一般教養講座「馬・初級」 ・・・2単位

第一講 馬の歩法

 さて皆さん。皆さんは馬に乗ったことはありますか? 大多数の人はないんじゃないでしょうか。昔と違って、馬に乗る機会は大変まれだと思います。というわけで、この講座では簡単に馬に関係する事についての講義をします。
 しかし難しい乗馬用語や理論などは、実際に乗らない人には退屈でしょう。なので、時代小説などで見かける描写がわかるような事柄をお話ししていこうと思います。まずは馬の歩法についてお話しましょう。

 馬の歩法、つまり歩き方は大きく4つに区分されます。それは「並足なみあし」、「速足はやあし」、「駆足かけあし」、そして「襲歩しゅうほ」です。読んで字の如く、並足が一番ゆっくりで普通に歩く速度、襲歩が一番速い全力疾走――だいたい時速40km弱ぐらいですか――の状態を指します。
 並足は足音の擬音で表すと、「カッポ、カッポ、カッポ、カッポ」という感じでしょうか。4拍子をゆっくり刻んでいますね。一番楽な普通の歩き方です。
 速足は「カッカッ、カッカッ」と2拍子を刻みます。トロットと呼ばれるのがこの速足で、走り方が2種類あります。斜対歩しゃたいほ側対歩そくたいほ(ペース、アンブル)です。普通の馬は斜対歩で走りますが、まれに側対歩で走る品種もいます。側対歩は反動が少ない歩法なので、上に乗っている人や物が安定します。なので、これを調教で仕込む事があります。
 駆足は「ダガダッ、ダガダッ」と速い3拍子をとります。当然ですが揺れは一番激しく、慣れない者なら、鞍にしがみついているのがやっとでしょう。この走法をキャンターと呼びます。(また、前足を高く上げた駆足を、「だく足」といったように思います)
 襲歩は「ドドドドッ」という感じでしょうか。競馬中継のあれです。襲歩は駆足より速いのに、上下の揺れはほとんどありません。この走り方をギャロップと言います。全力疾走ですので、長い間は走れません。

 

 さて、ざっとの説明でしたが、わかりましたか? もっと詳しい説明は中級で講義しますので、今日はここまでです。
 それでは皆さん、さようなら。