いに行くのが一番早い。
魔術師の河口アベル・デウィン
伝説の魔術師が、この辺りに庵をむすんでいたという言い伝えがある。この河口より上流は、中型船以上の船は必ず沈んでしまう為、艀しか使えない。それは件の魔術師がかけた魔法のせいだと言われている。
白霧山脈
中腹には常に霧がかかっている。あまりに険しいがゆえに、鳥さえも越えられないと言われ、「帰らず山」と呼ばれることもある。
霧の湖フリン・ア・テリン
白霧山脈から絶えず霧が冷気と共に降りてくるため、湖面が見えるのは年に数日程度。しかし冬でも凍らない為、水神が棲んでいる言われている。
モルヴィエの沼地
地の神でもある鬼婆モルヴィエが棲むとされる沼地。有毒ガスの穴や、底無し沼があちこちにある為、誰も近寄らない。南側に唯一の村落スワインがあるが、そこへ通じる道は住人しか知らない。

 

3.人名・用語豆辞典