第一講 様々な呼び名
さて皆さん。皆さんは宝石というと、どんなものを思い浮かべますか。10個名前を挙げてみてください。……どうですか? すぐに出てはこないのではないでしょうか。
ここでは、知っているようで知らない「宝石」、これに焦点をあててみたいと思います。
宝石の定義は、美しく、稀少価値で、傷つきにくく、高い屈折率を持つものとされているようです。しかし、これはかなり近代になってからの定義で、研磨技術が発達したことによるものです。昔は綺麗で稀少ならば大抵のものは宝石として扱われていました。かつて「宝石」であったものが「貴石」の地位へと落とされています。
さて、本題に入りましょう。まずは宝石の様々な呼び方についてです。
宝石はほとんどの場合、色によって呼び方が変わります。例えば、わりと有名なのはサファイアとルビー、これはコランダム(鋼玉石)という鉱物に属しています。クロムが入った赤い石をルビーと呼び、チタンの入った青い石をサファイアと呼ぶだけの事で、本質的になんら変わりはありません。ただ、何故か赤いコランダムが出にくいので、その分価値は高くなっています。
これ以外の色のコランダムは、それぞれゴールデンサファイア、ホワイトサファイア等、××サファイアと頭にカラーをつけて呼ばれているようです。
この二つの石と同じくらいポピュラーな石で、緑の石の代表であるエメラルドもやはり色によって呼び方が変わります。属している鉱物はベリル(緑柱石)で、ベリリウムがこの中から発見されました。
緑の石がエメラルド、薄い青をアクアマリン、桃色がモルガナイト、黄色がヘリオドール、無色透明なのをゴーシェナイト、それ以外をまとめてベリルと呼んでいます。ベリル自体はそれほど珍しくはありません。ですが、美しく透き通った物はなかなか採掘されない為、良質のベリルはダイアモンドに匹敵します。
その他の別名のある石をいくつか挙げてみましょう。カンラン石は通常オリビンという名で知られる、黄味のかった緑の石です。この黄色が強くなるとペリドートと呼ばれます。
トルマリンは別名「電気石」として知られています。熱すると石の両端に+と−別々の電気を生じるからです。普通黒系または青系の色をしていますが、結晶柱の両端が緑とピンクにわかれたものを特に宝石として用います。緑はそのままトルマリンと呼ばれ、ピンクの方はローズトルマリンとかピンクトルマリン、またはルベライトと呼ばれます。
他にも宝石商が商品名としてつけた名前がたくさんありますが、量が多いのでここでは割愛させていただきます。
ちなみに「〜ite」というのは「〜石」という意味です。例えばアレキサンドライトは、
「alexandr + ite」でアレキサンドル石になります。
さて、時間になりましたので今日の講義はここまでです。それでは皆さん、さようなら。